クラビットとマグミットはどちらを先に何時間あけて服用したら良い?



クラビットとマグミットどちらを先に何時間あけて服用したら良い?

はじめに

膀胱炎でクラビットを処方された

膀胱炎でクラビット錠500㎎を処方されたAさん、便秘でマグミット錠を飲んでいるそうです。

添付文書では併用注意です。クラビットの効果を損なわないようにするには、どのように飲んだら良いでしょう?

今回の記事を読めば、クラビットとマグミットを飲む時間をずらす理由が分かり、適切な服薬指導が出来るようになります。

クラビット(成分名:レボフロキサシン)と一緒に飲んではいけない薬がある。マグミット(成分名:酸化マグネシウム)は代表的

クラビットは金属カチオンと飲み合わせが悪い

医薬品の成分である、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸第一鉄など、消化管の中で金属カチオン(プラスの電荷をもつイオン)となる薬は、飲み合わせがよくありません。

同時に飲むと効果が落ちる

一般に、飲み合わせが悪いのには、薬が安全に使用出来なくなる場合と、薬が効果的に使用出来なくなる場合の2つがあります。クラビットとマグミットは後者に該当します。

ニューキノロンと金属カチオンは相互作用があり、併用注意。つまり飲み合わせ・飲み方に注意が必要

難溶性のキレートを作る

医療現場のための薬物相互作用リテラシーに書かれている通り、ニューキノロン系抗菌剤であるクラビットは、金属カチオンを同時に服用すると難溶性のキレートを作り、吸収率が低下します。

添付文書には、最高血中濃度であるCmaxが-45%、生体が利用できる薬の総量であるAUCが-19%低下すると記載されています。

ニューキノロンは、効果を得るために血中濃度のピークが必要

ニューキノロンは、濃度依存の抗菌剤です。菌の増殖を抑える効果が最高血中濃度に依存します。この事は、PK/PD理論で説明されます。

JAID/JSC感染症治療ガイド2019でも触れられていますが、ニューキノロン系の抗菌剤は、Cmax/MICが一定以上でないと十分な効果が発揮されません。MICは最小菌発育阻止濃度と言って、細菌の増殖を抑えられる最小の薬物濃度です。

同時に飲むとクラビットのピークが下がり、効果が落ちる

このような理由で、同時に服用した場合、抗菌剤であるクラビットの十分な治療効果が得られない可能性があります。

間隔をあければ飲めるが、何時間あけたら良いか。

飲む間隔をあければ効果を損なわない

これを解決するには、同時服用を避けて、時間をずらして飲む方法があります。どちらを先に、何時間あけたら良いでしょうか?2つ仮説を提示します。

クラビットを先に飲む場合

①クラビットを先に飲んだ場合、2時間以上あけてマグミットを飲めばよい。クラビットの血中濃度が最大になるまでの時間であるTmaxは1時間なので、2時間後には大部分の吸収が終わっていると考えられます。

マグミットを先に飲む場合

②マグミットを先に飲んだ場合、3~6時間以上あけてクラビットを飲めばよい。金属カチオンは消化管からあまり吸収されず、長時間滞留するため、間隔を長くあける必要があると考えられます。

仮説を裏付けそうな報告がある

実際、この仮説を支持する研究報告があります。医療現場のための薬物相互作用リテラシーに印象的な図が掲載されていましたので紹介します。

レボフロキサシンに関するデータはありませんが、制酸薬との併用による他のニューキノロン系抗菌薬の相対的バイオアベイラビリティの変動を図1に示しました。

バイオアベイラビリティとは、服用した薬がどれくらい血流に乗るかの指標です。

併用を避けるべき時間が示唆された

ニューキノロン系抗菌剤の服用時間を0 時間とし、制酸薬の服用をずらして相対的バイオアベイラビリティを調べた結果、ニューキノロン系抗菌薬の服用3~6時間前、服用2時間後までは、制酸薬の併用を避けるべきであることが示唆されました。

図1. 制酸薬投与タイミングによるニューキノロン系抗菌薬の相対的バイオアベイラビリティの変化。

図の見方

ニューキノロン薬の投与タイミングを 0 時間とし、制酸薬(酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等のこと)をその前後に投与しています。

結果の解釈には注意が必要

ただし、金属カチオンにはマーロックス、スクラルファート等が用いられ、投与量も研究間で差異が在るため、作用強度の比較には注意が必要です。

まとめ

ニューキノロン系抗菌剤のクラビットは、マグミットと同時に飲むと効果が落ちる事が分かりました。

クラビットを先に飲むなら、マグミットは2時間以上あけて下さい。

マグミットを先に飲むなら、クラビットは3~6時間以上あけて、下さい。

現実的なのは、クラビット先でしょうか…。難しい場合は、クラビットを変更出来ないか、相談しましょう。

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参考文献

1)Shiba K et al.:Antimicrob Agents Chemother 1992;36(10):2270-2274
2)伊藤由紀 ほか:医薬ジャーナル 2001;37(12):3598-3603
3)川上純一 他, 病院薬学 18(1):1-12, 1992.
4)医療現場のための薬物相互作用リテラシー [大野能之]
5)Craig WA et.al The Role of Pharmacodynamics in Effective Treatment of Community-Acquired Pathogens. Advanced Studies inMedicine,2:126-134,2002.

推薦図書

JAID/JSC感染症治療ガイド2019

「医療現場のための薬物相互作用リテラシー」

今回参考にした書籍を紹介します。P192-199に「主に阻害薬・誘導薬として重要なもの ④キノロン系・カルバペネム系抗菌薬」と言う章があり、金属カチオンとの相互作用が解説されています。

薬物相互作用の基礎知識、ピットフォール、定量的なマネジメントの手法について解説されています。特にPISCSと言う手法で薬物相互作用を定量的に評価する方法の解説は圧巻で、ぜひ手に取って見られることをお勧めします。

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