年間死亡リスクを用いて、薬の副作用頻度の提示に具体性を持たせる。

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年間死亡リスクを用いて、薬の副作用頻度の提示に具体性を持たせる。

☑️はじめに

副作用のリスクをどのように伝えるか、と言う話をします。

スタチンを服用していて、横紋筋融解症で年間に入院する確率は、道路交通事故で年間に死亡する確率よりわずかに低い、と言う内容を見ていきましょう。

☑️臨床研究から頻度の情報が得られる

観察研究やランダム化試験によるデータの蓄積によって、私たちは薬理学的な説明では得られない、定量的な情報、すなわち頻度の情報を得る事が出来るようになりました。

これは、薬を飲む患者とリスクコミュニケーションを行う上で重要な情報と考えられます。

けれど、副作用が起きる率をそのまま伝えたのでは、それがよく起きる事なのか、滅多に起こらない事なのか、判断が難しく感じる事もあるでしょう。

☑️年間死亡リスクと言う概念を導入する

リスクマネジメントと言う学問分野で、リスクがどの程度深刻なものかを相対的に判断する目安として、年間死亡リスクと言う考え方があります。

一個人が1年間に死亡する確率の事で、厚生労働省が発表している人口動態統計年報主要統計表から確認する事が出来ます。

厚生労働省 平成26年度人口動態統計年報主要統計表

出典: www.mhlw.go.jp

様々なリスクについてエンドポイントを統一し、死亡率を比較する事で、リスクがどの程度の大きさを持って存在しているのか知ることが出来ます。

これを、疾病の発症率や死亡率、副作用の発現頻度等と比較してみると、数値が具体性を持って認識出来るのではないかと考えます。

例えば、スタチンの副作用である横紋筋融解症を発症して、入院するに至る頻度は、0.44/10,000人年と報告されています。

Incidence of hospitalized rhabdomyolysis in patients treated with lipid lowering drugs. PMID:15572716

出典: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

これは日本の道路交通事故による年間死亡リスク0.45/10,000人年と、ほぼ同じです。

☑️まとめ

副作用の頻度が稀と伝えるよりも、横紋筋融解症で年間に入院する確率は、日本で年間に道路交通事故で人が亡くなる確率よりもわずかに低い、と説明した方が具体性を持って認識出来るのではないでしょうか。

このリスクが大きいか、小さいかは問題ですが、その話に関しては日を改めて書こうと思います。

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最終更新日2020年12月12日

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☑️参考文献

1)Incidence of hospitalized rhabdomyolysis in patients treated with lipid lowering drugs. PMID:15572716

2)改訂版 生活リスクマネジメント 奈良由美子 放送大学大学院教材

3)厚生労働省 平成26年度人口動態統計年報主要統計表

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