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はじめに
新規でワーファリンが処方になった心房細動の人があったけど、時々ワーファリンなしの人があるのは何でだろう。
医師のさじ加減なんて言うけれど、薬剤師のわたしにもロジックが理解出来ないかな?
患者さんから「私、心房細動ですけど、ワーファリン飲まなくて大丈夫でしょうか?」って聞かれたけど、さじ加減ですよね~って、誤魔化しちゃった。
誰かタスケテ…。
そんな方に今日のブログをお届けします。
薬物療法のリスクとベネフィットを、心房細動の際のワーファリンを例に考えてみます。
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ワーファリンの不利益をより詳細に考えてみる
以前のブログでワーファリンの利益と不利益について書きました。
CHADS2スコアを利用して、個々の脳梗塞リスクを推定したように、出血リスクも十把一絡げ2.0%でなく、個別に推定する手段が考えられています。
HAS-BLEDスコア
HAS-BLEDスコアと言うスコアリングがそれです。抗血小板薬の併用や腎機能等を考慮する事で、より個別に出血リスクを評価することが可能になります。
スコアリングの項目は以下です。
・高血圧:sBP>160
・腎機能異常:慢性透析,腎移植,または血清クレアチニン≧2.26mg/dL
・肝機能異常:慢性肝疾患、または重篤な肝障害
・出血:出血歴かつ/または出血傾向の既往
・INR不安定
・薬物/アルコール:薬物の併用 (抗血小板薬、NSAIDsまたはアルコール乱用など)
合計による年間出血リスクは以下です。
0点で0.9~1.1%、1点で1.0~3.4%、2点で1.9~4.1%、3点で3.7~5.8%、4点で8.7~8.9%、5点で9.1~12.5% 1)。
目安として、0点で低リスク、1~2点で中等度リスク、3点以上で高リスクです。
ワーファリンを使うのは、多分こんな時
CHADS2スコアが1点でも、HAS-BLEDスコアが0点であれば、ワーファリンの使用が考慮されるかも知れません。
まとめ
HAS-BLEDスコアと言うスコアリングがあるので、それを参考に処方を決めていると思います。
もちろん、それが全てとは思いませんけれど、患者さんに説明する時に、出血リスクと天秤にかけているんですよ、と話せば納得して頂けるのではと思います。
1)Chest.2010 Nov