透析患者に対する投与設計はどうしたらよいですか

Print Friendly, PDF & Email

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。



透析患者に対する投与設計はどうしたらよいですか

☑️はじめに

透析導入患者に対する投与設計について、薬物動態学的根拠を示して解説します。

さくら先輩、平均透析クリアランスって何ですか?

透析と非透析のクリアランスを時間平均したものだよ。ゆきさん、一緒に見ていこう

プロローグ

Rp.クラビット500 1錠 本日
  クラビット250 1錠 明後日

👨‍⚕️透析の方です。シャントの腕が腫れて
👩‍⚕️クラビットは、ほぼ腎排泄型だね。ローディングドースの後は調節が必要

👨‍⚕️添付文書では透析はCcr<20に準じるとされますね
👩‍⚕️透析を週3日した場合の平均クリアランスは10mL/分だよ

出典: twitter.com

運営者から、クローズドコミュニティに対する思いをお伝えしています。

クローズドコミュニティが今後の主流になるたったひとつの理由

記事の続きをどうぞ。


Googleアイコンをクリックすると無料登録/ログイン出来ます。会員規約にご同意下さい。

☑️透析導入患者に対する投与設計のポイント

透析導入患者に対する投与設計について、薬物動態学的根拠を示して解説します。

ポイントは以下になります。

①透析により体内動態が変化する薬物なのか判断する。

②透析は平均すればCcr換算で10mL/minの腎機能を代替すると考え、Giusti-Hayton法で維持量を算出する。または文献的な推奨量を用いる。

③透析除去率fdの大きい薬物を透析日に投与する場合は透析終了後に投与する。

エキスパートが教える薬物動態 じほう 2017年10月臨時増刊号

出典:

☑️透析により体内動態が変化する薬物なのか

血液透析は、腎不全により低下した腎機能の一部(主に糸球体ろ過)を代替する治療法です。

従って、腎排泄型の薬物は透析の影響を特に受けやすく、投与量の調整が必要となります。

一般に薬物の尿中未変化体排泄率Ae>0.7の場合、腎排泄型と分類されます。

また、0.7~0.3は中間型と分類されます。中間型もハイリスク薬の場合は調節が必要と考えられます。

尿中未変化体排泄率Ae>0.7の場合、腎排泄型と分類する

0.7~0.3の場合、中間型と分類する

エキスパートが教える薬物動態 じほう 2017年10月臨時増刊号

出典:

☑️透析は平均すればCcr換算で10mL/minの腎機能を代替

透析クリアランスは140mL/minです。一方非透析時のクリアランスは、ほぼ0mL/minです。

透析導入患者の平均的なクリアランスは、1週間における時間平均として算出可能です。

週に3日間、1日4時間の透析を行った場合、平均透析クリアランスは10mL/minと推算されます。

平均透析クリアランスは10mL/minに相当する

エキスパートが教える薬物動態 じほう 2017年10月臨時増刊号

出典:

☑️Giusti-Hayton法で維持量を算出

腎機能低下患者に対する投与設計法としては、Giusti-Hayton法が知られています。

尿中未変化体排泄率Aeと腎機能低下患者のクレアチニンクリアランスCcrから、薬物の全身クリアランスの残存率を算出して、投与設計を行います。

補正係数G=1-Ae(1-Ccr/120)

*正常腎機能を120mL/minと仮定

1回投与量’=1回投与量xG

または

投与間隔’=投与間隔/G

として算出

エキスパートが教える薬物動態 じほう 2017年10月臨時増刊号

出典:

☑️透析除去率fdの大きい薬物を透析日に投与する場合は透析終了後に投与

パラメーターとして透析除去率fdが大きい薬物は、透析前後で血中濃度の変化が大きい薬物です。

透析前に投与すると、投与された薬物の大部分が投与直後に除去されてしまいます。

このため、fdが大きい薬物は必ず透析後に投与することが重要です。

fdが大きい薬物は透析後に投与する

エキスパートが教える薬物動態 じほう 2017年10月臨時増刊号

出典:

☑️まとめ

透析患者に対する投与設計を薬物動態学的根拠を示しながら解説しました。

透析患者の薬物動態を考える上で、「透析による除去」という現象を「クリアランス」という薬物動態パラメーターに置き換えることが重要です。

一般に透析は平均すればクレアチニンクリアランス換算で10mL/min程度に相当しますので、それに応じた減量が原則になります。

また、透析による急激な薬物血中濃度の低下を避ける為、投与タイミングは透析終了後とすることが一般的です。

エキスパートが教える薬物動態 じほう 2017年10月臨時増刊号

出典:

☑️会員のススメ

今回の記事はいかがでしたでしょうか?気に入って下さったら、会員登録をお勧めします。会員限定の記事が閲覧出来るようになります。月々の購読料は、喫茶店で勉強する時に飲むコーヒー一杯の値段で提供しています。人生で一番価値のある資源は時間です。効率的に学習しましょう!値段以上の価値を提供する自信があります。

クリック会員について

会員になりませんか?

最終更新日2021年8月21日

☑️コラム

職場の悩みはありませんか?

わたしも最初の職場がどうしても合わず、1年足らずで退職。今の職場は上司や同僚に恵まれ、毎日楽しく働いています。

あなたが現状に悩んでいるのであれば、専門家に相談してみてはいかがでしょうか?

転職を考える場合、現在の環境から離れることを一番に考えてしまいがちですが、転職先には現在の職場にない問題があります。

わたしはラッキーでしたが、転職後の方が辛い思いをしてしまった、と言う話も耳にします。

自分に適した職場を見つけるためには、頼れるスタッフに協力してもらうことが重要です。

回り道のように見えますが、転職を成功させるための最短の近道と思います。

あなたも1歩踏み出してみてはいかがでしょうか?

迷っているならまずは登録してみましょう。

スポンサーリンク
完全無料!1分間の簡単登録
あります!今よりアナタが輝く職場
薬剤師の求人ならエムスリーキャリア

☑️推薦図書

エキスパートが教える薬物動態

スポンサーリンク

スポンサーリンク


☑️拡散のお願い

わたしのサイトが参考になったと思って下さったあなた、バナークリックをお願いします。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

自分だけ知ってるのはもったいないと思って下さったあなた、SNSボタンでシェアをお願いします。