アゼルニジピンはグレープフルーツジュースと安全に併用出来ますか?

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アゼルニジピンはグレープフルーツジュースと安全に併用出来ますか?

☑️はじめに

Ca拮抗薬とグレープフルーツジュースの相互作用はよく知られています。

薬情にも記載され、薬局のカウンターで質問される機会も多い相互作用です。多くの場合は問題なく服用出来るのですが、時に注意が必要な薬剤もあります。アゼルニジピン(カルブロック®)はそのひとつです。

今日はアゼルニジピンとグレープフルールジュースの相互作用について見て行きましょう。

アムロジピンだったら、大丈夫ですよって言っちゃう事がありますけど。

アゼルニジピンはちょっと違うみたいよ。一緒に見て行きましょ。

プロローグ

📝アゼルニジピン

📖前回までアムロジピン✨
👨‍⚕️歯肉肥厚で変更になったそうです

👩今まで通りグレープフルーツジュース飲んでも良い?

👨‍⚕️Ca拮抗薬ですねぇ。先輩、どうでしょう。

👩‍⚕️💭

①👩‍⚕️全然大丈夫ですよ✨
②👩‍⚕️今回は立ち眩みや顔面紅潮に注意して飲んでね♥️
③👩‍⚕️止めた方が良いかな💦

出典: twitter.com


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☑️薬物動態の変化を伴う薬物相互作用2019を参照する

アゼルニジピンとグレープフルーツの相互作用を定量的に評価する方法はあるでしょうか?

アゼルニジピンAUC3~10倍に

まず簡便に、薬物動態の変化を伴う薬物相互作用2019を参照してみましょう。

そこでは、アゼルニジピンとグレープフルーツは赤文字同士の組み合わせです。

従って、血中濃度は少なくても3倍、場合によっては10倍以上に上昇する可能性があると考えられます。

アムロジピンAUCなら~2倍程度

文献からは1.2倍程度の報告がありますので、アムロジピンとグレープフルーツの組み合わせはAUC~2倍程度と予測されます。

添付文書の併用注意は一律な重味でないかも

添付文書では次のように注意喚起されます。
・アムロジピン(「あすか」「武田テバ」等)「同時服用しないように注意すること」

・アゼルニジピン「服用中は飲用しないように注意すること」

しかしながら、グレープフルーツとの相互作用の強度はかなり異なり、一律の注意ではないように感じます。

薬物動態の変化を伴う薬物相互作用2019

出典: ptweb.jp

☑️CR-IR法で推算してみる

CR-IR法で、この相互作用をもう少し詳しく評価してみましょう。

CR及びIRをカテゴリーの下限として計算します。

・アゼルニジピンの寄与率 CR-CYP3A4:0.8
・グレープフルーツの阻害率 IR-CYP3A3:0.8

従ってAUC上昇は2.8倍で、実測値はおおむね1.4倍~5.6倍の範囲にある可能性が95%程度と予測されます。

CR及びIRをカテゴリーの上限として計算します。

・アゼルニジピンの寄与率 CR-CYP3A4:0.89
・グレープフルーツの阻害率 IR-CYP3A3:0.89

従ってAUC上昇は4.8倍で、実測値はおおむね2.4倍~9.6倍の範囲にある可能性が95%程度と予測されます。

これからの薬物相互作用マネジメント 臨床を変えるPISCSの基本と実践 第2版

出典:

☑️臨床研究の報告を参照してみる

理論的な予測だけでなく、実際の臨床研究の報告を確認してみましょう。

Effect of a Single Glass of Grapefruit Juice on the Apparent Oral Bioavailability of the Dihydropyridine Calcium Channel Antagonist, Azelnidipine, in Healthy Japanese Volunteers

May 2006Rinsho yakuri/Japanese Journal of Clinical Pharmacology and Therapeutics 37(3):127-133

出典: www.jstage.jst.go.jp

☑️DeepLによるAI翻訳で論文を読む

論文の抄録をAI翻訳で読んで見ましょう。

グレープフルーツジュース(GFJ)は、チトクロームP450の最も多くのアイソフォーム(CYP 3A4)で代謝されるいくつかの臨床的に重要な薬剤の見かけの経口バイオアベイラビリティを増加させるという報告が数多くあります。アゼルニジピン(カルブロック®)は、1, 4-ジヒドロピリジン系の長時間作用型カルシウム拮抗薬で、日本では高血圧症の治療に使用されています。ヒト肝ミクロソームを用いた薬物相互作用試験において、いくつかのCYP3A4阻害剤および基質が、ニフェジピンおよびフェロジピンと同程度にアゼルニジピンの酸化的代謝を阻害した。ヒトにおけるアゼルニジピンとGFJの相互作用の可能性を評価するために、日本人健康ボランティア8名を対象に無作為化2ウェイクロスオーバー試験を実施した。
一晩の絶食後、アゼルニジピン8mgを250mLの水またはGFJとともに単回経口投与した。投与後24時間までの間、定期的に採血を行った。測定した。
GFJとの併用により、アゼルニジピンの平均Cmaxは水と比較して2.5倍、AUCは3.3倍に増加し、Cmax到達時間(tmax)及び平均滞留時間(MRT)はわずかに遅延した。また,重篤な有害事象は認められなかったが,GFJ期において,投与4時間後に起立性低血圧を伴う頭痛および顔面紅潮の軽度の症状を訴えた被験者が1名いた。

以上の結果から、アゼルニジピンとGFJ 1杯との間に薬物動態学的相互作用が認められた。

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。

出典: www.jstage.jst.go.jp

☑️原文を参照してみる

論文の原文も載せておきます。

翻訳と読み比べて見て下さい。

There are many reports on grapefruit juice (GFJ) increasing the apparent oral bioavailability of several clinically important drugs metabolized by the most abundant isoform of cytochrome P450, i. e. CYP 3A4. Azelnidipine (Calblock ®) is a long-lasting 1, 4-dihydropyridine calcium antagonist currently used in the treatment of hypertension in Japan. In a drug interaction study using human liver microsomes, several CYP3A4 inhibitors and substrates inhibited the oxidative metabolism of azelnidipine to the same extent as nifedipine and felodipine. In order to evaluate the possible interaction of azelnidipine with GFJ in humans, a randomized, two-way crossover study was conducted in eight Japanese healthy volunteers.
A single oral dose of 8mg azelnidipine was administered orally with either 250mL water or GFJ after overnight fasting. Blood samples were drawn periodically up to 24hours after dosing. Plasma concentrations of azelnidipine were measured by liquid chromatography-tandem mass spectrometry (LC/APCI-MS/MS).
Concomitant administration of azelnidipine with GFJ increased the mean Cmax of azelnidipine by 2.5-fold and the AUC by 3.3-fold compared with water; moreover, the time to reach Cmax (tmax) and the mean residence time (MRT) were slightly delayed. No serious adverse events were observed except one subject described mild symptoms of drug-related headache and flushing accompanied with orthostatic hypotension at 4hrs after administration in the GFJ phase.
The results demonstrated the pharmacokinetic interaction between azelnidipine and a single glass of GFJ.

出典: www.jstage.jst.go.jp

☑️審査時より相互作用は懸念されていた

議事録を読むと、この相互作用は承認申請時より懸念されていた事が分かります。

もうひとつ重要なのは他の薬剤が本薬の代謝に対する影響というところも見なければいけないのです。(中略)グレープフルーツジュースで血中濃度が3倍に上がるというのはものすごい影響で、これほど影響を受けるものというのはそうそうないのです。
(中略)
グレープフルーツジュースの影響にしても、同じジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬にしても、影響の程度というのは薬物によって全然違うのです。それを見たところ、この薬剤はかなり影響を受けやすいタイプの薬剤である(以下略)

平成14年8月30日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

出典: www.mhlw.go.jp

☑️まとめ

アゼルニジピンに変更で歯肉肥厚が改善したとする症例報告があります。

従って、今回のように歯肉肥厚から薬剤変更に至るケースを目にする場合もあるでしょう。

歯肉増殖の副作用が少ないCa拮抗薬はありますか?

出典: www.jmedj.co.jp

一方でアゼルニジピンはグレープフルーツジュースと併用する事で、AUCが3~10倍程度上昇が予測される事が分かりました。

相互作用としてCa拮抗薬でAUC2~7倍は併用注意、7倍以上は併用禁忌とすることがPISCSで提唱されています。

禁忌寄りの併用注意として、アゼルニジピン服用中の患者さんにはグレープフルーツジュースの飲用を注意喚起していた方がよいと考えます。

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最終更新日2021年4月26日

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これからの薬物相互作用マネジメント 臨床を変えるPISCSの基本と実践 第2版

医療現場のための薬物相互作用リテラシー

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