この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。
シプロフロキサシン服用中はカフェインを控えた方がよいですか
☑️はじめに
コーヒー等に含まれるカフェインはCYP1A2で代謝されます。
幾つかの薬物はこの代謝酵素を阻害することが知られています。
ニューキノロン系の抗菌薬はそのひとつです。
シプロキサン®は現在日本で使用できるニューキノロンのうちで最もCYP1A2阻害作用が強い薬です。
同じくCYP1A2で代謝されるテオフィリンと併用する場合、テオフィリンを1/3に減量するよう添付文書にも記載があります。
それではカフェインの場合はどうなのでしょうか
シプロキサン®服用中はコーヒーの飲用を控えた方がいいのでしょうか。
プロローグ
🧔最近頭痛と吐き気が。コーヒー?日に3回飲むけど前からだよ。
📖シプロキサン✨👩⚕️💭カフェインと相互作用が
CYP1A2阻害します。カフェインの半減期が延長、AUCも増大。日に3回のコーヒーは、日に5回に相当するカフェイン暴露に。
👩⚕️薬がコーヒーの作用を強めてるかも。飲む回数減らしてみてね☕
出典: twitter.com
運営者から、クローズドコミュニティに対する思いをお伝えしています。
記事の続きをどうぞ。
Googleアイコンをクリックすると無料登録/ログイン出来ます。会員規約にご同意下さい。
☑️シプロフロキサシン併用によりカフェインのAUCは1.6倍、半減期は1.6倍になった
併用を検討した論文がありましたので、DeepLで翻訳して読んでみました。
健康なボランティア10人にシプロフロキサシン750mgを12時間おきに3回投与。投与前と3回目の投与時にカフェインを摂取しました。
カフェインのAUC1.58倍、半減期は5.2時間から8.2時間に延長が確認されました。
Interaction between oral ciprofloxacin and caffeine in normal voluntee
出典: journals.asm.org
☑️コーヒーを飲む回数ごとに蓄積率を求めてみる
蓄積率は定状状態になった時の血中濃度が単回投与時の何倍になるかを表す係数です。
シプロフロキサシン服用しない場合、カフェインの半減期は5.2時間と仮定します。
・コーヒー1杯を1日1回飲用した場合、カフェインの蓄積率はτ/半減期=4.6、蓄積率=1.0
・コーヒー1杯を1日3回飲用した場合、カフェインの蓄積率はτ/半減期=1.5、蓄積率≒1.5
・コーヒー1杯を1日5回飲用した場合、カフェインの蓄積率はτ/半減期=0.96、蓄積率≒2.0
シプロフロキサシン服用中にカフェインの半減期は8.2時間になると仮定します。
・コーヒー1杯を1日1回飲用した場合、カフェインの蓄積率はτ/半減期=2.9、蓄積率≒1.1
・コーヒー1杯を1日2回飲用した場合、カフェインの蓄積率はτ/半減期=1.5、蓄積率≒1.5
・コーヒー1杯を1日3回飲用した場合、カフェインの蓄積率はτ/半減期=0.98、蓄積率≒2.0
定常状態での血中濃度を求める②(蓄積率を用いて)
☑️欧州食品安全機関(EFSA)の定める1回最大カフェイン摂取量は3mg/kgまで
欧州食品安全機関(EFSA)は、成人が摂取しても体に影響がないとみられる1日当たりのカフェインの最大摂取量を設定しています。
健康な成人なら、体重1kgあたりで5.7mgまでがEFSAが1日で摂取するのに安全とみなすカフェイン量です。
コーヒー1杯(150mL)当たりのカフェイン量をおよそ80mgとすると、体重60kgの日本人は4杯程度がカフェインの1日最大摂取量になります。
Scientific Opinion on the safety of caffeine
☑️シプロキサシン服用によりカフェイン暴露が増大する
シプロキサシン服用によりカフェインAUC1.6倍になります。
蓄積率と考え合わせると、1日3杯のコーヒーは1日5杯のコーヒーに相当するカフェイン暴露になることが予測されます。
これはEFSAの1日推奨量の上限を越える摂取であり、頭痛や嘔気などの原因となるかも知れません。
☑️シプロキサシン服用中のカフェイン摂取は中枢神経系に影響を与える可能性がある
CYP1A2とカフェイン摂取について注意喚起をする論文がありました。
CYP1A2酵素レベルでの薬物動態学的相互作用は、カフェインと、心血管系、CNS(精神科患者ではカフェインの過剰な食事摂取も観察されている)、消化器系、感染症、呼吸器系、皮膚疾患に使用される特定の薬剤との併用により、毒性作用を引き起こす可能性がある。
相互作用の可能性がある薬剤について相互作用がないことがすでに証明されている場合を除き、薬物療法を計画する際、あるいは薬物療法に対する反応を評価する際には、食事によるカフェインの摂取量を考慮する必要がある。
Clinically significant pharmacokinetic interactions between dietary caffeine and medications
☑️まとめ
まずシプロフロキサシン服用時のカフェインのAUCと半減期の変化を文献検索しました。
更に延長された半減期から蓄積率を求め、シプロフロキサシンなしの場合と比較しました。
そこから分かったことをまとめます。
充分量のシプロフロキサシンを服用していると、1日2回のコーヒーは1日3回に相当するカフェインに、1日3回のコーヒーは1日5回のカフェインに相当する量になることが分かりました。
シプロフロキサシンを服用中に寝付けない事があれば、コーヒーの量をいつもより減らしてみると良いかも知れません。
☑️会員のススメ
今回の記事はいかがでしたでしょうか?気に入って下さったら、会員登録をお勧めします。会員限定の記事が閲覧出来るようになります。月々の購読料は、喫茶店で勉強する時に飲むコーヒー一杯の値段で提供しています。人生で一番価値のある資源は時間です。効率的に学習しましょう!値段以上の価値を提供する自信があります。
クリック会員について
会員になりませんか?
最終更新日2021年10月13日
☑️コラム
職場の悩みはありませんか?
わたしも最初の職場がどうしても合わず、1年足らずで退職。今の職場は上司や同僚に恵まれ、毎日楽しく働いています。
あなたが現状に悩んでいるのであれば、専門家に相談してみてはいかがでしょうか?
転職を考える場合、現在の環境から離れることを一番に考えてしまいがちですが、転職先には現在の職場にない問題があります。
わたしはラッキーでしたが、転職後の方が辛い思いをしてしまった、と言う話も耳にします。
自分に適した職場を見つけるためには、頼れるスタッフに協力してもらうことが重要です。
回り道のように見えますが、転職を成功させるための最短の近道と思います。
あなたも1歩踏み出してみてはいかがでしょうか?
迷っているならまずは登録してみましょう。
スポンサーリンク
完全無料!1分間の簡単登録
あります!今よりアナタが輝く職場
薬剤師の求人ならエムスリーキャリア
☑️推薦図書
クスリとリスクと薬剤師
☑️拡散のお願い
わたしのサイトが参考になったと思って下さったあなた、バナークリックをお願いします。
自分だけ知ってるのはもったいないと思って下さったあなた、SNSボタンでシェアをお願いします。