COPDの息切れ、LAMA/LABAの追加に使うのは?

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COPDの息切れ、LAMA/LABAの追加に使うのは?

☑️はじめに

さくら先輩、LAMA/LABAの吸入で息切れが残る場合は、どんな選択肢がありますか?

ゆきさん、いい質問ね。順に見て行きましょう。

プロローグ

👴肺気腫なんだけど息切れがしてね。体を動かした時だけじゃなくていつもだよ

📖スピオルト®️レスピマット(LAMA/LABA)

👴喘息もアレルギー性鼻炎も既往ない。好酸球とやらも多くないらしい

👩‍⚕️今回、薬がひとつ追加となっています

①メプチン®️エアー(SABA)
②フルタイド®️エアーゾル(ICS)
③ユニフィル®️LA錠200(テオフィリン)

出典: twitter.com

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☑️肺気腫(COPD)の治療について

ガイドラインでは中等症以上の気流閉塞を有するCOPD患者ではLAMA(あるいはLABA)の使用が推奨されています。

息切れなどの症状の改善に乏しいとき、それぞれの薬剤の増量でなく、LAMA/LABA配合薬の使用を考慮するとされます。

また配合薬は、LAMA単剤より増悪抑制効果も強いとされます。

COPD診断と治療のためのガイドライン2018 第5版

出典: www.jstage.jst.go.jp

☑️メプチン®️エアー(SABA)は労作時の息切れに有効

短時間作用型β2刺激薬(SABA)は効果発現までの時間が早く、運動時の呼吸困難の予防に有効と考えられています。

重症患者では、入浴時などの日常生活における呼吸困難の予防に有用と考えられます。

本患者は日常での全体的な息切れの増悪と思われること、LAMA/LABA吸入により既にβ刺激薬が投与されているため、作用機序の異なる薬剤を追加した方が効果や副作用の面から有用と考えられます。

慢性疾患治療薬の使い分けと患者モニタリング

薬剤師業務疾患別ケーススタディ

出典:

☑️ICSは2018年の新GLからACOのみ推奨

2018年に改訂されたガイドラインでは、吸入ステロイド薬(ICS)は喘息状態合併(ACO)症例に用いるとされています。

COPD症例の15~20%に合併しているとされ、増悪頻度が2~3倍高く、適切な診断と管理が求められます。

ACO診断基準としては、
1.変動性あるいは発作性の呼吸器症状
2.40歳以前の喘息既往
3.FeNO>35ppb
4.①通年性アレルギー性鼻炎の合併
 ②気道可逆性
 ③抹消血好酸球数>300/uL
 ④IgE高値
1.2.3.の2項目、あるいは1.2.3.のいずれか1項目と4.の2項目以上を満たす場合とされます。

本患者はACOの可能性は低そうです。

喘息とCOPDのオーバーラップ 診断と治療の手引き2018

出典: www.jstage.jst.go.jp

☑️テオフィリンについて

経口テオフィリンを投与したCOPD患者において、喀痰中の好中球、IL-8値およびTNF-α値の減少が報告されています。

「COPD診断と治療のためのガイドライン2018[第5版]」によると、テオフィリンの立ち位置は微妙です。

近年、テオフィリンによるCOPDの増悪抑制効果が報告されたが、サルメテロール/フルチカゾン使用下の条件ではその効果は否定的である(エビデンスA)。気管支拡張作用に必要なテオフィリンの有効血中濃度は5~15µg/mLであるが、副作用として嘔気や不整脈などがあり、血中濃度をモニタリングしながらの使用が推奨される。低用量テオフィリン(5µg/mL程度)はCOPD患者の気道炎症や酸化ストレスを低下させると報告されているが(エビデンスB-C)、長期的な抗炎症効果や疾患進行抑制効果に関しては今後の検討課題である。

出典: www.jrs.or.jp

☑️テオフィリンは増悪による入院回数を減らすかも知れない

ICS/LABA吸入中のCOPD患者にテオフィリンを上乗せしても増悪回数を減らしませんでした。

ただし解釈に注意が必要です。全例にICSが投与されています。改定前のガイドラインに従っているためです。ACOは20%程度です。

想像するしかありませんが、ICSの抗炎症効果が低用量テオフィリンの抗炎症効果を上回り、上乗せ効果が無かったのかも知れません。

ACOでない、ICS未使用のCOPD患者に使用すれば、また違った結果かも知れません。

また2次アウトカムですが、増悪による入院回数は僅かに減少していました。その点は意義があるかも知れません。

Effect of Theophylline as Adjunct to Inhaled Corticosteroids on Exacerbations in Patients With COPD: A Randomized Clinical Trial

Graham Devereux et al. JAMA. 2018.

出典: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

☑️まとめ

LAMA/LABA吸入でコントロール不十分なCOPDに対して、追加で用いる薬剤について見て来ました。

①SABA…労作時の息切れに有効。今回は安静時も息切れがあるので×

②ICS…気管支喘息オーバーラップ(ACO)に有効。今回ACOは否定的なので×

③テオフィリン…GLにも記載あり○増悪による入院回数を減らす可能性あり。

と概説出来ます。テオフィリンは内服なので吸入より投与しやすく、また安価で使用しやすい薬剤です。

その反面有効域が狭く、キノロン等の併用薬や、心不全等の患者要因でクリアランスが低下しやすく、中毒を起こしやすい薬剤です。

必要に応じた減量や併用薬の変更提案等が出来るよう、各自更に研鑽を積んで行きましょう。

また、禁煙や呼吸法、運動療法やワクチン接種等の非薬物療法も必要に応じて情報提供出来るよう、勉強しておきましょう。

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最終更新日2021年5月27日

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