CYP2C19遺伝子多型はエスシタロプラムのQT延長・TdPリスク因子のひとつ
☑️はじめに
日本人で最も注意が必要な遺伝子多型はCYP2C19、と解説している成書があります。
活性欠損型であるPMの出現頻度は、日本人の場合16~20%程度。白人では数パーセントに留まるからです。
この酵素で代謝される薬物は向精神薬・PPI・抗血小板薬等少なくありません。
ですが、PMの場合の用量設定が規定されているものは多くありません。
その中で、レクサプロ®(エスシタロプラム)の添付文書には、以下のように記載されています。
遺伝的にCYP2C19の活性が欠損していることが判明している患者(Poor Metabolizer)では、本剤の血中濃度が上昇し、QT延長等の副作用が発現しやすいおそれがあるため、10mgを上限とすることが望ましい。また、投与に際しては患者の状態を注意深く観察し、慎重に投与すること。
レクサプロ®錠10mg/20mg 添付文書
承認用量は10mgを適宜増減、ただし20mgを超えないことですが、CYP2C19PMにはより慎重な用量設定になっていることが分かります。
それではCYP2C19PMにおいて、エスシタロプラムのAUCは通常型のEMに比して何倍になるのでしょうか。
またAUCの上昇は、実臨床においてどの程度のリスクになるのでしょうか。
記事ではCR-IR法を用いて、PMの遺伝子多型を持つ患者のAUC上昇率を推定する方法を紹介します。
また実臨床におけるエスシタロプラムのQT延長・TdPリスクについて解説します。
プロローグ
Rp.🆕エスシタロプラム5mg
エナラプリル・カルベジロール・フロセミド・スピロノラクトン👵心電図も検査してもらいましたよ。
👨⚕️💭SSRIで心電図?
👩🎓エスシタロプラムに用量依存的なQT延長作用があるからです。👩🎓女性・高齢者・心不全は同じくQT延長のリスク因子となるので、より慎重にベースラインの確認をしたと思われます。
👩🎓また、エスシタロプラムは主としてCYP2C19で代謝されますが、日本人の5、6人に1人は活性を欠いていてAUCが2倍程度上昇します。
👨⚕️なるほど!それで低用量から開始なのですね!
👩🎓また、エスシタロプラム単独ではQT延長しない場合もありますが、既存の心疾患のある患者でTdPに至ったケースも報告されていますので、注意が必要です。
出典: twitter.com
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