高齢者は腎機能低下しているのでバルトレックスを減量する必要があります。鎮痛剤はカロナールが無難。




高齢者は腎機能低下しているのでバルトレックスを減量する必要があります。鎮痛剤はカロナールが無難。

はじめに

帯状疱疹で高齢者にバルトレックスとカロナールが処方された

帯状疱疹で92歳の女性Aさん(仮)にバルトレックス錠500mg 6錠 分3 毎食後と、頓服のカロナール錠300mgが処方されました。

体格は、身長140cm、体重40kgと小柄です。体表面積(BSA)は1.24m2です。

Aさんの家族からは、カロナールで痛みが治まらない場合、手持ちのロキソニンを飲ませても良いかと質問もありました。

ここで、2つの臨床疑問が発生しました。

臨床疑問(クリニカルクエスチョン)

(クリニカルクエスチョン1)
Aさんの処方箋は、このまま調剤して良いのでしょうか?

(クリニカルクエスチョン2)
処方されたカロナールで痛みが治まらない場合、手持ちのロキソニンを飲んでも良いでしょうか?

それでは、順番に見ていきましょう。

高齢者はバルトレックス(一般名バラシクロビル)を減量する必要がないかチェックが必要

バルトレックスは腎臓で濾過されて、尿に排泄されます。腎機能は年齢とともに衰えるので、高齢の方は減量しなくて良いか、チェックが必要です。

適切に減量しないとアシクロビル脳症を起こす場合がある

バルトレックスの活性体であるアシクロビルは溶解度が低く、適切に減量しないと尿細管で析出して、腎後性AKI(急性腎傷害)を起こし、結果アシクロビルの排泄が遅延して、呂律が回らなくなる等のアシクロビル脳症を起こす事があります。

腎機能低下をアセスメントする

血液検査の結果をスキャンしたものが電子薬歴にありましたので、Aさんの腎機能が確認出来ました。

標準化eGFR47mL/分/1.73m2でした。

標準化eGFRは、体格を反映した個別eGFRへの変換が必要

標準化eGFRは、体表面積1.73m2に標準化して表記した腎機能です。

そのため、Aさんの投与量を決めるためには、体表面積の補正を外し、個別eGFRを求めなければいけません。

個別eGFRは、次の式から求めることが出来ます。

個別eGFR=標準化eGFR×BSA÷1.73

Aさんの個別eGFRは、34mL/分でした。

個別eGFRは、添付文書のクレアチニンクリアランスに近似できる

詳しい説明は省きますが、個別eGFRは添付文書のクレアチニンクリアランス(Ccr)に近似するので、読み替えることが出来ます2)。

添付文書で用法用量を確認

バルトレックスの添付文書を見ると、クレアチニンクリアランス49~30mL/分では1000mg 12時間おき、記載されています。成書にも同様の記載があります3)。

減量が必要と判断、処方医への疑義照会でバルトレックスが減量となった

Aさんの場合も減量が必要と判断した為、処方元の医院に照会しました。

照会後、バルトレックス錠500mg 4錠 分2 朝夕食後に変更となりました。

次に、処方されたカロナール以外の鎮痛剤を使って良いか、見ていきましょう。

バルトレックスとロキソニン(一般名ロキソプロフェン)の併用は急性腎傷害を増やす

中枢に作用して解熱・鎮痛作用を発揮するカロナールと異なり、ロキソニンは末梢のCOXに作用するので、解熱・消炎・鎮痛作用の他に腎血流量を低下させる作用があります。

その結果、腎前性AKI(急性腎傷害)を起こす可能性があります。

それに続いて腎後性AKI、アシクロビル脳症を起こす可能性があり、ロキソニンはバルトレックスと併用は避ける事が望ましいです。

65歳以上の高齢者を対象にした調査で、バルトレックスとロキソニンの併用により、急性腎傷害を増やしたとする報告があります1)。

今回カロナールが選択されているので、手持ちのロキソニンは、バルトレックスと併用しないよう注意喚起する必要があります。

まとめ

以上を踏まえて、クリニカルクエスチョンを振り返って見ましょう。

(クリニカルクエスチョン1)
バルトレックスは腎排泄されるので、上述のように減量する必要があります。

(クリニカルクエスチョン2)
ロキソニンは腎血流量を減らし、腎前性AKIを増やしたと言う報告があります。

それに続いて腎後性AKI、アシクロビル脳症を起こす可能性があり、ロキソニンはバルトレックスと併用は避けるのが望ましいです。

水分摂取もあわせて指導する

高齢者は水分摂取量が少なく、血管内脱水を起こしている場合も多いので、十分な水分摂取をするよう指導することも重要です。

コラム

職場の悩みはありませんか?わたしも最初の職場がどうしても合わず、1年足らずで退職しました。今の職場は上司や同僚に恵まれ、毎日楽しく働いています。

あなたが現状に悩んでいるのであれば、専門家に相談してみてはいかがでしょうか?

転職を考える場合、現在の環境から離れることを一番に考えてしまいがちですが、転職先には現在の職場にない問題があります。

わたしはラッキーでしたが、転職後の方が辛い思いをしてしまった、と言う話も耳にします。

自分に適した職場を見つけるためには、頼れるスタッフに協力してもらうことが重要です。

回り道のように見えますが、転職を成功させるための最短の近道と思います。

あなたも1歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?

スポンサーリンク
あります!今よりアナタが輝く職場
薬剤師の求人ならエムスリーキャリア

付記 病院・薬局の安全な利用方法

減量がスムーズに出来たのは、普段から良好なコミュニケーションがあったから

バルトレックスを減量することで、腎後性AKI、続発するアシクロビル脳症のリスクを低減出来たと思います。

Aさんのバルトレックスの減量は、教科書に書かれているようにスムーズに行えました。

これは、薬局で普段から良好なコミュニケーションがあって、血液検査の結果や、身長・体重と言った基本情報が分かっていたからです。

薬物療法のリスクを最小に、効果を最大にするのが薬剤師の仕事

この記事を読まれた方は、処方箋が常に万全ではなく、時に修正が必要なこと、その判断には血液検査の結果や体格が重要なことを分かって頂けたと思います。

薬剤師は、薬を飲む方にベストな薬物療法を提供するのが仕事です。

その為に検査値や体格の情報が必要です。

お薬手帳に検査値などを貼って、有効活用しましょう

安全に効果的に薬を飲むために、お勧めするのはお薬手帳の活用です。

病院でもらった検査値の紙は、お薬手帳に貼っておきましょう。身長や体重も、お薬手帳に記入しておきましょう。

最終更新日2019年10月9日

参考文献

1)Acute kidney injury during concomitant use of valacyclovir and loxoprofen: detecting drug-drug interactions in a spontaneous reporting system.
Yue Z, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2014.

2)腎臓病薬物療法ベーシック 編集平田純生 じほう 2015年

3)透析患者への投薬ガイドブック 改訂3版 慢性腎臓病(CKD)の薬物治療  編著 平田純生 じほう 2017年

4)腎臓病ガイドライン総まとめ じほう 2017年

推薦図書

関連記事

腎機能についての記事をまとめました。


薬剤師の仕事に興味を持ったあなたに、全力でお勧めのコミックがあります‼☺

購入は⬇から。もちろん送料は無料です📚✨


スポンサーリンク


⬇腎機能に応じた減量の仕方が分かった、と思って下さったあなた、バナークリックをお願いします✨

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

自分だけ知ってるのはもったいないと思って下さったあなた、⬇のSNSボタンでシェアをお願いします😉

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です