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JAST試験(Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial)を紹介します。
低リスクの日本人非弁膜性心房細動患者において、予後改善に対する低用量アスピリンの有効性と安全性が検討されています。
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一次エンドポイントは心血管死、脳卒中、心原性脳塞栓、血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、一過性脳虚血発作(TIA)の複合エンドポイントで、二次エンドポイントは非心血管死、頭蓋内出血、重篤な出血、末梢動脈塞栓でした。
中間解析の結果、アスピリン治療により重篤な出血が生じ、かつ一次および二次エンドポイントにおいてアスピリン群が抗血小板薬・抗凝固薬を使用しない対照群に比し、優れる可能性がきわめて低い(0.015%)ことが判明した為、907例を登録した時点で試験は中断されました。
結論として、アスピリン150-200mg/日投与は、脳卒中予防に対して有効でなく、安全性も認められなかったとしています1)。
以下、アブストラクトの機械翻訳です。
「背景と目的:非弁膜性心房細動(NVAF)患者の脳卒中の一次予防に対する抗凝固療法の有効性が確立されているが、出血性合併症が頻発するため、低リスク患者に対する抗血小板療法の有効性が疑われている。日本人のNVAF患者におけるアスピリン治療の有効性と安全性を無作為化多施設共同試験で検討した。
方法:NVAF患者をアスピリン群(1日150~200mgのアスピリン)または抗血小板薬または抗凝固療法のない対照群にランダム化した。主要エンドポイントには、心臓血管死、症候性脳梗塞、または一過性虚血性発作が含まれた。
結果:合計426人の患者がアスピリン群にランダム化され、445人が無治療群にランダム化された。アスピリン群では27例(年率2.4%、95%CI、1.5%~1.4%)のプライマリーエンドポイントイベントが27件あったため、この試験は早期に中止されました(年間3.1%、95%CI、2.1%〜4.6%/年) 3.5%/年)であり、一次エンドポイント予防のためのアスピリン治療の優位性の可能性が低いことを示唆している。さらに、アスピリンでの処置は、対照群(2人の患者; 0.4%;フィッシャーの正確な検査P = 0.101)と比較して、重大な出血のリスクがわずかに増加した(7人の患者; 1.6%)。
結論:NVAF患者の脳卒中予防のために、1日当たり150~200mgのアスピリンは効果的でも安全でもないようである。日本人NVAF患者の脳血管イベントに対する最良の予防的治療法を決定するためには、さらなる前向き研究が必要である。」
1)Sato H et al. Low-dose aspirin for prevention of stroke in low-risk patients with atrial fibrillation: Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial. Stroke. 2006 Feb;37(2):447-51. PMID: 16385088