ワイドシリンの投与量は2歳未満の中耳炎ではどれくらい?

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ワイドシリンの投与量は2歳未満の中耳炎ではどれくらい?

☑️はじめに

1歳の中耳炎の 患児に1日量4gのワイドシリン細粒20%が処方されました。結構な量です。保護者の方は目を丸くしています。

この量は適正なのでしょうか。わたしたちと見て行きましょう。

📝ワイドシリン細粒20% 4g分3
カルボシステインDS0.6g分3
5日分
カロナール細粒0.5g 発熱疼痛時5回分

👧1歳、10kg、鼻汁と発熱、鼓膜発赤あり

👵抗生物質、こんなに大量なの⁉️

👩はい、年齢と発熱、鼓膜所見から中等症以上の急性中耳炎と思われます。重症度に応じた適切な量です

👵致し方ない

出典: twitter.com

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☑️小児の中耳炎の重症度と抗生物質の用量

24か月未満の患児に発熱と鼓膜発赤があれば、鼓膜の膨隆や耳漏がなくとも中等症以上の中耳炎と診断され、抗菌薬の適応となります。

一次治療は初診時の重症度に基づいて治療が選択されます。

中等症以上では診断時からアモキシシリン(ワイドシリン®️細粒20%)を高用量で使用します。

すなわち1日80mg/kg 分3です。ただし1日1,500mgを越えないようにします。

小児科ファーストタッチ

出典:

☑️ワイドシリン高用量を選択する理由

急性中耳炎の患者の中耳貯留液から検出された菌は、肺炎球菌25%、インフルエンザ菌25%、モラクセラ・カタラーリス10%との報告があります。

アモキシシリン高用量を使用する理由ですが、重症度が高い場合は試行錯誤する猶予があまりありません。

その為、最初から耐性菌にも効果があるように、抗菌薬が選択されます。また、一次治療の第一選択はアモキシシリンです。

JAID/JSC感染症治療ガイド2019

出典:

☑️第一選択はセフェムでもマクロライドでもなくアモキシシリン

大久保祐輔先生の書籍があります。小児の抗菌薬に関する疫学の書籍です。

後述するメタ分析等から、次のような推奨をされていました。

日本国内では小児の急性中耳炎の初診患者に対して3rdセフェムやマクロライドが多用されていますが、第一選択はアモキシシリンとしています。

中耳貯留液から検出された菌は、肺炎球菌25~50%(自然軽快20%)、インフルエンザ菌15~30%(自然軽快50%)、モラクセラ・カタラーリス5~20%(自然軽快80%)との報告があります。

肺炎球菌の頻度が高いですが、ペニシリン耐性の肺炎球菌は少ない為、まずは高用量のペニシリンで治療を開始する事を勧めています。

国内のマクロライド耐性肺炎球菌は86%と言うデータもあり、初診の急性中耳炎への処方頻度は2割と高いですが、再考の余地があるとしています。

インフルエンザ菌は4割はアモキシシリンに感受性があり、さらに50%が自然軽快する為、初診から3rdセフェムを使用する必要はないだろうとしています。

モラクセラ・カタラーリスは頻度が少なく、自然軽快率が80%と高いので、最初からセフェムを使用する必要はないだろうとしています。

Antibiotics for acute otitis media: a meta-analysis with individual patient data
Maroeska M Rovers et al. Lancet. 2006.

出典: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

☑️ワイドシリンが飲めない場合、効かない場合は?

中耳炎は3日ごとに評価されます。

3日経過しても解熱しない場合、中等症・重症ではテビペネムに変更されます。

試行錯誤の余裕がないので、スペクトラムの広い抗菌薬、カルバペネムが選択されます。

テビペネムを3日服用しても解熱しない場合、また中等症以上で抗菌薬を内服出来ない場合は、入院適応となります。

小児科ファーストタッチ

出典:

☑️まとめ

生後24ヵ月未満の発熱を伴う中耳炎は、基本的に中等症以上であり、抗菌薬の適応があります。

そして、抗菌薬はアモキシシリン高用量が選択されます。保護者の方から質問があった場合、自信を持って治療に必要な用量であることを説明しましょう。

👧飲むの、大変そうですね

👩うん、あの耳鼻咽喉科の先生はガイドラインに忠実な処方されるからね

👩別の医院の先生はセフジトレンを代わりに使ってるね

👧量が少なくて飲みやすそうです

👩AMRの観点からはペニシリンがいいのは分かってるけど、悩ましいね

出典:

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最終更新日2020年12月14日

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