リスクとベネフィットを天秤にかけてみる。心房細動の抗凝固療法を例に考えて見ましょう。

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新規でワーファリンが処方になった心房細動の人があったけど、時々ワーファリンなしの人があるのは何でだろう。

患者さんからも、「私、心房細動ですけど、ワーファリン飲まなくて大丈夫でしょうか?」って聞かれて上手く答えられなかった。

誰かタスケテ…。

そんな方に今日のブログをお届けします。

薬物療法のリスクとベネフィットを、心房細動の際のワーファリンを例に考えてみます。

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CHADS2スコア

心房細動の患者さんにワーファリンを開始するかどうかは、CHADS2スコアと言うスコアリングで判断されます。

1点で、脳梗塞の年間発症率は2.8%、2点で4.0%です。

これが所謂ベースラインリスクです。

ワーファリンの効果

複数の臨床研究から、ワーファリン服用で脳梗塞の初発が相対的に70%予防出来ると分かっています。

これを適用すると、CHADS2スコア1点、2点でのベースラインリスクを、それぞれ1.96%、2.8%減らす事が予測されます。

絶対リスク減少と治療必要数

これを絶対リスク減少と呼びます。こなれない表現ですが、専門用語でご容赦下さい。

ここで治療必要数と言う概念を利用すると、1年間に1人の脳梗塞を予防するためにワーファリンを飲む必要のある人数が分かります。

細かい説明は省きますが、100を絶対リスク減少で割って、それぞれ51人、36人と算出されます。

これがワーファリン服用で得られるベネフィットの指標になります。

害必要数と言う概念

一方で出血イベントが年間2%あるとすれば、害必要数と言う概念を利用して、50人が1年間ワーファリンを飲むと、1人の出血イベントが起こると算出されます。

これがワーファリン服用によるリスクの指標です。

リスク・ベネフィットの評価

CHADS2スコア2点ではベネフィットが勝りますが、1点ではリスクとベネフィットが拮抗しているのが分かります。

日本の循環器学会のガイドラインではCHADS2スコア1点でワーファリンを考慮、2点で服用推奨としているのは、このあたりからも裏付けられると思います。

いかがだったでしょうか?皆さんの生活のリスクマネジメントのご参考になれば幸いです。