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ピロリ菌除菌の成功率が高く値段の安いレジメンは?
☑️はじめに
ピロリ菌除菌のレジメン間で成功率に差はあるのでしょうか?
わたしたちと一緒に見て行きましょう。はじまり、はじまり。
プロローグ
👳安価で効果の高いピロリ除菌薬はどれだ?俺は派手にボノサップを使いたいが値段を気にされるのでな✨
👩ガイドラインではPPIの違いで治療効果に差はないとしているけど、CAMに対するピロリ菌の感受性を調べずに1次療法するなら、強いて言えばラベプラゾールを含むレジメンかな🍡
👩PPIは2C19で-OH体や脱メチル体に代謝され不活化されるわ🍡
👩2C19には遺伝子多型があって、オメプラゾール血中濃度、胃内pH、CAM抵抗性ピロリ菌の除菌率が相関したとする報告があるよ🍡
👩PPIの血中濃度推移をホモEM・ヘテロEM・PM間で比較すると、ラベプラゾールが最も差が少なく、ついでランソプラゾール、オメプラゾールだったわ🍡
出典: twitter.com
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☑️ピロリ菌除菌のレジメンと値段
1シートの薬価は次のようになります。
ボノサップパック400 …733.80円
ラベキュアパック400 …430.10円
ランサップ400 …………561.60円
ボノサップパック以外はジェネリックを使用すれば更に価格を抑える事が出来そうです。
薬価サーチ
出典: yakka-search.com
☑️除菌の成功率と失敗する理由
ピロリ菌がクラリスロマイシン(CAM)耐性であれば、除菌失敗の可能性があります。
CAM感受性菌であれば、PPI/AMPC/CAM療法で90%以上の除菌率とされます。一方耐性菌ではPPI/AMPC/CAM療法での除菌率は40~60%とされます。
日本でのCAM耐性菌の割合は30%程度とされます。
一次除菌に失敗すればCAM耐性が獲得されます。
メトロニダゾールを使用した二次除菌の成功率は90%とされます。
2010-2011年の日本国内のサーベイランスによると、H.pylori菌全体でのCAM耐性は31.0%、MNZ耐性は2.8%ですが、一次/二次除菌に失敗すればCAM耐性は86.2%/80.2%、MNZ耐性は5.5%/68.7%と報告されています。
(Helicobacter Research 2014;18:118-125)
2016改訂版 H.pylori感染の診断と治療のガイドライン
出典: www.jshr.jp
☑️各プロトンポンプ阻害薬(PPI)の治療効果のエビデンス
またPPIを代謝するCYP2C19には遺伝子多型があり、これも除菌の成否に関連します。モンゴロイドでは人口の13~20%、コーカソイドでは3~4%に代謝活性の低いPMがいるとされます。(オメプラール添付文書)
代謝活性の高いEMの場合、代謝活性の低いPMに比べてPPIのAUCは小さくなり、胃内pHも十分に上昇しないため、除菌効果が劣り、除菌失敗が多くなります。
オメプラゾールによる除菌レジメンで、オメプラゾールの血漿中濃度と胃内pHの上昇、CAM耐性ピロリ菌の除菌効果に相関があることが示されています。
除菌率はホモEM7.1%、ヘテロEM54.5%、PM87.5%、全体で42.4%でした。
Effect of genotypic differences in CYP2C19 on cure rates for Helicobacter pylori infection by triple therapy with a proton pump inhibitor, amoxicillin, and clarithromycin
Fruta T et al,Clin Pharmcol Ther,69:158(2001)
☑️オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールの薬物動態学的な違い
さ
他のPPIもCYP2C19で代謝されるので、血漿中濃度には遺伝子多型が見られます。PMとEMの差はオメプラゾールで最も大きく、ついでランソプラゾールが中間でした。ラベプラゾールはPMとEMの差は小さいという結果でした。
CYP2C19 Genotype and Pharmacokinetics of Three Proton Pump Inhibitors in Healthy Subjects
Sakai T et al, Pharmacceut Res,18:721(2001)
☑️CYP2C19遺伝子多型とCAM耐性ピロリ菌に対する治療効果
日本消化器病学会のガイドラインを確認すると、次のような記載がありました。
・3剤療法においてオメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールの除菌率は同等との報告がある51)。
・CYP2C19の違いによる除菌率はオメプラゾール、ラベプラゾールでPMとRMの間で差は無かったとする報告がある52,53)。
・CYP2C19遺伝子多型は除菌率に有意の差は無いが、背景の状態をIL-1B遺伝子多型と組み合わせて検討すると、正常分泌群ではPMの除菌率がRMに比べて高いとする報告がある51)。
日本消化器病学会 消化性潰瘍診療ガイドライン
ガイドラインの引用文献を確認すると以下の内容でした。
51)Interleukin-1 genetic polymorphism influences the effect of cytochrome P 2C19 genotype on the cure rate of 1-week triple therapy for Helicobacter pylori infection
52)Efficacy of triple therapy with rabeprazole for Helicobacter pylori infection and CYP2C19 genetic polymorphism
53)A randomized open trial for comparison of proton pump inhibitors, omeprazole versus rabeprazole, in dual therapy for Helicobacter pylori infection in relation to CYP2C19 genetic polymorphism
☑️P-CABのボノプラザンを含むレジメンについて
CAM耐性菌ではPPI/AMPC/CAM療法での除菌率は40~60%とされますが、P-CAB/AMPC/CAMでは80%程度です。
メトロニダゾールを使用したレジメンではCAM耐性でも90%とされますが、保険上最初からメトロニダゾールを使用した二次除菌のレジメンを使う事は出来ないので、患者が価格を容認出来れば、ボノサップパックを選択肢に加えて良さそうです。
「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2016改訂版」
出典: www.jshr.jp
☑️まとめ
ピロリ菌除菌の成功率はピロリ菌がCAM耐性の有無、患者のCYP2C19遺伝子多型の他、PPIの用量等に左右されるので、確立された1次除菌のレジメンにおいて、使用するPPIの違いによる成功率は統計的には有意な差は出ないのかも知れません。
しかし患者がわずかでも安い治療薬を希望しており、CAM感受性を検査する事なしに一次療法を行うのであれば、CYP2C19の遺伝子多型の影響が最小のPPI、ラベプラゾールを用いた3剤療法を検討して良いのではないかと思われました。
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最終更新日2021年2月17日
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