医療経済の記事をまとめました。

医療経済の記事をまとめました。

医療保険の財政は、非常に厳しい状態です。保険料だけでは賄う事が出来ていません。

市販薬と類似薬を処方された場合に、1~3
割負担にプラスして定額負担をする事が議論されているそうです。

わたしたちもコスト意識を持つ事が避けられなくなるでしょう。

風邪で病院に行く人、病院に行かない人、コストはどれくらい違う?

日本で年間にインフルエンザの迅速検査で必要な検査料の予算の概算はいくら?

昨シーズンに消費した抗インフルエンザ薬は厚労省によれば、のべ1,397万人分。どれくらいの薬代になるのでしょう?

ZOZO前澤社長の100万円で何人のインフルエンザ患者が治療出来ますか?限られた医療資源をどう分配すれば良いのでしょう?

低リスクの人が薬を飲んだ場合、コレステロールは下がるけれど心筋梗塞が減るかどうかは分からないと言うのは本当ですか?

主治医からは飲むようにと言われているコレステロールの薬を、検診では医療費の無駄だから飲むには及ばないと言われたのですが。

シンバスタチンとフルコナゾールは安全に併用出来ますか?

1 はじめに

シンバスタチン(商品名リポバス)とカンジダ治療薬のフルコナゾール(商品名ジフルカン)は薬物相互作用がある

シンバスタチン5mg服用中の80歳女性に、食道カンジタ症の治療でフルコナゾール50mgが処方されました。

併用禁忌のイトラコナゾール(商品名イトリゾール)と異なり併用注意と添付文書に記載されている

両剤は添付文書で併用注意とされています。一方、類薬のイトラコナゾールは併用禁忌です。イトラコナゾールの併用で、シンバスタチンのAUCが19倍になったという報告があります。

シンバスタチンとフルコナゾールは安全に併用できるでしょうか。

2 相互作用の機序はシンバスタチンの肝代謝が阻害され、血中濃度が上昇すること

シンバスタチンとフルコナゾールの相互作用について概観します。

2-1 スタチンとアゾール系真菌薬併用は、PISCSによる定量的予測が出来、今回は2.7倍と推定される

シンバスタチンは主として肝臓の薬物代謝酵素CYP3A4で代謝されます。一方、フルコナゾールはCYP3A4を中程度阻害します。

PISCSによれば、シンバスタチンのCYP3A4寄与率CR0.9、またフルコナゾールのCYP3A4阻害率IC0.7です1)。

同時に服用することで、シンバスタチンのAUC2.7倍の上昇が理論的に予測されます。PISCSの精度を考えると、3~5倍の上昇です。

2-2 シンバスタチンとフルコナゾールの服用により、副作用の横紋筋融解症を惹起した症例報告がある

Pubmedを検索すると、次の症例報告が見つかりました。

83歳白人男性で、シンバスタチン40mgとフルコナゾールの1週間の併用で横紋筋融解症を起こし、両剤の中止により回復しています。

PISCSではシンバスタチンが108mg(精度を考えると120~200mg)飲んだのと同じAUCになったと考えられます。

3 シンバスタチン
の用量が少なければ併用出来るかも知れないし、スタチンを休止または変更で対応出来るかも知れない

両剤が安全に使用できるか、薬を変更するならどうすれば良いか概観します。

3-1 シンバスタチンの用量についてインタビューフォームを見ると、米国添付文書では80mgでミオパチーリスク上昇としている

シンバスタチンの日本の用量の上限は20mgですが、米国での用量の上限は80mgです。

リポバスのインタビューフォームには、米国の添付文書が掲載されています 3)。

そこには用量に関する次のような注意事項が記載されていました。

・治療開始1年間は、横紋筋融解症を含むミオパチーのリスクが上昇するため、80mgの投与は、筋毒性の形跡がなく、慢性的(例えば、12ヶ月もしくは以上)に服用している患者に制限すること。

・すでに80mgを服用して禁忌もしくは、シンバスタチンの上限用量に関係している相互作用のある薬剤を服用する必要のある患者は、相互作用の可能性の少ないスタチン製剤に切り替えること。

・横紋筋融解症を含むミオパチーのリスクは、80mgの用量に関連して上昇するため、40mgでLDL-Cの目標達成できない患者には、80mgを投与するのではなく、LDL-C低下がより効果のあるその他のLDL-C低下薬を選択すること。

3-2 シンバスタチンが低用量であれば注意しながら併用できるかも知れない

シンバスタチンの国内の承認用量の上限は20mgであり、今回のAUC上昇は5mg x2.7=13.5mgと範囲内と考えられます。

筋症状の有無に注意しながら併用は可能かも知れません。

3-3 スタチンを休薬、または他剤へ変更してもよいかも知れない。

PISCSの予測精度を考えると、今回の併用は3~5倍のAUC上昇と表現されます。

より慎重にフルコナゾール服薬中のみシンバスタチンを休薬したり、他のスタチンに変更すると言う選択枝もあるでしょう。

変更候補はCYP3A4を介する相互作用が少ない、かつレギュラースタチンのプラバスタチンが提案できると思われます。

レギュラースタチンのフルバスタチンは、フルコナゾールとCYP2C9を介する相互作用があるため、プラバスタチンの方がベターと思われます。

3-4 もしも横紋筋融解症を起こしたらどうしたらよいか

フルコナゾールの半減期は長く、35時間程度です。

もし併用中に横紋筋融解症を起こした場合は、シンバスタチンとフルコナゾール双方の中止が望ましいと考えられます。

4 まとめ

シンバスタチンが低用量であれば、筋症状に注意しながらフルコナゾールを併用出来るかも知れません。

より慎重を期すのであれば、フルコナゾール服用中と服用終了後(フルコナゾールの半減期の5倍の)1週間程度はシンバスタチンを休薬しても良いでしょう。

もしくはCYP3A4の相互作用のないプラバスタチンなどに変更しても良いでしょう。

この対応が、より安全ではないかと考えられます。

参考文献

1)https://ptweb.jp/images/asset/PT_DDI_2019_Jap_A4_0219.pdf
2)Simvastatin-fluconazole causing rhabdomyolysis. Ann Pharmacother. 2003 Jul-Aug;37(7-8):1032-5. PMID:12841814
3)リポバス錠 インタビューフォーム

参考書籍

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糖尿病の薬物療法のエビデンスの記事をまとめました。

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主に論文の紹介です。

糖尿病は標準療法と言うより、個別の薬物療法が多い印象があります。

しかし、エビデンスを知っておくことは大事と思います。

疫学や基礎研究など、色々取り揃えて紹介しています。

SUR2受容体に親和性の高いSU剤は、虚血性心疾患のリスクとなるかも知れない。

メトホルミン服用中の乳酸アシドーシスの粗発症率は3.3人/10万人年であった。

CKDにおいて乳酸アシドーシスのリスク上昇があると言う結果は得られなかった。

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処方解析の記事をまとめました。

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珍しい処方箋について、わたしが調べた事を書いています。

みなさんの業務に役立てて頂けたら幸いです。

参考にした書籍も紹介しました。知識のアップデートに、ご利用下さい。

「処方箋の”なぜ”を病態から推論する」を若手だけでなく中堅以上の薬局薬剤師にもお勧めしたい理由。

「処方箋のなぜを病態から推論する」を中堅以上の薬剤師にも勧める理由 その2

潜在性結核感染症の治療はイソニアジド単剤で行われ、リスクのある方には神経障害を回避する為にピリドキサールが予防投与されます。

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腎機能についての記事をまとめました。

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薬局はあなたの毎日を守る小さな小さな最後の砦(「アンサング・シンデレラ」単行本カバーより)

薬剤師なら知っておきたい、高齢者がガスターを飲む場合は減量が必要と言う話✏

薬局はあなたの毎日を守る小さな小さな最後の砦(「アンサング・シンデレラ」単行本帯より)その2

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ミコナゾール(商品名フロリードゲル)とワルファリン(商品名ワーファリン)はCYP2C9の相互作用があり、禁忌。

1 はじめに

循環器内科でワーファリン服用中の患者さんに、耳鼻咽喉科からフロリードゲルの処方箋が来た。

先輩が耳鼻咽喉科に電話して、ファンギゾンシロップに変更になった。

「理由を調べておいてね」って先輩から言われたけど、薬歴が溜まってて調べる時間が取れない。

誰かタスケテ・・・。

そんなあなたに今回の記事が役に立ちます。

2 ワルファリンについて

2-1 ワルファリンは治療域が狭く、薬物相互作用も多い

ワルファリンは、心房細動などで血栓が出来やすい方が血栓予防で飲む薬です。治療域が狭く、量の厳密なコントロールが必要です。

ワルファリンの用量は、INRと言う検査値を指標に調節します。ガイドラインでは70歳未満ではINRを2.0~3.0に、70歳以上では1.6~2.6にコントロールすることが推奨されています。

ワルファリンは他の薬との相互作用が多く、製薬会社からは500ページに及ぶ適正利用の為の書籍が発刊されています。

膨大な情報をいかに評価して、重要な相互作用を見逃さずマネジメントするかが重要です。

2-2 ワルファリンはCYP2C9の相互作用が臨床的に重要

ワーファリンは光学異性体であるS-ワルファリンとR-ワルファリンの等量混合物です。S-ワルファリンはR-ワルファリンに比べ、5倍の抗凝固作用を有しています。

そのため、薬効の本体は殆どS-ワルファリンと考えられています。S-ワルファリンはほぼ薬物代謝酵素CYP2C9で代謝されます。

一方R-ワルファリンはCYP3A4、CYP1A2など複数の酵素で代謝されます。

そのため、主な薬効を担うS-ワルファリンの代謝酵素、CYP2C9に大きな影響を及ぼす薬は、相互作用を考える際、重要になります。

3 ミコナゾールについて

3-1 ミコナゾールゲルは強いCYP2C9阻害作用がある

ミコナゾールはアゾール系の抗真菌薬で、食道カンジタの治療などに用いられます。アゾール系抗真菌薬の中でも、ミコナゾールは特にCYP2C9の相互作用が強い薬剤です。

ミコナゾールゲルは口腔~食道内での効果を期待する薬剤であり、単回投与時の血漿中濃度は定量限界(100ng/mL)未満とインタビューファームに記載されています。

しかし、定量限界が充分に低いと言えず、また反復投与時の肝臓中濃度がさらに高くなっている可能性があります。

ミコナゾールはCYP2C9で代謝される薬剤と併用した場合、5倍以上の変動を与える事が報告されています。これは併用禁忌レベルに該当します。

4 ワーファリンとミコナゾールは添付文書で併用禁忌とされている

併用による出血や著しいINRの延長が多数報告されています。前述のCYP2C9を介する相互作用と考えられます。

非常に重篤な事例が多く、ミコナゾール投与後に相互作用を生じた事例や、相互作用発現後にミコナゾールを中止しても数ヶ月に渡って相互作用の影響が遷延している報告が複数あります。

5 まとめ

ワーファリンとフロリードゲルは併用禁忌指定されています。CYP2C9を介する相互作用でワーファリンの効果が増強され、多数の症例報告がなされています。

併用は原則避けるべきであり、やむを得ず併用せざるを得ない場合に限って、頻回にINRを測定するなど、非常に慎重に行われるべきです。

代替として、ファンギゾンシロップが考えられます。薬効成分のアムホテリシンBは相互作用が少なく、また経口投与した場合、消化管からほとんど吸収されないので、安全に使用出来ると考えられます。

参考書籍

医療現場のための薬物相互作用リテラシー

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ニューキノロンについて書いた記事をまとめました。

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バイオアベイラビリティが良好で組織移行性もよく、抗菌スペクトラムも広いニューキノロン。

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ニューキノロンの耐性に関するMSW仮説について

PRSPによる市中肺炎では、ニューキノロンの筆頭はガレノキサシンだか、MSW仮説から有効性の説明を試みる。

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