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OATP1B1を阻害するシクロスポリンの併用で、スタチンのLDL-C低下作用とミオパチーリスクはどうなりますか
☑️はじめに
シクロスポリンはOATP1B1阻害作用を持ち、スタチンの血中濃度を上昇させます。
そのため、シクロスポリン服用時にスタチンは減量して使用されますが、スタチンの治療効果とミオパチー発生にどのように影響するのでしょうか。
今回の記事では、OATP1B1阻害薬併用時の低用量スタチンの効果と安全性について、OATP1B1遺伝子多型の研究を参考に考察したいと思います。
国内でシクロスポリンと一番併用されているスタチンはアトルバスタチンと聞きました。
インパクトのあるAUC上昇率に比して、肝臓内暴露量はそれほど上がらないようです。一緒に見て行きましょう!
プロローグ
Rp.シクロスポリン
アトルバスタチン
👩💭併用できるのかしら
👨低用量のアトルバスタチンは慎重に使用できそうです出典: twitter.com
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☑️スタチンの血中濃度を決める律速段階はOATP1B1による肝取り込み
フルバスタチン以外のスタチンはいずれもOATP1B1により血液中から肝細胞内に取り込まれます。
スタチンの血中濃度を決める律速段階がOATP1B1による肝取り込みであると考えられます。
Takao Watanabe, et al.
Investigation of the rate-determining process in the hepatic elimination of HMG-CoA reductase inhibitors in rats and humans
Drug Metab Dispos . 2010 Feb;38(2):215-22.
☑️OATP1B1の遺伝子多型はスタチンの血清コレステロール低下作用に大きな影響は及ばさない
数理モデルを用いたプラバスタチン体内動態予測の検討があります。
確かに、OATP1B1による取り込み活性の低下は血中濃度の上昇に大きく影響します。
しかしながら、肝細胞内濃度は血中濃度ほど大きく変動しないことが示されています。
Takao Watanabe, et al.
Physiologically based pharmacokinetic modeling to predict transporter-mediated clearance and distribution of pravastatin in humans
J Pharmacol Exp Ther . 2009 Feb;328(2):652-62.
☑️スタチン血中濃度の過度な上昇がミオパチーの一因
ミオパチーはスタチンの代表的な副作用だが、発症は1万処方中に1例と極めて低いです。
発症機序は明らかになっていませんが、スタチンの高用量投与例や、スタチンの代謝に影響を及ぼす薬剤との併用例でミオパチーのリスクが増大するため、スタチン血中濃度の過度な上昇がミオパチーの一因と考えられます。
SLCO1B1遺伝子の変異が高用量(>80mg)でシンバスタチン投与を受けている患者のミオパチー発生に強く関連しています。比較的低用量(20-40mg)では問題にならないとされています。
SEARCH Collaborative Group; E Link, et al.
SLCO1B1 variants and statin-induced myopathy–a genomewide study
N Engl J Med . 2008 Aug 21;359(8):789-99.
☑️アトルバスタチンとシクロスポリンを併用した場合のコレステロールの低下率について
クロスオーバー試験です。12人を対象としたRCTの結果です。
シクロスポリンを服用中にアトルバスタチン10mg/日追加によって、LDL44%減少しました。
Karl Martin Wissing, et al.
hypercholesterolemia and endothelial dysfunction after renal transplantation
Transplantation . 2006 Sep 27;82(6):771-8.
これはメタ分析の報告から、アトルバスタチン10-20mg/日に相当するLDL低下率と言えます。
T-C Weng,et al.
A systematic review and meta-analysis on the therapeutic equivalence of statins
J Clin Pharm Ther . 2010 Apr;35(2):139-51.
シクロスポリンとの併用でアトルバスタチンAUC6~15倍との報告があります。
これはLDL低下率からの予測とは乖離した数値であり、肝臓内でのアトルバスタチン濃度が、シクロスポリン非併用時のそれとあまり変わらないことを示唆します。
Pertti J Neuvonen, et al.
Drug interactions with lipid-lowering drugs: mechanisms and clinical relevance
Clin Pharmacol Ther . 2006 Dec;80(6):565-81.
☑️まとめ
ミオパチーを回避するためスタチンは低用量を使用する必要がありますが、例えAUCが10倍程度になっても。LDL-C低下作用については+6%程度の作用増強に留まるようです。
論文の次の言葉を結語としたいと思います。
「本研究は、OATP1B1活性の変化が、プラバスタチンの治療効果と副作用 (ミオパシー) にそれぞれ小さな影響と大きな影響を与える可能性があることを示唆しています。」
Takao Watanabe, et al.
Physiologically based pharmacokinetic modeling to predict transporter-mediated clearance and distribution of pravastatin in humans
J Pharmacol Exp Ther . 2009 Feb;328(2):652-62.
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最終更新日2022年9月17日
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