妊娠中のアセトアミノフェンとNSAIDsの安全性

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アセトアミノフェンは、FDA薬剤胎児危険度分類基準でB:人での危険性の証拠はない、妊娠の全ステージにおいて比較的安全に使用出来る薬剤です。

添付文書に妊娠末期の動脈管収縮リスクが記載されていますが、根拠としている動物実験はラットに常用量の15倍を投与したデータであり、ヒトに常用量を投与した観察研究では結論が出ていません。

胎児性動脈管早期閉鎖は全分娩の0.6%に生じ、その2/3以上は特発性との報告があります。母体にアセトアミノフェンの服用歴があったとしても、因果関係があるとただちに結論する事は困難です。

また妊娠初期にアセトアミノフェンに曝露した9146例において、奇形等の増加は認められませんでした。1)

NSAIDsには流産リスクの報告があります。

米国カリフォルニア州のコホート研究で、妊娠中にイブプロフェン、ナプロキセンを服用した場合、20週までの流産リスクが1.8倍に高まりました。

特に妊娠初期や1週間以上の長期服用では、5.6~8.1倍と大幅にリスクが高まる結果でした。

一方で、アセトアミノフェンでは流産の相対リスクは1.2(95%CI:0.8-1.8)、妊娠1週間以内の服用と1週間以上の服用でも相対リスクはそれぞれ、0.8倍、0.7倍で、すべて有意差はありませんでした。

研究グループは妊娠を望む女性は妊娠初期のアスピリンやNSAIDsの服用は避けるべきと警告しています。2)

1)Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation(Briggs GG)
2)Exposure to non-steroidal anti-inflammatory drugs during pregnancy and risk of miscarriage: population based cohort study BMJ 2003.8.16

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