SUR2受容体に親和性の高いSU剤は、虚血性心疾患のリスクとなるかも知れない。

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SUR2受容体に親和性の高いSU剤は、虚血性心疾患のリスクとなるかも知れない。

要点:虚血性心血管の既往症があってSU剤を使用する場合、虚血プレコンディショニングを邪魔しないグリクラジドが安全性が高いかも知れない。

デンマークの観察研究の報告では、SU剤はメトホルミンと比して全死亡率や心血管死亡率との関連が認められました。

グリメピリド、グリベンクラミド、グリピジドおよびトルブタミドを含む繁用されるSU剤を用いた単独療法で、死亡率および心血管リスクの増加と関連しているようだと結論されています。

一方、グリクラジドおよびレパグリニドは、他のSU剤より低リスクのようでした。

具体的な結果を見ましょう。心筋梗塞の既往のない患者において、総死亡のハザード比はグリメピリド:1.32(1.24-1.40)、グリベンクラミド:1.19(1.11-1.28)、グリピジド:1.27(1.17-1.38)、トルブタミド:1.28(1.17-1.39)でした。

また、心筋梗塞の既往のある患者では、グリメピリド:1.30(1.11-1.44)、グリベンクラミド:1.47(1.22-1.76)、グリピジド:1.53(1.23-1.89)、トルブタミド:1.47(1.17-1.84)でした。

統計的有意差を持って、リスクの増大が観察されました。

また、心筋梗塞の既往がない患者、および既往のある患者で、総死亡のハザード比はグリクラジド:1.05(0.94-1.16)および0.90(0.68-1.20)、レパグリニド:0.97(0.81-1.15)および1.29(0.86-1.94)で、メトホルミンと比較して統計的有意差は観察されませんでした。

薬理学的に見ると、SU剤は膵β細胞膜のSUR1に直接結合し、KATPチャネルを閉口させ、これにより細胞膜の脱分極が生じ、電位依存性Ca2+チャネルが開口、Ca2+イオンが細胞内に流入します。

ここから先は、グルコースによる生理的なインスリン分泌と共通の経路になります。これがSU剤がインスリン分泌を促すメカニズムです。

SU剤の作用する受容体SUR1は、膵β細胞の他、大脳皮質や視床下部に分布しています。

また、SUR2は心筋、骨格筋、平滑筋、血管平滑筋に分布しています。とくに心筋に発現しているSUR2Aは虚血プレコンディショニングと言う心筋保護作用に関わっていると考えられています。

心筋のKATPチャネル(SUR2A)は通常はほとんど閉口されていますが、心筋が虚血状態(心筋内ATP濃度低下)となったときには、KATPチャネルが開口することで心筋収縮力を低下させて心筋を保護します。

これを、虚血プレコンディショニングといいますが、心筋のSUR2Aに親和性をもつSU薬は心筋KATPチャネルの開口を阻害し、心筋障害を助長してしまう可能性があります。

ベンズアミド構造を持つグリベンクラミドなどのSU剤は、心臓のSUR2受容体に親和性が強く、心虚血時に悪影響を及ぼす可能性が指摘されていました。

今回の観察研究は、その仮説を支持する結果でした。グリクラジドはリスク増加傾向はありましたが、メトホルミンと比較して統計的有意差は観察されませんでした。

これはグリクラジドが膵SUR1受容体に選択性が高いと言う薬理学的知見と矛盾しません。

これらの知見から、心筋梗塞など虚血性心疾患の既往のある患者にSU剤を使用する場合は、グリクラジドが安全性が高いかも知れません。

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参考文献

1)Mortality and cardiovascular risk associated with different insulin secretagogues compared with metformin in type 2 diabetes, with or without a previous myocardial infarction: a nationwide study. PMID: 21471135

2)月刊糖尿病 2009.7 医学出版
3)類似薬の使い分け  羊土社

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