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フルボキサミン服用中はカフェインを避けた方がよいですか
☑️はじめに
フルボキサミン服用中の患者から嘔気と動悸の相談がありました。
毎朝1杯のコーヒーを飲む習慣があるそうです。
薬剤師はCYP1A2の相互作用を想起しました。
フルボキサミンによりカフェインの代謝が遷延しているのではないかと考えたのです。
理論的にありえる相互作用ですが、臨床的に検討されているのでしょうか。
フルボキサミンの服用はカフェインのPKにどの程度の影響を与えるのでしょうか。
プロローグ
🆕フルボキサミン✨
🧔この薬を飲みはじめて数日経つけどむかむかしたり動悸が。コーヒー?毎朝1杯飲んでるけど
👨⚕️💭CYP1A2の相互作用かも
フルボキサミンがカフェインのCmaxを1.4倍、半減期を14倍にした報告が。
蓄積して9日目にはコーヒー5杯相当の最高血中濃度に。
👩⚕️カフェインレス☕をお勧めします。
出典: twitter.com
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☑️フルボキサミンはカフェインの最高血中濃度を1.4倍に、消失半減期を14倍に延長させる
文献検索をすると、ボランティアを対象にした小規模なRCTがありました。
フルボキサミン100mgまたは偽薬を2日間で4回投与の後、カフェイン250mgを単回投与しました。
カフェインの半減期は4時間から56時間に延長されました。
またカフェインのCmaxは5.81μg/mLから8.14μg/mLに1.4倍上昇しました。
Fluvoxamine impairs single-dose caffeine clearance without altering caffeine pharmacodynamics
☑️フルボキサミン服用により、連日1日1杯のコーヒーのカフェイン蓄積率は3.9倍になる
カフェインを24時間おきに摂取すると、反復摂取による蓄積性は生じるのでしょうか。
蓄積率Rを求めました。
R=1/{1-exp(-kel・τ)}で求められます。関数電卓を用いて計算しましょう。
・フルボキサミン服用なしではτ/T1/2=6>3で、蓄積率R=1
・フルボキサミン服用ありではτ/T1/2=0.43で、蓄積率R=3.9
フルボキサミン服用なしでは1日1回のカフェインに蓄積性はないようです。
しかし、服用ありでは蓄積性が生じ、4半減期の経過した9日目に定常状態に到達しました。
血中濃度は単回投与時の3.9倍に上昇しました。
☑️Cmax上昇と合わせて、カフェインの最高最高血中濃度は5.46倍と予測
単回投与時のCmaxが1.4倍になる事と考え合わせると、定常状態の最高血中濃度は5.46倍と予測されます。
従って毎朝1杯のコーヒーが、フルボキサミンの服用により5.5杯に相当するカフェイン暴露となると考えられます。
Fluvoxamine impairs single-dose caffeine clearance without altering caffeine pharmacodynamics
☑️欧州食品安全機関(EFSA)の定める1回最大カフェイン摂取量は3mg/kgまで
欧州食品安全機関(EFSA)は、成人が摂取しても体に影響がないとみられる1回当たりのカフェインの最大摂取量を設定しています。
健康な成人なら、体重1kgあたりで3mgまでがEFSAが1回で摂取するのに安全とみなすカフェイン量です。
コーヒー1杯(150mL)当たりのカフェイン量をおよそ80mgとすると、体重60kgの日本人は2杯程度がカフェインの1回最大摂取量になります。
Scientific Opinion on the safety of caffeine
☑️フルボキサミン服用中のカフェイン摂取は中枢神経系に悪影響を与える可能性がある
この併用は中枢神経系に悪影響を与える可能性のある範囲に達すると予測されています。
CYP1A2とカフェイン摂取について注意喚起をする論文がありました。
CYP1A2酵素レベルでの薬物動態学的相互作用は、カフェインと、心血管系、CNS(精神科患者ではカフェインの過剰な食事摂取も観察されている)、消化器系、感染症、呼吸器系、皮膚疾患に使用される特定の薬剤との併用により、毒性作用を引き起こす可能性がある。
相互作用の可能性がある薬剤について相互作用がないことがすでに証明されている場合を除き、薬物療法を計画する際、あるいは薬物療法に対する反応を評価する際には、食事によるカフェインの摂取量を考慮する必要がある。
“Clinically significant pharmacokinetic interactions between dietary caffeine and medications”
☑️まとめ
フルボキサミン服用によりカフェインの代謝が遷延します。
コーヒーを反復摂取9日目以降のカフェイン最高血中濃度を試算したところ、単回摂取時の5.5倍と予想されました。
言い換えれば、1日1杯のコーヒーが5.5杯に相当するカフェイン暴露となります。
これは欧州食品安全機関の定める1回最大カフェイン摂取量の2倍以上に相当します。
中枢神経系に悪影響を与える可能性のある範囲に達すると予測されています。
フルボキサミンを服用している患者にはノンカフェインのコーヒーを勧める等が必要と考えられます。
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最終更新日2021年10月5日
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