アテノロールの動態の変動要因は、消化管吸収率と腎排泄能と理論的に推察されますが、臨床論文からも裏打ちされます。

Print Friendly, PDF & Email

この記事を読むのに必要な時間は約 3 分です。



こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。まだ髪を切る番が来ないので、更にブログを更新します。

アテノロールは腎排泄型で、吸収された薬物の94%は未変化体のまま腎から排泄されます。腎抽出率ER<0.35であり、消失能依存性、すなわち律速段階は腎の排泄能です。

運営者から、クローズドコミュニティに対する思いをお伝えしています。

クローズドコミュニティが今後の主流になるたったひとつの理由

記事の続きは会員ログイン後にどうぞ。

Googleアイコンをクリックすると無料登録/ログイン出来ます。会員規約にご同意下さい。

薬効を現す遊離アテノロールの経口クリアランス(CLpof)は、腎固有クリアランスを吸収率で除したもので表現されます。

CLpof=CLintR/Fa

従って、腎固有クリアランス(CLintR)と吸収率(Fa)が動態の変動要因と考えられます。

薬物の腎固有クリアランスは、クレアチニンクリアランス(CCr)の変化に比例する事が多いので、CCrの変化に注意します。クリアランス低下でAUCは上昇し、β1遮断効果も増強されます。

徐脈が起きている場合は、血清クレアチニンが上昇していないか、確認が望ましいでしょう。

また、オレンジジュース飲用でアテノロールAUC40%低下、Cmax49%低下と言う報告があります。1) 腎クリアランスを変化させなかった事から、消化管の薬物トランスポーターであるOATPs阻害や、消化管pH低下によるアテノロール吸収率の低下が関与と考察されます。

オレンジジュース200mLを1日3回、3日間の飲用の後にアテノロール服用すると、水に比較してわずかに心拍数が上昇しました。飲用習慣の変化に注意が必要と思われます。

参考図書
「第3版 臨床薬物動態学 薬物治療適正化のために」緒方宏泰丸 編著 丸善出版

「薬の相互作用としくみ」杉山正康 著 日経BP
1)Effects of orange juice on the pharmacokinetics of atenolol. PMID:15983823