イグザレルト®を隔日服用した場合、脳卒中を予防する効果はありますか?

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イグザレルト®を隔日服用した場合、脳卒中を予防する効果はありますか?

☑️はじめに

イグザレルト®️錠15mgを服用されている患者さん。

受診間隔が開いているので、他所の薬局で薬をもらわれているのか尋ねてみました。にわかに信じられないですが、隔日投与されているとの事です。

イグザレルト隔日投与で心原性脳梗塞は予防出来るのでしょうか?

抗凝固療法とアドヒアランスと言う視点から、この臨床疑問を考えて見ましょう!

プロローグ

👺イグザレルト?うむ1日置きに飲んでいる。先生もご承知だ🌊

🐗💭え…本当か…

👧有り得ない選択肢ですね🦋PKの仮説だけでなく、観察研究からも脳卒中予防効果が劣る可能性が見えます🦋

👧脳卒中の死亡率の高さ、後遺症の重篤さ、薬価の高さ、どれを取ってもPDC>80で維持すべきです🦋

🐗もし出血リスクが高い場合はどうだ⁉️

👧リクシアナ30で易出血、ワーファリン変更された症例を経験したことがあります🦋

👧RPGNでシクロスポリン服用でした🦋

👧DOAC隔日等承認外の使用は、安全性も有効性も明らかでない治験レベルの介入です。慎重になるべきと思います🦋

出典: twitter.com

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☑️経口抗凝固薬のアドヒアランスのエビデンス

米国の保険メディケアのデータを用いた検討があります。

新規にAFと診断された39,272人を対象に12か月間のデータを収集し、経口抗凝固薬(ワーファリン/DOAC)アドヒアランス群(PDC≧80%)と非アドヒアランス群(PDC<80%)で脳卒中発症リスクを比較しました。

Adherence to Anticoagulation and Risk of Stroke Among Medicare Beneficiaries Newly Diagnosed with Atrial Fibrillation Am J Cardiovasc Drugs. 2020 Apr;20(2):199-207. PMID: 31523759

出典: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

☑️抗凝固療法のアドヒアランスは低下しやすい

PDC(propotion of days coverd)は、平均治療日数カバー比率と訳され、調査対象期間のうち薬剤が処方された日数の100分率を表します。一般的にPDC≧80%でアドヒアランス良好と定義されます。

非弁膜性心房細動患者における抗凝固薬のアドヒアランス

出典: www.jstage.jst.go.jp

一般に経口抗凝固薬は服用していても効果の実感に乏しく、逆に出血リスクが伴う為、アドヒアランスが低下しやすい薬剤とされます。

☑️PDC:0~80%の場合、効果は0ではないけれど…

抗凝固薬を使用しなかった場合と比較して、アドヒアランス群でハザード比0.62 (95%CI 0.52-0.74)、非アドヒアランス群でハザード比0.74(95%CI 0.57-0.95)と言う結果でした。

☑️アドヒアランス不良では脳梗塞予防効果は劣る可能性がある

抗凝固薬非使用と比して脳卒中リスクを有意に低下させているものの、非アドヒアランス群はアドヒアランス群と比較してイベント抑制効果が劣る可能性があります。

☑️半減期が短く隔日投与では血中濃度を維持出来ない

バイエル医薬品DIにて以下の情報を確認しました。

「イグザレルトは半減期が7時間程度と短く、4半減期を経過した24時間程度で、ほぼ血中から消失してしまう。つまり翌日は飲んでいないのと同じ状態。PAF/AFを問わず血栓が起きるリスクは常にあり、隔日服用は効果が期待できない。CCr50mL/分未満であれば10mgへの減量を考慮する。」

☑️DOACだけで解析すれば、より効果は劣る可能性がある

論文では、ワーファリンとDOACの結果が合算されています。
55~100時間と半減期の長いワーファリンとは異なり、DOACは半減期が短くアドヒアランスがより重要となります。
DOAC単独で考えた場合、アドヒアランス不良の場合の脳卒中リスクは更に高い可能性があります。

☑️まとめ

抗凝固薬の隔日服用は毎日服用と比して脳卒中リスクが高くなる可能性があります。

アドヒアランス不良を安易に認めるのでなく、毎日服用しなければ十分な治療効果が望めないことをはっきり説明し、8割以上を服用出来るように医師・薬剤師が協同して患者さんに働きかけることが重要と考えます。

イグザレルトは薬価が500円以上と高価な薬です。心原性脳梗塞の高い死亡率や重篤な後遺症を残すことを考え合わせると、治療強度の弱い服薬方法を認める選択枝は無いとわたしは考えます。

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最終更新日2021年3月20日

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