シンバスタチン服用中にイトラコナゾールのパルス療法を受けて横紋筋融解症を来たした例。

こんにちは☺アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。今日は併用禁忌についての話を書きます。ちょっと真面目な話です😩

わたしが以前、過去の電子薬歴を見ていて見つけた症例です。

Aさん(仮)当時64歳は、内科で高コレステロール血症の治療を受けていましたが、ある時皮膚科から爪白癬の治療を受けることになりました。

これがその際の処方です。

イトラコナゾール400mg/日(爪白鮮のパルス療法。)
シンバスタチン10mg/日

当時担当した薬剤師は、イトラコナゾールとシンバスタチンが併用禁忌に当たる為、疑義照会しました。けれど皮膚科医師からは処方通りとの返答で、調剤したと記録にあります。

読み進めます。

イトラコナゾール服用3日目でAさんは顔面浮腫、体重も3~4kg増えました。血圧も低下していたそうです。Aさんは医師に電話で相談、イトラコナゾールとシンバスタチンを中止するように言われました。

中止したところ、浮腫みは治まったとの事です。

いったい、Aさんに何が起こったのでしょう。

イトラコナゾールはアゾール系の抗真菌薬です。薬物代謝酵素を阻害することが知られています。

機序として、薬物代謝酵素の活性中心であるヘム鉄にイトラコナゾールが配位結合することで、酵素を可逆的に阻害します。

そのため、阻害作用の発現にマクロライドのようなタイムラグがありません。飲んだ日から阻害作用が現れます。

阻害様式からは非特異的に複数のCYP分子種を阻害すると予想されますが、実際にはCYP3A4を強く阻害します1)。

そしてシンバスタチンの代謝はCYP3A4に強く依存します。

そうです。イトラコナゾールにより、シンバスタチンの代謝が阻害され、シンバスタチンの体内濃度が上昇したのです。

その結果、横紋筋融解症を発症したのでしょう。

浮腫は横紋筋融解症による腎不全によるものと考えられます。

横紋筋融解症は、骨格筋細胞の壊死や融解により、筋細胞内成分が血液中に流出した状態を言います。

流出した大量のミオグロビンが尿細管を閉塞し、急性腎不全を併発することが多いとされます。

それだけではなく、循環血液量減少にともなうショックや、高カリウム血症により突然の心停止をきたす危険があります。

早期大量輸液、高カリウム血症対策と尿アルカリ化、強制利尿が急性腎不全の治療およびその予防としておこなわれます。

Aさんには命に関わるような危険があったのです。

Aさんに起こったことは、予見できなかったのでしょうか。

PISCSと言う理論から、今回の併用でシンバスタチンの体内濃度がどの程度上昇したのか予測することが出来ました。

イトラコナゾールのCYP3A4代謝阻害率IR〉0.9

シンバスタチンのCYP3A4代謝寄与率CR=1.0

AUC上昇率=1/(1-IR・CR)・・・①

①式より、併用によってシンバスタチンのAUCは10倍以上になったと予測されます2)。

当時はPISCS理論はまだ発表されていなかったので、後知恵と言われればそうですが、添付文書で併用禁忌であること、症例報告を見れば危険な併用であることは分かったはずです。

Rhabdomyolysis-induced acute renal failure due to itraconazole and simvastatin association.  2011;26(2):79-80.

わたしたちは、どうしたら良かったでしょう?

少し長くなりますが、以下の引用をご一読下さい。

・・・薬剤師に疑義照会義務を負わせている法の趣旨は、「医師等の処方の過誤を正し、医薬品使用の適正を確保し、過誤による生命、健康上の被害の発生を未然に防止する」ためにあります。薬学的に疑義が残り、医薬品の適正使用にならないような場合に、医師が対応しないからといってそのまま調剤してしまったとすれば、この目的が達成されないことは明らかです。

このような趣旨で設けられた義務である以上、形式的に医師に確認をしたとしても、薬剤師の薬学的疑義が解消され、適正に使用されることが確認できなければ、薬剤師は義務を果たしたとはいえないと解釈されます。

今回の質問のような場合、薬剤師には注意義務違反(過失)が認められ、損害賠償責任を負うことになります。また,刑事責任や行政責任に問われる可能性も否定はできません。

・・・医師が疑義照会に応じないことはありえます。「医師と薬剤師の関係から考えると仕方ないのではないか」、「薬剤師が責任を負うのはおかしいのではないか」という意見もあるかと思います。薬剤師が医師を介して患者に責任を負っているのであれば、そのような考え方もできるでしょう。

しかし、薬剤師はあくまで独立の専門職であり、患者に対して直接責任を負っています。薬剤師は医師のために調剤をしているのではなく、患者のために調剤をしているのであり、患者のために最善を尽くさなければ義務を果たしたとはいえません。医師が疑義照会に応じず、医師との関係から疑義照会をしにくいとしても、患者にその不利益を負わせてよいことにはなりません。

「患者に健康被害が起こるかもしれないが、医師が疑義照会に応じないから仕方がない」と考えて調剤することは,患者に対して「健康被害(最悪の場合は死に至る)が起きても仕方がない」と判断しているといわれかねません。このような場合、患者に対して最善を尽くしたとは到底いえませんので、薬剤師は責任を負うことになります。当然のことですが,薬剤師が患者に対する義務を果たしたかどうかの判断のポイントは、あくまで患者のために最善を尽くしたかどうかなのです3)。

重い言葉です。

今回書いたケースも、形式的な疑義照会と言われて仕方ないですし、司法のステージに進んでもおかしくなかった事例です。

司法的判断がすべてとは言いませんが、引用した赤羽根先生は弁護士であるとともに薬剤師でもあります。わたしには、薬剤師と言う職業に期待を込めた言葉と思えました。

あなたならどうしますか?

参考文献

1)Vol.50 No.7 2014 ファルマシア 655 https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/50/7/50_654/_pdf

2)薬物動態の変化を伴う薬物相互作用2015 鈴木洋史,大野能之

3)薬局・薬剤師のためのトラブル相談Q&A47 赤波根秀宣 じほう

https://www.jiho.co.jp/Portals/0/ec/product/ebooks/book/45871/45871.pdf

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潜在性結核感染症の治療はイソニアジド単剤で行われ、リスクのある方には神経障害を回避する為にピリドキサールが予防投与されます。

こんばんは🌙😃❗アロマ薬剤師のゆきです。今夜も処方解析をしましょう。

前期高齢者で、パートナーが結核の標準治療(イソニアジド・リファンピシン・ピラジナミド・エタンブトール)を受けている方に、次のような処方がありました1)。

イソニアジド錠100mg 3錠 1日1回 朝食後
ピリドキサールリン酸エステル水和物錠10mg 6錠 1日2回 朝夕食後

イソニアジド単剤は、潜在性結核感染症(LTBI)の治療目的と考えられます。 結核菌に感染しているけれど、発症していない状態です1)。

この治療の利益とリスクについて述べます。

肺結核と同じようにイソニアジド5mg/kg/day、最大300mg/dayを服用します。治療期間は6ヶ月ないし9ヶ月です。服薬による結核発症の抑制効果は、未治療と比較した場合リスク比で20-50%とされます。

結核菌に感染した場合、生涯に結核を発症するベースラインリスクは10%です。 結核を生涯に発症するのは未治療で100人中10人程度ですが、イソニアジドを飲むことによって2-5人程度まで軽減すると考えられます。

イソニアジドによる副作用は、神経障害が有名です。 機序はイソニアジドがピリドキシンと結合して、尿中にピリドキシンが過排泄される為と考えられています。

疫学的には、神経障害の発症リスクは0.2-2%程度、発現までに要する期間は16週程度。高齢者、糖尿病、HIVなどのリスクファクターが無ければ、まず起こらないと考えられるので、リスクのある方のみ補充を行います。

各国のガイドラインでは、イソニアジドを内服する場合、10-50mg/日のピリドキシン予防投与が推奨されています。

この辺りは、倉原優先生のブログで詳しく紹介されていますので、ぜひご覧になって下さい☺

参考
1)JAID/JSC感染症治療ガイド2014

2)呼吸器内科医(倉原優先生のブログです。)

http://pulmonary.exblog.jp/20720592/


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処方解析。透析患者に対する、肺MAC症の治療。

こんばんは😃アロマ薬剤師のゆきです。今晩も処方解析をしましょう✨

総合病院の呼吸器科から次のような処方せんが来ました。

リファンピシンカプセル150mg 3カプセル
1日1回朝食後
エサンブトール錠250mg 2錠
1日1回昼食後(月・水・金のHD後)
クラリスロマイシン錠200mg 1錠
1日1回朝食後

珍しい処方です。

リファンピシンやエサンブトールが含まれますが、イソニアジドやピラジナミドがなく、結核治療とは異なる処方です。
用量もずいぶん少なく、特殊な感じがします。

結論から言うと、透析患者に対する、肺MAC症の治療と考えられます。

肺MAC症は非結核性抗酸菌(NTM)症の一種です。
非結核性抗酸菌症の原因菌の80%以上をM.avium complex(MAC)が占めます1)。

肺MAC症化学療法について述べます。
基本はリファンピシン(REF)、エサンブトール(EB)、クラリスロマシン(CAM)の3剤併用を行います。
頭文字を取って、RECAM(アール・イー・カム)と呼ばれます。
単剤では効果が弱く、特にクラリスロマイシン単剤では数ヶ月以内に耐性菌が発生する為、注意が必要です。

日本結核病学会非結核性好酸球症対策委員会と、日本呼吸器学会感染症・結核学術部会が推奨する、国内の標準療法は次のようなものです2)。
REF 10mg/kg/day (600mgまで) 分1
EB  15mg/kg/day (750mgまで) 分1
CAM 15mg/kg/day(600-800mg) 分1または分2  (800mgの場合は分2とする)

透析の場合の参考用量は以下になると思われます3)。
REF 10mg/kg/day 1日1回 HD患者も非HD患者と同じ(透析性x)。
EB 10~15mg/kg/dayを48h毎、HD患者はHD日はHD後に投与(透析性○)。
CAM 1回200mgを1日1回(透析性x)。

参考文献
1)「寄り道」呼吸器診療―呼吸器科医が悩む疑問とそのエビデンス 倉原優 シーニュ 2013年
2)肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解―2012 年改訂
3)腎機能低下時の主な薬物投与量一覧 改定38版 2014年



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糖尿病患者の生活習慣改善による体重減少のエビデンス。心血管リスクを増やすことなく、減薬出来ました。

Look AHEAD Trial は2型糖尿病患者に強化生活習慣改善介入(ILI: Intensive Lifstyle Intervention)を加えることにより、1年後(PMID:17363746)、4年後(PMID:20876408)それぞれにおいてHbA1cのみならず、心血管疾患(CVD)リスク因子が低下したことを示しました。

観察期間の中央値9.6年で試験は中止されましたが、減量を中心としたILIは心血管疾患イベントの発生を減少させませんでした。

5145例の過体重の2型糖尿病患者(45~74歳・BMI>25・HbA1c<11・BP 160/100未満・TG<600を2群に分け、ILI群では>7%の減量およびその維持を目標、グループセッションおよび個人面談を行い、カロリー制限食(脂肪によるカロリー摂取を最大30%減少、蛋白質によるカロリー摂取を最低15%減少)と運動(目標は中等度の運動175分/週)を実施しました。

さらに必要に応じて減量薬の投与または行動療法を実施しました。対照群では食事・運動・社会支援に関するグループセッションを3回実施しました。1年後・4年後の体重は臨床的に有意に減少(1年後:8.6%vs0.7%、4年後:6.15% vs 0.88%)、それにより糖尿病コントロールおよびCVDリスク因子は改善され、薬物療法を要する患者も減少しました。

試験は2012年9月に中止され、治療経過観察期間は中央値は9.6年でした。試験終了時、依然として体重減少率に有意差がありました(6.0%vs3.5%、P<0.05)。

HbA1cは、ILI群で7.3%、対照群で7.2%でした。複合一次エンドポイントである心血管疾患新規発症は、ILI群403例(1.83/100人・年)、対照群418例(1.92/100人・年)と有意な差は認められませんでした(ハザード比0.95, 95%CI:0.83-1.09, P=0.51)。

見方を変えれば、心血管リスクを増やさず、薬が減らせたと解釈することも出来ると考えられます。

高価なDPP-4阻害剤が心血管リスクに関してプラセボと有意差なしと謳って販売されているのを見るにつけ、私たちの社会的コンセンサスでは、リスクを増やさないと言うだけでアドバンテージと見る事はあながち間違いではないかも知れません。

参考文献 内科診療ストロングエビデンス



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カルバマゼピンとグレープフルーツジュースの相互作用の強度を、理論から予測出来るか。

CYP3A4で代謝されるカルバマゼピンと、CYP3A4阻害作用を有するグレープフルーツジュース摂取についての考察です。

グレープフルーツジュース果汁に含まれるフラノクマリンと言うフラボノイドが、小腸粘膜にある薬を代謝する酵素CYP3A4と結合し、酵素としての機能を不可逆的に無くすことが、この相互作用の原因と考えられています。

阻害効果は酵素が新しく作られるまでの数日間持続します。併用により、カルバマゼピンのCmax及びAUCが1.4倍になったと言う報告があります1)。

テグレトールの至適血中濃度は4~12μg/mL(文献によっては4~10μg/mL)と幅が狭く、上限近くでコントロールしている場合は、グレープフルーツジュースの併用で至適濃度を超えることがあるかも知れません。

8μg/mL以上で、頭痛、嘔気、傾眠、活動性の低下、不安などが起こることが知られています。カルバマゼピンを服用している患者さんは、出来ればグレープフルーツジュースの飲用は避けたほうが良いかも知れません。

一般にグレープフルーツジュースは消化管における薬物代謝能を低下させるので、初回通過代謝における消化管の寄与が大きな薬物ほどグレープフルーツジュース摂取によって体内動態が大きく変動すると考えられます。

また、血漿蛋白結合率の大きな薬物は肝臓への移行が制限されることから、肝代謝の寄与が小さくなり、消化管代謝の寄与が相対的に大きくなります。

この考え方を利用すれば、薬物とグレープフルーツジュースの相互作用の大きさは、薬物の血漿蛋白結合率から推測できると考えられます。薬物を代謝する CYP3A4の小腸における含有量は、肝臓の80分の1程度です。

添付文書より、カルバマゼピンの血漿蛋白結合率は70~80%で、非結合率を20%と仮定すると、肝臓での代謝は80(酵素量比)x20(%、血漿蛋白質非結合率)=1600(任意単位)となるのに対して、吸収時の消化管内では血漿蛋白がないと仮定できますので、消化管での代謝は1(酵素量比)x100(%、血漿蛋白質非結合率)=100(任意単位)となります。

従ってこの場合、肝臓と小腸における代謝の寄与率は16:1となりますから、もしグレープフルーツジュース飲用によって、小腸におけるカルバマゼピンの代謝が完全に阻害されるとすると、体全体としてバイオアベイラビリティでの小腸と肝臓での代謝は94%に低下することになり、AUCは1.06倍程度に上昇すると考えられます2)。

このように実測値と理論値に乖離があります。論文ではTmaxは変化させなかったとの事なので、吸収速度に影響は与えなかったようです。

半減期について、アブストラクトには記載がなかったのですが、もし半減期が延長していれば、肝臓での代謝も阻害している可能性があります。25%程度阻害していれば、実測値と等しくなると考えます。

論文のコンクルージョンにも、” Grapefruit juice increases the bioavailability of carbamazepine by inhibiting CYP3 A4 enzymes in gut wall and in the liver” とありますので、その解釈で良いのかと思います。

1)Effect of grapefruit juice on carbamazepine bioavailability in patients with epilepsy.
2)月刊薬事、44:1587-1608 (2002)



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血漿蛋白結合率の高いリピトールは大量のグレープフルーツジュース飲用でAUCが2倍強上昇する。

リピトールの添付文書には、グレープフルーツジュース1.2L/日との併用により、本剤のAUC0-72hが約2.5倍に上昇したとの報告がある、と記載があります。

一般にグレープフルーツジュースは消化管における薬物代謝能を低下させるので、初回通過代謝における消化管の寄与が大きな薬物ほどグレープフルーツジュース摂取によって体内動態が大きく変動すると考えられます。

また、血漿蛋白結合率の大きな薬物は肝臓への移行が制限されることから、肝代謝の寄与が小さくなり、消化管代謝の寄与が相対的に大きくなります。

この考え方を利用すれば、薬物とグレープフルーツジュースの相互作用の大きさは、薬物の血漿蛋白結合率から推測できると考えられます。薬物を代謝する CYP3A4の小腸における含有量は、肝臓の80分の1程度です。

そこで、この仮定に基づいて、リピトールと大量のグレープフルーツジュース飲用時のAUCが、理論的にどの程度上昇すると予想出来るか、検証してみます。

リピトールの血漿蛋白結合率は、95.6~99.0%以上と記載がありますので、非結合率を1%と仮定すると、肝臓での代謝は80(酵素量比)x1(%、血漿蛋白質非結合率)=80(任意単位)となるのに対して、吸収時の消化管内では血漿蛋白がないと仮定できますので、消化管での代謝は1(酵素量比)x100(%、血漿蛋白質非結合率)=100(任意単位)となります。

従ってこの場合、肝臓と小腸における代謝の寄与率は4:5となりますから、もしグレープフルーツジュース飲用によって、小腸におけるカルバマゼピンの代謝が完全に阻害されるとすると、初回通過効果の小腸及び肝臓での代謝は44%にまで低下することになり、体内に移行する薬物量=バイオアベイラビリティx投与量(Ab=F・D)より、バイオアベイラビリティFがジュース飲用によりF’=F/0.44に上昇している、と表せます。

またGFJは小腸に限定されたCYP3A4阻害作用であり、全身クリアランス(CLtot)に影響を与えないと考えられるため、経口投与されて循環血に乗る薬物量Ab=F・D、Ab’=F’・D=F・D/0.44 CLtot=Ab/AUCevと言う式を適用すると、経口投与時のAUCevは2.3倍程度上昇すると考えられます。

これはケースレポートの数値とほぼ一致し、この仮定での予測に一定の妥当性があることが分かります。

グレープフルーツジュースと併用した場合のデータが無い薬剤の場合でも、CYP3A4の代謝寄与率が高く、血漿蛋白結合率が99%の場合、大量のグレープフルーツジュース飲用でAUCが2倍程度上昇することが予測されます。もしその薬剤の治療域が狭い場合は、休薬や減量などの注意が必要になると考えられます。




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カペシタビンとアプレピタントの併用はC法になるので、カペシタビンの用量監査に注意しましょう。

こんにちは👋😃アロマ薬剤師のゆきです。

今日も処方解析をしましょう。

先日、消化器外科から次の処方箋が来ました。

カペシタビン1回1,500mg 1日2回 14日分
アプレピタント80mg 1日1回 2日分

抗がん剤ですね😓慎重に考えたいです。

お薬手帳から、鉄剤、マグミット、大建中湯の処方歴が確認出来ました。

診療科と合わせて考えると、結腸・直腸がん術後の化学療法でしょうか。

患者さまにインタビューした所、次のような追加情報が得られました。

今日イメンドの1回目を服用した。点滴と併用する。点滴は3週間に1回。ゼローダは2週間飲んで1週間休薬する。身長165cm、体重61kg(デュボア式体表面積1.67m^2)

以上の情報から総合的に考えて、C法(結腸・直腸がんにおける補助化学療法)でXELOX療法など、催吐リスク中程度の白金製剤を使用するレジメンではないかと推測しました。

添付文書には次のように書かれています。

治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌には他の抗悪性腫瘍剤との併用でC法を使用する。

C法:体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。

体表面積1.36㎡以上1.66㎡未満:1回用量カペシタビンとして1500mg

今回の用量とも整合性があります。

エビデンスを付記します。

Stage Ⅲ大腸がんに対する術後補助療法として実施したNO16968試験1)では、XELOX療法の3年DFSは70.9%、5年OSは77.6%と報告されている。
1)Haller DG, et al.: J Clin Oncol. 2011; 29(11): 1465-71.

DFC:無病生存期間。治療後、再発や他の病気がなく患者さんが生存している期間。
OS:全生存期間。臨床試験において治療法の割り付け開始日もしくは治療開始日から患者さんが生存した期間。

カペシタビンによる手足症候群は投与初日から数えて1週間を過ぎた頃から現れ、Grade1は1~2クール目から、Grade2以上はおよそ5クール目から出現する。

化学療法が、奏功することを願いました。



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顔の片側のみ麻痺があり、耳鳴りやめまい、耳痛などのない場合は、Bell麻痺の可能性があります。

こんばんは🌙😃❗アロマ薬剤師のゆきです。

今夜も処方解析をしましょう。

バラシクロビル1000mg 分2 朝夕食後 5日分
プレドニゾロン60mgから漸減 分2 朝夕食後7日分
メコバラミン・アデホス顆粒 分3 毎食後 7日分
ヒアレイン点眼 5mL 1本 1日3回 左眼

CKDで、重症の帯状疱疹でしょうか?でも、薬歴からDOACの常用量を飲まれています。

重症の口唇ヘルペス?でもヒアレイン点眼は何でしょう?

わたしはトレイを持ってカウンターに行きました。

主訴は、こうでした。顔の左半分の感覚がおかしい。まばたきも左目は上手く出来ず、水を飲もうとすると口の左側からこぼれる。

顔面神経麻痺と言われたそうです。

先日Hunt症候群を調べたpdfファイルを、もう一度読み返しました。

片側性で上瞼にも症状がある事から、麻痺は中枢性でなく末梢性のように思われます。

バラシクロビル1,000mg/日5日間からBell麻痺(除外診断による)が鑑別に挙がっていると考えられます。

プレドニゾロン60mg/日より開始で漸減、麻痺は中等度(スコア18-10点)と思われます。

Bell麻痺の70%が自然治癒するとの報告があるので、治りますように、と思いながらお見送りしました。

参考:顔面神経麻痺の診断と治療



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顔面神経麻痺で、難聴・めまい・耳鳴りが伴い、耳や口のなかに帯状疱疹がある場合は、すぐに病院を受診しましょう!

こんばんは🌙😃❗アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。今日の夕御飯はほっともっとです☺出来上がりまでの時間にブログを更新しています✨

さて、今日は総合病院の耳鼻咽喉科から、こんな処方箋が来ました。

バラシクロビル 500mg 6錠 分3
プレドニゾロン 5mg   6錠 分3
メコバラミン500mg    3錠 分3
カリジノゲナーゼ10mg  3錠 分3   2日分
ロキソプロフェン60mg   1錠 疼痛時 6回分

なんだろう?突発性難聴と帯状疱疹?😥と思いながら、カウンターに行きました。主訴は、顔面神経麻痺だそうです😓

患者様がお帰りになってから、「顔面神経麻痺 バルトレックス」で検索🔎出ました。

「顔面神経麻痺の診断と治療」そのものズバリです。読み進み、処方箋を解析しました。結果…

①バラシクロビル3,000mg/日の用量からRamsay Hunt症候群と思われる。7日間が標準治療。

②プレドニゾロン30mg/日(0.5mg/kg/日)の用量からスコア20/40点以上の軽症例と思われる。10日間で漸減終了。

③ビタミンB12、ATP製剤、循環改善薬は麻痺が改善するまで最長6ヶ月投与。

Ramsay Hunt症候群とは、顔面神経麻痺の他、難聴・めまい・耳鳴りが随伴し、耳介や口腔内の帯状疱疹がある場合に診断される。顔面神経麻痺の原因の15%を占める。Bell麻痺より重症化しやすい。早期治療が必要。

なるほど👀知識が一繋がりになりました。初期治療が大事なようです。発症から7日以内でないと、この治療は奏功しません。

この知識をシェアしたくて、ブログを書きました。みなさんの周りで、この病気を疑う方がいらっしゃる時は、すぐに受診を勧めて下さい!

参考:顔面神経麻痺の診断と治療 JSTAGE



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薬局薬剤師が標準化eGFRと個別eGFRの違いを理解すると、腎排泄型で安全閾が狭い薬のアセスメント能力がアップします💪

こんにちは👋😃アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です☺

わたしは先日、ツィッターで、あるアンケートをとってみました。腎機能の指標であるeGFRについてです😃

みなさんも、血液検査の結果で目にする機会があると思います。その知識がどれくらい普及しているのか興味があって、みなさまにご協力をお願いしたのです☺

2019年3月8日から3日間アンケートを行いました。インプレッションは1,617でした。投票は175でした。わたしのフォロワーさまは511名で、9割は医療関係、その殆どが薬局薬剤師です😃

質問は、このようなものでした。
「あなたが腎排泄型の薬剤の投与量を考える時に参考にするのは?」
薬局あるあるのシチュエーションですね☺

回答の選択肢と、結果は、次のようなものでした。
「標準化eGFR 16%」
「個別eGFR 47%」
「2つの違いが分からない 37%」

あれ?eGFRに種類がありますねー。標準化、個別って何でしょう?違いがよく分からない方も多いです。

わたしが分かっている範囲で、知識をシェアしましょう😉

まず、標準化eGFR、単位はmL/min/1.73m2です。単位を見て、ピンときたあなたは鋭いです。そう、これは1.73m2と言う体表面積で、標準化されています。

ですから、標準化eGFRは投与量を考えるためのものではなく、慢性腎臓病(CKD)の病期を考えるためのものです。

次に個別eGFR、単位はmL/minです。え?クレアチニンクリアランスの単位と同じ?鋭いです。こちらが投与量を考えるためのものです。

検査結果は標準化eGFRで書かれているので、1.73で割って、患者さんの体表面積(アプリで計算できます✨)をかけて導き出して下さい。

添付文書に書かれている、海外データのクレアチニンクリアランスは、個別eGFRで近似できます😊

例えば、高齢者にバルトレックスが処方された場合、腎機能に応じて適切に減量できれば、アシクロビル脳症のリスクを低減できます☺

いかがでしたか😃わたしたちひとりひとりの力で、薬物療法の質の底上げをしましょう💪✨



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