同じ病気でも、治療に使うお勧めの薬が、年齢によって異なる場合がある、と言う話✏

こんばんは🌙😃❗アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です🙆✨

令和が始まりましたね💆気が引き締まる思いがします。どうかよい時代になりますように🙏

さて、今夜は同じ病気の治療でも、年齢によって治療薬が異なる場合がある、と言うお話です。

そんなことあるの❔😲

と言う声が聞こえて来ました。あるんです。わたしが具体例に考えたのは、女性の急性膀胱炎です。

治療には抗生物質を使用します。みなさんも一度や二度は飲んだことがあるのでは、と思います☺何を飲んだか覚えていますか❔

成書で推奨している抗生物質は、閉経前ならレボフロキサシン(商品名クラビット)3日間、また閉経後ならセフカペン(商品名フロモックス)7日間です1)。

ガイドライン推奨の薬なので、このどちらかを飲まれたのではと思います☺

なぜ同じ膀胱炎なのに、治療薬が変わるのでしょう❔

それは、二つの理由があります📚✨

①同じ膀胱炎でも、患者さんの年齢によって原因となる(可能性の高い)菌が異なる。

②ターゲットにする菌(複数の可能性を折り込み済み)に応じて、それらの菌全てをカバーして、その他菌にはなるべく影響しない抗生物質を選ぶ必要がある💊

専門的になりますが、閉経前は感受性のよい(耐性菌でない)大腸菌と腐性ブドウ球菌などが起因となる事が多く、閉経後はレボフロキサシンに耐性、セフカペンなどセフェム系に感受性のよい大腸菌が起因となる事が多いです。

それに応じて、閉経前はレボフロキサシン、閉経後はセフカペンが第一選択になる訳です🙆✨

いかがでしたか❔

同じ病気でも、年齢によって薬が変わる事がある、というお話でした🙆✨

読んで下さってありがとう😆💕✨
ゆきでした✨

参考
1)JAID/JSC感染症治療ガイド2014

薬剤師の仕事に興味を持ったあなたに、全力でお勧めのコミックがあります‼☺

購入は⬇から。もちろん送料は無料です📚✨


⬇年齢によって薬が変わる理由があるのね、と思って下さったあなた、バナークリックをお願いします✨

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

自分だけ知ってるのはもったいないと思って下さったあなた、⬇のSNSボタンでシェアをお願いします😉

0

初めて見たオグサワ処方。オグシオに似ているネーミングの意味は?

こんばんは。アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。今日は怒濤の処方箋ラッシュでした。普段は60%で流しているのですが、一時的に100%の力を出していましたね😅薬局スタッフのみなさまも、お疲れ様でした。

さて、今日は珍しい処方箋を見ました。

オーグメンチンSR錠250 3錠 分3
サワシリンカプセル250mg 3カプセル 分3
(分3は3回に分けて飲む、と言う意味のです。)

😲オグサワだ!

そう、小椋選手と潮田選手でオグシオだったように、オーグメンチンとサワシリンでオグサワ処方なのです✨

細菌性肺炎の外来で使用される処方です。実はどちらも抗生物質なのですが、サワシリンはアモキシシリンと言うペニシリン系抗生物質、オーグメンチンはアモキシシリンにクラブラン酸が配合された抗生物質です。

😔あれ?ペニシリンが、かぶってますね。クラブラン酸って、何でしょう?

クラブラン酸は、ペニシリンを壊すβ(ベータ)ラクタマーゼと言う酵素を邪魔する薬です。耐性菌の中には、βラクタマーゼをつくる菌がいるのです。いわゆる耐性菌です。肺炎の場合、インフルエンザ菌が、このタイプの耐性菌として問題になります。

ペニシリンが被るのは、理由が2つあります。

①保険適応されるより高用量でペニシリンを使いたいので、2種類の上限を組み合わせて処方した。

②オーグメンチンを倍量で使用すると、クラブラン酸の量が多くなりすぎるので、単味のサワシリンを組み合わせて処方した。

ペニシリンを高用量で使いたい理由は、ペニシリンが結合する細菌由来のたんぱく質が、変異を起こしていて、通常用量より多くしなければ結合しない場合があるからです。いわゆる耐性菌です。肺炎の場合は、肺炎球菌が、このタイプの耐性菌として問題になります。

オグサワ処方は、日本感染症学会、日本化学療法学会の合同ガイドラインでも、細菌性肺炎の第一選択として言及されている処方です。

オグシオと同じように、コンビを組むことで力を発揮するオグサワ処方、わたしたちも薬局のチームとして、業務で個人では出せない力が、発揮出来たら素晴らしいなと思いながら、筆を置きたいと思います✨

参考文献
JAID/JSC感染症治療ガイド2014



0

皮膚科と耳鼻咽喉科を掛け持ち受診して、持ち込まれた2枚の処方箋で抗生物質が重複した話。

こんばんは。アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。今日はひな祭りでしたね。わたしの家は、家族で手巻き寿司パーティーをしました✨ケーキまで食べてお腹いっぱいです☺

さて、今日は、とびひと急性中耳炎で、皮膚科と耳鼻咽喉科を掛け持ち受診されたAくん(仮)の話です。

処方箋を2枚受け取ったわたしは、「ううむ」と唸ってしまいました。皮膚科からはセフジニル(商品名セフゾン)、耳鼻咽喉科からはアモキシシリン・クラブラン酸製剤(商品名クラバモックス)が処方されていたのです。

皮膚科を受診されたその足で、耳鼻咽喉科も受診されたようで、薬の情報が耳鼻咽喉科医師に伝わらず、処方箋のみ発行されたようです。

とびひの起因になるのは、化膿連鎖球菌と黄色ブドウ球菌です。これはセフジニルで治療可能です。

急性中耳炎の起因になるのは、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ・カタラーリスです。耳鼻咽喉科医師はアモキシシリン・クラブラン酸製剤を選択していると言う事は、程度が重くて、薬をあれこれ試す時間が惜しく、最初から耐性菌にも効く薬を出しておくよ、と言うメッセージと受け止めました。

この場合、セフジニルでは役不足です。肺炎球菌の耐性菌に効果は期待出来ません。逆にアモキシシリン・クラブラン酸製剤なら、とびひにも効果が期待出来ます。

受診の順序としては、耳鼻咽喉科の医師に連絡して、アモキシシリン・クラブラン酸製剤を飲んで、と言う指示をもらうべきなのですが、この耳鼻咽喉科医師は保険診療の遵守に厳しく、電話すればアモキシシリン・クラブラン酸製剤が削除になるのが予想されました。

悩んだ末、わたしは先に受診した皮膚科に電話して、セフジニル削除のお願いをしました。結果、削除して頂けましたが、先生からは、「今日はひっこめるけれど、耳鼻咽喉科が後出しだったんだから、次からはお願いしますよ。」と釘を刺されました😅

わたしのやり方は越権と言われるかも知れません…。耳鼻咽喉科の医師に連絡したら、どうしても必要だったら、クラバモックス飲んで、って言われたかなあ…でも、クラバモックス削除になった経験もあるしなあ…。皆さんが掛け持ち受診される時は、なるべく重症な病気から受診されて下さい🙏

0

耐性菌の話。どこか遠い国の話ではなく、日本の日常診療でも耐性菌は溢れています。

こんばんは。アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。今日は週末でしたので、仕事を終えてから家族でファミレスに行きました☺

さて、今日は耐性菌の話です。薬の効かない菌なんて、インドとか、どこか遠い国の話と思っていませんか?

実は、耐性菌はわたしたちのすぐ側にいます。わたしたちが日常飲む薬は、耐性菌にも効き目がある薬に溢れています。

先日、風邪のお子さんに、小児科から抗生物質が3日分、去痰剤と咳止めが5日間処方になっていました。

5日後に、同じ内容で小児科から処方があったので、お母さんに、「風邪の治療の続きですか?」と尋ねると、思いがけない返事が返ってきました😲

「急性中耳炎になって、昨日、耳鼻咽喉科にかかり、オレンジ色の抗生物質と、抗ヒスタミンを追加で処方されました。今日は小児科には電話で薬を頼んだだけで、診察は受けていません。お薬手帳も持ってきていません。今日も抗生物質が出ているんですか?ああ、どうしたら良いでしょう?」との事です。

突っ込みどころがありすぎです😱

耳鼻咽喉科は、その日は休診でした。その耳鼻咽喉科の医師が、急性中耳炎で処方するオレンジの抗生物質は、ガイドライン通り、第三世代セフェム系のセフジトレン(商品名メイアクト)で10中8、9間違いない事を、わたしたちは知っていました。

ラッキーな事に、昨日その薬を調剤した薬局の薬剤師と連絡がついて、オレンジ色の抗生物質がセフジトレンで間違いない事が確認出来ました✨

小児科で最初に処方になった抗生物質は、ペニシリン系のアモキシシリン(商品名ワイドシリン)の常用量でした。

結論から言うと、この場合はセフジトレンを飲んで、アモキシシリンは処方削除にならないと行けないケースです。

急性中耳炎の原因になる菌は、3種類あります。肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ・カタラーリスです。

モラキセラには、もともとアモキシシリンが効きません。肺炎球菌とインフルエンザ菌には、アモキシシリンが効く株も居るのですが、耐性を持っている株が紛れています。

そして、アモキシシリンを飲んだ事によって、アモキシシリンが効かない株が選別されて生き残り、そればかり増殖している状態になっています。

もうアモキシシリンを飲んでも、薬の効果は期待出来ません。この場合、セフジトレンならインフルエンザ菌の耐性菌にも効果が期待出来ます。モラキセラにも効果は期待出来ます。

肺炎球菌の耐性菌だった場合は、セフジトレンでも効果が期待出来ないので、セフジトレンを飲んでも治らなかったら、更に違う抗生物質に変更する必要があります。

小児科の処方医に連絡すると、無事アモキシシリンは削除になりました。

この話の突っ込みどころは3つあります。

①小児科医師が風邪に抗生物質を処方したこと。抗生物質が必要のないウィルス性の風邪の段階でアモキシシリンを処方した為に、耐性菌が増殖しました。

急性中耳炎になった時点で耳鼻咽喉科医師が初めてアモキシシリンを処方すれば、それで治った可能性があります。

②無診療で薬の処方をお願いしたこと。グレーゾーンかも知れませんが、厳密には法律に抵触します。それに、診察を受けていれば、今回のようなエラーは起こらなかったでしょう。

③他の病院から薬をもらっているのに、お薬手帳を持参しなかったこと。関係者に連絡が着かなかったら、薬の特定は出来ませんでした。

耐性菌と言うのは、特別病原性が高い訳ではありません。ただ、薬が効かないのです。必要性のあまりない段階で抗生物質を飲んでいると、本当に必要な段階になった時に同じ薬では効果がなく、最悪の場合、次に打つ手が無くなってしまう可能性があります。

ですから、リスクマネジメントの為には、ご自身のリスクリテラシーを高めるか、信頼できる医療者を見つけておく事をお勧めします。

なんか、しょんぼりしてしまいましたね😅

「令和になって変わったね✨そう言えば、平成まではそんな時代だったよね。」と言えるようになりたいですね‼😆

いや、わたしたちひとりひとりの智恵を集めれば出来る‼😆

やってみせようじゃないですか😆なんたって、わたしは酸っぱいレモンを美味しいレモネードに変える会の会長なんですから🙆✨

参考文献
JAID/JSC感染症治療ガイド2014
レジデントのための感染症診療マニュアル

薬剤師の仕事に興味を持ったあなたに、全力でお勧めのコミックがあります‼☺

購入は⬇から。もちろん送料は無料です📚✨

⬇薬剤師って、こんな交通整理みたいな仕事もしているんだ、と思って下さったあなた、バナークリックをお願いします✨

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

自分だけ知ってるのはもったいないと思って下さったあなた、⬇のSNSボタンでシェアをお願いします😉

0

病原性の高いA 群溶血性レンサ球菌の増加が数年の内に観察された。著者は抗生物質の繁用の影響があるのではないかと考察。

こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。楽しいクリスマスを過ごしてリフレッシュしました。今日は抗生物質と細菌の話です。

抗生物質が耐性菌の選択圧になると指摘されることは多いですが、数年のうちに菌の疫学に変化があったとする論文を紹介します。

著者らは、最近、溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)の症例報告が散見されることから、A 群溶血性レンサ球菌(GAS) が疫学的に変化しつつあることが推測され、調査を行ったと記しています1)。

今回の調査で最も高頻度に分離されたのはemm1型でした。侵襲性の高い感染症の検査材料から多く分離される菌株です。

筆者らが過去(2003~2006年)に咽頭・扁桃炎から分離したGAS株中のemm1型は10.2%でした。当時分離される頻度が多かったのは、emm12型(23.5%)と emm4型(23.5%)でした。

今回の調査で割合が変化していなかったのはemm12型のみでした。emm1型、emm28型、emm89型は統計学的に有意に増加していました。その反面、emm3型、emm4型、emm6型は有意に減少していました。

これを見ると、6年間の間にGASは疫学的に明らかに変化したことになります。

このように菌が変化する理由は定かではないが、いくつかの理由が考えられると著者は記述しています。

一つは外来において多く処方されているマクロライド系薬の影響です。

今回増加していた emm1型、emm12型、emm28型は、その80%以上が耐性遺伝子保持のマクロライド系薬耐性菌であり、減少したタイプにはマクロライド系薬耐性菌は少なかったとしています。

1)A 群溶血性レンサ球菌による咽頭・扁桃炎の多施設解析:起炎菌の特徴と経口β-ラクタム系薬の治療効果 小児感染免疫 Vol. 26 No. 1 31 2014

A 群溶血性レンサ球菌による咽頭・扁桃炎の多施設解析:起炎菌の特徴と経口β-ラクタム系薬の治療効果
要旨
咽頭・扁桃炎由来A群溶血性レンサ球菌(GAS)の疫学的特徴と経口β-ラクタム薬の治療効果を明らかにする目的で、クリニックを中心に「GAS surveillance study group」を組織した。2012年の対象期間中に、GASによる咽頭・扁桃炎と診断された434症例の初診時と薬剤投与後の咽頭拭い液が採取され、PCR 法と培養法を併用して360株のGASが分離された。分離株に対するemm型別では、emm1 型の頻度が最も高く、次いでemm12、emm28、emm89型の順であった。近年、原因菌としてのGASは、疫学的に著しく変化していることが示された。β-ラクタム系薬耐性菌は認められなかったが、分離頻度の高いemm型株にマクロライド耐性株が高い割合で認められた。治療薬は全例に対しβ-ラクタム系薬が用いられていた。投与薬の種類や投与方法の違い(分2 あるいは分3)による臨床効果には有意差は認められなかった。しかし、経口セフェム系薬の分2での有効性の低い薬剤があった。上述した成績からは、GAS における分子レベルでの疫学解析と抗菌薬感受性の検討が適切な抗菌薬選択のために必要であり、抗菌薬の投与条件についてもさらなる検討が望まれる。


0

閉経前の急性単純性膀胱炎にはどんな抗生物質を飲んだら良いでしょうか?

こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。

今回は以前に書いた記事と対を成す内容です。閉経前女性の膀胱炎の治療薬です。次の処方のアセスメントをしてみましょう。

20代女性LVFX500mg 1日1回6日間

閉経前の急性単純性膀胱炎と思われます。JAID/JSC感染症治療ガイド2014によれば、2009年の3学会合同サーベイランスでは、分離菌の82%がグラム陰性菌であり、大腸菌(E.coli)は74%であり、またグラム陽性菌の分離頻度は約17%であり、腐生ブドウ球菌(S.saprophyticus)は約8%と報告されています。

この場合のE.coliはセフェム、キノロンなどいずれも90%以上の薬剤感受性を保持していると報告されています。

このため、JAID/JSC感染症治療ガイドラインでは、閉経前の急性単純性膀胱炎治療の第一選択として、LVFX経口1回500mg 1日1回 3日間 を推奨しています。第二選択はセフェム系抗生剤7日間です。

今回の記事はいかがでしたか。ご家族の健康を守るためのご参考になさって下さい。

0

ジゴキシン服用者にクラリスロマイシンを投与した場合、投与しない場合と比較して、ジゴキシン中毒による入院のリスクはオッズ比で14.8倍だった。

こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。今日は薬の飲み合わせについての話です。

心房細動と言う不整脈がある方や、慢性心不全のある方は、脈拍数を落ち着かせたり、強心作用があるジゴキシンと言う薬を服用されていることがあります。ジゴキシンは血中濃度の有効域と中毒域が近く、また年齢や体格、合併症、併用薬などの影響を受けるので、安全に使用するために特別な注意が必要な薬です。ジゴキシンは薬物トランスポーターであるP-糖タンパク質(P-gp)の基質であり、体内ではほとんど代謝されず、未変化体として60∼80%程度が尿中に排泄されます。P-gpは尿細管上皮細胞の刷子縁膜に発現しており、ジゴキシンの尿細管分泌過程に関与していると考えられています。

今回飲み合わせとして取り上げるのは、マクロライド系抗生物質のクラリスロマイシンです。主に呼吸器系の感染症で用いられます。日本では大変好まれて処方される薬で、皆さんも飲まれる機会が多いと思います。それだけに、飲み合わせに注意が必要となる機会も多いと思われます。

カナダの大規模な観察研究において、抗生物質を飲むことでジゴキシンに関連する有害事象が増えるかどうか、調査が行われました。その結果、ジゴキシン服用者にクラリスロマイシン(CAM)を投与した場合、投与しない場合と比較して、ジゴキシン中毒による入院のリスクはオッズ比で14.8倍に増加した、と報告されています1)。CAMには上述したP糖蛋白阻害作用がありますので、ジゴキシンの腎排泄低下から血中濃度を上げる機序が原因になったのではないかと考えられます。

ここまで見て来ましたが、論文の解釈には注意が必要です。日本でのCAMの用量は通常400mg/日です。相互作用は用量に依存して強くなると考えられます。CAMの海外用量は1,000mg/日ですので、日本の臨床において通常はそれ程問題にならないかも知れません。ただし、ピロリ菌の除菌に用いるランサップ800など、CAMを800mg/日の高用量で使用する場合には、注意が必要になるかも知れません。このような処方のあった際には、嘔気など体調変化が起きないか、あらかじめ伝えておく必要があると考えます。

今回のお話は、いかがでしたでしょうか。ご家族の健康を守るためのご参考になれば幸いです。

最後に、論文アブストラクトの翻訳を掲載します。
「15年間の人口ベースのコホート内ケースコントロール研究で、ジゴキシン毒性による入院と、マクロライドへの暴露との関連を調査した。 クラリスロマイシンは、最も高いリスクと関連していた(調整オッズ比14.8; 95%CI 7.9-27.9)。エリスロマイシンとアジスロマイシンはより低いリスクに関連していた(調整オッズ比3.7; 95%CI 1.1-12.5)。 中立の比較対照であるセフロキシム(調整オッズ比 0.8; 95%CI 0.2-3.4)でリスクは増加しなかった。」

1)Gomes T et al. Macrolide-induced digoxin toxicity: a population-based study. Clin Pharmacol Ther. 2009 Oct;86(4):383-6.  PMID: 19606089
Clin Pharmacol Ther. 2009 Oct;86(4):383-6. doi: 10.1038/clpt.2009.127. Epub 2009 Jul 15.

0

閉経後の急性膀胱炎が治らなくて、薬が変わりました。どんな抗生物質を何日間飲んだら良いですか?

こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。今日は膀胱炎が良くならなくて再度受診された60代の女性の話です。

前回は、他所の薬局を利用して、大きな細長い抗生剤を1日1回飲みましたが、お薬手帳は自宅に忘れたとのことです。おそらくキノロン系の広域抗菌薬、レボフロキサシンと思われます。

今回は次のような処方でした。
セフカペンピボキシル(CFPN-PI)100mg 3錠分3 5日分
セフェム系の抗生物質です。

さて、アセスメントをしていきます。まず、感染臓器と原因となる菌及び、その感受性、薬剤の選択について考えましょう。

JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015では、閉経後の女性における急性膀胱炎の分離菌としては、グラム陽性球菌の分離頻度が低く、大腸菌はキノロン耐性率が高いと記載しています。

そのため、第一選択としてはセフェム系薬またはβラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系薬を推奨(BⅡ)しています。

ガイドラインを抜粋しますが、今回の処方と全く同じ薬剤、用法用量の記載があります。

閉経後女性の単純性膀胱炎の第一選択 CFPN-PI 経口1 回100mg 1日3回 5~7日間

また、グラム染色でグラム陽性球菌が確認されている場合には、キノロン系薬を選択するとあります。もし起因菌が腸球菌だった場合、セフェムでは自然耐性があるからでしょう。

本患者の場合はグラム染色なしで、経験的にレボフロキサシンが投与されましたが、キノロン耐性大腸菌が疑われて、セフェム系に変更になったのでしょうか。

また、抗菌薬の投薬期間については、一般にキノロン系薬、ST合剤は3日間 1)、βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系薬、セフェム系薬などは7日間 2)必要とされています。ただし、一部の第3世代セフェム系薬も3日間投与での有効性が示されています(Ⅰ) 3)。

処方内容の妥当性は確認出来ました。患者さんには、治療を完遂出来るよう、抗生物質を飲み忘れなく、日数分服用することを指導しました。

1)キノロン系抗菌薬CPFX 3日間投与と1週間投与を比較しても有効率、再発率に有意な差がなかったと報告されています。(AⅠ)

Vogel T, Verreault R, Gourdeau M, Morin M, Grenier-Gosselin L, Rochette L:Optimal duration of antibiotic
therapy for uncomplicated urinary tract infection in older women;a double-blind randomized controlled
trial. CMAJ 2004;170:469―73.

2)Gupta K, Hooton TM, Naber KG, Wullt B, Colgan R, Miller LG, et al.:International clinical practice guidelines
for the treatment of acute uncomplicated cystitis and pyelonephritis in women;A 2010 update by the Infectious
Diseases Society of America and the European Society for Microbiology and Infectious Diseases. Clin
Infect Dis 2011;52:e103―20.

3)Hooton TM, Roberts PL, Stapleton AE:Cefpodoxime vs ciprofloxacin for short-course treatment of acute
uncomplicated cystitis:a randomized trial. JAMA 2012;307:583―9.

Kavatha D, Giamarellou H, Alexiou Z, Vlachogiannis N, Pentea S, Gozadinos T, et al.:Cefpodoxime-proxetil
versus trimethoprim-sulfamethoxazole for short-term therapy of uncomplicated acute cystitis in women.
Antimicrob Agents Chemother 2003;47:897―900.

0

経口の第三世代セファロスポリンは肺炎球菌の耐性株を選択している:PK/PDの考察

βラクタムのような時間依存の抗菌薬の有効性は%TAMで判断されます。%TAM値で期待される効果は、ペニシリンとセファロスポリンで異なります。セファロスポリン系の場合、増殖抑制効果は≧40%、最大殺菌効果は≧60~70%です。以前記事にしたCEXのシミュレーションも、常用量となる500mgの条件で6時間以降は再度増殖したので、達成出来たのは≧40%であったと考えます。

さて、第三世代セファロスポリン経口剤はAMRでも削減が数値目標で示されていますが、CraigのPK/PD理論から、肺炎球菌に対する有効性を考察します。

Name    Dose      Cmax     t1/2    Pb      free    after3h             PSSP      PISP    PRSP
CFPN    100mg   1.28       1.01    45%   0.70   0.088                  0.5         0.5      2
CDTR    100mg   1.66       1.66    92%   0.14   0.009              <0.25       0.5      1
CPDX    100mg   1.70       1.80    70%   1.19   0.30                    0.5          2         8
CFTM    100mg   1.04       1.03    75%   0.26   0.03               <0.25        1         4
CFDN    100mg   1.59       1.11    73%   0.30   0.01                   0.5           4         8

表の見方は、順に薬剤名、用量、最高血中濃度、半減期、血漿蛋白結合率、遊離のCmax(標的臓器の濃度と考えます。) 、3時間後の遊離の血中濃度(%TAM≧40を満たす濃度と考えます。半減期より推定)、 肺炎球菌のMIC(感受性、中等度耐性、高度耐性)です。1)

第三世代セファロスポリン経口剤は、CraigのPK/PD理論からは、PSSPへの臨床効果が確実と言えない上に、PISP以上の肺炎球菌の耐性株を選択していると考えます。2)

ガイドラインで推奨される経口の細菌性肺炎の治療薬はペニシリンとニューキノロンだけであるのは、以前の記事で紹介した通りです。3)

参考文献
1)抗菌薬サークル図データブック 第二版 じほう
2)呼吸器感染症原因微生物の質的変化による薬剤耐性化 生方公子 日本化学療法学会雑誌 Vol54 No2 Mar.2006
3)JAID/JSC感染症治療ガイド2014

0

セファレキシンは皮膚感染症に有効か:PK/PDからの考察

セファレキシン(CEX)は第一世代のセファロスポリンです。皮膚感染症に500mg 6時間おきがガイドラインで推奨されています。

インタビューフォームを参照すると、CEX500mgを用いた成人血中濃度シミュレーション試験において、生菌数抑制が6時間持続したとあり、これが用法用量や有効性の根拠の一つと考えられます。

ここではPK/PDの観点から考察してみます。CEX500mg服用によるCmax18.4 Tmax2.9 T1/2 1.05-1.24 タンパク結合率は15%です。黄色ブドウ球菌S.AureusのMic50 3.13です。

増殖抑制を示す%TAM<40%は、2.4時間で、この条件であれば満たしそうです。

参考文献
JAID/JSC感染症治療ガイド2014
レジデントのための感染症診療マニュアル
ケフレックス インタビューフォーム

0