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FHの記事の続きです。
FHは見逃されやすい疾患とされ、FH患者のうち、診断が確定しているのは全体の15~20%程度で、しかも適切な治療を受けているのは10%に過ぎないと言う海外の報告があります1,2)。
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1)Leren TP: Clin Genet 66(6): 483-487, 2004
2)Datta BN, et al.: Curr Opin Lipidol 21(4): 366-371, 2010
日本全体で約30万人の患者がいると推定1)されており、実地診療において遭遇する頻度の最も高い遺伝性疾患の1つです3)。
3) 日本動脈硬化学会 編 : 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版, 杏林舎, 2012
FHの3主徴は以下のようになります4)。
①高LDL-コレステロール(LDL-C)血症
・ヘテロ接合体: LDL-C 150~420mg/dL
・ホモ接合体: LDL-C 500~900mg/dL
②早発性冠動脈疾患
未治療の男性で30~50歳、女性で50~70歳の間に心筋梗塞、狭心症などの冠動脈疾患の発症が多い4) 。
③腱・皮膚黄色腫
手背、膝、肘、眼瞼、手首などに、コレステロール沈着による黄色っぽい隆起した斑点、あるいはアキレス腱の肥厚が認められる。
4)Mabuchi H, et al.: Circulation 79(2): 225-232, 1989
FHヘテロ接合体患者の臨床像は、このように記述されます5)。
年齢(歳) 41.9 ± 16.2
男性, n(%) 43 (39.4%)
皮膚黄色腫, n(%)25 (22.9%)
TC(mg/dL) 321 ± 68
TG(mg/dL) 139 ± 82
HDL-C(mg/dL) 51 ± 15
LDL-C(mg/dL) 242 ± 70
CADの家族歴, n(%)47 (43.1%)
5)Sugisawa T, et al.: J Atheroscler Thromb 19(4): 369-375, 2012
FHヘテロ接合体の診断基準は、次の通りです3)。
①高LDL-C血症(未治療時のLDL-C値 180mg/dL以上)
②腱黄色腫、あるいは皮膚結節性黄色腫
③FHあるいは早発性冠動脈疾 患の家族歴(2親等以内の血族)
上記2項目が当てはまる場合、FHと診断します。追記すると、
・LDL-Cが250mg/dL以上の場合、FHを強く疑う。
・早発性冠動脈疾患は男性55歳未満、女性65歳未満と定義する。
・FHと診断した場合、家族についても調べることが望ましい。
最後に、FHの診断治療です。
・FHでは動脈硬化性疾患のリスクが高いため、生活習慣の改善を実施する前に、労作性狭心症の有無の問診、運動負荷心電図、心エコー検査によって、動脈硬化性疾患の評価を行う。
・薬物療法では、スタチンが第一選択薬となる。効果不十分な場合には、エゼチミブや胆汁酸吸着レジン、プロブコール、フィブラート系製剤、ニコチン酸誘導体などを併用する。
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