α-グルコシダーゼ阻害剤は心血管予後に影響を与えますか



α-グルコシダーゼ阻害剤は心血管予後に影響を与えますか

☑️はじめに

αグルコシダーゼ阻害薬(αーGI)は食後高血糖を是正する薬です。

STOP NIDDM試験(2003)では、プラセボ対象で耐糖能異常(IGT)のある方の糖尿病発症を抑制することが報告されました。

また、耐糖能異常は心血管疾患死のリスク因子であることがFunagata研究(1999)で知られています。
αーGIの作用機序から、理論的にCVDを抑制する効果も期待されました。

実際、STOP-NIDDM(2003)の副次評価としてCVD発症を半減させたことが報告され、期待は高まっていたのです。
しかし、アカルボースによるIGTのCVD発症予防を主要評価項目としたACE試験(2017)で、その仮説は否定されました。

今回の記事では、STOP NIDDM試験、ACE試験を含むメタアナリシス(2019)を紹介して、αーGIのエビデンスを確認したいと思います。

さくら先輩、食後高血糖を是正すると言う機序からはCVDも減らすんじゃないかと期待してしまいます。

ゆきさん、あくまで仮説だから、臨床研究での検証を待たないといけないよ。CAST試験を思い出そう。

※CAST試験(1991)…不整脈を抑制する抗不整脈薬を投与すると死亡率が高くなることが示され、その後の不整脈治療のあり方を変えた試験。

プロローグ

Rp.ベイスン錠0.2
👨糖尿病の予防だとか

‍👧予防?
‍👩ベイスンには耐糖能異常の方の2型DM発症予防の適応があるよ。
👩2019年のメタ分析で、αGIはプラセボと比してー23%の発症予防効果を示している。

‍👧αGIですけど、CVDリスクも減らしますか?
👧STOP NIDDMでは耐糖能異常の方のCVDリスクを半減させていますが。

‍👩残念ながら、同じメタ分析でαGIによるCVD予防効果は否定されている。

‍👩STOP NIDDMの副次評価項目であり探索目的の解析だった。早期の脱落が多く、イベントも少ない為の偶然の結果だったと解釈されるよ。

出典: twitter.com

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メトホルミン投与量は血清クレアチニンではなくクレアチニンクリアランスで判断しなければいけない



メトホルミン投与量は血清クレアチニンではなくクレアチニンクリアランスで判断しなければいけない

☑️はじめに

メトホルミンは腎排泄型の薬剤です。腎機能は年齢とともに低下するため、高齢者では適切に減量しないといけません。
血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシスのリスクになります。

以前は血清クレアチニンで注意喚起が為されていました(血清 Cr 値で男性 1.3 mg/dl 以上,女性 1.2 mg/dl 以上で非推奨)。
しかし、年齢や体格が考慮されないため、注意としては不適切です。
常用量のメトホルミンで乳酸アシドーシスを発症した症例報告もあります。

常用量のメトホルミンにより重度の乳酸アシドーシス、急性腎不全を呈した1例

出典: general.tane.or.jp

Cockcroft-Gault式を使って推定クレアチニンクリアランス(eCCr)を求めることが重要です。

現行の添付文書には、メトホルミン投与量の目安としてeGFR:60-45では最高1,500mg/日、eGFR:45-30では最高750mg、eGFR<30では禁忌としています。

添付文書ではeGFRは標準化eGFRとして記載されています。現状ではコンセンサスが不十分ですが、体格が標準(1.73m^2)とかけ離れた場合は個別化eGFRの方が評価方法として優ります。個別化eGFRはeCCrに近似しますので、投与量の目安として考える事ができると思われます。

さくら先輩、血清クレアチニンではダメなのですね

年齢や体格が反映されないからね。ちょうどいい症例報告があるよ

プロローグ

👩‍🎓血清Cr0.68だと、

🧔50歳、47kg…クレアチニンクリアランス86mL/min

👵96歳、47kg…クレアチニンクリアランス36mL/min

👩‍🎓🧔はメトホルミンの減量は必要ありませんが、👵は禁忌に近いです。

👨‍⚕️Cockcroft-Gault式による推定CCrは次式で

(140-Age)xBW÷(72xCr)

👩‍🎓女性は更に0.85を乗じて下さい。

出典: twitter.com

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薬剤性下痢症でメトホルミンの投与量は標準化eGFRから判断してよいですか



薬剤性下痢症でメトホルミンの投与量は標準化eGFRから判断してよいですか

☑️はじめに

慢性的な下痢が続いており、服用中の薬剤に下痢と関連するものはあるだろうかと医師より照会を受けました。

慢性下痢症は鑑別疾患も多く、薬剤性下痢症は始めの段階で除外すべき疾患です。このため薬剤師にコンサルが来たと思われました。

患者から聞き取りした内容では、3日に1回の下痢が1年続き、体重が10kg減少。少量の便が午前中続くため、日常生活にも支障があったそうです。

さくら先輩、薬剤性のものでしょうか?

どうかな。休薬出来る薬なら試す価値はあるね。どうなるか見て行こう。

プロローグ

Rpメトホルミン 1000mg/日
👵我慢してたけど下痢が数ヶ月続いてね…

‍👨‍⚕️慢性下痢症。薬剤性の可能性あるかな?

‍👩‍🎓メトホルミンは下痢の頻度は高いです。腎排泄なので投与量が多めの可能性あります。eGFR30-45では750mg/日までが目安です。

☎️成る程。メトホルミン500mg/日に減量でビオフェルミン追加して下さい。

数日後…

‍👨‍⚕️📞その後如何ですか?

👵📞下痢がぴたっと止まりましたよ。ありがとうね。

‍👩‍🎓今回はメトホルミンが原因だった可能性が高いですね。慢性下痢症は鑑別が多い疾患です。今回はまず除外すべき薬剤性で当たりをひきましたが、各自鑑別の流れを調べておいて下さいね。

出典: twitter.com

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