昨シーズンに消費した抗インフルエンザ薬は厚労省によれば、のべ1,397万人分。どれくらいの薬代になるのでしょう?

昨シーズンに消費した抗インフルエンザ薬は厚労省によれば、のべ1,397万人分。標準用量で全員ゾフルーザなら薬代だけで669億円、一方で全員オセルタミビルなら190億円。

全員タミフルのジェネリックなら、薬代は190億円で足りますが、全員ゾフルーザなら同じ予算で397万人分の薬代にしかなりません。私たちひとりひとりの賢い選択が必要です。

1,000万人分の薬代が消尽してしまう訳ですから、よくよく考えてゾフルーザを使いたいものです。

ZOZO前澤社長の100万円で何人のインフルエンザ患者が治療出来ますか?限られた医療資源をどう分配すれば良いのでしょう?

こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。今日は母の誕生日で、家族で実家を訪れてお祝いしてきました。孝行出来るよう、元気で長生きして欲しいです。

さて、今日は医療経済と言う考え方がどうして必要になるのか、考えてみたいと思います。

限られた医療資源をどう分配したらよいか、がキーワードです。

ベンサムと言う思想家が提唱した「功利主義」と言う考え方があります。「最大多数の最大幸福」と言う言葉に集約されるように、全員の幸福が最大になるように行動するのが正義にかなっていると言う考え方です。どういうことなのか、実例を挙げてみましょう。

インフルエンザの薬のタミフルはご存知だと思います。インフルエンザの有熱期間を平均1日短縮し、高リスクの患者において重症化を防ぐ事が出来る薬です。妊婦・授乳婦にも使用実績があり、安全性が高いと考えられています。また、タミフルは今シーズンから安価で経済的なジェネリックであるオセルタミビルが発売になりました。効果や安全性は同等と考えられます。

一方で、連日テレビでも話題になっている新薬、ゾフルーザが先シーズンから発売され、出荷調整がかかるほど全国的に処方が増えています。インフルエンザの有病期間の短縮はタミフルと同等、1回の服用で治療が終了するなどメリットはあります。しかし使用経験が少なく、合併症の予防の実績や、妊婦・授乳婦などにも安全に使用出来るかは未知数の薬です。

ここで薬代がどれくらい異なるのか、比べてみましょう。インフルエンザ1回の治療にかかる薬の値段を計算しました。

ゾフルーザ20mg 2錠     2,394.50円x2=4788円(体重80kg以上ならx4=9576円)
タミフル    10カプセル    272.00円x10=2720円
オセルタミビル 10カプセル    136.00円x10=1360円

100万円あったら、何人の治療が出来るでしょうか。

ゾフルーザ   208人(全員体重80kg以上なら104人)
タミフル    367人
オセルタミビル 735人

想像してみましょう。人口735人の裕福でない町があったとします。インフルエンザの薬を買えない位の町です。ところが、町にインフルエンザが蔓延しました。その時、町民の一人にZOZOの前澤社長の100万円が当たりました。100万円は町に全額寄付され、オセルタミビルで全員が治療を受ける事が出来ました。

もし町民が、ゾフルーザがよい、ゾフルーザを欲しいと言えば、先着208人しか治療が出来なかったでしょう。賢明な選択により、町民全員が薬の恩恵を被ることが出来たのです。

いかがでしたでしょうか。地域を見渡す視点が、皆で幸せになろうと言う視点が大事なのではないかなあと私は思います。

ビタミンD過剰による高カルシウム血症について

血清カルシウム濃度が12mg/dLを超えると食欲低下、嘔気に始まり、口渇・多飲・多尿や便秘を来たします。進行すると精神症状・意識障害を呈する場合があります。これが高カルシウム血症です。

ビタミンD過剰による高カルシウム血症は、外来での高カルシウム血症の原因の0.5%を占めます1)

サプリメントの天然型ビタミンDは非活性型であり、高カルシウム血症の原因になることはまずありません。

サプリメントに含まれるビタミンDは5-25μg程度ですが、1250μg/日までの摂取では明確な有害事象の報告はありません2)。

一方、薬剤の活性型ビタミンD3は非活性型ビタミンDの1000倍の力価があり、高カルシウム血症の原因として重要です。

活性型ビタミンDは半減期が数日程度であり、過量投与の場合、薬剤の中止後数日で改善します。

参考
ジェネラリストのための内科診断リフアレンス 医学書院
1)Lancet.1980 Jun 21;1(8182):1317-20
2)AmJ Clin Nutr.2007 Jan;85(1):6-18

UTI Calculator :小児の尿路感染症の可能性を計算する計算機を紹介します。

UTI Calculatorを紹介します。小児の尿路感染症の可能性を計算する計算機です。次のURLから使用出来ます。

https://uticalc.pitt.edu/

関連する論文も掲載しておきます1)。

1)Development and Validation of a Calculator for Estimating the Probability of Urinary Tract Infection in Young Febrile Children

https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2677897

以下、アブストラクトの機械翻訳です。

「要約
重要性発熱性前庭児における尿路感染(UTI)の確率を正確に推定することは、試験と治療を適切に目標とするために必要です。

目的:臨床的変数に基づいてUTIの確率を最初に推定し、その結果を実験室の結果に基づいて更新することができる計算機(UTICalc)を開発し、テストすること。

設計、設定、参加者:ペンシルベニア州ピッツバーグのピッツバーグ小児病院の救急部に運ばれた2〜23ヶ月の発熱性小児の電子カルテのレビュー。 2007年1月1日〜2013年4月30日の間に救急部に運ばれた1686人の患者を含む独立した訓練データベースと、384人の患者の検証データベースが作成された。 UTIの、スクを予測するための5つの多変数ロジスティック回帰モデルを訓練し、テストした。臨床モデルは臨床的変数のみを含んだ。残りのモデルは実験結果を組み込んだ。データ分析は、2013年6月18日から2018年1月12日まで実施されました。 曝露2カ月以上2年未満の小児では、38℃以上の温度が記録されています。

主な成果と措置:培養で確認されたUTIを主要な成果とすることで、各モデルの高いUTIリスクと低いUTIリスクのカットオフが特定された。得られたモデルは、医療記録を評価するために使用された計算ツールUTICalcに組み込まれた。

結果:この研究には合計2070人の子供が含まれていました。トレーニングデータベースは1,686人の子供で構成され、うち1216人(72.1%)が女性で1167人(69.2%)が白人であった。検証データベースは384人の子供で構成され、うち291人(75.8%)が女性で200人(52.1%)が白人であった。米国小児科学会のアルゴリズムと比較して、UTICalcの臨床モデルは、試験を8.1%(95%CI、4.2%-12.0%)減少させ、3例から無かったUTIの数を減少させた。白血球エステラーゼ試験結果が1+以上のすべての小児を経験的に治療することと比較して、UTICalcのディップスティックモデルは治療遅延の数を10.6%減少させた(95%CI、0.9%-20.4%)。

結論と妥当性:UTICalcは、個々の子供に存在する危険因子を評価することによって、UTIの確率を推定する。結果として、検査と治療を調整することができ、それによってUTIの子供の転帰を改善することができます。」

適度な塩分摂取制限は、血圧をー5mmHg程度低下させる効果がある。

適度にナトリウムを制限すると、高血圧患者の収縮期血圧を4.9mmHg、拡張期血圧を2.6mmHg減少させることが、無作為化臨床試験のpooled analysisで明らかにされています1)。

この知見は、観察的疫学研究の結果と非常に一致しており、血圧管理の予防戦略にも意味がある、と論文で結ばれています。

以下、論文のアブストラクトの機械翻訳です。

「収縮期血圧および拡張期血圧に及ぼす影響を試験し、その大きさの正確な推定値を提供するために、我々はヒト被験者におけるナトリウムの摂取量を減らすことを目的としたランダム化臨床試験の概要を実施した。

私たちは、混乱した設計、人口の通常の範囲を超えた摂取量を比較したもの、および公表されていない報告をしたものをプールした分析試験から除外しました。

2人の査読者が情報を二重に抽出し、相違点を調整しました。 1,536人の被験者の集計からの結果データを有する23件の試験が含まれていた。データは、高血圧と正常血圧の被験者と、すべての試験を合わせて別々にプールした。

サンプルサイズの重み付けを用いた場合、高血圧患者では4.9±1.3 / 2.6 +/- 0.8mmHg(収縮期および拡張期、95%信頼限界) – 正常血圧の被験者では1.0 / 1.0 +/- 0.7mmHg。合併した血圧低下は、2.9±0.8 / 1.6 +/- 0.5mmHgであった。

これらの変化は、個々の試験で尿中ナトリウム排出量の平均減少が16〜171mmol / 24hrに及ぶことと関連していた。正常血圧および高血圧の被験者の両方において、試験間の用量反応関係が見出された。

これらの結果は、ナトリウムの減少が、高血圧および正常血圧の両方の個人において、少なくとも数ヶ月間平均血圧を低下させることを示している。この知見は、観察的疫学研究の結果と非常に一致しており、血圧管理の予防戦略にも意味がある。」

1)An overview of randomized trials of sodium reduction and blood pressure. PMID: 1987008

塩分を摂りすぎると、血圧が高くなると言うのは本当でしょうか?

こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。今日は家族でイオンに行きました。映画は見なかったのですが、モーリーで遊んで、買い物をして帰りました。娘に新しいアウターが買えて良かったです。

さて、今日は栄養疫学の話です。減塩が高血圧の予防に良いとよく耳にします。世界保健機構(WHO)からも、一日摂取量を6gとする勧告があります。一体、何かの裏付けがあるのでしょうか?

今回紹介する疫学研究では、生涯の累積塩分摂取量が血圧と相関を示した、と報告しています。

研究では、32ヵ国52の地域に住む20歳から59歳の合計1万人を対象にナトリウムの尿中排泄量と血圧が測定されました。食塩摂取量と血圧上昇量には密接な関係があり、1日辺り1gの食塩摂取で1歳年を取ると、0.058mmHgだけ血圧が上がると言う結果でした1)。

この仮説に従って試算してみます。日本人の平均塩分摂取量は1日辺り11gなので、20歳でのsBP120とすれば、60歳ではsBP145程度まで上昇する計算になります。もしWHOの推奨する6gに留めれば、60歳でのsBPは134程度に留まると試算されます。

あくまでも摂取量と相関が見られただけで、減塩すると血圧が下がるかは、介入試験の結果を待たねば行けませんが、試す価値はありそうです。

いかがでしたか。皆さんの健康を守るための参考になさって下さい。

以下、アブストラクトの機械翻訳です。「24時間の尿中電解質排泄量と血圧との関係を、観察者の中央訓練、中央検査室および広範な品質管理を伴う高度に標準化されたプロトコールに基づいて、世界中の52のセンターからサンプリングした20〜59歳の男性および女性10,079人で調べた。

電解質排泄と血圧との関係を各センター内の個々の被験者で調べ、これらの回帰分析の結果を全52のセンターについて集めた。集団中央値電解質値と集団血圧値との関係も、52のセンターにわたって分析された。

ナトリウム排泄量は、0.2mmol / 24h(Yanomamo Indians、Brazil)から242mmol / 24h(中国北部)の範囲であった。個々の被験者(センター内)では血圧に有意に関連していた。

4つのセンターでは、ナトリウム排泄量が非常に低く、低血圧で、年齢とともに血圧の上昇傾きがほとんどまたはまったくないことがわかった。他の48のセンター間で、ナトリウムは、年齢とともに血圧の傾きに有意に関連したが、血圧の中央値または高血圧の罹患率には関連していなかった。

カリウム排泄は、交絡変数の調整後、個々の被験者の血圧と負の相関があった。センター間で一貫した関連性はなかった。

ナトリウム対カリウム比と血圧との関係は、ナトリウムと同様のパターンを示した。肥満指数およびアルコール摂取量は、個々の被験者において血圧と大きく独立した強い関係を有していた。」

参考文献
栄養データはこう読む!佐々木敏 女子栄養大学出版部
1)Intersalt: an international study of electrolyte excretion and blood pressure. Results for 24 hour urinary sodium and potassium excretion. Intersalt Cooperative Research Group. PMID: 3416162

授乳しているのですが、胃腸炎で吐き気があり、辛いです。吐き気止めのメトクロプラミドを飲んでも、授乳は出来ますか?

こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。今日まで仕事でしたが、明日から休みです。連休皆さんはどう過ごされますか?家はイオンに映画「シュガーラッシュ」を見に行く予定です。

さて、胃腸炎の流行る季節です。下痢嘔吐は辛いものです。もし授乳婦さんが急性消化管感染症などになった場合、吐き気止めの薬、メトクロプラミドを服用することは可能でしょうか。

まずは添付文書を見てみます。メトクロプラミドは、乳汁中に分泌するとの報告があります。また、薬物動態の基本情報を確認しましょう。

Tmax=1.5±0.20時間、T1/2=10.47±4.69時間です。最高血中濃度に到達する時間は短く、半減期は長いので、服用と授乳のタイミングをずらすのは、あまり有効に思えません。ずらす必要があるのか、ないのか、もう少し考えてみましょう。

米国のサイト、LactMedは授乳と薬に関するデータベースです。検索してみると、情報が見つかりました。「Most infants would receive less than 10% of the maternal weight-adjusted dosage」(母親の体重補正した用量の1/10以下を摂取する場合がほとんど)と記載されています1)。一般的に相対的乳児服用量(RID)<10%で比較的安全に服用できるとされます。どうやら、ずらさなくても大丈夫そうです。

さらに、大分県母乳と薬剤研究会編の『母乳と薬ハンドブック』を参照しました。総合判定は、〇(限られた研究ではリスクは最小、リスクの根拠が見当たらない)「通常量かそれ以下で短期使用であれば授乳との両立可能」としています。

引用されている成書の評価を見ると、G.G.Briggsでは45mg/day以下であれば授乳可能、『授乳婦と薬』ではB(母乳移行する)、Hale.TWではL2(比較的安全)、米国小児科学会(AAP)では4(影響は不明であるが懸念はあり)とされています2)。

以上のことから、乳児が大量に摂取すると錐体外路症状を起こす可能性はありますが、メトクロプラミド5mgを頓用程度であれば、服用は可能と考えます。

いかがでしたか。ご家族の健康を守るための参考になさって下さい。

ブログを書いた後に見つけました。「授乳婦への薬剤(プリンペラン)処方とその調べ方, 〜添付文書の見方, 患者説明」レベルの高い記事です。医療関係の方はご参考になさって下さい。

https://antaa-med.com/antaaqa_book_junyufu_purinperan/

1)LACTMED

https://www.toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/lactmed.htm

2)大分県母乳と薬剤研究会編 『母乳と薬ハンドブック』

リリカを初めて飲みます。小柄だから少ない量にしておくねと言われていますが、体格と関係あるんですか?

こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。寒くなりましたね。こちらは外は雪がちらついています。

さて、今日は50代の小柄な女性Aさんの話です。足腰の痛みが強く、リリカ25mgが処方になりました。小柄なので、少ない量にしておきますと説明あったそうです。

リリカは痛みの伝達を抑える薬で、25mgが一番小さい規格、一番大きいのは150mgです。病院でAさんが聞かれたように、体格や腎臓の機能、症状で調節されます。

体格が関係あるの、とおっしゃるAさんには、こんな風に説明しました。

体格の影響は、例えばスティックタイプのインスタントコーヒーを考えてください。大きいマグカップで丁度よい濃さでも、小さいデミタスでは濃くなりすぎる事がないでしょうか。

また、リリカは腎臓からおしっこになって体から出ていきます。ペットボトルに水を汲んで、穴をあけると、穴が大きければ水は早く無くなり、小さければ時間がかかると思います。

これで、一回の薬の量や、飲む間隔の調整が必要なことが分かって頂けると思います。

Aさんは成る程ねぇ、と納得されてお帰りになりました。

いかがでしたでしょうか?皆さんの健康を守るご参考になれば、幸いです。

血液検査の結果をもらって、LDHと言う項目が250だったのですが、何かの病気でしょうか?

こんばんは。研修認定薬剤師の奥村です。

今日はカウンターで血液検査の結果を見せて下さったAさんの話です。70代の女性で、内科を定期的に受診、以前からよく相談を聞く事がありました。

検査で、LDH250と、基準値より若干高いけれど、主治医から特に説明もなく、どういう意味合いなの?とAさん。

LDHは逸脱酵素と言って、細胞が壊れた時に増えます。ガンや心筋梗塞などでも上昇するのですが、今回はそう言った緊急性の高いものではない雰囲気です。

検査票をよく見ると、「弱溶血」とコメントがありました。これです。採血の際に赤血球が壊れて、その為にLDHが高い値になったのでしょう。健康状態には影響なさそうです。

その旨を話すと、安心されました。薬剤師としての役割が果たせて良かったです。