処方せん記載のクレアチニンクリアランスは60.6mL/minで一見減量が必要になように見えますが、本当にそうでしょうか。

こんばんは🌙😃❗アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。今夜は腎機能の話をします✨

74歳女性、体重43kgの方に、次のような処方箋が来ました。

ダビガトランカプセル75mg 4カプセル 分2 朝夕食後

処方せんに検査値が記載されていました。

血清クレアチニン0.65、クレアチニンクリアランス60.6mL/min。

処方せん記載のクレアチニンクリアランスは60.6mL/minで一見減量が必要ないように見えますが、本当にそうでしょうか。

①血清クレアチニンの測定方法が添付文書はJaffe法であるが、国内では酵素法による測定である。

②女性の係数である0.85を乗じてないように思われる。

わたしは、この2点に懸念が残りました。

酵素法によるクレアチニンクリアランス(CCrEnz)=60.6mL/min(非女性)は、Jaffe法の女性では幾つになるか、計算してみましょう。

Jaffe法は、試薬のアルカリ性ピクリン酸のJaffe反応を応用した検査法です。血清中のクレアチニン以外にピルビン酸等とも反応するため、精度の高い酵素法に比べて0.2程度数値が高くなります。

そこで、血清クレアチニン(酵素法)に0.2を加えてJaffe法に補正する事が慣例的に行われています。

Cockcroft-Gault式を用いてJaffe法によるクレアチニンクリアランス(CCrJaffe)を求めてみます。女性の係数0.85を乗じます。

Cockcroft-Gault式は、次になります。
CCr=((140-年齢)x体重)/72x血清クレアチニン

計算してみます。
CCrJaffe=0.85x((140-74)x43)/72x(0.65+0.2)=39mL/min

このように、クレアチニンクリアランスが大きく低下する結果になりました。

Jaffe法によるクレアチニンクリアランスの正常値は100mL/minですが、酵素法では120mL/min程度で、補正しないと腎機能を過大評価することになるのです。

添付文書では減量基準が以下のように記載されています。

ダビガトランエテキシラートとして1回150mgを1日2回経口投与する。なお、必要に応じて、ダビガトランエテキシラートとして1回110mgを1日2回投与へ減量する。

<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.次の患者では、ダビガトランの血中濃度が上昇する恐れがあるため、本剤1回110mg1日2回投与を考慮し、慎重に投与する:1)中等度腎障害(クレアチニンクリアランス30-50mL/min)のある患者。

処方元の医療機関には、用量について疑義照会した方がよいケースだと思いました。

検査値が書いてあっても、吟味しなければミスリードしてしまいかねない、と言う好例と思いました。

参考:副作用を防ぐために知っておきたい腎機能の正しい把握法
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03212_02

エキスパートが教える薬物動態 じほう


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日常目にする検査票の血清クレアチニン、クレアチニンクリアランス、eGFRを、添付文書のクレアチニンクリアランスと結びつける方法。

こんばんは🌙😃❗アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です☺

思い付いてブログをもう1記事書いてます✨

腎機能に関する検査値で、日常目にするのは血清クレアチニン、クレアチニンクリアランス、eGFRのどれかと思います。

添付文書の腎機能に応じた用法用量は、クレアチニンクリアランスで書かれていることがほとんどと思います。

そこで、この二つを結びつける方法を書こうと思います✨

①血清クレアチニンが分かっている場合。
Cockcroft-Gault式を使ってクレアチニンクリアランスを計算します。

((140-年齢)×体重)/(72×血清クレアチニン)
女性の場合は0.85をかける。

ただし、日本の血清クレアチニンの測定方法は酵素法、欧米の測定方法はJaffe法と異なります。

添付文書のクレアチニンクリアランスはJaffe法による血清クレアチニンが使用されています。

そこで、酵素法による血清クレアチニンに0.2を加えてCockcroft-Gault式で計算して下さい。

②クレアチニンクリアランスが分かっている場合。
上述のように、日本と欧米で血清クレアチニンの測定方法が異なります。

酵素法で測定した血清クレアチニンを使用してCockcroft-Gault式で計算した場合、20~30%ほどクレアチニンクリアランスが高くなります。

従って、酵素法に基づくクレアチニンクリアランスに0.789をかけて下さい。

③eGFRが分かっている場合。
標準化eGFRが与えられています。1.73で割り、体表面積をかけて、個別eGFRを求めて下さい。

①~③の方法で求めたものは、添付文書に書かれているJaffe法に基づくクレアチニンクリアランスに近似出来ます。

いかがでしたか?
明日からの業務で活用出来そうですよね☺

ゆきでした。

参考文献
1)腎臓病に関するQ&A
http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/Labs/clpharm/database/docs/qa02.pdf#search=%27Jaffe%E6%B3%95+%E6%8E%A1%E7%94%A8+%E5%9B%BD%27



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81歳、体重52㎏の女性に出ているエリキュース錠5mgは、タイミングを見て減量提案しようと思います。

こんにちは✨😃❗アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。

わたしは薬局の仕事が落ち着いている時に、よく過去の電子薬歴を見ています。

今朝も、いつものように薬歴を見ていて、81歳女性のAさん(仮)にエリキュース錠5mgが1年以上処方されているのに気づきました。

体重52kg、身長151cmで、体表面積1.46m^2です。腎機能は不明です。用量に関して処方医に疑義照会した記録はありません。

エリキュース錠について、添付文書には以下の情報があります。今後、折をみて減量の検討が必要になると思われます。

「1.非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制:

次の基準に該当する患者は、出血のリスクが高く、本剤の血中濃度が上昇する恐れがあるため、1回2.5mg1日2回経口投与する:

80歳以上か≦60kgかSCr≧1.5mg/dLに2つ以上該当のNVAF(SCr:血清クレアチニン、NVAF:非弁膜症性心房細動)1)。」

ちなみに、この3つの条件をCockcroft-Gault式に当てはめると、クレアチニンクリアランスは女性の場合28mL/minと計算されます。

学会で公表されている薬剤投与量一覧を見てみましょう2)。「クレアチニンクリアランス30mL/min未満では腎機能正常者に比してAUCが44%増加するため、1回2.5mg1日2回投与が推奨」とされています。

ここで一点、注意が必要なことがあります。

血清クレアチニンの測定法は日本では酵素法ですが、欧米ではJaffe法です。添付文書に記載されている血清クレアチニンの測定はJaffe法が殆どです。

詳しい説明は省きますが、この場合、クレアチニンクリアランスは個別eGFRで代用できます3)。個別eGFRは標準化eGFR x体表面積÷1.73で求められ、正常値は100(mL/min)です。

用量設定を決めたのは国際共同第III相ARISTOTLE 試験で、全世界39カ国の1,034施設で実施されています。このため添付文書の血清クレアチニンはJaffe法で書かれていると判断しました。

減量した場合のエリキュースの有効性と安全性については、次のように記されています。

「NVAF 患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(ARISTOTLE 試験)及び国内第Ⅱ相試験(ARISTOTLE-J 試験)の有効性及び安全性の結果に基づき、本剤の用法及び用量を設定した。

NVAF 患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(ARISTOTLE 試験)では、本質的に出血リスクが高いと考えられる集団における本剤の血中濃度上昇リスクを最小限にするため、「80 歳以上」、「体重 60kg 以下」、「血清クレアチニン 1.5mg/dL 以上」のうち 2 つ以上を満たす患者に対しては、無作為化割付時に本剤の用量を2.5mg 1 日 2 回投与(BID)に減量することとし、試験期間を通して同用量を継続した。

その結果、本剤 2.5mgBID の有効性は、5mgBID と比較して大きな違いはみられなかった。

また、2.5mgBID の患者数は少ないものの、対照薬と比較して優れた有効性及び安全性が示されたことから、前述の減量規定は妥当であると考えられた4)。」

Aさんはあざの出来やすさ等の訴えがないので、今度血液検査をしたタイミングで腎機能を評価し、疑義照会しようと思いました。

参考文献
1)エリキュース錠2.5mg・5mg 添付文書
2)腎機能低下時に最も注意の必要な薬投与量一覧2018改定31版 日本腎臓病薬物療法学会
https://www.jsnp.org/docs/JSNP-yakuzai_dosing_31.pdf

3)腎臓病に関するQ&A
http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/Labs/clpharm/database/docs/qa02.pdf#search=%27Jaffe%E6%B3%95+%E6%8E%A1%E7%94%A8+%E5%9B%BD%27

4)エリキュース錠2.5mg・5mg インタビューフォーム



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電子薬歴でアラートが出て焦りましたが、検索の結果、エクセグランとトラマゾリン点鼻液はおそらく安全に併用できると考えました。

こんばんは🌙😃❗アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。
先日仕事をしていて、焦った話をします😅

その患者さんは、急性副鼻腔炎の治療で耳鼻咽喉科からトラマゾリン点鼻液0.018が出ていました。

鑑査を終えて、電子薬歴を開くと、電子薬歴のアラートが、次のように出ました。

トラマゾリン点鼻液0.118% エクセグラン錠100mg
1:禁止 【発現事象】急激な血圧上昇 【理由】本剤の血圧上昇作用を増強

???

トラマゾリンとMAO阻害薬は、添付文書にこのような禁忌記載のあることは知っていました。

けれど、エクセグランの添付文書にMAO阻害作用を有するとの記載はありません。

どうしよう。疑義照会しないといけないレベルの相互作用なのかな。

ぐるぐる考えながら、更なる情報を求めて検索しました。

「新しい抗パーキンソン病薬ゾニサミドの発見」と言うページがヒットしました。

「中等度のモノアミン酸化酵素阻害作用」「ゾニサミドはMAO 活性に対するIC50 はラットでは肝臓ミクロゾーム分画と線条体で著明な差があり、脳内では50% 程度のMAO 阻害作用を示すが、末梢ではほとんど作用しない」

これだ。ゾニサミドにもMAO阻害作用があるようです。エクセグランの添付文書には、パーキンソン病の適応はなかったけど…。

ともかく、血圧上昇は末梢でのMAO阻害によるノルエピネフィリンの増加と、トラマゾリンの直接的α作用による末梢血管収縮の相加作用と考えられるので、ラットのデータですが末梢でのMAO阻害作用のほとんどないエクセグランと、トラマゾリンとに臨床上有意な相互作用はないだろうと考えました。

投薬を終えて、もう少し検索していると、ゾニサミドにはエクセグラン錠100mgの他に、トレリーフ錠25mg・50mgと言うパーキンソン病が適応の商品が存在することが分かりました。

また、アルフレッサ学術に問い合わせたところ、MAO阻害薬の禁忌記載は類薬に揃えたものであること、エクセグランとの併用による急激な血圧上昇の症例報告はない、とのことが分かりました。

電子薬歴のアラート…もう少し賢くなってくれたらなあと思い、いやいや、それではわたしたちの存在意義がなくなってしまうじゃない、と思い直しました。



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休日に気軽にアロマトリートメントを行う方法を紹介します🌿自室がセラピールームに早変わり✨

こんにちは✨😃❗アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。

🌿みなさんはアロマセラピーのトリートメントに興味ありますか?きっと、あると思います☺

🌿でも、働いていて小さい子どもがいると、お店でトリートメントを受けるのはなかなか敷居が高いですよね😒

🌿そこで、休日に自分で気軽に出来るアロマトリートメントのやり方を紹介したいと思います✨

🌿AEAJの会報に、トリートメントの効果を確かめた記事が載っていました✨ラベンダー精油1%が含まれたホホバオイルで10分間、両腕の肘から先にトリートメントを行うと、副交感神経の活動が活発になり、ほっとした感じなど、調べた5項目のすべてに改善が見られたそうです✨

🌿精油は1%に希釈して使います。ホホバオイルなどのキャリアオイル5ccに対して精油1滴を滴下して下さい。これで1%になります。トリートメントの前に、48時間のパッチテストを行って下さい☺

🌿精油は変質しやすく、熱や光に弱いため、ブレンドオイルやローションはガラス製の遮光瓶で保管しましょう☺

🌿マッサージは、体の末端から中心に、心地よい強さと時間で、の2点を守れば、細かいことはそれほどこだわらなくて大丈夫です✨

🌿どうでしょう?簡単ですね☺ぜひ、試してみて下さいね😉お風呂あがりにトリートメントすると、とても気持ちよいですよ😃

ゆきでした。

🌿ひとつだけ忘れていました。ブログでは安全な使用方法を紹介しましたが、ご利用は自己責任でお願いします🙏

🌿精油の通販を紹介します✨リーズナブルな値段で、天然由来、無農薬の精油が購入出来ます。わたしも使っています☺

 

ホホバオイル、わたしは無印良品のを使っているのですが、通販で手軽に購入出来そうなものを紹介します✨

 


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シンバスタチン服用中にイトラコナゾールのパルス療法を受けて横紋筋融解症を来たした例。

こんにちは☺アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。今日は併用禁忌についての話を書きます。ちょっと真面目な話です😩

わたしが以前、過去の電子薬歴を見ていて見つけた症例です。

Aさん(仮)当時64歳は、内科で高コレステロール血症の治療を受けていましたが、ある時皮膚科から爪白癬の治療を受けることになりました。

これがその際の処方です。

イトラコナゾール400mg/日(爪白鮮のパルス療法。)
シンバスタチン10mg/日

当時担当した薬剤師は、イトラコナゾールとシンバスタチンが併用禁忌に当たる為、疑義照会しました。けれど皮膚科医師からは処方通りとの返答で、調剤したと記録にあります。

読み進めます。

イトラコナゾール服用3日目でAさんは顔面浮腫、体重も3~4kg増えました。血圧も低下していたそうです。Aさんは医師に電話で相談、イトラコナゾールとシンバスタチンを中止するように言われました。

中止したところ、浮腫みは治まったとの事です。

いったい、Aさんに何が起こったのでしょう。

イトラコナゾールはアゾール系の抗真菌薬です。薬物代謝酵素を阻害することが知られています。

機序として、薬物代謝酵素の活性中心であるヘム鉄にイトラコナゾールが配位結合することで、酵素を可逆的に阻害します。

そのため、阻害作用の発現にマクロライドのようなタイムラグがありません。飲んだ日から阻害作用が現れます。

阻害様式からは非特異的に複数のCYP分子種を阻害すると予想されますが、実際にはCYP3A4を強く阻害します1)。

そしてシンバスタチンの代謝はCYP3A4に強く依存します。

そうです。イトラコナゾールにより、シンバスタチンの代謝が阻害され、シンバスタチンの体内濃度が上昇したのです。

その結果、横紋筋融解症を発症したのでしょう。

浮腫は横紋筋融解症による腎不全によるものと考えられます。

横紋筋融解症は、骨格筋細胞の壊死や融解により、筋細胞内成分が血液中に流出した状態を言います。

流出した大量のミオグロビンが尿細管を閉塞し、急性腎不全を併発することが多いとされます。

それだけではなく、循環血液量減少にともなうショックや、高カリウム血症により突然の心停止をきたす危険があります。

早期大量輸液、高カリウム血症対策と尿アルカリ化、強制利尿が急性腎不全の治療およびその予防としておこなわれます。

Aさんには命に関わるような危険があったのです。

Aさんに起こったことは、予見できなかったのでしょうか。

PISCSと言う理論から、今回の併用でシンバスタチンの体内濃度がどの程度上昇したのか予測することが出来ました。

イトラコナゾールのCYP3A4代謝阻害率IR〉0.9

シンバスタチンのCYP3A4代謝寄与率CR=1.0

AUC上昇率=1/(1-IR・CR)・・・①

①式より、併用によってシンバスタチンのAUCは10倍以上になったと予測されます2)。

当時はPISCS理論はまだ発表されていなかったので、後知恵と言われればそうですが、添付文書で併用禁忌であること、症例報告を見れば危険な併用であることは分かったはずです。

Rhabdomyolysis-induced acute renal failure due to itraconazole and simvastatin association.  2011;26(2):79-80.

わたしたちは、どうしたら良かったでしょう?

少し長くなりますが、以下の引用をご一読下さい。

・・・薬剤師に疑義照会義務を負わせている法の趣旨は、「医師等の処方の過誤を正し、医薬品使用の適正を確保し、過誤による生命、健康上の被害の発生を未然に防止する」ためにあります。薬学的に疑義が残り、医薬品の適正使用にならないような場合に、医師が対応しないからといってそのまま調剤してしまったとすれば、この目的が達成されないことは明らかです。

このような趣旨で設けられた義務である以上、形式的に医師に確認をしたとしても、薬剤師の薬学的疑義が解消され、適正に使用されることが確認できなければ、薬剤師は義務を果たしたとはいえないと解釈されます。

今回の質問のような場合、薬剤師には注意義務違反(過失)が認められ、損害賠償責任を負うことになります。また,刑事責任や行政責任に問われる可能性も否定はできません。

・・・医師が疑義照会に応じないことはありえます。「医師と薬剤師の関係から考えると仕方ないのではないか」、「薬剤師が責任を負うのはおかしいのではないか」という意見もあるかと思います。薬剤師が医師を介して患者に責任を負っているのであれば、そのような考え方もできるでしょう。

しかし、薬剤師はあくまで独立の専門職であり、患者に対して直接責任を負っています。薬剤師は医師のために調剤をしているのではなく、患者のために調剤をしているのであり、患者のために最善を尽くさなければ義務を果たしたとはいえません。医師が疑義照会に応じず、医師との関係から疑義照会をしにくいとしても、患者にその不利益を負わせてよいことにはなりません。

「患者に健康被害が起こるかもしれないが、医師が疑義照会に応じないから仕方がない」と考えて調剤することは,患者に対して「健康被害(最悪の場合は死に至る)が起きても仕方がない」と判断しているといわれかねません。このような場合、患者に対して最善を尽くしたとは到底いえませんので、薬剤師は責任を負うことになります。当然のことですが,薬剤師が患者に対する義務を果たしたかどうかの判断のポイントは、あくまで患者のために最善を尽くしたかどうかなのです3)。

重い言葉です。

今回書いたケースも、形式的な疑義照会と言われて仕方ないですし、司法のステージに進んでもおかしくなかった事例です。

司法的判断がすべてとは言いませんが、引用した赤羽根先生は弁護士であるとともに薬剤師でもあります。わたしには、薬剤師と言う職業に期待を込めた言葉と思えました。

あなたならどうしますか?

参考文献

1)Vol.50 No.7 2014 ファルマシア 655 https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/50/7/50_654/_pdf

2)薬物動態の変化を伴う薬物相互作用2015 鈴木洋史,大野能之

3)薬局・薬剤師のためのトラブル相談Q&A47 赤波根秀宣 じほう

https://www.jiho.co.jp/Portals/0/ec/product/ebooks/book/45871/45871.pdf

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潜在性結核感染症の治療はイソニアジド単剤で行われ、リスクのある方には神経障害を回避する為にピリドキサールが予防投与されます。

こんばんは🌙😃❗アロマ薬剤師のゆきです。今夜も処方解析をしましょう。

前期高齢者で、パートナーが結核の標準治療(イソニアジド・リファンピシン・ピラジナミド・エタンブトール)を受けている方に、次のような処方がありました1)。

イソニアジド錠100mg 3錠 1日1回 朝食後
ピリドキサールリン酸エステル水和物錠10mg 6錠 1日2回 朝夕食後

イソニアジド単剤は、潜在性結核感染症(LTBI)の治療目的と考えられます。 結核菌に感染しているけれど、発症していない状態です1)。

この治療の利益とリスクについて述べます。

肺結核と同じようにイソニアジド5mg/kg/day、最大300mg/dayを服用します。治療期間は6ヶ月ないし9ヶ月です。服薬による結核発症の抑制効果は、未治療と比較した場合リスク比で20-50%とされます。

結核菌に感染した場合、生涯に結核を発症するベースラインリスクは10%です。 結核を生涯に発症するのは未治療で100人中10人程度ですが、イソニアジドを飲むことによって2-5人程度まで軽減すると考えられます。

イソニアジドによる副作用は、神経障害が有名です。 機序はイソニアジドがピリドキシンと結合して、尿中にピリドキシンが過排泄される為と考えられています。

疫学的には、神経障害の発症リスクは0.2-2%程度、発現までに要する期間は16週程度。高齢者、糖尿病、HIVなどのリスクファクターが無ければ、まず起こらないと考えられるので、リスクのある方のみ補充を行います。

各国のガイドラインでは、イソニアジドを内服する場合、10-50mg/日のピリドキシン予防投与が推奨されています。

この辺りは、倉原優先生のブログで詳しく紹介されていますので、ぜひご覧になって下さい☺

参考
1)JAID/JSC感染症治療ガイド2014

2)呼吸器内科医(倉原優先生のブログです。)

http://pulmonary.exblog.jp/20720592/

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処方解析。透析患者に対する、肺MAC症の治療。

こんばんは😃アロマ薬剤師のゆきです。今晩も処方解析をしましょう✨

総合病院の呼吸器科から次のような処方せんが来ました。

リファンピシンカプセル150mg 3カプセル
1日1回朝食後
エサンブトール錠250mg 2錠
1日1回昼食後(月・水・金のHD後)
クラリスロマイシン錠200mg 1錠
1日1回朝食後

珍しい処方です。

リファンピシンやエサンブトールが含まれますが、イソニアジドやピラジナミドがなく、結核治療とは異なる処方です。
用量もずいぶん少なく、特殊な感じがします。

結論から言うと、透析患者に対する、肺MAC症の治療と考えられます。

肺MAC症は非結核性抗酸菌(NTM)症の一種です。
非結核性抗酸菌症の原因菌の80%以上をM.avium complex(MAC)が占めます1)。

肺MAC症化学療法について述べます。
基本はリファンピシン(REF)、エサンブトール(EB)、クラリスロマシン(CAM)の3剤併用を行います。
頭文字を取って、RECAM(アール・イー・カム)と呼ばれます。
単剤では効果が弱く、特にクラリスロマイシン単剤では数ヶ月以内に耐性菌が発生する為、注意が必要です。

日本結核病学会非結核性好酸球症対策委員会と、日本呼吸器学会感染症・結核学術部会が推奨する、国内の標準療法は次のようなものです2)。
REF 10mg/kg/day (600mgまで) 分1
EB  15mg/kg/day (750mgまで) 分1
CAM 15mg/kg/day(600-800mg) 分1または分2  (800mgの場合は分2とする)

透析の場合の参考用量は以下になると思われます3)。
REF 10mg/kg/day 1日1回 HD患者も非HD患者と同じ(透析性x)。
EB 10~15mg/kg/dayを48h毎、HD患者はHD日はHD後に投与(透析性○)。
CAM 1回200mgを1日1回(透析性x)。

参考文献
1)「寄り道」呼吸器診療―呼吸器科医が悩む疑問とそのエビデンス 倉原優 シーニュ 2013年
2)肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解―2012 年改訂
3)腎機能低下時の主な薬物投与量一覧 改定38版 2014年

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糖尿病患者の生活習慣改善による体重減少のエビデンス。心血管リスクを増やすことなく、減薬出来ました。

Look AHEAD Trial は2型糖尿病患者に強化生活習慣改善介入(ILI: Intensive Lifstyle Intervention)を加えることにより、1年後(PMID:17363746)、4年後(PMID:20876408)それぞれにおいてHbA1cのみならず、心血管疾患(CVD)リスク因子が低下したことを示しました。

観察期間の中央値9.6年で試験は中止されましたが、減量を中心としたILIは心血管疾患イベントの発生を減少させませんでした。

5145例の過体重の2型糖尿病患者(45~74歳・BMI>25・HbA1c<11・BP 160/100未満・TG<600を2群に分け、ILI群では>7%の減量およびその維持を目標、グループセッションおよび個人面談を行い、カロリー制限食(脂肪によるカロリー摂取を最大30%減少、蛋白質によるカロリー摂取を最低15%減少)と運動(目標は中等度の運動175分/週)を実施しました。

さらに必要に応じて減量薬の投与または行動療法を実施しました。対照群では食事・運動・社会支援に関するグループセッションを3回実施しました。1年後・4年後の体重は臨床的に有意に減少(1年後:8.6%vs0.7%、4年後:6.15% vs 0.88%)、それにより糖尿病コントロールおよびCVDリスク因子は改善され、薬物療法を要する患者も減少しました。

試験は2012年9月に中止され、治療経過観察期間は中央値は9.6年でした。試験終了時、依然として体重減少率に有意差がありました(6.0%vs3.5%、P<0.05)。

HbA1cは、ILI群で7.3%、対照群で7.2%でした。複合一次エンドポイントである心血管疾患新規発症は、ILI群403例(1.83/100人・年)、対照群418例(1.92/100人・年)と有意な差は認められませんでした(ハザード比0.95, 95%CI:0.83-1.09, P=0.51)。

見方を変えれば、心血管リスクを増やさず、薬が減らせたと解釈することも出来ると考えられます。

高価なDPP-4阻害剤が心血管リスクに関してプラセボと有意差なしと謳って販売されているのを見るにつけ、私たちの社会的コンセンサスでは、リスクを増やさないと言うだけでアドバンテージと見る事はあながち間違いではないかも知れません。

参考文献 内科診療ストロングエビデンス

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カルバマゼピンとグレープフルーツジュースの相互作用の強度を、理論から予測出来るか。

CYP3A4で代謝されるカルバマゼピンと、CYP3A4阻害作用を有するグレープフルーツジュース摂取についての考察です。

グレープフルーツジュース果汁に含まれるフラノクマリンと言うフラボノイドが、小腸粘膜にある薬を代謝する酵素CYP3A4と結合し、酵素としての機能を不可逆的に無くすことが、この相互作用の原因と考えられています。

阻害効果は酵素が新しく作られるまでの数日間持続します。併用により、カルバマゼピンのCmax及びAUCが1.4倍になったと言う報告があります1)。

テグレトールの至適血中濃度は4~12μg/mL(文献によっては4~10μg/mL)と幅が狭く、上限近くでコントロールしている場合は、グレープフルーツジュースの併用で至適濃度を超えることがあるかも知れません。

8μg/mL以上で、頭痛、嘔気、傾眠、活動性の低下、不安などが起こることが知られています。カルバマゼピンを服用している患者さんは、出来ればグレープフルーツジュースの飲用は避けたほうが良いかも知れません。

一般にグレープフルーツジュースは消化管における薬物代謝能を低下させるので、初回通過代謝における消化管の寄与が大きな薬物ほどグレープフルーツジュース摂取によって体内動態が大きく変動すると考えられます。

また、血漿蛋白結合率の大きな薬物は肝臓への移行が制限されることから、肝代謝の寄与が小さくなり、消化管代謝の寄与が相対的に大きくなります。

この考え方を利用すれば、薬物とグレープフルーツジュースの相互作用の大きさは、薬物の血漿蛋白結合率から推測できると考えられます。薬物を代謝する CYP3A4の小腸における含有量は、肝臓の80分の1程度です。

添付文書より、カルバマゼピンの血漿蛋白結合率は70~80%で、非結合率を20%と仮定すると、肝臓での代謝は80(酵素量比)x20(%、血漿蛋白質非結合率)=1600(任意単位)となるのに対して、吸収時の消化管内では血漿蛋白がないと仮定できますので、消化管での代謝は1(酵素量比)x100(%、血漿蛋白質非結合率)=100(任意単位)となります。

従ってこの場合、肝臓と小腸における代謝の寄与率は16:1となりますから、もしグレープフルーツジュース飲用によって、小腸におけるカルバマゼピンの代謝が完全に阻害されるとすると、体全体としてバイオアベイラビリティでの小腸と肝臓での代謝は94%に低下することになり、AUCは1.06倍程度に上昇すると考えられます2)。

このように実測値と理論値に乖離があります。論文ではTmaxは変化させなかったとの事なので、吸収速度に影響は与えなかったようです。

半減期について、アブストラクトには記載がなかったのですが、もし半減期が延長していれば、肝臓での代謝も阻害している可能性があります。25%程度阻害していれば、実測値と等しくなると考えます。

論文のコンクルージョンにも、” Grapefruit juice increases the bioavailability of carbamazepine by inhibiting CYP3 A4 enzymes in gut wall and in the liver” とありますので、その解釈で良いのかと思います。

1)Effect of grapefruit juice on carbamazepine bioavailability in patients with epilepsy.
2)月刊薬事、44:1587-1608 (2002)

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