耐性菌の話。どこか遠い国の話ではなく、日本の日常診療でも耐性菌は溢れています。

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こんばんは。アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。今日は週末でしたので、仕事を終えてから家族でファミレスに行きました☺

さて、今日は耐性菌の話です。薬の効かない菌なんて、インドとか、どこか遠い国の話と思っていませんか?

実は、耐性菌はわたしたちのすぐ側にいます。わたしたちが日常飲む薬は、耐性菌にも効き目がある薬に溢れています。

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先日、風邪のお子さんに、小児科から抗生物質が3日分、去痰剤と咳止めが5日間処方になっていました。

5日後に、同じ内容で小児科から処方があったので、お母さんに、「風邪の治療の続きですか?」と尋ねると、思いがけない返事が返ってきました😲

「急性中耳炎になって、昨日、耳鼻咽喉科にかかり、オレンジ色の抗生物質と、抗ヒスタミンを追加で処方されました。今日は小児科には電話で薬を頼んだだけで、診察は受けていません。お薬手帳も持ってきていません。今日も抗生物質が出ているんですか?ああ、どうしたら良いでしょう?」との事です。

突っ込みどころがありすぎです😱

耳鼻咽喉科は、その日は休診でした。その耳鼻咽喉科の医師が、急性中耳炎で処方するオレンジの抗生物質は、ガイドライン通り、第三世代セフェム系のセフジトレン(商品名メイアクト)で10中8、9間違いない事を、わたしたちは知っていました。

ラッキーな事に、昨日その薬を調剤した薬局の薬剤師と連絡がついて、オレンジ色の抗生物質がセフジトレンで間違いない事が確認出来ました✨

小児科で最初に処方になった抗生物質は、ペニシリン系のアモキシシリン(商品名ワイドシリン)の常用量でした。

結論から言うと、この場合はセフジトレンを飲んで、アモキシシリンは処方削除にならないと行けないケースです。

急性中耳炎の原因になる菌は、3種類あります。肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ・カタラーリスです。

モラキセラには、もともとアモキシシリンが効きません。肺炎球菌とインフルエンザ菌には、アモキシシリンが効く株も居るのですが、耐性を持っている株が紛れています。

そして、アモキシシリンを飲んだ事によって、アモキシシリンが効かない株が選別されて生き残り、そればかり増殖している状態になっています。

もうアモキシシリンを飲んでも、薬の効果は期待出来ません。この場合、セフジトレンならインフルエンザ菌の耐性菌にも効果が期待出来ます。モラキセラにも効果は期待出来ます。

肺炎球菌の耐性菌だった場合は、セフジトレンでも効果が期待出来ないので、セフジトレンを飲んでも治らなかったら、更に違う抗生物質に変更する必要があります。

小児科の処方医に連絡すると、無事アモキシシリンは削除になりました。

この話の突っ込みどころは3つあります。

①小児科医師が風邪に抗生物質を処方したこと。抗生物質が必要のないウィルス性の風邪の段階でアモキシシリンを処方した為に、耐性菌が増殖しました。

急性中耳炎になった時点で耳鼻咽喉科医師が初めてアモキシシリンを処方すれば、それで治った可能性があります。

②無診療で薬の処方をお願いしたこと。グレーゾーンかも知れませんが、厳密には法律に抵触します。それに、診察を受けていれば、今回のようなエラーは起こらなかったでしょう。

③他の病院から薬をもらっているのに、お薬手帳を持参しなかったこと。関係者に連絡が着かなかったら、薬の特定は出来ませんでした。

耐性菌と言うのは、特別病原性が高い訳ではありません。ただ、薬が効かないのです。必要性のあまりない段階で抗生物質を飲んでいると、本当に必要な段階になった時に同じ薬では効果がなく、最悪の場合、次に打つ手が無くなってしまう可能性があります。

ですから、リスクマネジメントの為には、ご自身のリスクリテラシーを高めるか、信頼できる医療者を見つけておく事をお勧めします。

なんか、しょんぼりしてしまいましたね😅

「令和になって変わったね✨そう言えば、平成まではそんな時代だったよね。」と言えるようになりたいですね‼😆

いや、わたしたちひとりひとりの智恵を集めれば出来る‼😆

やってみせようじゃないですか😆なんたって、わたしは酸っぱいレモンを美味しいレモネードに変える会の会長なんですから🙆✨

参考文献
JAID/JSC感染症治療ガイド2014
レジデントのための感染症診療マニュアル

パキシル(一般名パロキセチン)を飲んでいる人が、眼科を含めて他の病院を受診するときにしなければいけない、たったひとつのこと。

かかりつけ医院に黙ってほかの病院を受診し、同効薬のオメプラゾールとタケキャブが重複して処方されていた話。

皮膚科と耳鼻咽喉科を掛け持ち受診して、持ち込まれた2枚の処方箋で抗生物質が重複した話。

耐性菌の話。どこか遠い国の話ではなく、日本の日常診療でも耐性菌は溢れています。

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