授乳しているお母さんと、12歳未満の子どもさんのいる家は、家庭に置いてある市販の風邪薬に咳止め成分のコデインが入っていないか、確かめておきましょう。

授乳しているお母さんと、12歳未満のお子さんは、コデインの入っている風邪薬を避けて欲しい

コデインは咳どめで、市販の風邪薬にも多く含まれますが、2019年から12歳未満のお子さんは飲んではいけない薬になりました。

間違って飲んだらどんなリスクがあるのか、ご存知でしょうか?薬剤師や登録販売者のあなたは、お客さんに説明出来ますか?

このブログ記事では、コデインを避けた方がよい方と、その理由について説明します。

記事を読めば、薬剤師や登録販売者は、自信を持ってコデインを含まない風邪薬が必要なお客さんの対応が出来るようになります。

また、一般の方は、家にある風邪薬をチェックする時のポイントが分かるようになります。

コデインってどんな薬?

コデインは麻薬性鎮咳薬に分類される咳止めです。化学構造式も、モルヒネに類似しています💊

コデインは体内でモルヒネになるが、個人差が大きい

実際、コデインの一部は体の中でモルヒネに変換されます😲この変換をする酵素は、CYP2D6です。昨日のブログに書いたように、遺伝で酵素の働きの強さが決まっていて、変換が「めっちゃ早い」人がいます。

変換がめっちゃ早い人では、モルヒネの体内濃度が最大で80倍になったという報告もあります。当然、副作用が出やすくなります。

モルヒネの副作用は、「呼吸抑制」

海外の報告では、お母さんが飲んだ鎮痛剤にコデインが含まれていた為に、赤ちゃんが哺乳困難になった例があったり、国内の報告でも、市販の風邪薬を飲んだ子どもさんが、脳神経障害をきたしたと言う例があります😞

頻度は少ないが、結果が重大な副作用が起きる

CYP2D6の「めっちゃ早い人」は、実は日本人では1%未満と、ごく稀です。ですが、酵素の働きの強さは、普通分からないこと、そして結果の重大性を考えると、一律に避けた方がリスクマネジメントとして望ましいと思われます。

最近、大規模な疫学調査で、コデインと副作用の関連が調べられました。その結果、統計的な関連性は示されませんでした。有害事象の発生数が、ごく少なかった為でしょう。

その一方で、日本でも2019年以降、コデインは12歳未満の子どもさんに「投与してはいけない」薬として指定されます。結果の重大性を鑑みた為でしょう。

まとめ: 授乳しているお母さんと、12歳未満のお子さんは、コデインの入っている風邪薬を避けて欲しい

わたしからアドバイスを書かせて下さい💆みなさんの家庭に置いてある風邪薬を見て下さい。パッケージに小さい字で薬の成分が書いてあります。

もしそこに、「コデイン」の文字があったら、授乳している赤ちゃんのいるお母さん、12歳未満のお子さんには、飲ませないで下さい。これで不要なリスクを回避出来ます🙆✨

読んで下さってありがとう😆💕✨
ゆきでした✨

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ザイザル半錠を1日2回服用すると、1錠1日1回と比較して、定常状態の体内濃度のピークをー32%抑える。

こんにちは。アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。スギ花粉症の季節ですね。わたしはラッキーなことに花粉症がないのですが、アレルギーのある人には大変な季節だなあと思います😞

さて、今日はアレルギーの薬のザイザルの話をします。ザイザルは、大人の場合、1回5mgを1日1回、就寝前に飲む薬ですが、7歳から15歳未満のお子さんは、1回2.5mgを1日2回、朝食後及び就寝前、と飲み方が変わります。

一日量が同じなのに、分割して飲むのは、意味があるのでしょうか?一回量は減るけれど、飲む間隔は短くなりますよね?どう考えたら良いのでしょう😥

これは、薬学部で勉強する、薬物動態学の知識を応用すれば説明出来ます。やや専門的な内容になりますが、なるべくかみ砕いて書きますので、お付き合いお願いします🙇

体内の薬の量が、半分になるまでにかかる時間を、半減期T1/2(ティー・ハーフ)と言います。半減期を重ねる度に、体内の薬の量は、1/2、1/4、1/8、1/16…と減っていきます。1/16になれば、体内の薬の量は、ほぼ0になったと考えて良いです。

半減期が長い薬の場合、薬が0になる前に、再度薬が体の中に入ります。そのため、繰り返し飲んでいると、体内の薬物量の推移は一回しか飲んでいない時よりも少しずつ多くなって行きます。

やがてピーク濃度は一定の値になります。この状態を、定常状態(ていじょうじょうたい:Stedy State)と呼びます。

体内の薬の量がピークになっている時の濃度を、最高血中濃度と呼びます。濃度はCで表します。

一回だけ飲んだ時の最高血中濃度をCmax(シー・マックス)とすると、定常状態の最高血中濃度であるCss.max(シー・ステディ・ステイト・マックス)は、変数である蓄積率R(ちくせきりつ、アール)を使って、Css.max=R・Cmaxと表現されます。

蓄積率Rは、投与間隔τ(タウ)とすると、投与間隔/半減期を計算し、表から得ます。

τ/T1/2 >4.0  3.0  2.0  1.5  1.0  0.8  0.7
R      1.0  1.1  1.3  1.5  2.0  2.4  2.6

分割して飲むと、1回量は減るのでCmaxは減りますが、投与間隔が短くなるので蓄積率Rは大きくなります。

総合的には体内の薬のピーク濃度が抑えられると予想されますが、本当にそうなのか、また、どの程度抑えられるのか、計算してみましょう。

ザイザルは、成人の半減期T1/2=7.3時間です。

また、投与量と最高血中濃度であるCmax、利用出来る薬の総量である、血中濃度‐時間曲線下面積AUC(エーユーシー)は、投与量に比例して増加することが次の表より分かります。

Cmax(ng/mL)   AUC(ng・h/mL)
5mg   232.60    1814.06
10mg  480.00    3546.51

小児も同様と仮定して、話を進めて行きます。

①ザイザル5mgを24時間おきで投与した場合、
投与間隔/半減期=τ/T1/2=24/7.3=3.28
∴蓄積率R≒1.1
ザイザル5mg単回投与時の最高血中濃度をCmax5と表記すると、
定常状態の最高血中濃度Css.max=1.1・Cmax5

②ザイザル2.5mgを12時間おきで投与した場合、
投与間隔/半減期=12/7.3=1.64
∴蓄積率R’=1.5
ザイザル2.5mg単回投与時の最高血中濃度をCmax2.5と表記すると、Cmax2.5=0.5・Cmax5
定常状態の最高血中濃度Css.max’=1.5・Cmax2.5=0.75・Cmax5

ここで、Css.max’/Css.max=0.68 です。

したがって、②の飲み方をすると、①の飲み方と比べて、定常状態の最高血中濃度が‐32%抑えられる、と予想されます。

このように、二回に分けて飲むのは、ピーク濃度を抑える事が目的と考えられます。おそらく、分割せずに飲むと、眠気などの副作用が出やすくなるのではないでしょうか。

いかがでしょうか?学部で習った知識が、日常業務の疑問を解いてくれます☺みなさんも、蓄積率をぜひ活用して下さいね!



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皮膚科と耳鼻咽喉科を掛け持ち受診して、持ち込まれた2枚の処方箋で抗生物質が重複した話。

こんばんは。アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。今日はひな祭りでしたね。わたしの家は、家族で手巻き寿司パーティーをしました✨ケーキまで食べてお腹いっぱいです☺

さて、今日は、とびひと急性中耳炎で、皮膚科と耳鼻咽喉科を掛け持ち受診されたAくん(仮)の話です。

処方箋を2枚受け取ったわたしは、「ううむ」と唸ってしまいました。皮膚科からはセフジニル(商品名セフゾン)、耳鼻咽喉科からはアモキシシリン・クラブラン酸製剤(商品名クラバモックス)が処方されていたのです。

皮膚科を受診されたその足で、耳鼻咽喉科も受診されたようで、薬の情報が耳鼻咽喉科医師に伝わらず、処方箋のみ発行されたようです。

とびひの起因になるのは、化膿連鎖球菌と黄色ブドウ球菌です。これはセフジニルで治療可能です。

急性中耳炎の起因になるのは、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ・カタラーリスです。耳鼻咽喉科医師はアモキシシリン・クラブラン酸製剤を選択していると言う事は、程度が重くて、薬をあれこれ試す時間が惜しく、最初から耐性菌にも効く薬を出しておくよ、と言うメッセージと受け止めました。

この場合、セフジニルでは役不足です。肺炎球菌の耐性菌に効果は期待出来ません。逆にアモキシシリン・クラブラン酸製剤なら、とびひにも効果が期待出来ます。

受診の順序としては、耳鼻咽喉科の医師に連絡して、アモキシシリン・クラブラン酸製剤を飲んで、と言う指示をもらうべきなのですが、この耳鼻咽喉科医師は保険診療の遵守に厳しく、電話すればアモキシシリン・クラブラン酸製剤が削除になるのが予想されました。

悩んだ末、わたしは先に受診した皮膚科に電話して、セフジニル削除のお願いをしました。結果、削除して頂けましたが、先生からは、「今日はひっこめるけれど、耳鼻咽喉科が後出しだったんだから、次からはお願いしますよ。」と釘を刺されました😅

わたしのやり方は越権と言われるかも知れません…。耳鼻咽喉科の医師に連絡したら、どうしても必要だったら、クラバモックス飲んで、って言われたかなあ…でも、クラバモックス削除になった経験もあるしなあ…。皆さんが掛け持ち受診される時は、なるべく重症な病気から受診されて下さい🙏



耐性菌の話。どこか遠い国の話ではなく、日本の日常診療でも耐性菌は溢れています。

こんばんは。アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。今日は週末でしたので、仕事を終えてから家族でファミレスに行きました☺

さて、今日は耐性菌の話です。薬の効かない菌なんて、インドとか、どこか遠い国の話と思っていませんか?

実は、耐性菌はわたしたちのすぐ側にいます。わたしたちが日常飲む薬は、耐性菌にも効き目がある薬に溢れています。

先日、風邪のお子さんに、小児科から抗生物質が3日分、去痰剤と咳止めが5日間処方になっていました。

5日後に、同じ内容で小児科から処方があったので、お母さんに、「風邪の治療の続きですか?」と尋ねると、思いがけない返事が返ってきました😲

「急性中耳炎になって、昨日、耳鼻咽喉科にかかり、オレンジ色の抗生物質と、抗ヒスタミンを追加で処方されました。今日は小児科には電話で薬を頼んだだけで、診察は受けていません。お薬手帳も持ってきていません。今日も抗生物質が出ているんですか?ああ、どうしたら良いでしょう?」との事です。

突っ込みどころがありすぎです😱

耳鼻咽喉科は、その日は休診でした。その耳鼻咽喉科の医師が、急性中耳炎で処方するオレンジの抗生物質は、ガイドライン通り、第三世代セフェム系のセフジトレン(商品名メイアクト)で10中8、9間違いない事を、わたしたちは知っていました。

ラッキーな事に、昨日その薬を調剤した薬局の薬剤師と連絡がついて、オレンジ色の抗生物質がセフジトレンで間違いない事が確認出来ました✨

小児科で最初に処方になった抗生物質は、ペニシリン系のアモキシシリン(商品名ワイドシリン)の常用量でした。

結論から言うと、この場合はセフジトレンを飲んで、アモキシシリンは処方削除にならないと行けないケースです。

急性中耳炎の原因になる菌は、3種類あります。肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ・カタラーリスです。

モラキセラには、もともとアモキシシリンが効きません。肺炎球菌とインフルエンザ菌には、アモキシシリンが効く株も居るのですが、耐性を持っている株が紛れています。

そして、アモキシシリンを飲んだ事によって、アモキシシリンが効かない株が選別されて生き残り、そればかり増殖している状態になっています。

もうアモキシシリンを飲んでも、薬の効果は期待出来ません。この場合、セフジトレンならインフルエンザ菌の耐性菌にも効果が期待出来ます。モラキセラにも効果は期待出来ます。

肺炎球菌の耐性菌だった場合は、セフジトレンでも効果が期待出来ないので、セフジトレンを飲んでも治らなかったら、更に違う抗生物質に変更する必要があります。

小児科の処方医に連絡すると、無事アモキシシリンは削除になりました。

この話の突っ込みどころは3つあります。

①小児科医師が風邪に抗生物質を処方したこと。抗生物質が必要のないウィルス性の風邪の段階でアモキシシリンを処方した為に、耐性菌が増殖しました。

急性中耳炎になった時点で耳鼻咽喉科医師が初めてアモキシシリンを処方すれば、それで治った可能性があります。

②無診療で薬の処方をお願いしたこと。グレーゾーンかも知れませんが、厳密には法律に抵触します。それに、診察を受けていれば、今回のようなエラーは起こらなかったでしょう。

③他の病院から薬をもらっているのに、お薬手帳を持参しなかったこと。関係者に連絡が着かなかったら、薬の特定は出来ませんでした。

耐性菌と言うのは、特別病原性が高い訳ではありません。ただ、薬が効かないのです。必要性のあまりない段階で抗生物質を飲んでいると、本当に必要な段階になった時に同じ薬では効果がなく、最悪の場合、次に打つ手が無くなってしまう可能性があります。

ですから、リスクマネジメントの為には、ご自身のリスクリテラシーを高めるか、信頼できる医療者を見つけておく事をお勧めします。

なんか、しょんぼりしてしまいましたね😅

「令和になって変わったね✨そう言えば、平成まではそんな時代だったよね。」と言えるようになりたいですね‼😆

いや、わたしたちひとりひとりの智恵を集めれば出来る‼😆

やってみせようじゃないですか😆なんたって、わたしは酸っぱいレモンを美味しいレモネードに変える会の会長なんですから🙆✨

参考文献
JAID/JSC感染症治療ガイド2014
レジデントのための感染症診療マニュアル

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とびひの抗生物質が鉄剤と飲み合わせが悪いと聞きました。何時間あけて飲んだら良いですか?

こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。最近は病気の流行が時期を選ばなくなった印象があります。

例えば、とびひは夏の病気のイメージがありましたが、最近は冬でもとびひになったお子さんを連れたお母さんが、薬局にいらっしゃる事があります。

塗り薬の他、飲み薬の抗生物質が処方になることも少なくないです。セフジニルと言う抗生物質が処方される機会が多いと思います。

第三世代のセフェム系抗生物質ですが、とびひの原因になる黄色ブドウ球菌や化膿連鎖球菌に効果が高いとされています。セフジニルは飲み合わせに注意が必要なものがある薬です。鉄分とお腹のなかでくっついて、吸収がわるくなるのです1)。

貧血で鉄剤のインクレミンシロップなどを飲んでいる場合は、どうしたら良いでしょうか?

メーカーサイトを確認すると、鉄剤の服用が必要な場合は、鉄剤を3時間ずらして服用することを推奨していました2)。

抗生物質を食後に、鉄剤を食間に飲むことで対応出来そうです。もしくは、抗生物質はおそらく数日の服用で終了するので、その間だけ鉄剤をお休みすることも方法のひとつかなと思います。

1)セフジニル200mgと鉄剤2錠を同時に服用した場合、血中濃度の指標のひとつであるAUCが1/10以下になったと言う報告があります。

Impairment of cefdinir absorption by iron ion. Clin Pharmacol Ther. 1993 Nov;54(5):473-5. PMID:8222489

2)セフゾンの製品Q&A https://amn.astellas.jp/jp/di/qa/cfn/index.html

UTI Calculator :小児の尿路感染症の可能性を計算する計算機を紹介します。

UTI Calculatorを紹介します。小児の尿路感染症の可能性を計算する計算機です。次のURLから使用出来ます。

https://uticalc.pitt.edu/

関連する論文も掲載しておきます1)。

1)Development and Validation of a Calculator for Estimating the Probability of Urinary Tract Infection in Young Febrile Children

https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2677897

以下、アブストラクトの機械翻訳です。

「要約
重要性発熱性前庭児における尿路感染(UTI)の確率を正確に推定することは、試験と治療を適切に目標とするために必要です。

目的:臨床的変数に基づいてUTIの確率を最初に推定し、その結果を実験室の結果に基づいて更新することができる計算機(UTICalc)を開発し、テストすること。

設計、設定、参加者:ペンシルベニア州ピッツバーグのピッツバーグ小児病院の救急部に運ばれた2〜23ヶ月の発熱性小児の電子カルテのレビュー。 2007年1月1日〜2013年4月30日の間に救急部に運ばれた1686人の患者を含む独立した訓練データベースと、384人の患者の検証データベースが作成された。 UTIの、スクを予測するための5つの多変数ロジスティック回帰モデルを訓練し、テストした。臨床モデルは臨床的変数のみを含んだ。残りのモデルは実験結果を組み込んだ。データ分析は、2013年6月18日から2018年1月12日まで実施されました。 曝露2カ月以上2年未満の小児では、38℃以上の温度が記録されています。

主な成果と措置:培養で確認されたUTIを主要な成果とすることで、各モデルの高いUTIリスクと低いUTIリスクのカットオフが特定された。得られたモデルは、医療記録を評価するために使用された計算ツールUTICalcに組み込まれた。

結果:この研究には合計2070人の子供が含まれていました。トレーニングデータベースは1,686人の子供で構成され、うち1216人(72.1%)が女性で1167人(69.2%)が白人であった。検証データベースは384人の子供で構成され、うち291人(75.8%)が女性で200人(52.1%)が白人であった。米国小児科学会のアルゴリズムと比較して、UTICalcの臨床モデルは、試験を8.1%(95%CI、4.2%-12.0%)減少させ、3例から無かったUTIの数を減少させた。白血球エステラーゼ試験結果が1+以上のすべての小児を経験的に治療することと比較して、UTICalcのディップスティックモデルは治療遅延の数を10.6%減少させた(95%CI、0.9%-20.4%)。

結論と妥当性:UTICalcは、個々の子供に存在する危険因子を評価することによって、UTIの確率を推定する。結果として、検査と治療を調整することができ、それによってUTIの子供の転帰を改善することができます。」

溶連菌で抗生物質を飲んでも感染後腎症を予防しないと聞きましたが、本当ですか?

溶連菌感染症の非化膿性合併症として、溶連菌感染後腎症(PSAGN)が知られています。Carapetis らはPSAGN の頻度を先進国で人口10万人あたり6、発展途上国では24.3と推定し、リウマチ熱とともに減少傾向にあることを報告1) しています。

武田ら2) はPSAGN の症例の大半は先行感染時に抗生物質を投与していないか、2~3日程度の患児であったとして、十分な抗生物質の投与がPSAGN を予防する可能性があるとしています。しかしながら、坂田らの成績3)では、GAS感染症と診断されていた小児は10日間のアモキシシリン(AMPC) を内服していますが、PSAGNを発症しました。

坂田らの研究をもう少し詳しく見て行きましょう。PSAGNについて、坂田らは2005年から2007年の3年間の北海道道北・道東地域おける15歳未満の発症頻度を調査しています。その結果、小児の人口10万人あたりの1年間の発症率は4.0でした3)。PSAGNを発症した16名中、10名に先行感染が認められました。10名の内訳は、上気道炎が8名、肺炎が1名、溶連菌(GAS) 感染症が1名でした。16名中、8名で何らかの抗菌薬投与がされていましたが、3名は溶連菌に有効な抗菌薬を5日間以上内服していました。追記すると、全ての患児が8週間以内にPSAGNから回復しています。

先行感染のあった10名のうち、8名は発熱や咳などが主訴でありGAS検査は行われていないので、GAS感染症であったかは不明です。そのうち7名が抗菌薬の投与を受けていました。発熱や咽頭痛など、GAS 感染を疑うほどの所見がなかった例が半数でした。また、10名中3名(30%)は、GAS感染症に有効な抗生物質が投与がされていたにも関わらず、PSAGNを発症していました。

坂田らは、これらのことから、抗生物質を投与してもPSAGN の発症が確実に予防しえないと思われた、と結論しています。

1) Carapetis JR, Steer AC, Mulholland EK, et al. The global burden of group A streptococcal diseases. Lancet Infect Dis 2005 ; 5 : 685―694.

2)武田修明, 桑門克治, 藤原充弘, 他:溶連菌感染後急性糸球体腎炎の最近の動向と発症予防の可能性. 小児科臨床2007;60:1003―1008.

3)坂田宏:近年の小児の溶連菌感染後急性糸球体腎炎の実態調査. 日児誌2009;113:1809―1813.

病原性の高いA 群溶血性レンサ球菌の増加が数年の内に観察された。著者は抗生物質の繁用の影響があるのではないかと考察。

こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。楽しいクリスマスを過ごしてリフレッシュしました。今日は抗生物質と細菌の話です。

抗生物質が耐性菌の選択圧になると指摘されることは多いですが、数年のうちに菌の疫学に変化があったとする論文を紹介します。

著者らは、最近、溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)の症例報告が散見されることから、A 群溶血性レンサ球菌(GAS) が疫学的に変化しつつあることが推測され、調査を行ったと記しています1)。

今回の調査で最も高頻度に分離されたのはemm1型でした。侵襲性の高い感染症の検査材料から多く分離される菌株です。

筆者らが過去(2003~2006年)に咽頭・扁桃炎から分離したGAS株中のemm1型は10.2%でした。当時分離される頻度が多かったのは、emm12型(23.5%)と emm4型(23.5%)でした。

今回の調査で割合が変化していなかったのはemm12型のみでした。emm1型、emm28型、emm89型は統計学的に有意に増加していました。その反面、emm3型、emm4型、emm6型は有意に減少していました。

これを見ると、6年間の間にGASは疫学的に明らかに変化したことになります。

このように菌が変化する理由は定かではないが、いくつかの理由が考えられると著者は記述しています。

一つは外来において多く処方されているマクロライド系薬の影響です。

今回増加していた emm1型、emm12型、emm28型は、その80%以上が耐性遺伝子保持のマクロライド系薬耐性菌であり、減少したタイプにはマクロライド系薬耐性菌は少なかったとしています。

1)A 群溶血性レンサ球菌による咽頭・扁桃炎の多施設解析:起炎菌の特徴と経口β-ラクタム系薬の治療効果 小児感染免疫 Vol. 26 No. 1 31 2014

A 群溶血性レンサ球菌による咽頭・扁桃炎の多施設解析:起炎菌の特徴と経口β-ラクタム系薬の治療効果
要旨
咽頭・扁桃炎由来A群溶血性レンサ球菌(GAS)の疫学的特徴と経口β-ラクタム薬の治療効果を明らかにする目的で、クリニックを中心に「GAS surveillance study group」を組織した。2012年の対象期間中に、GASによる咽頭・扁桃炎と診断された434症例の初診時と薬剤投与後の咽頭拭い液が採取され、PCR 法と培養法を併用して360株のGASが分離された。分離株に対するemm型別では、emm1 型の頻度が最も高く、次いでemm12、emm28、emm89型の順であった。近年、原因菌としてのGASは、疫学的に著しく変化していることが示された。β-ラクタム系薬耐性菌は認められなかったが、分離頻度の高いemm型株にマクロライド耐性株が高い割合で認められた。治療薬は全例に対しβ-ラクタム系薬が用いられていた。投与薬の種類や投与方法の違い(分2 あるいは分3)による臨床効果には有意差は認められなかった。しかし、経口セフェム系薬の分2での有効性の低い薬剤があった。上述した成績からは、GAS における分子レベルでの疫学解析と抗菌薬感受性の検討が適切な抗菌薬選択のために必要であり、抗菌薬の投与条件についてもさらなる検討が望まれる。


子どもが目やにと充血で小児科を受診して、アデノウィルスではないと言われて目薬が出たけど、治るの?

こんにちは。月1の土曜日休と重なって、滅多にない三連休になった奥村です。せっかくなので、子どもとクリスマスを過ごそうと思います。皆様も良いクリスマスを。

さて、今日は目薬の話です。タイトルに挙げたような話は、子どもさんを連れて小児科や眼科を受診すると良くあると思います。目薬はニューキノロン系が処方されると思います。一体何を相手に治療しているのでしょうか?

これは、細菌性の急性結膜炎が疑われていると思われます。JAID/JSC感染症治療ガイド2014を参照すると、原因となるのは肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌が多いとされます。どれもありふれた菌で、体のバリア能が弱まった時に侵入すると考えられます。

乳幼児の場合は、肺炎球菌とインフルエンザ菌の場合が多く、両眼性で、インフルエンザ菌の場合は感冒様症状を伴う事が多いです。

一方で成人の場合は、黄色ブドウ球菌が多く、片眼性の事が多いとされます。

ニューキノロン系はいわゆる広域抗菌薬で、スペクトルが広く、幅広い菌に効果が期待されます。上記の菌も全てカバーしています。また、臓器への移行性も良好です。

目薬は1週間程度使用すれば十分と思います。目薬は通常5mLの規格です。1本で125滴点眼出来ますので、1日3回、1回1滴 両眼に使用すれば、1週間で42滴です。薬液は2/3残る事になりますが、先端がまつげなどに付くことで汚染されますので、1ヶ月を目安に廃棄してください。

今日の話はいかがだったでしょうか。ご家族の健康を守るための参考になさって下さい。

生後1ヶ月から36ヵ月の39℃以上の発熱があり、身体所見で熱源が分からなかった幼児を対象に、CRPのカットオフ値が検討されている。

Pulliamらは、生後1ヶ月から36ヵ月の39℃以上の発熱があり、身体所見で熱源が分からなかった幼児を対象にした検討で、重症細菌感染症(SBI)診断の為にCRPのcut-off値を7mg/dL(感度79% 特異度91% LR+8.3)以上とし、またCRP<5mg/dLは重症細菌感染症を除外すると述べています1)。

ここで述べられているSBI(serious bacterial infection) は、菌血症、髄膜炎、尿路感染症、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎と定義されます。

以下、論文アブストラクトの機械翻訳を掲載します。

「目的:1〜36ヶ月の発熱性小児における臨床的に検出不可能な重篤な細菌感染(SBI)に関連する定量的C反応性タンパク質(CRP)の診断特性を決定すること。

方法:この予定コホート研究には、小児救急部(ED)に1〜36か月、温度が39℃以上、臨床的に検出不可能な発熱源を提示している発熱性小児が登録されていた。

イェール観測スケールを用いた人口統計学的情報、ED温度、発熱の持続時間、臨床評価を初期評価時に記録した。白血球数(WBC)、バンド数、絶対好中球数(ANC)およびCRP濃度を同時に測定した。

全ての患者は、血液培養および尿検査または尿培養のスクリーニングを受けた。EDの医師の裁量により、胸部X線写真が得られた。

EDへの提示から1週間以内に抗生物質を使用した経歴のある患者は除外した。主な結果は、実験室または放射線学的に証明されたSBI(菌血症、髄膜炎、尿路感染症、肺炎、敗血症性関節炎および骨髄炎)の存在であった。

結果:77人の患者がこの研究に登録された。 SBI(尿路感染6例、肺炎4例、肺炎連鎖球菌菌血症1例、肺炎菌血症4例)、63例にSBIはなかった。

2群は、年齢、性別、発熱温度、発熱期間、およびイェール観察スケールで区別できなかった。

CRP濃度、WBCおよびANCは、2群間で有意に異なっていた。多変量ロジスティック回帰分析では、CRPのみがSBIの予測因子として残った(ベータ= 0.76、95%信頼区間[CI]:0.64,0.89)。

レシーバ動作特性解析では、ANC(AUC 0.805、SE 0.051、95%CI:0.705,0.905)より優れたCRP(曲線下面積[AUC] 0.905、標準誤差[SE] 0.05,95%CI:0.808,1.002))およびWBC(AUC 0.761、SE 0.068,95%CI:0.628,0.895)と比較した。

感度および特異性(感度79%、特異性91%、尤度比8.3,95%CI:3.8,27.3)の両方を最大にするように、CRPカットオフ点7を決定した。多変量尤度比および事後確率は、様々なCRPレベルについて計算された。 <5mg/dLのCRP濃度は、SBI(尤度比0.087,95%CI:0.02,0.38、SBI1.9%の検定後確率)を効果的に排除した。

結論 CRP濃度は、潜伏性菌血症とSBIのリスクがある熱性幼児の評価において、WBCまたはANCよりも優れた予測値を有する臨床検査で有益である。」

1)Pulliam PN et al. C-reactive protein in febrile children 1 to 36 months of age with clinically undetectable serious bacterial infection. Pediatrics. 2001 Dec;108(6):1275-9. PMID: 11731648