シクロスポリンは殆どのスタチンと併用禁忌?

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。



シクロスポリンは殆どのスタチンと併用禁忌?

☑️はじめに

👧「先輩、添付文書が特別なのは何故ですか」

👩「薬機法と言う法的根拠を持つ唯一の医薬品情報源だからだよ」
👩「医療保険や医療訴訟で医療水準の法的根拠としても用いられる」

👩「ただ、解釈に薬学的知識は必須。そこに薬剤師の存在意義があるんじゃないかな」

👩「今日は添付文書が併用注意記載の場合、どう振る舞えばよいのか考えてみよう」

出典:

運営者から、クローズドコミュニティに対する思いをお伝えしています。

クローズドコミュニティが今後の主流になるたったひとつの理由

記事の続きをどうぞ。

Googleアイコンをクリックすると無料登録/ログイン出来ます。会員規約にご同意下さい。

☑️ロスバスタチン・ピタバスタチンのみ添付文書に禁忌記載

シクロスポリンをスタチンと併用すると、スタチンの最高血中濃度とAUCが上昇することが知られています。

「シクロスポリンとスタチンの相互作用」
日腎会誌2012;54:999-1005.

出典: www.jsn.or.jp

添付文書で禁忌記載があるのはロスバスタチンとピタバスタチンだけです。

ところが、併用注意記載のプラバスタチンやシンバスタチン、アトルバスタチンも、禁忌相当のAUC上昇率と分かります。

☑️機序は有機アニオントランスポーターOATP1B1阻害

👧「先輩、スタチンとシクロスポリンの相互作用を教えて下さい」
👩「うん、肝取り込みトランスポーターOATP1B1の阻害に基づくよ」

Organic anion transporting polypeptide (OATP)1B1 and OATP1B3 as important regulators of the pharmacokinetics of substrate drugs
Kazuya Maeda. Biol Pharm Bull. 2015.

出典: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

☑️相互作用で血中濃度上昇し、副作用のミオパシー発症リスクに

👩「非代謝性スタチンのAUC上昇率4.6~23倍との報告がある」

👩「ミオパシーや横紋筋融解症リスクと考えられるよ」
👧「ばらつきが凄いですね」
👩「OATPの遺伝子多型の関与の可能性がある」

☑️血中濃度上昇の程度は遺伝的影響を受け、予測は困難

👩「コードするSLCO1B1の遺伝子変異c.521T>Cは比較的多い。」
👩「vitroの試験で明確な機能低下が証明されている」
👩「ホモ変異があるなしで、シンバスタチンのミオパシー発症リスクがオッズ比で16.9倍との報告もあるよ」

SLCO1B1 variants and statin-induced myopathy–a genomewide study

出典: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

👩「遺伝的影響は予測は困難なので、一律に警戒した方がリスクマネジメントとしては良策かな」

☑️フルバスタチン低用量なら併用可能

フルバスタチンはAUC上昇率が最大3倍、承認用量60mg/日なので、低用量であれば注意しながら使用する事は可能と考えられます。

ピタバスタチンが禁忌となった理由も、メーカー学術は、併用時の血中濃度が承認用量を越える可能性があるため、と回答しているようです。

☑️臨床スクリプト

 
それでは薬局での会話を見てみましょう。
 

📝「プラバスタチン10mg」

👨「今日から飲みます。アトピーで皮膚科で薬飲んでるの申告忘れました」

📖「シクロスポリン✨」

👩「むう、内科に電話しますね」

👩「先生、添付文書では併用注意ですが、最近の研究ではプラバスタチンAUC5~23倍との報告で、禁忌相当です」

☎️「ははあ…ではエゼチミブに」

👩「先生、実はエゼチミブは相互に血中濃度を上昇させます」

👩「フルバスタチンが最もシクロスポリンの影響少ないです。プラバスタチンと同じレギュラースタチンで、AUC1.9~3倍ですので、低用量を慎重に使用は可能と思います。CYP2C9で代謝されますが、相互作用の懸念される薬物の併用もありません」

☎️「成る程」

☎️「今回は1次予防で糖尿病もなく腎機能も正常、吹田スコアも低いです。スタチンが必須と思いません」

10年間の心筋梗塞を発症する確率が分かる 国循がスコアを公開

出典: dm-net.co.jp

☎️「生活指導で様子を見たいと思います。」

👨「あ、薬なくなったんですか。まあ飲まずに済むならその方が。お金もかかりますしね」

👩「食事と運動指導があります。医院に戻って頂けますか」

👧「勉強になりました」

☑️まとめ

いかがでしたか?

時には添付文書以上の情報が、薬学的判断に必要なことを見て来ました。体内動態だけでなく、治療の必要性を判断するためにはガイドラインを始めとした医学的知識も必要になります。

また、薬局では医師も患者さんも薬剤師も、お互い気持ちよくコミュニケーションを取りたいもの。明日からの業務のヒントになりましたら幸いです。

☑️会員のススメ

 

今回の記事はいかがでしたでしょうか?気に入って下さったら、会員登録をお勧めします。会員限定の記事が閲覧出来るようになります。月々の購読料は、喫茶店で勉強する時に飲むコーヒー一杯の値段で提供しています。人生で一番価値のある資源は時間です。効率的に学習しましょう!値段以上の価値を提供する自信があります。

 

クリック👉会員について

会員になりませんか?

最終更新日2020年10月22日

☑️コラム

職場の悩みはありませんか?

わたしも最初の職場がどうしても合わず、1年足らずで退職。今の職場は上司や同僚に恵まれ、毎日楽しく働いています。

あなたが現状に悩んでいるのであれば、専門家に相談してみてはいかがでしょうか?

転職を考える場合、現在の環境から離れることを一番に考えてしまいがちですが、転職先には現在の職場にない問題があります。

わたしはラッキーでしたが、転職後の方が辛い思いをしてしまった、と言う話も耳にします。

自分に適した職場を見つけるためには、頼れるスタッフに協力してもらうことが重要です。

回り道のように見えますが、転職を成功させるための最短の近道と思います。

あなたも1歩踏み出してみてはいかがでしょうか?

迷っているならまずは登録してみましょう。

スポンサーリンク
完全無料!1分間の簡単登録
あります!今よりアナタが輝く職場
薬剤師の求人ならエムスリーキャリア

☑️推薦図書

基本が身につく・考え方がわかる エキスパートが教える薬物動態

内科診療ストロングエビデンス

スポンサーリンク

スポンサーリンク


☑️拡散のお願い

 

参考になったと思って下さったあなた、バナークリックをお願いします。

 

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

 

自分だけ知ってるのはもったいないと思って下さったあなた、SNSボタンでシェアをお願いします。