立てよ薬剤師

こんばんは。今日は、薬剤師の私が何故ブログを書いているのか、書こうと思います。

日頃薬局で仕事をしていると、疑問に思うことが色々あります。この薬とこの薬は、添付文書には併用注意と書いてあるけれど、どのくらい注意が必要なのだろう?減量や休薬が必要?併用で良い?とか、腎機能障害に注意が必要な薬と、添付文書には書いてあるけれど、減量は必要?必要ない?とか。

そう、根拠を示しながら何らかの見解を持つには、添付文書を補完するような情報が必要であり、それを探し出し、目の前の患者さんに適用出来るか考える、一連のスキルが必要です。私は卒後すぐに一人薬剤師で8年働き、スキルもなく、導いてくれる師匠もなく、分からない事は医師に丸投げする、残念な薬剤師でした。

それが、あるブログを読んだ事で世界が変わりました。「地域医療の見え方」と言う、臨床研究の論文を紹介するブログで、書いていたのは薬剤師の青島周一先生でした。私が主に判断の根拠にしていた薬理学等の基礎研究の理論ではなく、実際に薬を飲んだ場合の薬の効果や副作用の頻度を研究し、定量的に扱う、目から鱗が落ちるようなものでした。理論から考えればこうなります、ではなく、実際に飲んだらこうなりました、との、コペルニクス的転換です。

それからは、青島先生を始めとした薬剤師諸先生方の論文紹介のブログを読み、書籍を読み、自分なりに勉強を重ねて、曲がりなりに自分の考えを練り上げるスキルを身につけて来ました。そしてそれは、目の前の患者さんに、より安全で、より効果的な医療を提供出来る手段になると考えています。日常では処方箋の妥当性を追認するに留まる事が多いですが、自信を持ってこれで良いと言えるのは、大きな違いです。

SNSを通じて、私は薬剤師として成長するきっかけをもらいました。そして私が拙いブログを書くのは、自分で調べたり、考えたりした情報を、次の人がそこから更に先に進むための足掛かりになればとの願いがあるからです。一人に出来る事はささやかでも、さざ波のように広がる薬剤師のSNS活動の一波になれたらと思います。

0

ファーマトリビューン誌「抗菌薬処方解析」連載に参加しました。

https://ptweb.jp/article/2015/151215000713/
こんにちは。今回は、ファーマトリビューン誌の「抗菌薬処方解析」の紹介です。私、奥村雪夫(連載時は雪男)も末席に参加させて頂きました。メンバーの皆さんは認定や専門薬剤師を取得されていて、読むと、とても勉強になります。ぜひ、ご一読下さい。 

0

インフルエンザの迅速検査が陰性でも、タミフルを処方されることはありますか?

こんにちは。今年は既にインフルエンザで学級閉鎖があったと言うニュースを聞きましたので、今日はインフルエンザ迅速検査についての話です。皆さんはインフルエンザを疑って病院にかかった時、鼻をぐりぐりして検体を取って検査を受けた事があると思います。あの検査は、どれくらい正確なのでしょうか?
 
複数の迅速検査キットを検討したメタ分析によれば、インフルエンザ検査キットの検査特性は、感度62.3%、特異度98.2%との報告があります。除外診断よりも確定診断に適した検査であることが分かります。言い換えれば、インフルエンザであることを証明するのは得意な検査ですが、インフルエンザでない事を証明するのは苦手な検査と言えます。

実例を挙げて、もう少し詳しく見て見ましょう。インフルエンザ流行期に38度の熱と咳嗽があれば、79%の確率でインフルエンザと言う疫学調査の報告があります。これを検査前確率として検査前オッズに変換すると、3.76です。

検査陽性の場合、陽性尤度比LR+は34.6です。これを検査前オッズに掛けると130.1、確率に変換すると、検査後確率は99.2%となります。すなわち、99%インフルエンザと解釈されます。
一方、検査陰性の場合の検査後オッズは、陰性尤度比LR-の0.384を検査前オッズに掛けると1.44、確率に変換すると、この時の検査後確率59%です。つまり、迅速検査が陰性でも、インフルエンザである確率が実に59%もあるので、たとえインフルエンザと診断されなくても、マスク・手洗・うがいなど、周囲への感染対策を怠らない事が必要です。医師によっては再度受診となってしまう負担を考えて、事前確率が十分高ければ検査しないでタミフル等のノイラミニダーゼ阻害薬を処方される事もあるでしょう。

検査が単純なものではなく、医学知識や統計学的な知識を駆使して解釈されていることが、お分かり頂けると思います。 問診や身体所見、周囲の流行状況を考えて検査前確率を推定する事、ベイズ統計学的な検査の解釈、また正確な手技も必要です。

こうした理由から、インフルエンザの検査は、A/B型インフルエンザ抗原(1470円)と免疫学的検査判断料(1440円)の二つの料金から成り立っています。

いかがだったでしょうか。ご家族の健康を守るためのご参考にして頂けると幸いです。
そして、病気のお子さんのいらっしゃるお母さんは、お大事になさって下さい。



0

糖尿病の薬のレパグリニドとピロリ菌除菌のクラリスロマイシンで重症低血糖を生じた例。

こんにちは。今回は薬の飲みあわせの話です。糖尿病で通院中のAさんはレパグリニドと言う薬を飲んでいます。膵臓からインシュリン分泌を促す薬です。この地域では珍しい処方でしたので、業務の合間に、インターネットを利用して、後学のために医薬品情報を収集しました。その中で、PUBMEDで気になる論文を見つけました。

レパグリニドと抗生物質のクラリスロマイシンを併用する事で、重症低血糖を生じたと言う症例報告です。レパグリニドの添付文書にクラリスロマイシンの相互作用は記載されていませんでしたが、薬物代謝酵素のCYP3A4と、薬物トランスポーターのOATP1B1を介した相互作用として、免疫抑制薬のシクロスポリンは記載があり、おそらくクラリスロマイシンも同様の機序により、レパグリニドの血中濃度を上げた事に起因する副作用と推察されます。

論文によれば、症例はピロリ菌除菌療法の途中で生じた有害事象であり、クラリスロマイシンの用量は1,000mg/dayでした。ちなみに日本の適応ではピロリ菌除菌の際のクラリスロマイシンの用量は400mg/dayまたは800mg/dayです。

クラリスロマイシンのCYP3A4を介する相互作用は用量依存的であり、400mg/dayは比較的安全なのかも知れません。しかし、トランスポーターも関与している可能性もありますので、もしAさんが除菌療法を開始することがあれば、低血糖を生じる恐れがあることを伝えた方が良いでしょう。800mg/dayで処方せんが来た場合は、処方医にこの論文に基づいた情報提供をしなくてはいけないケースと考えます。

このように、添付文書に書かれていない副作用は常に有り得ますので、私たち薬剤師は、日頃から最新の情報収集を怠らない努力が必用です。それも命に関わるような情報を扱っていますから、知らなかったでは済まされません。英文で書かれた最新の医学論文のチェックは、日本語の情報はタイムラグが有るため、今や必須の業務です。

最後に皆さんにお願いなのですが、どんな些細と思われる薬でも、併用する薬はカウンターで教えて下さい。薬物治療のリスクを最小限に、効果を最大にする為に、重要な情報です。

いかがだったでしょうか。ご家族の健康を守るために、ご参考になさって下さい。

1. Pharmacotherapy. 2008 May;28(5):682-4. doi: 10.1592/phco.28.5.682.
Severe hypoglycemia from clarithromycin-repaglinide drug interaction.

Khamaisi M(1), Leitersdorf E.

Author information: (1)Department of Medicine and the Diabetes Research Unit, Hadassah Hospital, Ein Kerem, and Hebrew University Medical School, Jerusalem, Israel. murir@hadassah.org.il

Many drugs have been reported to interact with repaglinide in patients with type 2 diabetes mellitus, resulting in hypoglycemia. However, to our knowledge, an interaction between clarithromycin and repaglinide in these patients has not been previously reported. We describe an 80-year-old man with end-stage renal disease and well-controlled type 2 diabetes (hemoglobin A1c < 7%) who was hospitalized for treatment of severe hypoglycemia. He had been receiving repaglinide 0.5 mg 3 times/day for the previous 2 years. Clarithromycin 500 mg twice/day had been started for Helicobacter pylori infection several days before admission. Within 48 hours of starting the drug, he developed severe hypoglycemia, which resolved with intravenous glucose administration. However, 48 hours later, the patient again experienced hypoglycemia and was unresponsive. Intravenous glucose administration again resolved the problem. Repaglinide was discontinued, and no further hypoglycemic episodes occurred. Clinicians should be aware of this possible clarithromycin-repaglinide interaction; in particular, in elderly patients with type 2 diabetes who are taking repaglinide and begin clarithromycin therapy, blood glucose levels should be monitored closely for potential dosage adjustment of repaglinide.

PMID: 18447665 [PubMed – indexed for MEDLINE]

2型糖尿病の患者では多くの薬物がレパグリニドと相互作用し、低血糖を引き起こすことが報告されている。しかし、我々の知る限りでは、これらの患者におけるクラリスロマイシンとレパグリニドとの相互作用はこれまで報告されていない。重度の低血糖症の治療のために入院した、末期腎疾患および2型糖尿病の良好なコントロール(ヘモグロビンA1c <7%)を有する80歳の男性を説明する。彼は過去2年間にレパグリニド0.5mgを1日3回投与していた。入院数日前にヘリコバクター・ピロリ感染のためにクラリスロマイシン500mgを2回/日投与しました。薬物投与開始から48時間以内に、彼は静脈内グルコース投与で解決した重度の低血糖を発症した。しかしながら、48時間後、患者は再び低血糖を経験し、反応しなかった。静脈内グルコース投与は再び問題を解決した。レパグリニドは中止され、それ以上の低血糖症は発生しなかった。臨床医は、この可能性のあるクラリスロマイシン – レパグリニド相互作用を知っていなければならない。特に、レパグリニドを服用しているクラリスロマイシン療法を開始している2型糖尿病の高齢者では、レパグリニドの投与量を調整するために血糖値を注意深く監視する必要がある。

0

JUDY AND MARYのラブリーベイベー with ミク

今日は趣味の音楽のエントリーをアップしました。大好きなJUDY AND MARYのコピー音源です。
初音ミクが発売されたばかりの頃に作ったものです。打ち込みでギターのみ弾いています。
わたしがアップした音源の中で、飛びぬけて再生回数が多かった作品です。

関連記事です。
初音ミクで歌ってみた。ジュディマリの風に吹かれて。

初音ミクで歌ってみた。ジュディマリのOVER DRIVE

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

The Great Escape [ JUDY AND MARY ]
価格:3693円(税込、送料無料) (2018/9/24時点)

バンドスコアのリンクを貼っておきます。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

JUDY AND MARY「The Great Escape」 (バンド・スコア)
価格:3780円(税込、送料無料) (2018/10/26時点)

0

脳梗塞/TIA後の心房細動には、抗凝固薬単剤で治療する場合がありますか?

Aさんは63歳男性です。脳梗塞/TIAの既往があり、以前から脳梗塞の再発予防の為に、抗血小板薬のシロスタゾール100mを服用していました。今回、心房細動が指摘され、シロスタゾール100mgは中止となり、リバーロキサバン15mgが新規に処方になりました。併用薬はオルメサルタン10mgとレボチロキシンS100μgの2剤のみです。この処方変更について考察します。

Aさんは心房細動による心原性脳梗塞の1次予防目的で、新規抗凝固薬(NOAC)が開始されました。心房細動が原因で起こる心原性脳卒中のリスクはCHADS2スコアによって推定し、評価されます。AさんのCHADS2スコアは、高血圧と脳卒中/TIAの既往がある事から3点で、脳卒中リスクは5.9%/年と推定され、高リスクに分類されます。2点(4.0%/年)以上でワーファリン(WF)による抗凝固治療が勧められます。WF服用による脳卒中リスクの相対リスク低下は、メタ分析1)から60%と報告されています。従って、CHADS2スコア3点では、WFにより3.6%/年の脳卒中を予防出来ることが予測されます。

1)Meta-analysis: antithrombotic therapy to prevent stroke in patients who have nonvalvular atrial fibrillation.

一方、JAST試験(低用量アスピリンvsプラセボ)、ACTIVE-W(DAPTvsWF)試験において、アスピリンやチエノピリジンと言った抗血小板薬には、心房細動に伴う脳梗塞の予防効果はないことが示されています2)。また、WASID 試験の結果において、頭蓋内血管狭窄がある非心原性の脳梗塞の脳卒中予防効果において、WFと抗血小板薬は効果が同等であり、WF内服患者に出血が多くみられました。

2)Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial.(JAST) PMID: 16385088
3)ACTIVE Writing Group of the ACTIVE Investigators. Clopidogrel plus aspirin versus oral anticoagulation for atrial fibrillation in the Atrial fibrillation Clopidogrel Trial with Irbesartan for prevention of Vascular Events (ACTIVE W): a randomised controlled trial.  PMID:16765759

更に、BAT試験は、脳血管障害や心臓血管病にWFと抗血小板薬を投与する前向き観察研究で、重篤・重症な出血の年間発症率は、抗血小板薬単独で1.21%、抗血小板薬併用2.00%、WF単独2.06%、WFと抗血小板薬併用で3.56%であり、WFと抗血小板薬の併用がWF単剤治療に比べ出血イベントを1.5%/年増加させました。(NNH67)

4)Bleeding with Antithrombotic Therapy.(BAT)  

これらの知見から、心房細動のために抗凝固薬が不可欠な患者では、 効果と出血リスクを勘案して、アテローム血栓性脳塞に関しても抗凝固薬単剤での再発予防を図るのが先決との見解があります。

NOACに関しては、WFに比して頭蓋内出血は少ないとされますが、アテローム血栓性脳梗塞への有効性の報告がないため、今回のような患者にNOACの単剤使用がどこまで有効かは厳密には不明です。

患者のAさん固有の条件としては、高血圧で脳梗塞/TIAの既往があり、喫煙・飲酒習慣はありますが、糖尿病・脂質異常症がなく、比較的若年で(<65歳)、心筋梗塞の既往がない等、リスク因子は有るものも無いものもあります。出血リスクを評価するHAS-BLEDスコアは3~4点で高リスクであり、NOACであるアピキサバン単剤療法を考慮しても良いかも知れません。 以上を総合して、NOAC単剤で慎重に経過を観察しつつ、脳梗塞/TIAの再発があれば抗血小板薬を追加するような方針となるでしょうか。リスク要因である血圧のコントロールや過度の飲酒を避ける事等は今後も重要です。禁煙も望ましいでしょう。 参考文献『CORE JOURNAL 循環器 no2 2012 秋冬号』ライフサイエンス出版 P54-61「アテローム血栓性脳梗塞の既往がある心房細動に対し、強力な抗血栓治療を行うべきか?」企画 卜部貴夫 協力 名郷直樹

0

糖尿病の治療は厳格より中庸が良いですか?

こんにちは。今日は糖尿病のAさんの話をします。

Aさんは67歳の男性、糖尿病の治療を受けています。脳卒中や心筋梗塞の既往はありません。治療の目安になる検査値は、本日もらった検査票でHbA1C7.2とのことです。

薬の確認が終わったところで、Aさんから「正常値は5とか6とかって書いてあるけど、治療について、どれくらい頑張れば良いのかな」と、相談を受けました。

処方はSU剤のグリメピリド1mg、DPP4阻害薬のアログリプチン25mg、レニン・アンジオテンシン系阻害薬のバルサルタン80mg、スタチンのプラバスタチン10mgです。

Aさんの疑問に答えるために、論文を検索して、台湾の観察研究を見つけました1)。

【サマリー】2型糖尿病患者で、HbA1c7.0-8.0%、収縮期BP130-140、LDL-C 100-130の群が総死亡率が最も低かった。12643人のコホート研究。

これをみると、効果が最大になりそうなHbA1Cの目標値は、ずいぶん緩やかです。他の臨床研究でも、厳格治療は重症低血糖リスクが上がり、死亡率も上昇すると言う報告が散見されます。

熊本スタディと言う臨床研究で、HbA1Cを7未満にすることで、網膜症や腎症と言った微小血管障害をある程度予防する効果が知られていますが、心筋梗塞のような大血管障害に関して、血糖値を厳格に管理することによる治療効果はあってもごく僅かのようです2)。

ガイドラインである「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」でも、65歳以上75歳未満でSU剤を使用している場合は、HbA1C7.5未満、下限6.5と設定されています。

Aさんの年齢になれば、微小血管障害を予防する治療の利益は、若年の方に比べて相対的に低くなっているので、重症低血糖を予防するためには緩やかなコントロールの方がBetterと思われます。

いかがだったでしょうか。ご家族の健康を守るためのご参考になさって下さい。

1)All-cause mortality in patients with type 2 diabetes in association with achieved hemoglobin A(1c), systolic blood pressure, and low-density lipoprotein cholesterol levels. PMCID: PMC4210124 PMID: 2534771
2)「CQ3 糖尿病に対する厳格な血糖管理の効果は?」 CORE Journal 循環器 no.1 2012

0

TAKUYAバースデーライブ記念。

今日は元JUDY AND MARYのギタリスト・コンポーザーTAKUYAの誕生日です。
EGGMANではバースデーライブが開かれて、盛り上がっているでしょう。
結婚する前は、この日が1年で1番楽しみでした…。
記念に、以前作った音源をアップします。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

The Great Escape [ JUDY AND MARY ]
価格:3693円(税込、送料無料) (2018/9/24時点)

バンドスコアのリンクを貼っておきます。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

JUDY AND MARY「The Great Escape」 (バンド・スコア)
価格:3780円(税込、送料無料) (2018/10/25時点)

0

CKDにおいて乳酸アシドーシスのリスク上昇があると言う結果は得られなかった。

前回のブログで、腎機能低下している患者にメトホルミンを投与する場合は注意が必要と書きました。2002年にCKDと言う概念が提唱され、腎臓病診療の標準化がなされています。「ビグアナイド薬の適正使用に関するRecommendation」においては、eGRR<30mL/min/1.73m^2の患者には投与禁忌とされていますが、腎機能がそこまで低下していない患者において、メトホルミンを投与すると、乳酸アシドーシスの発症は増加するのでしょうか。

CKDへのメトホルミン投与を評価したメタ分析が報告されています1)。この検討では、CKDにおいて乳酸アシドーシスのリスク上昇があると言う結果は得られませんでした。このメタ分析の結論は、以下のように要約されます。

①標準化eGFR45-60mL/min/1.73m^2で、腎機能が安定していれば、メトホルミンは使用可能である。
②腎機能が不安定であったり、増悪傾向があれば、メトホルミンの使用は避けるべきである。
③徐々に腎機能悪化し、それが糖尿病が原因と考えられる場合、標準化eGFR30-45mL/min/1.73m^2程度まではメトホルミンの継続は可能である。ただし、腎機能に応じた減量は必要である。
④標準化eGFR<30mL/min/1.73m^2では、メトホルミンは使用しない方がよい。

以下に、引用文献の英語・日本語(機械翻訳)アブストラクトを掲載しておきます。

1)[JAMA.2014 Dec 24-31;312(24):2668-75]PMID:25536258
出典「ホスピタリストのための内科診断フローチャート」

See comment in PubMed Commons below
JAMA. 2014 Dec 24-31;312(24):2668-75. doi: 10.1001/jama.2014.15298.
Metformin in patients with type 2 diabetes and kidney disease: a systematic review.
Inzucchi SE1, Lipska KJ1, Mayo H2, Bailey CJ3, McGuire DK4.
Author information
1Section of Endocrinology, Yale University School of Medicine, New Haven, Connecticut.
2Health Sciences Digital Library and Learning Center, University of Texas Southwestern Medical Center, Dallas.
3School of Life & Health Sciences, Aston University, Birmingham, United Kingdom.
4Division of Cardiology, University of Texas Southwestern Medical Center, Dallas.
Abstract
IMPORTANCE:
Metformin is widely viewed as the best initial pharmacological option to lower glucose concentrations in patients with type 2 diabetes mellitus. However, the drug is contraindicated in many individuals with impaired kidney function because of concerns of lactic acidosis.

OBJECTIVE:
To assess the risk of lactic acidosis associated with metformin use in individuals with impaired kidney function.

EVIDENCE ACQUISITION:
In July 2014, we searched the MEDLINE and Cochrane databases for English-language articles pertaining to metformin, kidney disease, and lactic acidosis in humans between 1950 and June 2014. We excluded reviews, letters, editorials, case reports, small case series, and manuscripts that did not directly pertain to the topic area or that met other exclusion criteria. Of an original 818 articles, 65 were included in this review, including pharmacokinetic/metabolic studies, large case series, retrospective studies, meta-analyses, and a clinical trial.

RESULTS:
Although metformin is renally cleared, drug levels generally remain within the therapeutic range and lactate concentrations are not substantially increased when used in patients with mild to moderate chronic kidney disease (estimated glomerular filtration rates, 30-60 mL/min per 1.73 m2). The overall incidence of lactic acidosis in metformin users varies across studies from approximately 3 per 100,000 person-years to 10 per 100,000 person-years and is generally indistinguishable from the background rate in the overall population with diabetes. Data suggesting an increased risk of lactic acidosis in metformin-treated patients with chronic kidney disease are limited, and no randomized controlled trials have been conducted to test the safety of metformin in patients with significantly impaired kidney function. Population-based studies demonstrate that metformin may be prescribed counter to prevailing guidelines suggesting a renal risk in up to 1 in 4 patients with type 2 diabetes mellitus–use which, in most reports, has not been associated with increased rates of lactic acidosis. Observational studies suggest a potential benefit from metformin on macrovascular outcomes, even in patients with prevalent renal contraindications for its use.

CONCLUSIONS AND RELEVANCE:
Available evidence supports cautious expansion of metformin use in patients with mild to moderate chronic kidney disease, as defined by estimated glomerular filtration rate, with appropriate dosage reductions and careful follow-up of kidney function.

Comment in
Metformin Use in Type 2 Diabetes Mellitus With CKD: Is It Time to Liberalize Dosing Recommendations? [Am J Kidney Dis. 2015]
Metformin should not be contraindicated in patients with type 2 diabetes and mild to moderate renal impairment. [Evid Based Med. 2015]
PMID:
25536258
PMCID:
PMC4427053
DOI:
10.1001/jama.2014.15298
[PubMed – indexed for MEDLINE]
Free PMC Article

以下、Googleによる機械翻訳。

抽象
重要性:
メトホルミンは、2型糖尿病患者のグルコース濃度を低下させるための最善の初期薬理学的選択肢として広く見られている。しかし、この薬物は、乳酸アシドーシスの懸念から、腎機能障害を有する多くの個体において禁忌である。

目的:
腎機能障害を有する個人におけるメトホルミン使用に関連する乳酸アシドーシスのリスクを評価すること。

証拠開示:
2014年7月、私たちは、1950年から2014年までの間、ヒトのメトホルミン、腎臓病、乳酸アシドーシスに関する英文記事をMEDLINEおよびCochraneデータベースで検索しました。レビュー、手紙、論説、症例報告、小文字シリーズ、トピック分野に直接関係しなかったか、または他の除外基準を満たした原稿。元々の818項目のうち、薬物動態学/代謝研究、大規模症例シリーズ、後ろ向き研究、メタアナリシス、および臨床試験を含む65件がこのレビューに含まれた。

結果:
メトホルミンは腎臓から排除されるが、薬物レベルは一般的に治療範囲内にとどまり、軽度から中等度の慢性腎疾患(推定糸球体濾過率、1.73m 2あたり30〜60mL /分の推定値)で使用すると乳酸濃度は実質的に上昇しない。メトホルミン使用者における乳酸アシドーシスの全発生率は、研究によって約3人/10万人年から10人/10万人年で変化し、一般に糖尿病患者全体のバックグラウンド率と区別できません。慢性腎臓病のメトホルミン治療患者における乳酸アシドーシスのリスクの増加を示唆するデータは限られており、腎機能が著しく低下した患者のメトホルミンの安全性を試験するためのランダム化比較試験は行われていない。人口ベースの研究では、メトホルミンが、2型糖尿病患者4人中1人(殆どの報告では、乳酸アシドーシス率の増加に関連していない)における腎臓リスクを示唆する優良ガイドラインに反して処方される可能性があることが示されています。観察研究は、その使用のための慢性腎臓禁忌を有する患者においてさえも、大血管の結果に対するメトホルミンの潜在的利益を示唆している。

結論と関係:
利用可能な証拠は、推定糸球体濾過率によって定義されるように、軽度から中等度の慢性腎疾患患者におけるメトホルミン使用の慎重な拡大を援助し、適切な用量の減少および腎機能の慎重なフォローアップを支援する。



0

メトホルミン服用中の乳酸アシドーシスの粗発症率は3.3人/10万人年であった。

メトホルミンは国内外で糖尿病の第一選択薬です。副作用として乳酸アシドーシスが有名ですが、危険因子はあるのでしょうか。また、乳酸アシドーシス発症の頻度はどの程度なのでしょう。

「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」が、2012年2月1日にビグアナイドを安全に使用するための勧告(ビグアナイド薬の適正使用に関するRecommendation)を発表しました(2016年5月12日改訂)。その中で 次のことが述べられています。① 標準化eGFRが30mL/min/1.73m^2未満の患者には投与禁忌である事、脱水、ショック、急性心筋梗塞、重症感染症の場合などやヨード造影剤の併用などではeGFRが急激に低下することがあるので注意を要する事、腎血流量を低下させる薬剤(レニン・アンジオテンシン系の阻害薬、利尿薬、NSAIDsなど)の使用などにより腎機能が急激に悪化する場合があるので注意を要する事、②シックデイの際には脱水が懸念されるので、いったん服薬を中止し主治医に相談する事、③ 経口摂取が困難な患者や寝たきりなど全身状態が悪い患者には投与すべきではない事、④ 原則として75歳以上の高齢者では新規の投与は推奨しない事など。

また、頻度については、英国のデーターベースを用いたコホート研究で、メトホルミン服用中の乳酸アシドーシスの粗発症率は3.3人/10万人年であったと言う報告があります。発症には、急性心不全、尿路性敗血症、循環血液量減少、けいれん発作、急性腎不全と言った、機知の乳酸アシドーシスの危険因子が並存していました。以下に、論文アブストラクトと、本文の乳酸アシドーシスの項目の機械翻訳を掲載します。
---------------------------------
[要旨]

目的:乳酸アシドーシスは、メトホルミンの使用に関連している。低血糖症はSU剤を使用する主要な問題である。この研究の目的は、2型糖尿病患者の乳酸アシドーシスと低血糖のリスクを経口抗糖尿病薬を用いて比較することである。

研究デザインと方法:この研究は、経口抗糖尿病薬を使用している2型糖尿病の患者を同定するために、英国に拠点を置く一般実践研究データベースを用いたネステッド・ケースコントロール分析である。研究集団内では、乳酸アシドーシスおよび低血糖症のすべての事例が同定され、低血糖症例被験者は、年齢、性別、一般診療、診断された日付に基づいて4人までの対照患者とマッチさせた。

結果:研究対象者50,048人の2型糖尿病患者のうち、現在使用されている経口抗糖尿病薬の乳酸アシドーシス6例が同定され、メトホルミン使用者の間で10万人あたり3.3件、SU剤の使用者の間で10万人あたり4.8件の粗発生率が確認された。乳酸アシドーシスの危険因子として知られている関連合併症は、すべての症例において同定することができた。低血糖を起こしたケース2,025人と、マッチさせたコントロールの7,278人が同定された。SU剤の使用は、低血糖の重大な上昇リスクと関連していた。現時点のメトホルミンの使用と比較して、SU剤の現在の使用に対する調整オッズ比は2.79(95%CI 2.23-3.50)であった。

結論:経口抗糖尿病薬の現在の使用中の乳酸アシドーシスは非常にまれであり、並存する疾患と関連していた。血糖降下のエピソードは、SU時の使用者の間ではメトホルミンの使用者よりも実質的に多くみられた。

---------------------------------
Diabetes Care. 2008 Nov;31(11):2086-91. doi: 10.2337/dc08-1171. Epub 2008 Sep 9.

Metformin, sulfonylureas, or other antidiabetes drugs and the risk of lactic acidosis or hypoglycemia: a nested case-control analysis.

Bodmer M1, Meier C, Krähenbühl S, Jick SS, Meier CR.
Author information
•1Division of Clinical Pharmacology and Toxicology, University Hospital Basel, Basel, Switzerland.

Abstract

OBJECTIVE:
Lactic acidosis has been associated with use of metformin. Hypoglycemia is a major concern using sulfonylureas. The aim of this study was to compare the risk of lactic acidosis and hypoglycemia among patients with type 2 diabetes using oral antidiabetes drugs.

RESEARCH DESIGN AND METHODS:
This study is a nested case-control analysis using the U.K.-based General Practice Research Database to identify patients with type 2 diabetes who used oral antidiabetes drugs. Within the study population, all incident cases of lactic acidosis and hypoglycemia were identified, and hypoglycemia case subjects were matched to up to four control patients based on age, sex, practice, and calendar time.

RESULTS:
Among the study population of 50,048 type 2 diabetic subjects, six cases of lactic acidosis during current use of oral antidiabetes drugs were identified, yielding a crude incidence rate of 3.3 cases per 100,000 person-years among metformin users and 4.8 cases per 100,000 person-years among users of sulfonylureas. Relevant comorbidities known as risk factors for lactic acidosis could be identified in all case subjects. A total of 2,025 case subjects with hypoglycemia and 7,278 matched control subjects were identified. Use of sulfonylureas was associated with a materially elevated risk of hypoglycemia. The adjusted odds ratio for current use of sulfonylureas was 2.79 (95% CI 2.23-3.50) compared with current metformin use.

CONCLUSIONS:
Lactic acidosis during current use of oral antidiabetes drugs was very rare and was associated with concurrent comorbidity. Hypoglycemic episodes were substantially more common among sulfonylurea users than among users of metformin.

PMID:18782901PMCID:PMC2571051DOI:10.2337/dc08-1171
---------------------------------
乳酸アシドーシス

我々は、乳酸アシドーシスの記録されたコードを有する14人の患者を同定した。医療記録のマニュアルレビューの後、ケトアシドーシス、呼吸性アシドーシス、または非酸性高浸透圧不全を有するため、7人の患者を除外した。 5人の患者が現在のメトホルミン使用者であり、1人の患者(No.4)は過去のメトホルミン使用者として分類され、1人は現在のグリクラジド使用者であった(表1)。現在、経口抗糖尿病薬を使用している6人の被験者のうち、5人は乳酸アシドーシスの既知の危険因子(急性心不全、尿路性敗血症、循環血液量減少、けいれん発作、急性腎不全)の急性増悪に苦しんでいた。 7例中2例が死亡した(No.1、No.5)。メトホルミン使用者数、処方箋枚数、およびメトホルミン処方あたりの平均錠剤数に基づいて、メトホミン使用者における乳酸アシドーシスの粗発生率は、10万人年あたり~3.3人であると評価した。スルホニルウレアの現在の使用中の乳酸アシドーシスの粗発生率は、10万人年あたり~4.8であった。ケース(症例)数が小さいため、正式な分析は行われなかった。
---------------------------------
Lactic acidosis
We identified 14 patients with a recorded code for lactic acidosis. After manual review of the medical records, we excluded seven patients because they had ketoacidosis, respiratory acidosis, or nonacidotic hyperosmolar dysfunction. Five patients were current metformin users, one patient (no. 4) was classified as a past metformin user, and one was a current gliclazide user (Table 1). Among six case subjects with current use of oral antidiabetes drugs, five suffered from acute worsening of known risk factors for lactic acidosis, namely acute heart failure, urosepsis, hypovolaemia, seizure, or acute renal failure. Two of seven patients died (nos. 1 and 5). Based on the number of metformin users, prescriptions, and average number of tablets per metformin prescription, we assessed a crude incidence rate of lactic acidosis in metfomin users of ∼3.3 per 100,000 person-years. The crude incidence rate of lactic acidosis during current use of sulfonylureas was ∼4.8 per 100,000 person-years. Due to the small case number, no formal analyses were conducted.

---------------------------------


0