レボフロキサシンのPKと用量設定について

レスピラトリーキノロンは、市中肺炎のエンペリックセラピーにおいて、高齢者や肺に基礎疾患を有する患者の場合、使用を積極的に考慮してよいとされます1)。
レボフロキサシン(LVFX)は、ガイドラインでキノロンの筆頭に挙げられています。肺炎の主な起因病原体である肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス、マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラに有効ですが、ここでは肺炎球菌に有効である事を、PK/PDの観点から検証してみようと思います。

LVFX500mg単回投与時のCmax8.04±1.98μg/mL, AUC0-72h 50.86±6.46μg・hr/mLです。肺炎球菌に対して治療効果を得るにはAUC/MIC≧30、 耐性菌を出さない為にはCmax/MIC≧5が必要と報告されています。この条件を満たすMIC≦1.6μg/mLです。1995年のデータではS.pneumoniae MIC80 1.56μg/mLです。抗菌薬は遊離型のみ活性を発揮するため、LVFXの血漿蛋白結合率が25%程度ある事を考慮する必要がありますが、腎機能正常でも反復投与による蓄積があり、蓄積率:R=1.1~1.3程度となる事が予想されます。この2点が相殺されることで、PK/PDの観点からは、肺炎球菌に対してLVFX500mg24時間おきでも有効性があるのではないかと考えられます。

文献検索した所、用量設定の根拠として、モンテカルロシュミレーション法により肺炎球菌に対するレボフロキサシンのターゲット値がAUC/MIC≧30、 Cmax/MIC≧5で検討されていた事が確認されました2)。単回投与での検討で、論文には血漿中薬物濃度を使用、MICは国内における薬剤感受性サーベイランスで2004年に収集された臨床分離S. pneumoniae に対するLVFX のMIC 分布を用いている、と記載されています。血漿中濃度との事ですが、Cmax6μg/mLと言う数値を利用しているため、蛋白結合率25%を加味した遊離の薬物濃度と読み替えが出来そうに思えます。

ここまで理論的な考察を重ねて来ましたが、レボフロキサシンのインタビューフォームには2011年に発表された市販後調査報告が収録されています。使用成績調査の項目に原因菌別の有効率・菌消失率と言う一覧があり、肺炎球菌への有効率98.3% ( 170/ 173)、 菌消失率98.5% ( 131/ 133)と記載され、実臨床においてもこの用量設定による効果が証明されているようです3)。

参考文献
1)JAID/JSC 感染症治療ガイドライン―呼吸器感染症― http://www.chemotherapy.or.jp/guideline/jaidjsc-kansenshochiryo_kokyuki.pdf
2)戸塚恭一ほか 総説「Levofloxacin 500 mg 1 日1回~新用法・用量~」 日本化学療法学会雑誌 SEPT.2009 VOL.57 NO.5
3)堀 誠治ほか 市販後調査報告 「Levofloxacin 500 mg 1 日1 回投与の安全性・有効性」 日本化学療法学会雑誌 2011;59(6):614-633



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です