「処方箋の”なぜ”を病態から推論する」を若手だけでなく中堅以上の薬局薬剤師にもお勧めしたい理由。
はじめに
若手だけでなく、中堅の薬剤師にもお勧めの新刊
「処方箋の”なぜ”を病態から推論する」は話題の新刊です。買うか迷っている方も多いのではないでしょうか。
わたしも迷って買って読んだ結果、買って正解と思いました。
薬局で働き始めた若手の薬剤師だけでなく、中堅以上の薬剤師にもお勧めできる書籍です。
その理由を書きます。
前期高齢者で、パートナーが結核の標準治療(イソニアジド・リファンピシン・ピラジナミド・エタンブトール)を受けている方に、次のような処方がありました。
イソニアジド錠100mg 3錠 1日1回 朝食後
ピリドキサールリン酸エステル水和物錠10mg 6錠 1日2回 朝夕食後
イソニアジド単剤は、潜在性結核感染症(LTBI)の治療目的と考えられます。結核菌に感染しているけれど、発症していない状態です(出典 : JAID/JSC感染症治療ガイド2019)1)。
この治療の利益とリスクについて述べます。
呼吸器科からの次のような処方箋が来ました。
リファンピシンカプセル150mg 3カプセル
1日1回朝食後
エサンブトール錠250mg 2錠
1日1回昼食後(月・水・金のHD後)
クラリスロマイシン錠200mg 1錠
1日1回朝食後
珍しい処方です。
リファンピシンやエサンブトールが含まれますが、イソニアジドやピラジナミドがなく、結核治療とは異なる処方です。
用量もずいぶん少なく、特殊な感じがします。
結論から言うと、透析患者に対する、非結核性抗酸菌症の一種である肺MAC症の治療と考えられます。
この記事を読めば、肺MAC症の標準治療と、透析患者への減量処方が理解出来るようになります。