臨床研究の論文を読み始めた人にお勧めする3冊の書籍。

こんばんは。アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。

今夜は臨床研究の論文を読み始めた人にお勧めの本を紹介します。3冊あります。どれも、論文を読む時のピットホールに気づかせてくれる本です。

臨床研究と言うと、科学的で公正なイメージがありますが、そうでない場合があるのは某降圧剤のスキャンダルを見れば納得頂けると思います。

論文を「盛る」手法は様々です。対照薬の用量を少な目に設定する事で、新薬を効果的に見せる手法、グラフの縦軸を拡大することで、実際の効果は大きくなくても、視覚的に大きいようにアピールする手法、多重検定を補正しないで行う手法…。

今回紹介する3冊の書籍は、どれもこうした論文を「盛る」手法を解説しています。1冊でも読めば、論文の主張を鵜呑みにせず、論文の結果を批判的に解釈出来るようになります。

ディ○バン事件の後を生きる薬剤師として、わたしたちに必須なスキルであると、わたしは思います。

「医学統計ライブスタイル」

「臨床研究を正しく理解するには」

「論文を正しく読むのはけっこう難しい」



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書籍紹介:薬剤師業務のさらなる展開 2006年版ハンドブック

薬剤師業務の質の向上・拡充に高く理想を掲げた本で、ぜひご一読されることをお勧めします。

どのページを取っても引用したい文章が並んでいますが、1章だけここにご紹介しようと思います。治療に関する疑問を解消するために、コクランライブラリをどのように用いることができるか、ケースレポートを例示しています。

妊婦中の無症候性細菌尿を治療すべきかどうか、内科の同僚から電話で相談がありました。どうしても必要がある場合以外は胎児を薬物に曝露させたくないと言う希望があり、クランベリージュースを飲むのはどうかと質問されているとの事です。

あなたならどうしますか?

コクランライブラリを検索すると、無症候性細菌血症を治療することで、妊婦の腎炎を予防し、早産を防止すると言うエビデンスがあることが分かります。治療必要数は7、すなわち1人の腎炎を予防するのに抗生物質を飲む必要がある人数は7人です。妊娠中のペニシリンの服用は安全域が広いと報告されています。一方で、クランベリージュースに腎炎の予防効果があるかは不明でした。

以上を同僚に伝えたところ、アモキシシリン1,500mg 分3 7日分が処方になりましたが、最終的に飲むかどうかは患者さんが決める内容、と結ばれていました。

検索の仕方など、詳しく例示していますので、興味を持たれた方はぜひ本書を手にとって読んで見て下さい。

アンサングシンデレラのように、読むと勇気が出る本です。

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前向きコホート研究により、2,046人を14年フォローして高尿酸血症と痛風の初発率を評価した。

前向きコホート研究により、2,046人を14年フォローして高尿酸血症と痛風の初発率を評価した報告があります1)。

尿酸値が9.0mg/dL以上では年間4.9%、7.0~9.0で0.5%、7.0以下で0.1%に痛風を新規発症しました。尿酸値9.0以上の場合、5年間の痛風累積発症率は22%でした。

高尿酸血症患者は他の基礎疾患(肥満、高血圧、脂質異常症)を有する場合が多く見られます。これらは痛風発症のリスク因子であり、例えば高血圧では発症リスクが3倍でした。

また、試験終了時、血清クレアチニンが2.0以上になったのは僅か0.7%で、高尿酸血症により腎機能が悪化する証拠は示されませんでした。

以下、アブストラクトの機械翻訳です。
「無症候性の高尿酸血症の結果を定量化するために、本研究では、30,147人年の前向き観察に基づいて、痛風性関節炎の最初の発症率を調べた。規範的老化研究における最初の健常男性2,046人のコホートを14.9年間追跡調査し、尿路水準を測定した。

以前の血清尿酸値が9mg / dl以上の場合、痛風性関節炎の年間発生率は4.9%であったのに対し、尿酸値は7.0〜8.9mg / dl、0.1%は7.0mg / dl未満であった。尿酸値が9mg / dl以上の場合、痛風性関節炎の累積発生率は5年後に22%に達した。発生率は、高血圧患者では正常血圧患者よりも3倍高かった(p<0.01)。

比例ハザードモデルにおける痛風の最も強い予測因子は、年齢、体格指数、高血圧、コレステロール値、アルコール摂取量であった。血清尿酸値がモデルの因子となったとき、これらの変数のどれもが独立した予測力を保持しなかった。

最後の検査では、参加者の0.7%のみが2.0mg / dl以上の血清クレアチニンレベルを有し、高尿酸血症に起因する腎臓の悪化の証拠はなかった。これらのデータは、無症候性高尿酸血症の保存的管理を支援する。」

1)Campion EW, et al. Asymptomatic hyperuricemia. Risks and consequences in the Normative Aging Study. Am J Med. 1987 Mar;82(3):421-6. PMID: 3826098

 

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「寄り道」呼吸器診療 呼吸器科医が悩む疑問とそのエビデンス [ 倉原優 ]

就学前の小児喘息の患児で、コントロールの悪い子がいました。昨夜は咳がひどく、よく眠れなかったそうで、お母さんも憔悴した様子です。

話を聞いていると、アルコール臭が苦手で、吸入ステロイドのオルベスコが殆ど吸入出来ていないそうです。コントローラーとして重要なので、これが吸えるようになれば症状も落ち着いて来るのではないかと考えました。

フルタイドエアゾールは、エタノールを含有しない製剤です。肺内への到達率はオルベスコの方が勝るので、セカンドラインの薬ですが、先ずは吸える事が優先と思いました。処方医は主にオルベスコを処方されますが、何人かはフルタイドエアゾールも処方されているので、情報提供と処方提案をしようと考えました。

結果、フルタイドエアゾールに変更となり、お母さんの希望で1回分をカウンターで吸入してみたところ、問題なく吸えるようになりました。お母さんには、吸入が寝る前2吸入から朝夕1吸入ずつに変わること、吸入前に器具を振り混ぜること、120回吸入後はガスのみ噴霧されることなど、製剤変更による注意点を伝えました。そして、今後は喘息の症状変化をフォローして行きましょうと話しました。

今回スムーズに処方提案が出来て良かったです。紹介する書籍は吸入薬のことも書かれていて参考になりました。日頃から情報を仕入れて準備して置くことが何より業務の質を上げる為に大事です。この書籍は役に立つと思います。

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処方箋だけで調剤するのは、目隠しをしたままピアノを弾くような曲芸だと思いませんか?

こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。薬局では、処方箋以外の診療情報は無いと言う事は、世の中ではどのくらい知られているのでしょうか?

私も薬剤師になる前は、「どうして薬局でも病院で話してきたのと同じ事をもう一度聞かれるのだろう」、と不思議に思っていましたし、看護学校の学生さんが実習の一環で薬局に来られた時に、その話をするとびっくりされるので、案外知られていないのかも知れません。

薬局の薬剤師の仕事は、例えて言えば目隠しをしたままピアノを弾くような曲芸です。病名は分からない、検査値は分からない、病院で受けた検査は分からない、病院で受けた処置も分からない、身長や体重すら分からない事はざらです。

こうした中で、処方箋の内容のアセスメントを行うことは、極めて困難です。処方内容を吟味し、患者インタビューを行い、ガイドラインの標準治療から逆向きに病態を再構成します。すなわち、病名や受けたであろう検査や処置、取りうる検査値の範囲や薬の用量の妥当性を推測する訳です。

時に緊張感が漂う場合もあります。ハイリスクな薬で偶発的な処方箋エラーが発生した場合です。この段階では、直感も含めて、「何かがおかしい。でも何がおかしいのかは確定的には分からない」状態です。

このような場合は、病院への問い合わせをします。例えて言うと目隠しをずらす行為です。見逃せば命に関わるような重大なエラーをはじいた例も経験しています。

私たち薬剤師は、この仕事に就いた時から皆がこのやり方をしているので、鈍くなっているかも知れませんけれど、業界外の人から見れば、もっと安全で確実なやり方があるのでは、と考えると思いませんか?

現代はインターネットによるインフラが進んだ時代です。診療情報の閲覧が出来るIT構築は、技術的に可能な事です。実際、国内でもそのようなネットワークを実験的に稼働させた例もあります。このようなシステムを全国規模で実現する事が出来ないかと夢想します。

「目隠しが無い」状態で調剤が出来る事は、より安全で確実な医療の実現に貢献出来る事であり、それは患者さんにとっても、医師にとっても、薬剤師にとっても良い事になる、と私は思います。

そしてそのようなシステムが完成するまでは、薬局を利用して下さる皆さまには、ご配慮致しますので、薬を安全に使用出来るようにご協力をお願い致します。

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神戸大学感染症内科版TBL 問題解決型ライブ講義集中!5日間 [ 岩田健太郎 ]

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感染症を勉強するための書籍。


岩田健太郎先生の医学部生向けの講義録。学生が医師になっていく過程を垣間見た気がして、私は薬剤師ですが、勉強しなければと思いました。とてもお勧めの一冊。

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健康格差と言う公衆衛生の問題を、ロールズ哲学の正義論で論じる書籍の紹介。

健康格差は、社会的経済的立場により生じる事を明らかにする本。不健康は個人の責任と断じる風潮がありますが、そうではなく公衆衛生政策として対処しなければ行けない、不正義なのかも知れません。

格差社会は健康に悪い、と言う仮説が、社会疫学で検証が進んでいます。著者らはロールズ哲学による正義論から、この公衆衛生の問題に立ち向かい、社会経済格差自体を、正義で要請される範囲で是正する必要があると論じています。将来政策に関わろうと考える方はご一読下さい。

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感染症を勉強するための書籍紹介。

白衣のポケットにも入るサイズで、手元において、まず参照する本です。

青木眞先生の大著。何か疑問がある度、ページを開くと何かしら答えに近づく事が書いてある、座右の書です。

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日常診療に潜むクスリのリスク 臨床医のための薬物有害反応の知識 [ 上田 剛士 ]

「ジェネラリストのための内科診断リファレンス」の著者上田剛士先生による薬の副作用の本。カンゾウ、テオフィリン、ジギタリス、活性型ビタミンDなど、ありふれた薬のリスクについて豊富な文献の裏付けに基づいて書かれています。面白くて一気に読み通してしまいました。コラムも面白く必読です。

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医学的根拠とは何か (岩波新書) [ 津田敏秀 ]

この本を初めて読んだ時、書いてある意味がよく分かりませんでした。今は分かります。僕が受けた薬学教育は理論偏重であり、本書で展開しているのはあまり教わらなかった疫学。しかし、これは車の両輪であり、疫学はもっと重視されるべき思考方法と思います。

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