クラビットとマグミットはどちらを先に何時間あけて服用したら良い?



クラビットとマグミットどちらを先に何時間あけて服用したら良い?

膀胱炎でクラビット錠500㎎を処方されたかおるさんは、便秘で普段からマグミット錠を飲んでいるそうです。

この2剤は添付文書で併用注意です。クラビットの効果を損なわないようにするには、どのように飲んだら良いでしょう?

今回の記事を読めば、クラビットとマグミットを飲む時間をずらす理由が分かり、適切な服薬指導が出来るようになります。

☑️クラビットと一緒に飲んではいけない薬がある

抗菌薬のクラビットは、飲み合わせの良くない薬があります。消化管の中で金属カチオン、すなわちプラスの電荷をもつイオンに変化する薬がそうです。

具体的には酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸第一鉄などが該当します。

一般に、飲み合わせが悪いのには、薬が安全に使用出来なくなる場合と、薬が効果的に使用出来なくなる場合の2つがあります。

クラビットとマグミットは後者に該当します。

☑️ニューキノロンと金属カチオンは相互作用がある

ニューキノロン系抗菌剤であるクラビットは、金属カチオンを同時に服用すると難溶性のキレートを作り、吸収率が低下します。

クラビット経口剤(100mg)投与と金属イオン含有製剤の併用について、健常成人を対象としたクロスオーバー試験結果では、レボフロキサシンの吸収が低下し、血中濃度が低下することが文献報告にて示唆されております1)。
 ・アルミニウムについてはCmax約65%の低下、AUC約44%の低下
 ・マグネシウムについてはCmax約38%の低下、AUC約22%の低下
 ・鉄についてはCmax約45%の低下、AUC約19%の低下

出典: faq.medicallibrary-dsc.info

Cmaxは最高血中濃度、すなわち血中濃度のピーク、AUCは生体が利用出来る薬物の総量を表します。

☑ニューキノロンは血中濃度のピークが必要

JAID/JSC感染症治療ガイド2019でも触れられていますが、ニューキノロン系の抗菌剤は、Cmax/MICが一定以上でないと十分な抗菌効果が発揮されません。

これらのPK/PDパラメータと薬理効果を検討すると、Cmax/MICと相関があるのはアミノグリコシド系抗菌薬とキノロン系抗菌薬、AUC/MICと相関があるのはキノロン系抗菌薬、T>MICと相関があるのはβラクタム系抗菌薬となる。

出典: www.jstage.jst.go.jp

MICは最小菌発育阻止濃度と言って、細菌の増殖を抑えられる最小の薬物濃度です。

MICは細菌に固有な値なので、同一の細菌に対する効果はCmax、すなわち血中濃度のピークに依存すると言えます。

この事は、Craigの提唱したPK/PD理論で説明されます。ニューキノロンは、濃度依存の抗菌剤に分類されます。

このような理由で、クラビットとマグミットを同時に服用した場合、十分な治療効果が得られない可能性があります。

☑️間隔をあければ効果を損なわないが、何時間?

これを解決するには、同時服用を避けて、時間をずらして飲む方法があります。どちらを先に、何時間あけたら良いでしょうか?2つ仮説を提示します。

クラビットを先に飲む場合です。

クラビットを先に飲んだ場合、2時間以上あけてマグミットを飲めばよい。

クラビットの血中濃度が最大になるまでの時間であるTmaxは1時間なので、2時間後には大部分の吸収が終わっていると考えられます。

マグミットを先に飲む場合です。

マグミットを先に飲んだ場合、3~6時間以上あけてクラビットを飲めばよい。

金属カチオンは消化管からあまり吸収されず、長時間滞留するため、間隔を長くあける必要があると考えられます。

☑仮説を裏付けそうな報告

実際、この仮説を支持する研究報告があります。医療現場のための薬物相互作用リテラシーに印象的な図が掲載されていましたので紹介します。

レボフロキサシンに関するデータはありませんが、制酸薬との併用による他のニューキノロン系抗菌薬の相対的バイオアベイラビリティの変動を図1に示しました。

バイオアベイラビリティとは、服用した薬がどれくらい血流に乗るかの指標です。

ニューキノロン系抗菌薬の投与時間を0 時間とし、制酸薬の投与をずらして相対的バイオアベイラビリティを調べた結果、ニューキノロン系抗菌薬の服用3~6時間前、服用2時間後までは、制酸薬の併用を避けるべきであることが示唆された。

文献)
1.川上純一 他, 病院薬学 18(1):1-12, 1992.
2.伊藤由紀 他, 医薬ジャーナル 37(12):168-173, 2001.

出典: rikunabi-yakuzaishi.jp

図1. 制酸薬投与タイミングによるニューキノロン系抗菌薬の相対的バイオアベイラビリティの変化。

クラビットとマグミットの併用を避けるべき時間が示唆されました。

ただし、金属カチオンにはマーロックス、スクラルファート等が用いられ、投与量も研究間で差異が在るため、作用強度の比較には注意が必要です。

☑️まとめ

ニューキノロン系抗菌剤のクラビットは、マグミットと同時に飲むと効果が落ちる事が分かりました。

マグミットを服用した後、クラビットは3~6時間以上あけて服用するのが無難です。

クラビットを服用した後、マグミットは2時間以上あけて服用するのが無難です。

難しい場合は、クラビットを他の抗生物質に変更出来ないか処方医に疑義照会することがBetterな場合もあるかもしれません。

起因菌がE.coliと考えられればセフカペン等のセフェム系抗生物質は選択肢になります。

今回の記事はいかがでしたか?

みなさんの日常業務の参考になりましたら幸いです。

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☑️参考文献

1)Shiba K et al.:Antimicrob Agents Chemother 1992;36(10):2270-2274
2)伊藤由紀 ほか:医薬ジャーナル 2001;37(12):3598-3603
3)川上純一 他, 病院薬学 18(1):1-12, 1992.
4)医療現場のための薬物相互作用リテラシー [大野能之]
5)Craig WA et.al The Role of Pharmacodynamics in Effective Treatment of Community-Acquired Pathogens. Advanced Studies inMedicine,2:126-134,2002.

☑️推薦図書

記事を書く際に参考にした書籍です。どれもお勧めです。興味のある方は購入して更に深く学ばれて下さい。

JAID/JSC感染症治療ガイド2019

「医療現場のための薬物相互作用リテラシー」

特にお勧めの書籍を紹介します。

P192-199に「主に阻害薬・誘導薬として重要なもの ④キノロン系・カルバペネム系抗菌薬」と言う章があり、金属カチオンとの相互作用が解説されています。

薬物相互作用の基礎知識、ピットフォール、定量的なマネジメントの手法について解説されています。

特にPISCSと言う手法で薬物相互作用を定量的に評価する方法の解説は圧巻で、ぜひ手に取って見られることをお勧めします。

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