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ストラテラ®️はパキシル®️と安全に併用出来ますか?
☑️はじめに
薬局薬剤師もDIで貢献したい。
こんな思いを持つ薬剤師は少なくないと思います。わたしもその1人です。大学で医師と同じ6年間の専門過程を修め、国家資格を持つ医療職。
専門性を生かし、薬物療法のプロフェッショナルとして腕前を奮いたい。多くの薬剤師の願いだと思います。
それでは、どうすれば実践出来るのでしょう?
DIを実践する為の日々の備えを紹介したいと思います。
どんな方法なんでしょう?わたしたちと見て行きましょう!はじまり、はじまり。
プロローグ
🐗併用注意‼️
🐗アトモキセチン服用中にパロキセチン追加になったぞ‼️👩2D6の相互作用でアトモキセチンAUCが上昇するね🍡CR-IR法で理論的に3~10倍。文献でも6.5倍の報告あるよ🍡
🐗禁忌に近い注意じゃないか💢💢
👩だね。どうする⁉️
🐗猪突猛進‼️
①🐗アトモキセチン減量を提案するぜ‼️
②🐗フルボキサミンに変更提案するぜ‼️出典: twitter.com
運営者から、クローズドコミュニティに対する思いをお伝えしています。
記事の続きをどうぞ。
☑️普段から併用の定量的評価を準備しておきたい
プロローグのような場面に遭遇したとします。何の備えも無かったら、右往左往してしまうと思います。
添付文書では併用注意。根拠となる文献も記載されていません。これだけの情報で臨床判断を行うのは無理です。
普段からの備えが重要です。と言うか全てです。
併用の定量的評価を行うために、わたしが実践している方法を紹介します。
☑️「薬物動態の変化を伴う薬物相互作用2019」を眺める
薬物相互作用2019のポスターが非常に役に立ちます。
アトモキセチンはCYP2D6の影響を受けやすい基質であり、パロキセチンはCYP2D6の強い阻害薬であることが分かります。
CR-IR法による定量的評価で、アトモキセチンのAUCは理論上3~10倍に上昇することが予測されます。
薬物動態の変化を伴う薬物相互作用2019
出典: www.ptweb.jp
☑️文献情報を検索する
実際の併用を検討した文献が無いかと思い、Googleで文献検索を行いました。
ボランティアによる探索的試験がヒットしました。併用により、アトモキセチンAUCが6.5倍と報告されています。
Effect of potent CYP2D6 inhibition by paroxetine on atomoxetine pharmacokinetics
パロキセチンによる強力なCYP2D6阻害作用がアトモキセチンの薬物動態に及ぼす影響
概要
本試験の目的は、パロキセチンによる強力なCYP2D6阻害作用がCYP2D6EMの被験者のアトモキセチン体内動態に及ぼす影響を明らかにすることであった。本試験は、健常人22名を対象とした単盲検2期連続試験であった。第1期では、アトモキセチン20mg bidを定常状態まで投与した。第2期では,パロキセチン20mgを1日4回,17日間投与した。12日目から17日目まではアトモキセチン20mg bidを併用した。各投与期間において,アトモキセチン,4-hydroxyatomoxetineおよびN-desmethylatomoxetineの血漿中薬物動態を定常状態で測定した。パロキセチンの血漿中薬物動態は,11回目と17回目の投与後に測定した。
パロキセチンはアトモキセチンのCss.max,AUC0-12,t1/2をそれぞれ約3.5倍,6.5倍,2.5倍に増加させた。また,パロキセチンとの併用により,N-desmethylatomoxetineの濃度が上昇し,4-hydroxyatomoxetineの濃度が低下した。アトモキセチンとの併用によるパロキセチンの薬物動態の変化は認められなかった。
以上より、パロキセチンのCYP2D6阻害作用はアトモキセチンの体内動態に顕著な影響を与え、その結果、CYP2D6のPMと同様の薬物動態を示すことが明らかとなった
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
☑️アトモキセチン過量投与について
文献検索を行いました。
15 歳の女性患者では、アトモキセチン1800 mgを単独で過量服用し、QTc 間隔延長と頻脈を発現したと報告された。しかし、実測値は得られず、その他の情報も得られなかった。
「ストラテラカプセル 臨床安全性の概要」出典: www.pmda.go.jp
☑️他SSRIのCYP2D6への影響を調べる
SSRIによるCYP2D6への影響を調べました。
基質薬のAUCが基本的に何倍になるかで表されています。
強力(5倍以上)……パロキセチン
中程度(2倍以上)…セルトラリン
軽度(2倍以下)……フルボキサミン
不明 ……エスシタプロラム
☑️アトモキセチン減量またはSSRI変更が対処法と考えられる
パロキセチン併用により、CYP2D6PMの代謝能と同等になると言う事が分かりました。
PM患者と同じ用量のアトモキセチンまで減量して対処する方法が考えられます。
若しくは、CYP2D6への影響が少ないSSRI、例えばフルボキサミンに変更が考えられます。
ただし、CYP1A2で代謝される薬剤の服用が無いことが条件になります。
☑️まとめ
ここまでのリサーチで、ストラテラ®️とパキシル®️の併用が厚みを持って理解出来るようになったと思います。
時間のある時にここまで調べてまとめておいて、ストラテラ服用患者の申し送りに注意事項として書き入れておけば、落ち着いて対処出来るのではないでしょうか。
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最終更新日2020年3月28日
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