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風邪を引いた場合、漢方のパラダイムではどのように考えますか
☑️はじめに
漢方のパラダイムは西洋医学と別と言われます。
しかしながら大学カリキュラムでの比重は小さく、漢方エキス製剤は手軽であることもあり、西洋医学の病名で処方される機会が多いのが実情です。
いったい、漢方の考え方とはどんなものでしょう。
どのように病態を把握し、治療方法を決定しているのでしょうか。
プロローグ
👧じいちゃん、葛根湯について教えて!
👴いいとも、小雪。👴葛根湯は桂枝湯に葛根と麻黄を配した辛温解表薬。
👴表寒証・表実証で項背部のこわばりに用いるんじゃ。
👴葛根は生津・活血の効能を持つので筋肉のこわばりを改善する。
👴桂麻各半湯から杏仁を除き、葛根を加えたと見ても良いぞ。
👴辛温解表薬とともに辛涼解表の葛根の配合があるため、表寒と表熱の移行型にも用いることができる。
👴適用の範囲が広い方剤と言えるな。
👧じいちゃん多謝(ありがと)。
👴しっかり覚えておいてくれ、小雪。👧好。先記起來。
出典: twitter.com
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☑️証とは何をあらわす言葉?
西洋の疾病分類によって用いられることが少なくないのが現状です。
しかし、漢方方剤は証によって用いるのが最も安全かつ有効性が高いと考えられます。
証について、寺澤は次のように定義しています。
証とは、患者が現時点で現わしている症状を気血水・陰陽・虚実・寒熱・表裏・五臓・六病位などの基本概念を通して認識し、さらに病態の特異性を示す症候を捕らえた結果を総合して得られる診断であり、治療の指示である。
「症例から学ぶ和漢診療学」 医学書院
漢方独特の概念にしたがって病態が認識されていることが分かります。
☑️証の決定はどのようにするか
最終的な証の決定に至るプロセスには、主訴や疾患に応じていくつかの経路があります。
今回取り上げた風邪のような急性熱性疾患の場合、まず六病位を決定し、虚実を判定し、さらに特異的症候を勘案して最終の証の決定を行います。
また、方証相対(ほうしょうそうたい)と言って、漢方方剤の方格(作用のベクトル)と証(正常状態からの偏移)は一対一の関係があり、方剤の名称で病症を表現することが可能です。
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☑️六病位について
六病位は疾病のステージを陽と陰に大別し、陽の群を太陽病期・少陽病期・陽明病期に分類し、また陰の群を太陰病期・少陰病期・厥陰病期に分類します。
健康な人の風邪は太陽病期、高齢者や心臓や腎臓に基礎疾患のある人の風邪は少陰病期に分類されます。太陽病期も少陰病期も表寒証で、治療原則は解表(かいひょう)といい、表の部位に気血を動員して偽寒証/寒証を改善します。
また自覚症状として、太陽病期では熱感、少陰病期は冷えを感じる病態です。
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☑️太陽病期
太陽病期についてもう少し詳しく見て行きましょう。急性熱性疾患における太陽病期の病態について、寺澤は次のように述べています。
太陽病期は急性熱性疾患の場合、悪風(おふう:風に当たるとゾクゾクと嫌な感じがする)、悪寒を伴う発熱、項背部のこりと痛み、頭痛を主徴とし、脈は浮(ふ:触れてすぐによく分かる脈)・数(さく:頻脈)である。ときに四肢の関節痛・筋肉痛、鼻閉・咽痛などの上気道炎の症状を伴う。
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詳述は避けますが、麻黄湯証の場合、表実証に分類され、自然発汗はみられず、脈は実(じつ:指頭を触れた血管の反発力が充実)です。特異的症候として、喘鳴、関節痛、鼻出血、咽痛が挙げられます。
葛根湯証も表実証で、特異的症候は項背部の強いこりです。
桂枝湯証は表虚証に分類され、自然発汗が見られ、脈は弱(虚とも言う。反発力が無力)です。特異的症候は鼻炎症状と乾嘔(からえづき)です。
☑️少陰病期
少陰病期についても、もう少し詳しく見て行きましょう。急性熱性疾患における少陰病気の病態について、寺澤は次のように述べています。
少陰病期は臓腑の機能が衰え、気血の不足が一段と進行した病期である。全身倦怠感、四肢末端の冷え、脈微弱が共通症状である。この病気は3型に分類されるが、風邪の場合は表寒型であり、頭痛、関節痛、筋肉のこわばり、咽痛、背部の悪寒など表を主体とした気血の巡りの不調(営衛不和ーえいえいふわ:気の不足で汗や鼻水がコントロールできない)を主徴とする。
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麻黄附子細辛湯証の場合、表の虚実間証と分類されます。特異的症候として、悪寒、喘咳、蒼白な顔貌、水様鼻汁、脈細(さいみゃく:脈が細く弱い)が挙げられます。
☑️まとめ
漢方の証による病態の把握方法を見て来ました。
風邪のような急性熱性疾患の症例では、まず六病位を決定し、虚実を判定し、さらに特異的症候を勘案して最終の証の決定を行います。
健康であれば太陽病期、高齢者や基礎疾患のある人は少陰病期に分類されます。太陽病期で自汗がなければ表実証とし、関節痛があれば麻黄湯、項背部のこりがあれば葛根湯を用います。また、自汗があれば表虚証とし、桂枝湯を用います。
少陰病期で虚実間症、すなわち虚弱で手足の冷えがあり、悪寒、喘咳、青白い顔色、水様鼻汁、脈細がある場合、麻黄附子細辛湯を用います。
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最終更新日2022年3月30日
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