ミコナゾール(商品名フロリードゲル)とワルファリン(商品名ワーファリン)はCYP2C9の相互作用があり、禁忌。

1 はじめに

循環器内科でワーファリン服用中の患者さんに、耳鼻咽喉科からフロリードゲルの処方箋が来た。

先輩が耳鼻咽喉科に電話して、ファンギゾンシロップに変更になった。

「理由を調べておいてね」って先輩から言われたけど、薬歴が溜まってて調べる時間が取れない。

誰かタスケテ・・・。

そんなあなたに今回の記事が役に立ちます。

2 ワルファリンについて

2-1 ワルファリンは治療域が狭く、薬物相互作用も多い

ワルファリンは、心房細動などで血栓が出来やすい方が血栓予防で飲む薬です。治療域が狭く、量の厳密なコントロールが必要です。

ワルファリンの用量は、INRと言う検査値を指標に調節します。ガイドラインでは70歳未満ではINRを2.0~3.0に、70歳以上では1.6~2.6にコントロールすることが推奨されています。

ワルファリンは他の薬との相互作用が多く、製薬会社からは500ページに及ぶ適正利用の為の書籍が発刊されています。

膨大な情報をいかに評価して、重要な相互作用を見逃さずマネジメントするかが重要です。

2-2 ワルファリンはCYP2C9の相互作用が臨床的に重要

ワーファリンは光学異性体であるS-ワルファリンとR-ワルファリンの等量混合物です。S-ワルファリンはR-ワルファリンに比べ、5倍の抗凝固作用を有しています。

そのため、薬効の本体は殆どS-ワルファリンと考えられています。S-ワルファリンはほぼ薬物代謝酵素CYP2C9で代謝されます。

一方R-ワルファリンはCYP3A4、CYP1A2など複数の酵素で代謝されます。

そのため、主な薬効を担うS-ワルファリンの代謝酵素、CYP2C9に大きな影響を及ぼす薬は、相互作用を考える際、重要になります。

3 ミコナゾールについて

3-1 ミコナゾールゲルは強いCYP2C9阻害作用がある

ミコナゾールはアゾール系の抗真菌薬で、食道カンジタの治療などに用いられます。アゾール系抗真菌薬の中でも、ミコナゾールは特にCYP2C9の相互作用が強い薬剤です。

ミコナゾールゲルは口腔~食道内での効果を期待する薬剤であり、単回投与時の血漿中濃度は定量限界(100ng/mL)未満とインタビューファームに記載されています。

しかし、定量限界が充分に低いと言えず、また反復投与時の肝臓中濃度がさらに高くなっている可能性があります。

ミコナゾールはCYP2C9で代謝される薬剤と併用した場合、5倍以上の変動を与える事が報告されています。これは併用禁忌レベルに該当します。

4 ワーファリンとミコナゾールは添付文書で併用禁忌とされている

併用による出血や著しいINRの延長が多数報告されています。前述のCYP2C9を介する相互作用と考えられます。

非常に重篤な事例が多く、ミコナゾール投与後に相互作用を生じた事例や、相互作用発現後にミコナゾールを中止しても数ヶ月に渡って相互作用の影響が遷延している報告が複数あります。

5 まとめ

ワーファリンとフロリードゲルは併用禁忌指定されています。CYP2C9を介する相互作用でワーファリンの効果が増強され、多数の症例報告がなされています。

併用は原則避けるべきであり、やむを得ず併用せざるを得ない場合に限って、頻回にINRを測定するなど、非常に慎重に行われるべきです。

代替として、ファンギゾンシロップが考えられます。薬効成分のアムホテリシンBは相互作用が少なく、また経口投与した場合、消化管からほとんど吸収されないので、安全に使用出来ると考えられます。

参考書籍

医療現場のための薬物相互作用リテラシー

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