ワーファリンとロルノキシカムは安全に併用出来ますか?



ワーファリンとロルノキシカムは安全に併用出来ますか?

☑️はじめに

先日、気になる記事を見つけました。

ワルファリンは服用後、上部消化管で完全に吸収され、血液中でアルブミンと結合しなかった1~10%の遊離型が作用しますが、NSAIDSはアルブミンと結合してしまうため、併用すると結果的に遊離型のワルファリンが増加してしまうのです。

「ここからはじめる抗凝固療法」連載第2回 溝渕正寛 調剤と情報 2020年9月

出典:

この連載は素晴らしく、一言一句噛み締めるように読んでいたのですが、マーカーを引いた部分は明らかに間違いです。

ワーファリン®️添付文書を見ると、NSAIDsは「相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する。」と確かに記述されています。

しかしながら最新の知見では、動的平衡によってワーファリン®️の総濃度は低下し、遊離型濃度は変化しません。

非薬剤師には知識のアップデートが為されていないのだと思います。

薬剤師なら薬物動態と相互作用を極めたいです。

わたしたちと一緒に見て行きましょう。

プロローグ

👵人工関節にして痛みから解放されたよ

👨‍⚕️ロルカム®️休止です。他科受診は…
📖循環器ワーファリン84日分✨

👩‍⚕️うん、循環器科に臨時の受診を勧めて

👩‍⚕️2C9の競合が無くなってワーファリン血中濃度が低下するよ

👨‍⚕️タンパク結合の置換でなくて?

👩‍⚕️違う。置換で総濃度は下がるが薬効を担う遊離型濃度は変わらないよ

出典: twitter.com

☑️ワーファリンとロルノキシカムは臨床的に意味のある相互作用がある

ワーファリンとロルノキシカムは相互作用が知られています。併用で血中濃度1.5倍とする試算もあるため、臨床上注意が必要です。

Prediction of pharmacokinetic drug/drug interactions from In vitro data: interactions of the nonsteroidal anti-inflammatory drug lornoxicam with oral anticoagulants
C Kohl et al. Drug Metab Dispos. 2000 Feb.

出典: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

この相互作用の要因は、長らくタンパク結合の置換によるものと考えられていました。しかし、近年ではCYPの相互作用と見なされています。

本当にタンパク結合の変動を考慮しなくて良いのでしょうか。理論的背景をわたしたちと一緒に見て行きましょう。

☑️遊離型薬物濃度が薬効の指標

薬効を表すのは薬物の総濃度ではなく、遊離型濃度です。従って、薬によっては遊離型薬物濃度を左右するタンパク結合の変動を考慮する場合があります。

その一方、以前はタンパク結合変動の重要性(遊離型濃度を変動)が指摘されていたものの、現在は臨床的に重要でないことが明らかにされている薬物もあります。ワルファリンがそのひとつです。

ワルファリンは経口投与、低い肝抽出率(0.002)、長い平衡時間であることが、その理由です。

Benet LZ, et al : Clin Pharmacol Ther, 71 : 115-121, 2002

出典: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

☑️タンパク結合の変動時に遊離型薬剤濃度が変動する薬剤は限られている

一般にタンパク結合が高く、血流律速(肝抽出率が高い)で、かつ静脈内投与においてのみ、タンパク結合の変動時に遊離型薬物濃度の変動を考慮すべきことが明らかにされています。

リドカイン、ミダゾラム、プロプラノロールなどが、この薬剤に該当します。

エキスパートが教える薬物動態

出典:

☑️ロルノキシカムによるタンパク結合置換でワルファリンのタンパク結合濃度は低下、CYP2C9阻害作用でS体の遊離型薬物濃度が上昇する

ワルファリンは主に肝臓で代謝され、肝固有クリアランス律速(肝抽出率が低い)かつタンパク結合が高い薬物群に分類されます。

この場合、タンパク結合している薬物が減少すると、薬物の総濃度は低下しますが、遊離型薬物濃度は変化しません。

ワルファリンの活性体であるS体の血清中遊離型濃度がNSAIDsのブコロームやロルノキシカムの併用により上昇する現象について、当初はアルブミン分子上でのタンパク結合置換によるものと考えられていました。

しかし、現在ではチトクロムP450(CYP)2C9阻害によるワルファリン固有クリアランスの減少に起因することが明らかとなっています。

多くの薬物の場合、投与量の変動または固有クリアランスの変動がAUC変動の要因となります。

Prediction of pharmacokinetic drug/drug interactions from In vitro data: interactions of the nonsteroidal anti-inflammatory drug lornoxicam with oral anticoagulants
C Kohl et al. Drug Metab Dispos. 2000 Feb.

出典: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

☑️表 タンパク結合の変化に伴う血清中濃度と遊離型薬物濃度の変化

結合率>70% 投与経路 総薬物濃度 遊離型薬物濃度
固有クリアランス律速 経口 低下 変化なし
(肝抽出率が低い) 静注 低下 変化なし
血流律速 経口 低下 変化なし
(肝抽出率が高い) 静注 変化なし 増加

Smith DA, et al : Nat Rev Drug Discov, 9 : 929-939, 2010 / Benet LZ, et al : Clin Pharmacol Ther,71 : 115-121, 2002

出典: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

☑️添付文書記載の臨床報告

エーザイFQA

[相互作用の事例]

<臨床研究報告>1)【ワルファリンの作用増強】

健康成人男子12名に対し、まず5日間ロルノキシカム8mg/日を単独投与した(第1期)。次いでロルノキシカム継続投与下にワルファリンの投与を開始し、プロトロンビン時間が21~24秒の間に入るように用量調節し、維持用量のワルファリンを7日以上連続投与した(第2期)。この後、ロルノキシカムは中止してワルファリン維持用量を変更せず9日間投与した(第3期)。ワルファリンの開始用量は平均8.25mg、維持用量は平均4.25mgであった。プロトロンビン時間は試験開始時14.5秒、ワルファリン投与開始5日後25.2秒、維持用量ワルファリン投与開始時24.3秒、第2期末23.6秒、第3期末19.5秒であった。プロトロンビン時間はロルノキシカム中止により17%の有意な短縮を示した。血清ワルファリン濃度は維持用量投与開始前1.05μg/mL、第2期末1.02μg/mL、第3期末0.77μg/mLと、ロルノキシカム中止により25%の有意な低下を示した。(海外)

出典: faq-medical.eisai.jp

☑️まとめ

ワーファリンとロルノキシカムを併用した場合、タンパク結合の置換により、ワーファリンのタンパク結合した薬物濃度が低下します。

さらにCYP2C9の阻害作用により、S-ワーファリンの遊離型薬物濃度が上昇します。

このように、2つの機序による相互作用が生じていると考えられます。

ロルノキシカムの使用前後はINRの確認が望ましいと思われます。

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最終更新日2021年4月29日

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