「ホスピタリストのための内科診療フローチャート」を薬局薬剤師に勧める理由。

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「ホスピタリストのための内科診療フローチャート」を薬局薬剤師に勧める理由。

はじめに

薬局薬剤師でも、医師の診断のロジックが分かるようになると凄いと思いませんか?

処方箋の理解も、一段深くなると思いません?

凄いと思うけれど、薬局に居てそんなの無理。師匠も居ないし、勉強の仕方も分からない。お金も時間もそんなにかけられない。誰かタスケテ…。

そんなあなたに最高の書籍を紹介します。

「ホスピタリストのための内科診療フローチャート」です。

この書籍があれば、薬局薬剤師も診断のロジックが理解出来るようになります。

証拠として、本書と、本書の元になったブログを参考にしながら、薬局薬剤師のゆきが、アセスメントと治療介入のプランについて考えました。

糖尿病診断のゴールドスタンダード、経口ブドウ糖負荷試験のデータを使います。

ケーススタディ

糖尿病のアセスメントの実例

それではケーススタディをしましょう。

75gOGTTの結果
———————————-
検査前 血糖値114
30分     201
60分     172
90分     140
120分     108
———————————-

経口ブドウ糖負荷試験のアセスメント

空腹時血糖値110-126、OGTT2h値<140のIFG(impaired fasting glucose : 空腹時血糖異常)であり、prediabetes(前糖尿病)と考えられる。

75gOGTTのエビデンス

OGTT1h値もDM発症のリスク評価や、耐糖能の評価に有用な可能性が高い。

EUGENE2

両親の片方のみType2DMであり、本人はOGTT2h値正常である301例を、さらにOGTT1h値 ≥155mg/dLとなる群、<155mg/dLに分類し比較。

OGTT1h値>155ではインシュリン感受性の低下、膵β細胞機能の低下が認められた。[Diabetes Care 35:868–872, 2012]

CATAMERI

DM(-)でOGTTを施行した595例のOGTT1h値と、その後フォローできた392例(5.2±0.9年)におけるDM発症リスクを評価。

OGTT1h値<155、空腹時血糖値<100と比較して、OGTT2h値<140、空腹時血糖値100-125はDM発症リスクがハザード比で1.91[0.44-8.29]。
[J Clin Endocrinol Metab 100: 3744–3751, 2015]

糖尿病のフォロー

生活習慣、リスク因子への介入を行い、6カ月後に耐糖能の再評価を行う。

改善傾向にあればそのまま介入を継続しつつ、1年毎に耐糖能をフォロー。不変であれば介入を継続しつつ、6カ月毎に耐糖能をフォローする。
[N Eng J Med.2012 Aug9;367(6):542-50]

生活習慣の改善

現体重の5%の減量、食事量の制限、動物性脂肪の制限、単純糖質の制限、食物繊維摂取の促進、間食への配慮、運動の奨励、飲酒習慣の是正、禁煙など。

リスク因子への介入

高血圧、高LDLコレステロール血症、高TG血症、低HDLコレステロール血症の改善を評価し、生活習慣の改善で効果が得られない場合には、薬物療法を考慮する。
[日本糖尿病学会編著 2016-2017糖尿病治療ガイド 24-25]

薬物による介入のエビデンス

増悪傾向があればメトホルミンやα-グルコシダーゼ阻害薬の使用を考慮する。

これらの薬剤はType2DMへの移行リスクを有意に低下させた報告がある。
[Can Fam Physician.2009 Apr;55(4):363-9] [Lancet.2009May9;373(9675):1607-14]

まとめ

薬剤師でもここまでアセスメントできる。

如何でしょうか?なかなかハイレベルな事が出来るようになると思いませんか?

患者さんの今の状態を理解し、今後の経過観察のスケジュールなども予想出来るようになりました。

今後は必須のスキルになるかも知れない

カナダの薬剤師は処方権を持ち、米国でも慢性疾患については薬剤師が処方する動きがあるようです。

日本も医療費抑制の政策として、慢性疾患は薬剤師が処方する時代も来るかも知れません。

研鑽を積んで行きましょう。

参考文献

「Hospitalist~病院総合診療医」OGTTの2時間値以外の血糖値

http://hospitalist-gim.blogspot.com/2016/05/ogtt2.html

「ホスピタリストのための内科診療フローチャート」

推薦図書

「ホスピタリストのための内科診療フローチャート」改訂版

記事は、書籍の元になったブログと書籍を参考に書きました。診断の流れがフローチャートで示され、豊富なエビデンスが紹介されています。

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