この記事を読むのに必要な時間は約 17 分です。
アロプリノールは腎機能低下で減量した方がよいですか
☑️はじめに
アロプリノールの標準量は200-300mg/日です。
しかしながら腎機能に応じた減量が必要で、また腎機能は加齢とともに低下することが知られています。
いったい、高齢者にはどのくらいの用量が適切なのでしょうか。
さくら先輩、アロプリノールみたいな普通の薬、今さら勉強しなくても…
ゆきさん、ありふれた薬も新薬もわたしにとっては同じように興味をひくよ。一緒に見ていこう!
プロローグ
👩アロプリノールは肝代謝されて速やかにオキシプリノールになる。
👩代謝物のオキシプリノールも薬理活性を有するよ。そして腎排泄される。
👧なるほど。それで腎機能に応じた用量調節が必要になるのですね!
出典: twitter.com
運営者から、クローズドコミュニティに対する思いをお伝えしています。
記事の続きは会員ログイン後にどうぞ。
Googleアイコンをクリックすると無料登録/ログイン出来ます。会員規約にご同意下さい。
☑️薬物動態の考察
IFを参照すると、アロプリノールの生物学的利用率は67%です。吸収後速やかに肝臓で代謝され、アロプリノールより活性の弱いオキシプリノールに変換されます。
オキシプリノールの半減期は約21時間。また48時間で投与量の40%のオキシプリノールが尿中に排泄されたと文献にあります。48時間後は半減期の約2倍に相当するので、生体内のオキシプリノールの3/4が排泄されていると仮定すると、尿中排泄率は53.3%と推定されます。
未変化体のアロプリノールの尿中排泄率は無視できるほど小さいと仮定すると次式が成り立ちます。
腎排泄寄与率RR=fe/F=0.791
feはここでは投与量に対する活性のある代謝体の尿中排泄率、Fは薬物の生物学的利用率(バイオアベイラビリティ)です。
ザイロリック®錠
添付文書/インタビューフォーム
Guisti-Haytonと補正係数G
次の式が有名です。
補正係数(G)=1-fe×(1-(腎機能低下者のCCr/腎機能正常者のCCr))
fe:尿中未変化体排泄率
CCr:クレアチニンクリアランス
ただし経口投与の場合、feはバイオアベイラビリティを考慮したRRで計算します。
補正係数(G)を用いた投与設計は、以下のようになります。
①投与量を減量する方法
腎機能低下者の投与量=常用量×補正係数(G)
②投与間隔を延長する方法
腎機能低下者の投与間隔=通常投与間隔÷補正係数(G)
腎機能に応じた投与設計方法
出典: www.jiho.co.jp
クレアチニンクリアランス30以下の場合
クレアチニンクリアランスが30mL/minの場合です。
Guisti-Hayton法より補正係数G=0.447となります。
ゆえに1日量は、腎機能正常者の投与量の45%が、薬物動態からは適切かと考えます。
クレアチニンクリアランス60以下の場合
60mL/minであれば、G=0.683です。
1日量は腎機能正常者の投与量の68%が、適切かと考えます。
☑️ガイドラインでは…
実際、ガイドラインではどうでしょう。
①CKD診療ガイド2012
日本腎臓病学会のCKD診療ガイド2012を参照します。
保存期CKD患者への投与方法として、
*標準化eGFR≦30mL/min/1.73m2では≦50mg/日
が安全としています。
CKD診療ガイド2012 日本腎臓病学会
出典: jsn.or.jp
②腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧
日本腎臓病薬物療法学会の腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧を参照します。
*クレアチニンクリアランス30mL/min以下で50mg
*30-60mL/minでは100mg
を推奨しています。
ただしこの用量では適正な尿酸値にコントロール出来ない事が多いとしています。
腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧35版
日本腎臓病薬物療法学会出典: www.jsnp.org
☑️観察研究の知見
一方で、アロプリノールを新規に処方された患者を対象に、副作用の頻度を検討した台湾の観察研究があります。
開始三ヶ月後のアロプリノール過敏症の罹患率は4.68/1,000人年、入院は2.02/1,000人年、死亡は3.09/1,000人年でした。
危険因子として女性、Age≧60、導入時の用量≧100mg/日が挙げられました。
特に腎疾患あるいは心血管疾患を並存する無症候性高尿酸血症への投与例ではリスクが有意に増加しました。
Alloprinol Use and Risk of Fatal Hypersensitivity Reactions: A Nationalwide Population-Based Study in Taiwan.
PMID:26193384
☑️まとめ
アロプリノールは腎機能に応じて減量する必要があることを見て来ました。
ガイドラインではCCr<30では50mg/日、CCr:30-60では100mg/日を推奨しています。
ただし、減量した用量では期待する尿酸低下効果が得られない場合も多いとされます。
高リスクの患者に新規導入する場合は、リスクベネフィットの考慮が必要です。
症例によっては、腎機能の影響の少ないフェブキソスタットを選択した方が好ましいかも知れません。
☑️会員のススメ
今回の記事はいかがでしたでしょうか?気に入って下さったら、会員登録をお勧めします。会員限定の記事が閲覧出来るようになります。月々の購読料は、喫茶店で勉強する時に飲むコーヒー一杯の値段で提供しています。人生で一番価値のある資源は時間です。効率的に学習しましょう!値段以上の価値を提供する自信があります。
クリック会員について
会員になりませんか?
最終更新日2022年6月12日
☑️コラム
職場の悩みはありませんか?
わたしも最初の職場がどうしても合わず、1年足らずで退職。今の職場は上司や同僚に恵まれ、毎日楽しく働いています。
あなたが現状に悩んでいるのであれば、専門家に相談してみてはいかがでしょうか?
転職を考える場合、現在の環境から離れることを一番に考えてしまいがちですが、転職先には現在の職場にない問題があります。
わたしはラッキーでしたが、転職後の方が辛い思いをしてしまった、と言う話も耳にします。
自分に適した職場を見つけるためには、頼れるスタッフに協力してもらうことが重要です。
回り道のように見えますが、転職を成功させるための最短の近道と思います。
あなたも1歩踏み出してみてはいかがでしょうか?
迷っているならまずは登録してみましょう。
スポンサーリンク
完全無料!1分間の簡単登録
あります!今よりアナタが輝く職場
薬剤師の求人ならエムスリーキャリア
☑️推薦図書
デキる薬剤師の腎機能チェック
透析患者への投薬ガイドブック
クスリとリスクと薬剤師
☑️応援・拡散のお願い
応援・ファンレターお待ちしています。
OFUSE QRコード
わたしのサイトが参考になったと思って下さったあなた、バナークリックをお願いします。
自分だけ知ってるのはもったいないと思って下さったあなた、SNSボタンでシェアをお願いします。
サイトQRコード
Copyright©️2017 PHARMYUKI™️ All rights reserved