風邪で病院に行く人、病院に行かない人、コストはどれくらい違う?

みなさんは風邪にかかった時どうしますか?市販薬を飲む?それとも病院に行く?今日は風邪にかかった時の医療費の話をします。やや耳に痛い話かも知れませんが、ご容赦下さい。

実は、風邪に特効薬はないんです。水分を摂り、体を温めて休息することで、自然に治るのを待つことしか出来ません。

日本で処方される咳止めや鼻水鼻づまりの薬もエビデンスに乏しく、気休め程度の効果しかありません1)。唯一効果が期待出来るのは、解熱鎮痛剤で、最も安全な薬はアセトアミノフェン(商品名カロナール、タイレノールA)です。

では、風邪でアセトアミノフェンが欲しい場合、病院にかかるのと、薬局で市販薬を買うのと、それぞれ、どれくらいのコストがかかるのでしょう?アセトアミノフェン300mgを10錠手に入れるために、どのくらいの金額が必要になるでしょうか。

まず、診療所を受診して、薬局で処方せん薬をもらう場合です。カロナール錠300mg、10錠を処方してもらうとします。

診療所では、初診料2,820円、処方せん料680円、一般名処方加算20円で合計3,520円です。薬局では調剤基本料590円、調剤料210円、薬学管理料530円、薬剤料90円で合計1,420円です。

合わせて4,940円。自己負担は1割で490円、3割で1,480円ですが、健康保険料と税金から残りの金額が支払われています。

次に薬局やドラッグストアで市販薬を買う場合です。2類医薬品(薬剤師でなく、登録販売者でも販売出来る薬です。)タイレノールA (アセトアミノフェン300mg)10錠で、791円です。

実に4,149円の差額です。市販薬は手軽に購入したり、常備薬として家に備えておくことが出来ますが、診療所を受診しようと思えば、仕事を休んだり、診療所の待合室で他の病気に感染するリスクなども考えなければいけません。

2017年の民間機関の調査で、日本で成人(15~79歳)が風邪にかかる回数は年間のべ1億3,950万回と推計され、その13.3%が医療機関を受診するとしています。すべての受診機会でカロナール錠300mg10錠が処方されるとすれば、その際のコストは916億5429万円と推計されます。

近年残薬のコストが注目されていますが、2007年に日本薬剤師会が行った調査では、75歳以上の在宅患者の残薬は年間475億円でした。実にその2倍近い金額が、風邪の際の医療費として消費されています。これは現在の日本において、社会的に許容できるコストと考えにくくなっているのではないでしょうか。

風邪に隠れた重病を一般の人は分からないと思いますか?国は、健康サポート薬局という制度の整備を進めています。研修を受けて認定された薬剤師が、薬局でトリアージを行うシステムです。受診が必要と判断すれば、薬の販売は行わず病院への受診を勧める仕組みです。

わたしも、健康サポート薬局の薬剤師の認定を受けています。相談は無料ですので、ぜひ薬局をご利用下さい。

癌の治療など、高額医療の恩恵を被れる、世界の羨む皆保険制度を維持出来るように、わたしたちひとりひとりの行動が試されていると思います。

参考文献
1)かぜとかぜにみえる重症疾患の見分け方 かぜ診療マニュアル 山本舜悟編著 日本医事新報社 2013年

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日本で年間にインフルエンザの迅速検査で必要な検査料の予算の概算はいくら?

インフルエンザウイルス抗原精密測定 150点
免疫学的検査判断料 144点

インフルエンザウイルス抗原精密測定は原則1回だが、発症早期では陽性化しないため、2回まで認められている。

昨シーズンに消費した抗インフルエンザ薬は厚労省によれば、のべ1,397万人分とされています。

検査を2回した人もいるかも知れないし、検査しても陰性で抗インフルエンザ薬を飲まなかった人もいるかも知れませんが、ここでは単純化して1人が1回検査したと仮定します。

(1,500円+1,440円)x1,397万人分=410.7億円

これが日本で年間にインフルエンザの迅速検査で必要な検査料の予算の概算になります。

昨シーズンに消費した抗インフルエンザ薬は厚労省によれば、のべ1,397万人分。どれくらいの薬代になるのでしょう?

こんばんは。研修認定薬剤師の奥村です。今日は医療経済の観点からインフルエンザの治療について考えたいと思います。

昨シーズンに消費した抗インフルエンザ薬は厚労省によれば、のべ1,397万人分とされています。これは、どれくらいの薬代になるのでしょう?

実際には成人と小児の患者がいますが、簡略化して全て成人の標準用量で計算してみましょう。今シーズン処方が増えているゾフルーザと、今シーズンから発売になったタミフルのジェネリック、オセルタミビルで計算してみます。解熱までの期間は同等と考えられます。

もし1,397万人が成人の標準用量(40mg)のゾフルーザを処方されたとすれば、薬代(薬価)だけで669億円かかります。一方で、1,397万人が成人の標準用量のオセルタミビルを処方されたとすれば190億円です。

全員がタミフルのジェネリックを飲めば、薬代は190億円で足りますが、全員がゾフルーザなら同じ予算で397万人分の薬代にしかなりません。

言い換えれば、皆がゾフルーザの処方を希望すれば、1,000万人分の薬代が消尽してしまう訳です。私たちひとりひとりの賢明な選択が試されていると思います。

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ZOZO前澤社長の100万円で何人のインフルエンザ患者が治療出来ますか?限られた医療資源をどう分配すれば良いのでしょう?

ゾフルーザはメディアでも度々取り上げられたので、ご存知の方も多いと思いますが、インフルエンザの薬です。

ゾフルーザを例にして、医療経済と言う考え方がどうして必要になるのか、考えてみたいと思います。

限られた医療資源をどう分配したらよいか、がキーワード

ベンサムと言う思想家が提唱した「功利主義」と言う考え方があります。「最大多数の最大幸福」と言う言葉に集約されるように、全員の幸福が最大になるように行動するのが正義にかなっていると言う考え方です。どういうことなのか、実例を挙げてみましょう。

インフルエンザの薬のタミフルは実績十分、一方ゾフルーザは実力は未知数

インフルエンザの有熱期間を平均1日短縮し、高リスクの患者において重症化を防ぐ事が出来る薬です。妊婦・授乳婦にも使用実績があり、安全性が高いと考えられています。

また、タミフルは今シーズンから安価で経済的なジェネリックであるオセルタミビルが発売になりました。効果や安全性は同等と考えられます。

一方で、連日テレビでも話題になっている新薬、ゾフルーザが先シーズンから発売され、出荷調整がかかるほど全国的に処方が増えています。インフルエンザの有病期間の短縮はタミフルと同等、1回の服用で治療が終了するなどメリットはあります。しかし使用経験が少なく、合併症の予防の実績や、妊婦・授乳婦などにも安全に使用出来るかは未知数の薬です。

薬代がどれくらい異なるのか、比べてみる

インフルエンザ1回の治療にかかる薬の値段を計算しました。

ゾフルーザ20mg 2錠     2,394.50円x2=4788円(体重80kg以上ならx4=9576円)
タミフル    10カプセル    272.00円x10=2720円
オセルタミビル 10カプセル    136.00円x10=1360円

100万円あったら、何人の治療が出来るでしょうか。

ゾフルーザ   208人(全員体重80kg以上なら104人)
タミフル    367人
オセルタミビル 735人

想像してみましょう。人口735人の裕福でない町があったとします。インフルエンザの薬を買えない位の町です

町にインフルエンザが蔓延しました。その時、町民の一人にZOZOの前澤社長の100万円が当たりました。100万円は町に全額寄付され、オセルタミビルで全員が治療を受ける事が出来ました。

もし町民が、ゾフルーザがよい、ゾフルーザを欲しいと言えば、先着208人しか治療が出来なかったでしょう。賢明な選択により、町民全員が薬の恩恵を被ることが出来たのです。

地域全体を見渡す視点が大事

いかがでしたでしょうか。地域を見渡す視点が、皆で幸せになろうと言う視点が大事なのではないかなあと私は思います。

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低リスクの人が薬を飲んだ場合、コレステロールは下がるけれど心筋梗塞が減るかどうかは分からないと言うのは本当ですか?

こんばんは。研修認定薬剤師の奥村です。今日は家族でイオンの初売りに行きました。すごい人でしたが、福袋など買えました。

さて、今日は昨日の話の続きです。心血管イベント発症の一次予防を考えた場合、1日薬価を112円で計算すると、費用対効果の観点からは、全ての群において推奨しないと報告されていると書きました。

ただし、これは薬の効果がある、イベントを減らす事が確かである、と言う前提でのみ成立する議論です。

Smithらのメタ分析では、低リスク群では脂質低下療法を行うと、総死亡が1.22倍増加しました。2012年のメタ分析でも、10年リスクが20%未満では死亡の増加こそ見られませんでしたが、心血管イベントの低下が認められていません。

このような場合、費用対効果分析そのものが成立しません。

確かにコレステロール値は下がるかも知れませんが、これは「代理エンドポイント」と呼ばれるもので、「真のエンドポイント」心筋梗塞が減るかどうかは別の話です。

ただし、家族性高コレステロール血症であれば、話は別です。記事をあらためて書きたいと思います。

参考
薬局2018年4月号 所得格差時代の薬物療法

主治医からは飲むようにと言われているコレステロールの薬を、検診では医療費の無駄だから飲むには及ばないと言われたのですが。

こんばんは🌙😃❗健康生活アドバイザー、アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です☺

家で作ったお節の煮しめが美味しかった正月です。

さて、今日は一次予防のスタチンの話です。SNSでタイトルのような話題が流れていました。主治医の先生を信じたら、と言う結論になったのを眺めながら、健康診断の担当医師の考えたのは、こんなことかなと想像しました。

同じコレステロール高値でも、心筋梗塞の発症率は最もリスクの低いグループと、最もリスクの高いグループの間で実に100倍の開きがあり、個々人のリスクはその間にあります。

スタチンを飲むことで、5年間で1QALY(1人の不都合のない生活1年分)得するために必要なコストは、2011年の推計で、前者が3億2946万円、後者が1269万円。

1QALYの上限値、最大支払い意志は、日本で600~700万円と言われているので、それを下回る費用対効果をもつ医療行為が、おおむね社会として出費に見合うと考えられます。

しかしながら、最もリスクの高いグループさえ最大支払い意志の額を越えていたため、スタチンの一次予防はどの集団においても費用対効果の観点からは見合わず、推奨しない、と言うのが2011年の報告書の結論でした。

家計に占める生命保険の支出と同じで、収入に見合った支出の適正金額があるはずです。リスクを恐れてオプションを付け過ぎれば生命保険料は高額となり、家計は破綻するでしょう。今後は健康診断医師のような考え方が主流になるのではないでしょうか。

追記。ただし、家族性高コレステロール血症であれば、話は別です。記事をあらためて書きたいと思います。

参考
薬局2018年4月号 所得格差時代の薬物療法


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