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キノロンの1A2阻害様式は代謝物とテオフィリンの競合阻害?
☑️はじめに
さくら先輩、キノロンとテオフィリンの相互作用のリスクは一様でしょうか?
ゆきさん、いい質問ね。相互作用の強度で3つのグループに分類されているよ。詳しく見てみよう。
プロローグ
👧キノロンとテオフィリンの1A2相互作用を教えて下さい
👩阻害の強度で3群に分類されるよ
I…エノキサシン(強)
II…シプロフロキサシン、トスフロキサシン等(中)
III…レボフロキサシン等(弱)👩機序は不明とするものの、キノロンの代謝物である4-oxo体が、テオフィリン代謝経路で拮抗?と考えられているよ
👩複数のキノロンでテオフィリンAUC上昇率と尿中4-oxo体排泄量が相関するのが論拠
👧メモメモ
出典: twitter.com
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☑️Quinolone薬とtheophylline血中濃度—その相互作用の程度に基づく分類法について
キノロンをテオフィリンとの相互作用の強度によって3群に分けた報告があります。
抄録
13種のquinolone薬について, 健康成人ボランティアを用い, 経口徐放性theophylline (TP) 製剤との併用時のTP血中濃度におよぼす影響を検討した。
その成績に基づいて, TP血中濃度におよぼす影響の程度からquinolone薬を3群に分類した。
I群は併用5日目のTP濃度を, Cmax, AUCで40%以上上昇させるものでpipemidic acidとenoxacinが含まれ, II群は同じく15~39%のTP血中濃度上昇を示したもので, これにはpefloxacin, cipronoxacin, tosufloxacin, OPC-17116が分類された。
III群はTP血中濃度に影響しない薬剤でofloxacin, norfloxacinなど7薬剤であった。
「Quinolone薬とtheophylline血中濃度—その相互作用の程度に基づく分類法について」
☑️Quinolone薬とtheophylline血中濃度—その相互作用の程度に基づく分類法について(続)
I群は禁忌、II群は場合によって副作用が出る可能性があり注意、III群は安全に使用出来るとしています。
1群はPPAとENXの2剤のみであるが、強い相互作用を認め、原則的にはTPとの併用が避けられるべき薬剤と考えられる。
II群はその程度は明らかに弱く、副作用の出現の可能性は低いが、患者条件やTP投与重さらにquinolone薬自体の投与量、投与法によっては副作用発現の可能性もあるとされるグループで、事実CPFXではさきに述べた高齢者での報告があり、OPC-17116では我々の検討でも5例中1例が軽度の副作用を訴えている。
本例での副作用は軽度の熟感であり、1群のPPAやENXでみられたものより軽度であり、現実にそのTP血中濃度の併用5日目におけるピークも12.5μg/mlと決して高くはなかったが、副作用発現の閥値には個人差も大きいと考えられる。したがってその併用には注意を要する。
III群は、少なくとも我々の検討では有意のTP血中濃度変動を示さなかったもので、他の要因のない限り、併用時の高TP血中濃度による副作用発現の危険性はないと考えられるものである。
☑️テオフィリンに対する薬物相互作用:キノロン系抗菌剤
先行研究ですが、阻害によるAUC上昇率は、ほぼ同じ結果です。
1986年、Wljnands らは慢性閉塞性肺疾患を伴う患者8名を対象にキノロン系抗菌剤(ENX、CPFX、PFLX、OFLXおよびNA)のテオフィリンクリアランスに及ぼす影響について報告した。
定常状態における平均最高血中濃度は、併用2− 3日後よりENXで約111%、CPFXで約23%およびPFLXで約20%上昇したが、OFLXおよびNAでは不変であった。
一方、総テオフィリンクリアランスはENX併用で約64%、CPFXで約30%、PFLXで約29%と有意な減少が認められた。OFLXおよびNAとの併用では、テオフィリンの pharnacokinetic parametersは不変であった。
☑️テオフィリンに対する薬物相互作用:キノロン系抗菌剤(続)
阻害様式ですが、キノロンの代謝物である4-oxo体が競合するためと考察されています。
論拠は、複数のキノロンの4-oxo体の尿中排泄量が、阻害の強度とよく相関しているからです。
Wljnandsらはこの薬物相互作用がキノロン系抗菌剤それ自体によるものではなく、その代謝物である4−oxo体(4−oxo-piperidine環の化学溝造はtheophylline骨格のN1−N3部分に類似している)がテオフィリンのN−demethylationの代謝経路を拮抗阻害することによって起きると結論づけている 。
すなわち、キノロン系抗菌剤の尿中代謝物である4-oxo体の尿中排泄率はENXが一番高く(約15%)LPFLXおよびCPFXのそれはそれぞれ約6%および約4%で、OFLXおよびNAではほとんど排泄されないことが明らかとなり、しかもそれぞれの併用による血中テオフィリン濃度曲線下面積 (AUC) の増加率とそれぞれの4-OXO体尿中排泄率との間には良い相関(n=24,r=0.903)が認められている。
「テオフィリンに対する薬物相互作用:キノロン系抗菌剤」
アレルギー37(3),
134−139,1988
☑️まとめ
キノロンがテオフィリンとの相互作用の強度で3つのグループに分類されている事を見て来ました。
臨床で遭遇して悩むのはII群の併用注意のグループと思います。患者の特性をよく考えて、適切なタイミングで介入出来るよう、各自研鑽を積んで行きましょう。
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最終更新日2021年5月21日
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