クラビットとマグミットは一緒に飲んだらいけないと聞いたけれど、どちらを先に間隔は何時間あけて服用したら良い?

1 はじめに

膀胱炎でクラビット錠500㎎を処方されたけれど、薬局でお薬手帳を見せたら、便秘で飲んでるマグミット錠と飲み合わせが良くないって薬剤師さんが言ってた。

時間をあけて飲んでって言われたけど、忘れちゃった。どっちを先に飲めばいいの?時間はどれくらいあけたらいいの?誰かタスケテ…。

そんなあなたに、飲み方とその意味合いを書きました。

2 クラビット(成分名レボフロキサシン)と一緒に飲んではいけない薬がある。酸化マグネシウムは代表的

医薬品の成分である、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸第一鉄など、消化管の中で金属カチオン(プラスの電荷をもつイオン)となる薬は、飲み合わせがよくありません。

一般に、飲み合わせが悪いのには、薬が安全に使用出来なくなる場合と、薬が効果的に使用出来なくなる場合の2つがあります。

クラビットとマグミットは後者に該当します。

3 ニューキノロンと金属カチオンは相互作用があり、併用注意。つまり飲み合わせに注意が必要

ニューキノロン系抗菌剤であるクラビットと上記の金属カチオンは、同時に服用すると、消化管の中で難溶性のキレートを作り、吸収率が低下します。最高血中濃度であるCmaxが-45%、生体が利用できる薬の総量であるAUCが-19%低下します。

ニューキノロンは、濃度依存の抗菌剤です。菌の増殖を抑える効果が最高血中濃度に依存します。この事は、Craigの理論で有名です。

正確にはAUC/MICとCmax/MICが一定以上でないと、十分な効果が発揮されません。MICは最小菌発育阻止濃度と言って、細菌の増殖を抑えられる最小の薬物濃度です。

このような理由で、同時に服用した場合、抗菌剤であるクラビットの十分な治療効果が得られない可能性があります。

4 間隔をあければ飲めるが、何時間あけたら良いか

これを解決するには、同時服用を避けて、時間をずらして飲む方法があります。どちらを先に、何時間あけたら良いでしょうか?2つ仮説を提示します。

①クラビットを先に飲んだ場合、2時間以上あけてマグミットを飲めばよい。クラビットの血中濃度が最大になるまでの時間であるTmaxは1時間なので、2時間後には大部分の吸収が終わっていると考えられます。

②マグミットを先に飲んだ場合、3~6時間以上あけてクラビットを飲めばよい。金属カチオンは消化管からあまり吸収されず、長時間滞留するため、間隔を長くあける必要があると考えられます。

実際、この仮説を支持する研究報告があります。

レボフロキサシンに関するデータはありませんが、制酸薬との併用による他のニューキノロン系抗菌薬の相対的バイオアベイラビリティの変動を図1に示しました。

バイオアベイラビリティとは、服用した薬がどれくらい血流に乗るかの指標です。

ニューキノロン系抗菌剤の服用時間を0 時間とし、制酸薬の服用をずらして相対的バイオアベイラビリティを調べた結果、ニューキノロン系抗菌薬の服用3~6時間前、服用2時間後までは、制酸薬の併用を避けるべきであることが示唆されました。

図 1. 制酸薬投与タイミングによるニューキノロン系抗菌薬の相対的バイオアベイラビリティの変化。

ニューキノロン薬の投与タイミングを 0 時間とし、制酸薬(酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等のこと)をその前後に投与しています。

CPFX:シプロフロキサシン、LFLX:ロメフロキサシン、OFLX:オフロキサシン、
ENX:エノキサシン、NFLX:ノルフロキサシン

5 まとめ

ニューキノロン系抗菌剤のクラビットは、マグミットと同時に飲むと効果が落ちる事が分かりました。

クラビットを先に飲むなら、マグミットは2時間以上あけて下さい。

マグミットを先に飲むなら、クラビットは3~6時間以上あけて、下さい。

現実的なのは、クラビット先でしょうか…。難しい場合は、クラビットを変更出来ないか、相談しましょう。

6 書籍紹介「医療現場のための薬物相互作用リテラシー」

今回参考にした書籍を紹介します。P192-199に「主に阻害薬・誘導薬として重要なもの ④キノロン系・カルバペネム系抗菌薬」と言う章があり、金属カチオンとの相互作用が解説されています。

薬物相互作用の基礎知識、ピットフォール、定量的なマネジメントの手法について解説されています。特にPISCSと言う手法で薬物相互作用を定量的に評価する方法の解説は圧巻で、ぜひ手に取って見られることをお勧めします。

7 関連記事

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薬剤師必読。臨床報告のない相互作用をPISCS理論で定量的に評価。手計算も出来る簡単な式で、必要なパラメーターはAUCの他は2つだけ。

PISCSを応用して、クラリスロマイシン併用時のグアンファシンAUC上昇率を推定する。

8 参考文献

1)Shiba K et al.:Antimicrob Agents Chemother 1992;36(10):2270-2274
2)伊藤由紀 ほか:医薬ジャーナル 2001;37(12):3598-3603
3)川上純一 他, 病院薬学 18(1):1-12, 1992.
4)医療現場のための薬物相互作用リテラシー 南山堂 大野能之編 2019年
5)Craig WA et.al The Role of Pharmacodynamics in Effective Treatment of Community-Acquired Pathogens. Advanced Studies inMedicine,2:126-134,2002.


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