セファランチンの口内炎に使用する用量は、どれくらいが適正でしょうか?


セファランチンの口内炎に使用する用量は、どれくらいが適正でしょうか?

はじめに

セファランチン末が口腔外科から処方された

歯科口腔外科から次の処方箋が来ました。

セファランチン末 1.2g 分3 毎食後

主訴は口内炎です。セファランチンは12mg/dayでの使用です。

セファランチンは、脱毛症の治療で時々見かけますが、口内炎での使用は初めて見ました。用量も脱毛症より多めです。

この処方箋は適正なのでしょうか。どのような科学的根拠があるのでしょうか。

セファランチンの作用機序、適用、用法用量

セファランチンの作用機序、適用を確認

セファランチンは、抗アレルギー作用、抗炎症作用、血液幹細胞増加作用が報告されています。

造血機能の回復の促進、末梢血管を拡張・末梢循環障害を改善すると考えられています。

円形脱毛症・粃糠性脱毛症、炎症性疾患、放射線療法後の白血球減少症の他、気管支喘息やマムシ咬傷に対する臨床応用が見られています。

保険適応外の使用であることを添付文書から確認した。

セファランチンの添付文書によると、白血球減少症に対して1日3~6mgを2~3回に分けて、脱毛症に対して1日1.5~2mgを2~3回に分けて、適宜増減とあります。

口内炎に対しては保険適応外処方のようです。従って、適切な用量が分かりません。

薬剤師としては、処方の妥当性の根拠を確認したい

添付文書に記載がない、承認外の使用であるため、処方医に問い合わせし、処方通りと確認しました。

しかし、この用量は妥当なのでしょうか?薬剤師としては、処方の妥当性を裏付ける根拠を確認したいです。

セファランチンを口腔粘膜疾患および舌痛症に使用した文献を見つけた

業務上の義務は果たしたので、更に調べて見る

業務上最低限の仕事は果たしたので、セファランチンの口内炎に処方する場合の情報を、もう少し調べて見ることにしました。

Googleで文献検索し、アフタ性口内炎などにセファランチンを試した論文を見つけた

Googleで文献検索したところ、口腔粘膜疾患および舌痛症に対するセファランチン内服単独投与群で有効率50%であったとする論文を見つけました1)。

検討された投与量は20mg/dayでした。

治りづらい口腔扁平苔癬でも検討されていた

難治性疾患である扁平苔癬に対しやや有用以上で87.0%の有用率を示し、副作用の発現を認めなかった、セファランチンの安全性と有用性が示唆された、と結論しています。

口腔扁平苔癬とは

口腔粘膜に生じた角化異常を伴う難治性の慢性炎症性疾患です。口腔粘膜、特に頬粘膜に両側性に白い網状の病変を形成することが多く、びらんや潰瘍を伴うときもあります。口腔扁平苔癬は、40歳以降の女性に多く発症します。

口腔扁平苔癬に気づくきっかけ

患者さんの多くは、食事や会話時の口腔内の刺激・接触痛を主訴に受診されたり、歯科検診などで病変を指摘されて受診されます。

口腔扁平苔癬は視診と組織検査で診断がつく病気なので、口の中の炎症が治らない場合は、放置せず口腔外科を掲げている歯科医院や医療施設へ受診しましょう。

口腔扁平苔癬の原因、治療

口腔扁平苔癬は原因や発症のメカニズムが未だによくわかっていないため、確立された治療法はなく、症状に合わせて行う対処療法がメインとなります。

セファランチンの他、ステロイドを使用する事が多いです。

まとめ

論文からセファランチンの用量に妥当性がありそうと分かった

この論文を勘案すると、12mg/dayは安全に使用出来るかも知れません。

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カルバマゼピン服用中の甲状腺機能低下について

こんばんは。アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。

薬局で電子薬歴を見ていたら、カルバマゼピン服薬中に甲状腺の数値(具体的には不明)が少し下がっていて、薬剤性の疑いがあると主治医から説明されたと書かれていました。

恥ずかしながら、知らない内容でしたので、カルバマゼピン(CBZ)の服用と甲状腺機能の低下について調べました。

検索していて、2報の論文を見つけましたので、簡単に紹介します。

CBZ服用の29例の前向き研究において、甲状腺機能障害のない群においては、TSH値の上昇は正常範囲、一方、甲状腺機能障害があり、レボチロキシン投与が行われていた群においては、TSH値の上昇があり、治療の変更が必要になったと報告されています1)。

CBZ服用群(n=58)と対照群(n=54)のFT3,FT4,TSHを測定したところ、統計的有意差は示されなかったと言う報告もあります。論文では、CBZは甲状腺ホルモン濃度を低下させるが、甲状腺機能低下症を起こすことは希としています2)。

さらに検索していて、厚労省の重篤副作用疾患別対応マニュアルを見つけました。甲状腺ホルモンの代謝を促進するものとしてカルバマゼピンが挙げられています3)。前述の内容を整理できると考えたので、マニュアルの記述を抜粋しました。

カルバマゼピンは、甲状腺ホルモンであるT4及びT3の代謝を促進します。甲状腺ホルモン産生予備能があまりない場合、またレボチロキシン補充中の患者の場合にカルバマゼピンを投与すると、甲状腺機能低下症を発症してレボチロキシン補充療法の開始が必要になったり、既に発症している患者では補充量の増量が必要となる場合があります。

カルバマゼピンは、肝臓における薬物代謝酵素系を誘導するとともに、結合蛋白であるTBGと甲状腺ホルモンの結合を阻害します。血中総T4 は40%程度減少、総T3 はそれより軽度減少します。遊離ホルモンであるFT4は、多くのキットでは、artifact として低く測定されますが、血中TSH の値は正常域にとどまります。

どうやら、甲状腺の基礎疾患のある場合はチラーヂンが必要になりそうですが、そうでなければ経過観察となりそうです。

参考文献
1)Carbamazepine and risk of hypothyroidism: a prospective study. Acta Neurol Scand. 2007 Nov;116(5):317-21.  PMID:17850408

2)The effects of carbamazepine on thyroid functions in childhood epilepsy.2013; 40 (4): 533-536 Dicle Medical Journal doi: 10.5798/diclemedj.0921.2013.04.0328

3)重篤副作用疾患別対応マニュアル 甲状腺機能低下症 平成21年5月 厚生労働省



臨床研究の論文を読み始めた人にお勧めする3冊の書籍。

MRさんが臨床研究を元にプロモーションしてくるんだけれど、信用して良いのか正直よくわからない。

メーカーとしては製品を出来るだけ良く見せたいだろうし、論文のどんなところに注意して解釈したらいいの?誰かタスケテ…。

わたしも、そうでした。少しずつ本で勉強して、論文を解釈する手法を学んで来ました。独り占めしているのはもったいないので、シェアしたいと思いました。

このブログで紹介している本を読めば、臨床研究の論文を鵜呑みにせず、解釈出来るようになります。

臨床研究の論文の読み方、ピットホールを知りたい人に

臨床研究の論文を読み始めた人にお勧めの本を紹介します。3冊あります。どれも、論文を読む時のピットホールに気づかせてくれる本です。

医学論文が常に科学的で公正とは限らない

臨床研究と言うと、科学的で公正なイメージがありますが、そうでない場合があるのは某降圧剤のスキャンダルを見れば納得頂けると思います。

論文を「盛る」手法がある

論文を「盛る」手法は様々です。対照薬の用量を少な目に設定する事で、新薬を効果的に見せる手法、グラフの縦軸を拡大することで、実際の効果は大きくなくても、視覚的に大きいようにアピールする手法、多重検定を補正しないで行う手法…。

読めば論文を鵜呑みにしなくなる本がある

今回紹介する3冊の書籍は、どれもこうした論文を「盛る」手法を解説しています。1冊でも読めば、論文の主張を鵜呑みにせず、論文の結果を批判的に解釈出来るようになります。

ディ○バン事件の後を生きる薬剤師として、わたしたちに必須なスキルであると、わたしは思います。

「医学統計ライブスタイル」

「臨床研究を正しく評価するには」

「論文を正しく読むのはけっこう難しい」

「処方箋の”なぜ”を病態から推論する」を若手だけでなく中堅以上の薬局薬剤師にもお勧めしたい理由。

臨床研究の論文を読み始めた人にお勧めする3冊の書籍。

書籍紹介:薬剤師業務のさらなる展開 2006年版ハンドブック

「寄り道」呼吸器診療 呼吸器科医が悩む疑問とそのエビデンス [ 倉原優 ]書籍紹介

神戸大学感染症内科版TBL 問題解決型ライブ講義集中!5日間 [ 岩田健太郎 ]

健康格差と言う公衆衛生の問題を、ロールズ哲学の正義論で論じる書籍の紹介。

感染症を勉強するための書籍紹介。

日常診療に潜むクスリのリスク 臨床医のための薬物有害反応の知識 [ 上田 剛士 ]

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主要血管イベントのベースラインリスクが5年間で10%未満の患者へのスタチンによる主要血管イベントの抑制効果は不明

低リスク患者に対するスタチン治療の効果を検証したメタ分析(Cholesterol Treatment Trialists'(CTT))の紹介をします。

一次予防の部分だけ抜き出して紹介をします。

この報告によれば、5年間の主要血管イベント(major vascular events:MVE)のベースライン・リスクが5%≦,<10%では、血管疾患の既往がない場合、血管死は相対リスクRR 0.75(0.55~1.04)でした。

また、ベースライン・リスクが<5%では相対リスクRR 0.80(0.43~1.47)でした。

このように、有意差が示されず、低リスク患者へのスタチンによる主要血管イベントの抑制効果は不明、と解釈されます。

主要血管イベント(MVE)と呼んでいるものには、主要冠動脈イベント(非致死的MIまたは冠動脈死亡)と脳卒中と冠血管再建術を含んでいます。

なお、動脈硬化学会の2017年のガイドラインでは、一次予防の場合、10年間の冠動脈疾患発症率が2%未満を低リスク、2-9%未満を中リスク、9%以上を高リスクと定義しています。

冠動脈疾患には、心筋梗塞、冠動脈バイパス、冠動脈形成術、24時間以内の内因性急性死が含まれます。

1)The effects of lowering LDL cholesterol with statin therapy in people at low risk of vascular disease: meta-analysis of individual data from 27 randomised trials.

超高齢者のスタチン療法は、余命と予防効果、薬剤の副作用を考慮して適応を決めるべき。

こんばんは。研修認定薬剤師の奥村です。家族で初詣に行きました。娘が石段を最後まで登って参拝出来たのに感動しました。

さて、超高齢者のスタチン療法についてまとめられていたため、引用論文と共に紹介します。

・高齢者(>75-80歳)に対する脂質代謝異常への介入の効果を評価した報告は無い。
・余命と予防効果、薬剤の副作用を考慮して適応を決めるべき。すでにスタチンを使用している患者では、副作用がなければ低~中等量を継続、副作用がある場合は減量もしくは中断を考量する。
・心血管疾患や糖尿病がある患者群では余命、副作用を考慮して投与を決める。使用するとしても少量~中等量としたほうがよい1)。

以下、引用されていた論文2)アブストラクトの機械翻訳です。

「重要:高コレステロール血症は、80歳以上の人々に共通する。高齢患者には機能的な異質性がかなり存在し、スタチン使用の意思決定は高齢者では若年者に比べて異なる。

目的:80歳以上の人々のプレゼンテーション、修正因子、高コレステロール血症(通常はスタチン)の治療について議論する。

証拠レビュー:1990年1月から2014年6月まで、MEDLINEおよびその他の情報源が検索された。2000年1月から2014年6月までのガイドラインおよびレビューからの個人図書館および参照リストの手引きも使用された。

発見:スタチンまたはその他の低コレステロール血症治療薬のランダム化臨床試験(RCT)には、ベースライン時の80歳以上の者は含まれていませんでした。 RCTに登録された75歳から80歳の患者の所見および観察研究の情報は、アテローム硬化性心血管疾患(ASCVD)の二次予防のためのスタチン治療、およびおそらくASCVDのない糖尿病患者のスタチン治療を支持する。高齢患者ではスタチン系薬剤の有害物質は増加しないため、これらの薬剤を一次予防に使用することは可能です。 80歳以上の人々は、平均余命の異なる生物学的に異質であり、虚弱または併存疾患を有する可能性があり、複数の投薬を受ける可能性があるため、スタチンで治療する決定は個別化されなければならない。

結論と関連性:理想的には、ASCVDの危険性がある患者の高コレステロール血症の治療は、80歳になる前に開始されるべきである。 80歳以降にスタチン開始を誘導するRCTの証拠は存在しない。高齢者でスタチンを使用する決定は個別に行われ、高品質の証拠によって支持されません。
参考文献
1)髙岸勝繁著「ホスピタリストのための内科診療フローチャート」 シーニュ刊 2016年

2)Starndberg TE et al. Evaluation and treatment of older patients with hypercholesterolemia: a clinical review. JAMA. 2014 Sep 17;312(11):1136-44. PMID: 25226479

CVDリスクのある日本人においてメトホルミンはSU剤に比して大血管症を低下させることが示唆されている。

CVDリスクのある日本人においてメトホルミンはSU剤に比して大血管症を低下させることが示唆されています。論文アブストラクトを掲載します。

機械翻訳です。

「背景:いくつかの経口血糖降下薬(OHA)は、2型糖尿病(T2DM)における心血管疾患(CVD)のリスクを低減することが示唆されている。 OHAがCVDリスクに影響を及ぼすかどうかは、日本の多元医療費会計データベースのコホート分析で確認した。

方法:(1)単一のOHA(スルホニルウレア、ビグアナイド、チアゾリジンジオン、α-グルコシダーゼ阻害剤、α-グルコシダーゼ阻害剤)を用いた治療を開始した(1)2型糖尿病患者の4095および1273人のデータを、グリシン、またはジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤)を投与し、約1〜 (ii)ベースラインでのヘモグロビン(Hb)A1cレベルが利用可能であった; (iii)ベースライン時の年齢は40〜70歳であった。 ICD-10によるスルホニルウレアに対するOHAsのCVDリスクへの影響を、カプラン – マイヤー曲線を用いて104日間分析した(図3)。

結果:CVDの有無のT2DM患者を対象とした研究1では、ビグアニドによる初期およびベースライン治療は、スルホニルウレアと比較してCVDのリスクを有意に低下させ、HbA1cの制御とは無関係であった。研究2では、CVDの病歴を有するT2DM患者において、ビグアニドのスルホニルウレアに対するCVDリスクに対する同様の有意な予防効果が観察された。

結論:ビグアニドの初期治療およびベースライン治療は、日本人のT2DM患者におけるビグアニドの血糖降下効果とは無関係に、スルホニル尿素と比較してCVDリスクを低下させることができる。」

1)Tanabe M et al. Reduced vascular events in type 2 diabetes by biguanide relative to sulfonylurea: study in a Japanese Hospital Database. BMC Endocr Disord. 2015 Sep 17;15:49. PMID: 26382923

BENEDICTでは正常アルブミン尿の高血圧合併2型糖尿病患者における降圧剤の違いを検討している。ACE阻害薬のトランドプリルは微量アルブミン尿の発症を有意に抑制した。

BENEDICTでは正常アルブミン尿の高血圧合併2型糖尿病患者における降圧剤の違いを検討しています。

ACE阻害薬のトランドプリルは、プラセボ及びCa拮抗薬のベラパミルに比して、微量アルブミン尿の発症を有意に抑制しました1)。

以下、論文アブストラクトの機械翻訳を掲載します。

「背景:多施設二重盲検ランダム化ベルガモ腎症糖尿病合併症試験(BENEDICT)は、アンギオテンシン変換酵素阻害剤および非ジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬が、単独または組み合わせて、高血圧の被験者における微小アルブミン尿症を予防するかどうかを評価するために設計された2糖尿病、および正常尿アルブミン排泄が含まれる。

方法:トランドラプリル+ベラパミル、トランドラプリル単独、ベラパミル単独、プラセボの4群に無作為に割りつけられた1204名の被験者を少なくとも3年間の治療を受けるように研究した。目標血圧は120/80 mmHgであった。

主要エンドポイントは、持続性微小アルブミン尿症(2回連続して1分当たり20μg以上のアルブミン排泄)であった。

結果:トランドラプリル+ベラパミルを投与した被験者の5.7%、トランドラプリルを投与した被験者の6.0%、ベラパミルを投与した被験者の11.9%、対照対象者の10.0%がプラセボ投与を受けた。

ベラパミルとトランドラプリルとプラセボとの比較(P = 0.01)については、既定のベースライン特性に合わせて調整した推定加速係数(疾患進行の加速または遅延における1つの治療の効果を定量化する)は0.39であり、トランドラプリル(P=0.01)、ベラパミルとプラセボの比較では0.83であった(P=0.54)。

トランドラプリル+ベラパミルおよびトランドラプリル単独では、微小アルブミン尿の発症がそれぞれ2.6倍および2.1倍遅れた。重篤な有害事象はすべての治療群で同様であった。

結論:2型糖尿病および高血圧ではあるが正常アルブミン尿の患者では、トランドラプリル+ベラパミルおよびトランドラプリル単独の使用は、微量アルブミン尿の発生率を同様に低下させた。ベラパミル単独の効果はプラセボの効果と同様であった。」

1)N Engl J Med. 2004 Nov 4;351(19):1941-51. Epub 2004 Oct 31  Preventing microalbuminuria in type 2 diabetes.

PMID: 15516697

生後1ヶ月から36ヵ月の39℃以上の発熱があり、身体所見で熱源が分からなかった幼児を対象に、CRPのカットオフ値が検討されている。

Pulliamらは、生後1ヶ月から36ヵ月の39℃以上の発熱があり、身体所見で熱源が分からなかった幼児を対象にした検討で、重症細菌感染症(SBI)診断の為にCRPのcut-off値を7mg/dL(感度79% 特異度91% LR+8.3)以上とし、またCRP<5mg/dLは重症細菌感染症を除外すると述べています1)。

ここで述べられているSBI(serious bacterial infection) は、菌血症、髄膜炎、尿路感染症、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎と定義されます。

以下、論文アブストラクトの機械翻訳を掲載します。

「目的:1〜36ヶ月の発熱性小児における臨床的に検出不可能な重篤な細菌感染(SBI)に関連する定量的C反応性タンパク質(CRP)の診断特性を決定すること。

方法:この予定コホート研究には、小児救急部(ED)に1〜36か月、温度が39℃以上、臨床的に検出不可能な発熱源を提示している発熱性小児が登録されていた。

イェール観測スケールを用いた人口統計学的情報、ED温度、発熱の持続時間、臨床評価を初期評価時に記録した。白血球数(WBC)、バンド数、絶対好中球数(ANC)およびCRP濃度を同時に測定した。

全ての患者は、血液培養および尿検査または尿培養のスクリーニングを受けた。EDの医師の裁量により、胸部X線写真が得られた。

EDへの提示から1週間以内に抗生物質を使用した経歴のある患者は除外した。主な結果は、実験室または放射線学的に証明されたSBI(菌血症、髄膜炎、尿路感染症、肺炎、敗血症性関節炎および骨髄炎)の存在であった。

結果:77人の患者がこの研究に登録された。 SBI(尿路感染6例、肺炎4例、肺炎連鎖球菌菌血症1例、肺炎菌血症4例)、63例にSBIはなかった。

2群は、年齢、性別、発熱温度、発熱期間、およびイェール観察スケールで区別できなかった。

CRP濃度、WBCおよびANCは、2群間で有意に異なっていた。多変量ロジスティック回帰分析では、CRPのみがSBIの予測因子として残った(ベータ= 0.76、95%信頼区間[CI]:0.64,0.89)。

レシーバ動作特性解析では、ANC(AUC 0.805、SE 0.051、95%CI:0.705,0.905)より優れたCRP(曲線下面積[AUC] 0.905、標準誤差[SE] 0.05,95%CI:0.808,1.002))およびWBC(AUC 0.761、SE 0.068,95%CI:0.628,0.895)と比較した。

感度および特異性(感度79%、特異性91%、尤度比8.3,95%CI:3.8,27.3)の両方を最大にするように、CRPカットオフ点7を決定した。多変量尤度比および事後確率は、様々なCRPレベルについて計算された。 <5mg/dLのCRP濃度は、SBI(尤度比0.087,95%CI:0.02,0.38、SBI1.9%の検定後確率)を効果的に排除した。

結論 CRP濃度は、潜伏性菌血症とSBIのリスクがある熱性幼児の評価において、WBCまたはANCよりも優れた予測値を有する臨床検査で有益である。」

1)Pulliam PN et al. C-reactive protein in febrile children 1 to 36 months of age with clinically undetectable serious bacterial infection. Pediatrics. 2001 Dec;108(6):1275-9. PMID: 11731648

JAST試験:アスピリン150-200mg/日投与は、心原性脳卒中予防に対して有効でなく、安全性も認められなかった.

JAST試験(Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial)を紹介します。

低リスクの日本人非弁膜性心房細動患者において、予後改善に対する低用量アスピリンの有効性と安全性が検討されています。

一次エンドポイントは心血管死、脳卒中、心原性脳塞栓、血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、一過性脳虚血発作(TIA)の複合エンドポイントで、二次エンドポイントは非心血管死、頭蓋内出血、重篤な出血、末梢動脈塞栓でした。

中間解析の結果、アスピリン治療により重篤な出血が生じ、かつ一次および二次エンドポイントにおいてアスピリン群が抗血小板薬・抗凝固薬を使用しない対照群に比し、優れる可能性がきわめて低い(0.015%)ことが判明した為、907例を登録した時点で試験は中断されました。

結論として、アスピリン150-200mg/日投与は、脳卒中予防に対して有効でなく、安全性も認められなかったとしています1)。

以下、アブストラクトの機械翻訳です。

「背景と目的:非弁膜性心房細動(NVAF)患者の脳卒中の一次予防に対する抗凝固療法の有効性が確立されているが、出血性合併症が頻発するため、低リスク患者に対する抗血小板療法の有効性が疑われている。日本人のNVAF患者におけるアスピリン治療の有効性と安全性を無作為化多施設共同試験で検討した。

方法:NVAF患者をアスピリン群(1日150~200mgのアスピリン)または抗血小板薬または抗凝固療法のない対照群にランダム化した。主要エンドポイントには、心臓血管死、症候性脳梗塞、または一過性虚血性発作が含まれた。

結果:合計426人の患者がアスピリン群にランダム化され、445人が無治療群にランダム化された。アスピリン群では27例(年率2.4%、95%CI、1.5%~1.4%)のプライマリーエンドポイントイベントが27件あったため、この試験は早期に中止されました(年間3.1%、95%CI、2.1%〜4.6%/年) 3.5%/年)であり、一次エンドポイント予防のためのアスピリン治療の優位性の可能性が低いことを示唆している。さらに、アスピリンでの処置は、対照群(2人の患者; 0.4%;フィッシャーの正確な検査P = 0.101)と比較して、重大な出血のリスクがわずかに増加した(7人の患者; 1.6%)。

結論:NVAF患者の脳卒中予防のために、1日当たり150~200mgのアスピリンは効果的でも安全でもないようである。日本人NVAF患者の脳血管イベントに対する最良の予防的治療法を決定するためには、さらなる前向き研究が必要である。」

1)Sato H et al. Low-dose aspirin for prevention of stroke in low-risk patients with atrial fibrillation: Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial. Stroke. 2006 Feb;37(2):447-51. PMID: 16385088

Funagata study: 食後血糖の高値は大血管合併症の重要なリスクファクターである。

血糖コントロールの指標として空腹時血糖値とHbA1cが用いられることが多いですが、食後血糖の高値も、大血管合併症の重要なリスクファクターと考えられています。

Funagata Studyは日本人を対象にした観察研究です。一般住民において、75gOGTTによる分類と群間のリスクの評価を行い、空腹時高血糖(110~125mg/dL)ではなく、経口糖負荷試験2時間血糖値(140~199mg/dL)が、動脈硬化疾患を有意に増加していることを報告しました1)。

また、食後高血糖を改善するα-グルコシダーゼ阻害薬を用いた欧米の臨床試験、STOP-NIDDM(The Study To Prevent Non-insulin-dependant diabetes mellitus)においても、プライマリ・アウトカムではないものの、動脈硬化疾患の減少効果が認められました。

以下、Funagata Studyアブストラクトの機械翻訳です。
「目的: 最近、米国糖尿病学会専門家委員会が提案した空腹時グルコース(IFG)の新しいカテゴリーが、心臓血管疾患の危険因子であるかどうかを判断する。

研究デザインと方法: 1990年〜1996年の山形県豊後田町における糖尿病罹患率調査の参加者からなるコホート集団からの死亡証明書および居住者移転文書を、1996年末までに分析した。コホート集団は、(WHO基準に基づいて)正常耐糖能群(NGT) (n = 2,016)、耐糖能障害(IGT)(n = 382)、および糖尿病(n = 253)の3つの群に分類された。その後、同じ集団を(ADA基準に基づいて)空腹時血糖正常群(NFG)、IFGおよび糖尿病に再分類した。群間の累積生存率を古典的生命表法を用いて比較し、年齢調整分析、人年法、およびCox比例ハザードモデルを採用した。

結果: 観察された7年の終わりに、IGTおよび糖尿病の心血管疾患からの累積生存率は、それぞれ0.962および0.954であり、いずれもNGT(0.988)のそれより有意に低かった。COX比例ハザードモデル分析は、心臓血管疾患による死亡時のIGT対NGTのハザード比が2.219(95%CI 1.076-4.577)であることを示した。しかしながら、心血管疾患によるIFGの累積生存率は0.977であり、NFG(0.985)と有意差はなかった。心血管疾患死亡のIFG対NFGのCOX比例ハザード比は1.136(0.345-3.734)であり、これもまた有意ではなかった。

結論: IGTは心血管疾患の危険因子であったが、IFGはそうではなかった。」

参考文献 「エビデンスを活かす糖尿病療養指導」

1)Funagata study Tominaga M, Eguchi H, Manaka H, Igarashi K, Kato T, Sekikawa A: Impaired glucose tolerance is a risk factor for cardiovascular disease, but not impaired fasting glucose. The Funagata Diabetes Study. Diabetes Care 1999; 22: 920-924. PMID: 10372242
Diabetes Care. 1999 Jun;22(6):920-4.