甘草含有する漢方薬を長期服用する場合、定期的なカリウム値のチェックが望ましい。




要点:甘草を含有する漢方薬を長期に服用する場合は、低カリウム血症を早期に発見出来るように、定期的なカリウム値のチェックが望ましい。

1993年Stormerは、従来の偽アルドステロン症の発症量を計算し、グリチルリチン酸のヒトの1日許容摂取量を10mg、最小中毒量を100mg/日としました1)。グリチルリチンを含む製剤は、適量でも慢性的に使用していると血圧を上昇させ、血中カリウム濃度を低下させると言う報告もあります2)。ある症例報告では1日12~18mgのグリチルリチンを2、3年間服用してカリウム1.2mEq/Lに至る、偽アルドステロン症を起こした70歳の被験者に、86mgのグリチルリチンを11日服用させた所、7日目に血清カリウムは3.0mEq/Lまで低下しました。

一方で、厚労省の重篤副作用疾患別対応マニュアルでは偽アルドステロン症の概要を以下のように記載しています。「男女比では1:2で女性が多い。全体の80%が50~80 歳代での発症となっている。さらに低身長、低体重など体表面積の小さい人や高齢者に発症しやすい。発症期間は10日以内~数年と幅は広いが、40%が3カ月以内の発症となっている。副作用の発現量は初期の報告例では、大量投与例が多かったが、最近では1 日甘草1~2g程度やグリチルリチンとして1 日150mgの製剤でも報告例がある。原因物質は甘草に含まれるグリチルリチン酸(グリチルリチン)の代謝物グリチルレチンである。」

甘草1g当たりには約40mgのグリチルリチンが含まれています(厚生省昭和53年;薬発第158号)。一般用医薬品(OTC薬)におけるグリチルリチン量の含有量は1 日量として200mg、甘草として5gを超さないこととなっています(厚生省昭和53年;薬発第158号)。

早期発見に必要な検査と実施時期ですが、特に自覚症状はないが、血液検査で偶然に低カリウム血症、カリウムの低値が発見され、本症の診断に至るものも少なくありません。低カリウム血症に伴い、心室性の不整脈を来した症例もまれではありません。本症を惹起しうる薬剤を服用している患者にあっては、投与開始時、あるいは投与量の変更時は1カ月以内、維持期でも3カ月から6カ月に1回の定期的な血清カリウム値のチェック、あるいは心電図の検査などが重要であると考えられています4)。

1)Glycyrrhizic acid in liquorice–evaluation of health hazard.
2)The association between consistent licorice ingestion, hypertension and hypokalaemia: a systematic review and meta-analysis. PMID: 28660884
3)重篤副作用疾患別対応マニュアル(平成18 年)。
4)シリーズ重篤副作用疾患別対応マニュアル(4)偽アルドステロン症 薬学の時間2009

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