シンバスタチンとフルコナゾールは安全に併用出来ますか?



シンバスタチンとフルコナゾールは安全に併用出来ますか?

目次

はじめに

シンバスタチン(商品名リポバス)とカンジダ治療薬のフルコナゾール(商品名ジフルカン)は薬物相互作用がある

シンバスタチン5mg服用中の80歳女性に、食道カンジタ症の治療でフルコナゾール50mgが処方されました。

併用禁忌のイトラコナゾール(商品名イトリゾール)と異なり併用注意と添付文書に記載されている

両剤は添付文書で併用注意とされています。一方、類薬のイトラコナゾールは併用禁忌です。イトラコナゾールの併用で、シンバスタチンのAUCが19倍になったという報告があります。

シンバスタチンとフルコナゾールは安全に併用できるでしょうか。

相互作用の機序はシンバスタチンの肝代謝が阻害され、血中濃度が上昇すること

シンバスタチンとフルコナゾールの相互作用について概観します。

スタチンとアゾール系真菌薬併用は、PISCSによる定量的予測が出来、今回は2.7倍と推定される

シンバスタチンは主として肝臓の薬物代謝酵素CYP3A4で代謝されます。一方、フルコナゾールはCYP3A4を中程度阻害します。

PISCSによれば、シンバスタチンのCYP3A4寄与率CR0.9、またフルコナゾールのCYP3A4阻害率IC0.7です1)。

同時に服用することで、シンバスタチンのAUC2.7倍の上昇が理論的に予測されます。PISCSの精度を考えると、3~5倍の上昇です。

シンバスタチンとフルコナゾールの服用により、副作用の横紋筋融解症を惹起した症例報告がある

Pubmedを検索すると、次の症例報告が見つかりました。

83歳白人男性で、シンバスタチン40mgとフルコナゾールの1週間の併用で横紋筋融解症を起こし、両剤の中止により回復しています。

PISCSではシンバスタチンが108mg(精度を考えると120~200mg)飲んだのと同じAUCになったと考えられます。

シンバスタチン
の用量が少なければ併用出来るかも知れないし、スタチンを休止または変更で対応出来るかも知れない

両剤が安全に使用できるか、薬を変更するならどうすれば良いか概観します。

シンバスタチンの用量についてインタビューフォームを見ると、米国添付文書では80mgでミオパチーリスク上昇としている

シンバスタチンの日本の用量の上限は20mgですが、米国での用量の上限は80mgです。

リポバスのインタビューフォームには、米国の添付文書が掲載されています 3)。

そこには用量に関する次のような注意事項が記載されていました。

・治療開始1年間は、横紋筋融解症を含むミオパチーのリスクが上昇するため、80mgの投与は、筋毒性の形跡がなく、慢性的(例えば、12ヶ月もしくは以上)に服用している患者に制限すること。

・すでに80mgを服用して禁忌もしくは、シンバスタチンの上限用量に関係している相互作用のある薬剤を服用する必要のある患者は、相互作用の可能性の少ないスタチン製剤に切り替えること。

・横紋筋融解症を含むミオパチーのリスクは、80mgの用量に関連して上昇するため、40mgでLDL-Cの目標達成できない患者には、80mgを投与するのではなく、LDL-C低下がより効果のあるその他のLDL-C低下薬を選択すること。

シンバスタチンが低用量であれば注意しながら併用できるかも知れない

シンバスタチンの国内の承認用量の上限は20mgであり、今回のAUC上昇は5mg x2.7=13.5mgと範囲内と考えられます。

筋症状の有無に注意しながら併用は可能かも知れません。

スタチンを休薬、または他剤へ変更してもよいかも知れない。

PISCSの予測精度を考えると、今回の併用は3~5倍のAUC上昇と表現されます。

より慎重にフルコナゾール服薬中のみシンバスタチンを休薬したり、他のスタチンに変更すると言う選択枝もあるでしょう。

変更候補はCYP3A4を介する相互作用が少ない、かつレギュラースタチンのプラバスタチンが提案できると思われます。

レギュラースタチンのフルバスタチンは、フルコナゾールとCYP2C9を介する相互作用があるため、プラバスタチンの方がベターと思われます。

もしも横紋筋融解症を起こしたらどうしたらよいか

フルコナゾールの半減期は長く、35時間程度です。

もし併用中に横紋筋融解症を起こした場合は、シンバスタチンとフルコナゾール双方の中止が望ましいと考えられます。

まとめ

シンバスタチンが低用量であれば、筋症状に注意しながらフルコナゾールを併用出来るかも知れません。

より慎重を期すのであれば、フルコナゾール服用中と服用終了後(フルコナゾールの半減期の5倍の)1週間程度はシンバスタチンを休薬しても良いでしょう。

もしくはCYP3A4の相互作用のないプラバスタチンなどに変更しても良いでしょう。

この対応が、より安全ではないかと考えられます。

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参考文献

1)https://ptweb.jp/images/asset/PT_DDI_2019_Jap_A4_0219.pdf
2)Simvastatin-fluconazole causing rhabdomyolysis. Ann Pharmacother. 2003 Jul-Aug;37(7-8):1032-5. PMID:12841814
3)リポバス錠 インタビューフォーム

推薦図書

「これからの薬物相互作用マネジメント―臨床を変えるPISCSの基本と実践」

PISCSを実践するためのハンドブックです。薬局に一冊、備え付けておきたい本です。PISCSに初めてふれる方にお勧め。

「医療現場のための薬物相互作用リテラシー」

薬物相互作用の基本、ピットホールが網羅的に紹介されていて、通読すれば一通りの知識が身に付きます。

中でも、PISCSと言う理論を用いて、薬物相互作用を定量的に予測する方法は圧巻です。

PISCSの適用方法だけでなく、理論的背景まで触れられています。これは今まで発刊されたPISCSの記事に類似するものがなく、わたしは夢中になって読みました。

薬物相互作用のマネジメントは、薬剤師の職能そのものと思いますので、ぜひPISCSを技の1つに加えましょう。

定量的な予測が加われれば、疑義照会や処方提案も受け入れられやすくなると思います。

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