オグサワ処方が2種類の抗生物質オーグメンチンとサワシリンを併用する理由。


オーグメンチンとサワシリンを併用する処方?

皆さんは次のような処方箋を見て、不思議に思った事はないでしょうか。

呼吸器科

オーグメンチンSR配合錠250 3錠
サワシリンカプセル250mg 3カプセル
1日3回

抗生物質のオーグメンチンとサワシリンが同時に処方されています。患者さんに、上手く説明出来たでしょうか。

これは、オグサワ処方と呼ばれ、「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」にも市中肺炎のエンペリックセラピー、すなわち起因菌や感受性が不明な段階で使用する治療薬として記載されています1)。

ブログでは、細菌性肺炎の治療戦略について触れた後、オグサワ処方の意義について、書きます。

記事を読んで頂ければ、市中肺炎のオグサワ処方について、自信を持って説明出来るようになります。

肺炎の治療薬について

市中感染の細菌性肺炎でカバーすべき菌は?

市中で感染した細菌性肺炎の起因菌としては、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスが多い事が知られています。

ですから、エンペリックセラピーでは上記の菌をカバーすれば良いことが分かります。

エンペリックセラピーって何?

培養をすれば、起因となっている細菌の特定が出来たり、抗生物質に対する感受性も分かるのですが、結果が出るまで時間がかかります。

そこで、エンペリックセラピー(経験的治療)と称して、起因菌を予測して、それら全ての菌と感受性をカバーした薬を処方することになります。

オグサワ処方の意義

オーグメンチンとサワシリンの組み合がオグサワ処方、肺炎の外来治療にガイドラインでも推奨

オグサワ処方は、細菌性肺炎の外来で使用されます。日本感染症学会、日本化学療法学会の合同ガイドラインでも、細菌性肺炎の第一選択として言及されています1)。

その理由について、見て行きましょう。

サワシリン、オーグメンチンの成分(一般名)

サワシリンはアモキシシリン(AMPC)と言うペニシリン系抗生物質で、オーグメンチンはアモキシシリンにクラブラン酸(CVA)が配合された抗生物質です。

クラブラン酸はβラクタマーゼ阻害剤で、モラクセラと耐性インフルエンザ菌対策

クラブラン酸は、ペニシリンを壊すβ(ベータ)ラクタマーゼと言う酵素を阻害する薬です。細菌の中には、βラクタマーゼをつくり、ペニシリンを無効にする菌がいるのです。

いわゆる耐性菌です。肺炎の場合、インフルエンザ菌が、このタイプの耐性菌として問題になります。

モラクセラ・カタラーリスもβラクタマーゼをつくるので、クラブラン酸が必要になります。

ペニシリンを被らせる理由

ペニシリンを被らせるのは、理由が2つ考えられます。

①保険適応されるより高用量でペニシリンを使いたいので、2種類を組み合わせて処方した。

②オーグメンチンを倍量で使用すると、下痢の原因になるクラブラン酸の量が多くなりすぎるので、サワシリンを組み合わせて処方した。

ペニシリンを高用量にしたいのは耐性肺炎球菌対策

ペニシリンを高用量で使いたい理由は、ペニシリンが結合する細菌由来のたんぱく質が、変異を起こしていて、通常用量より多くしなければ結合しない場合があるからです。

いわゆる耐性菌です。肺炎の場合は、肺炎球菌が、このタイプの耐性菌として問題になります。

オグサワは、耐性肺炎球菌、耐性インフルエンザ菌、モラクセラまでをカバー

ここまで見てきたように、オグサワ処方は、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)、βラクタマーゼ産生インフルエンザ菌(BLPAR)、モラクセラ・カタラーリスをカバーする処方です。

起因菌が分からない段階でも、ここまでカバーすれば対応出来るのではないでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか?オグサワ処方が、市中感染した細菌性肺炎の第一選択に挙げられる理由が分かって頂けたと思います。

薬局薬剤師としては、処方意図を理解し、患者さんに説明する責任がありますので、普段から病気と治療薬の知識をストックしていく必要があります。

感染症に関しては、参考にした「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」が、簡潔にして網羅的に書かれていますので、手元においておくことをお勧めします。

耐性菌等、より深く学習したい方には、青木眞先生の「レジデントのための感染症診療マニュアル」がお勧めです。

本を読んでいると眠たくなる方には、岩田健太郎先生の「抗菌薬の考え方、使い方」がお勧めです。軽妙な語り口で、抗菌薬の網羅的な知識が身に付きます。オグサワと言う呼び方も、岩田先生のこの本で知りました。抗菌薬の事が右も左も分からなかったわたしを、大分救ってくれた本です。

参考文献

1)JAID/JSC感染症治療ガイド2014
2)レジデントのための感染症診療マニュアル
3)抗菌薬の考え方、使い方

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