甘草を含む漢方を長期服用する場合、定期的なカリウム値のチェックは必要ですか

Print Friendly, PDF & Email

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。



甘草を含む漢方を長期服用する場合、定期的なカリウム値のチェックは必要ですか

☑️はじめに

甘草は諸薬を和する作用があるとされ、多くの漢方処方に配合されている生薬です。

同定されている有効成分はグリチルリチンです。

甘草を含む処方は、時に長期服用されるケースもありますが、安全なのでしょうか。

さくら先輩、甘草を含有する漢方薬を長期に服用する場合の注意点は何ですか?

ゆきさん、低カリウム血症を早期に発見出来るように、定期的なカリウム値のチェックが望ましいよ。

運営者から、クローズドコミュニティに対する思いをお伝えしています。

クローズドコミュニティが今後の主流になるたったひとつの理由

記事の続きは会員ログイン後、またはブラウザのまま視聴できるラジオでどうぞ。


Googleアイコンをクリックすると無料登録/ログイン出来ます。会員規約にご同意の上、14日間のトライアルをお試し下さい。

☑️偽アルドステロン症とグリチルリチン酸

1993年Stormerは、従来の偽アルドステロン症の発症量を計算し、グリチルリチン酸のヒトの1日許容摂取量を10mg、最小中毒量を100mg/日としました1)。

F C Størmer, et al.
Glycyrrhizic acid in liquorice–evaluation of health hazard.
Food Chem Toxicol . 1993 Apr;31(4):303-12.

出典: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

グリチルリチンを含む製剤は、適量でも慢性的に使用していると血圧を上昇させ、血中カリウム濃度を低下させると言う報告もあります2)。

R Penninkilampi, et al.
The association between consistent licorice ingestion, hypertension and hypokalaemia: a systematic review and meta-analysis.
J Hum Hypertens . 2017 Nov;31(11):699-707.

出典: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

ある症例報告では1日12~18mgのグリチルリチンを2、3年間服用してカリウム1.2mEq/Lに至る、偽アルドステロン症を起こした70歳の被験者に、86mgのグリチルリチンを11日服用させた所、7日目に血清カリウムは3.0mEq/Lまで低下しました。

☑️偽アルドステロン症の疫学

一方で、厚労省の重篤副作用疾患別対応マニュアルでは偽アルドステロン症の概要を以下のように記載しています。

男女比では1:2で女性が多い。全体の80%が50~80 歳代での発症となっている。

さらに低身長、低体重など体表面積の小さい人や高齢者に発症しやすい。発症期間は10日以内~数年と幅は広いが、40%が3カ月以内の発症となっている。

副作用の発現量は初期の報告例では、大量投与例が多かったが、最近では1 日甘草1~2g程度やグリチルリチンとして1 日150mgの製剤でも報告例がある。

原因物質は甘草に含まれるグリチルリチン酸(グリチルリチン)の代謝物グリチルレチンである。

重篤副作用疾患別対応マニュアル(平成18年)

出典: www.pmda.go.jp

☑️甘草のグリチルレチン酸含量と規制

甘草1g当たりには約40mgのグリチルリチンが含まれています(厚生省昭和53年;薬発第158号)。

一般用医薬品(OTC薬)におけるグリチルリチン量の含有量は1 日量として200mg、甘草として5gを超さないこととなっています(厚生省昭和53年;薬発第158号)。

☑️まとめ

早期発見に必要な検査と実施時期ですが、特に自覚症状はないが、血液検査で偶然に低カリウム血症、カリウムの低値が発見され、本症の診断に至るものも少なくありません。

低カリウム血症に伴い、心室性の不整脈を来した症例もまれではありません。

本症を惹起しうる薬剤を服用している患者にあっては、投与開始時、あるいは投与量の変更時は1カ月以内、維持期でも3カ月から6カ月に1回の定期的な血清カリウム値のチェック、あるいは心電図の検査などが重要であると考えられています4)。

シリーズ重篤副作用疾患別対応マニュアル(4)偽アルドステロン症 薬学の時間2009

出典:

☑️参考文献

1)Glycyrrhizic acid in liquorice–evaluation of health hazard.

2)The association between consistent licorice ingestion, hypertension and hypokalaemia: a systematic review and meta-analysis. PMID: 28660884

3)重篤副作用疾患別対応マニュアル(平成18年)

4)シリーズ重篤副作用疾患別対応マニュアル(4)偽アルドステロン症 薬学の時間2009

☑️会員のススメ

今回の記事はいかがでしたでしょうか?気に入って下さったら、会員登録をお勧めします。会員限定の記事が閲覧出来るようになります。月々の購読料は、喫茶店で勉強する時に飲むコーヒー一杯の値段で提供しています。人生で一番価値のある資源は時間です。効率的に学習しましょう!値段以上の価値を提供する自信があります。

クリック会員について

会員になりませんか?

最終更新日2018年5月25日

☑️コラム

職場の悩みはありませんか?

わたしも最初の職場がどうしても合わず、1年足らずで退職。今の職場は上司や同僚に恵まれ、毎日楽しく働いています。

あなたが現状に悩んでいるのであれば、専門家に相談してみてはいかがでしょうか?

転職を考える場合、現在の環境から離れることを一番に考えてしまいがちですが、転職先には現在の職場にない問題があります。

わたしはラッキーでしたが、転職後の方が辛い思いをしてしまった、と言う話も耳にします。

自分に適した職場を見つけるためには、頼れるスタッフに協力してもらうことが重要です。

回り道のように見えますが、転職を成功させるための最短の近道と思います。

あなたも1歩踏み出してみてはいかがでしょうか?

迷っているならまずは登録してみましょう。

スポンサーリンク
完全無料!1分間の簡単登録
あります!今よりアナタが輝く職場
薬剤師の求人ならエムスリーキャリア

☑️推薦図書

クスリとリスクと薬剤師

スポンサーリンク

スポンサーリンク


☑️応援・拡散のお願い

応援・ファンレターお待ちしています。

応援はこちらから

OFUSE QRコード

わたしのサイトが参考になったと思って下さったあなた、バナークリックをお願いします。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

自分だけ知ってるのはもったいないと思って下さったあなた、SNSボタンでシェアをお願いします。

サイトQRコード

Copyright©️2017 PHARMYUKI™️ All rights reserved