風邪薬のPL配合顆粒を飲んで、とても眠くなったことがある人は、お薬手帳の副作用欄に、そう書いておいた方がよい深い理由✏

こんばんは🌙😃❗アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です✨

終日子どもと遊んで、連休満喫しているゆきです☺✨寝静まった夜にブログを更新しています✏

さて、今夜はPL配合顆粒と眠気の話です😪

PL配合顆粒は風邪薬です。ポピュラーな薬なので、みなさんも一度や二度飲んだ事があるんじゃないかな、と思います☺

飲んで眠くなりました?個人差がありますが、時々「めっちゃ眠くなった‼」😪と言う方がいらっしゃいます。

もし、あなたがそうなら、お薬手帳の副作用欄に「PL配合顆粒でひどい眠気が出た」と書いておいて下さい✏

眠気くらいで大げさな…と思ってます❔実は、このことをお勧めする、深い理由があるのです🙆

PL配合顆粒の眠気の正体は、PL配合顆粒に含まれるプロメタジンと言う成分です。いわゆる抗ヒスタミン、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの薬です。

なぜ、同じ薬を飲んでも、眠気が出る人とそうでない人がいるのでしょう?😤

プロメタジンは、肝臓の細胞に含まれるCYP2D6(シップ・ツー・ディー・シックス)と言う酵素で代謝、つまり分解されます。

ところが、CYP2D6の代謝する能力には、遺伝的な個人差があります。便宜的に、代謝がめっちゃ早い人、代謝が早い人、普通の人、代謝の遅い人、の4グループに分けてみましょう😲

この、代謝の遅い人がPL配合顆粒を飲むと、薬が体に残って、ひどく眠くなる訳です😪

ここからが大事なのですが、CYP2D6で代謝されるのは、プロメタジンだけではありません😲

例えば、せき止めのメジコン、心不全のβ遮断薬、緑内障の点眼薬に用いられるβ遮断薬、抗うつ薬や、抗精神病薬など、CYP2D6で代謝される薬は沢山あります。

そしてPL配合顆粒と同様に、CYP2D6の代謝が遅い人は、薬が体に残りやすく、副作用が起こりやすくなることが予想されます😲

つまり、副作用の起こりやすさが、PL配合顆粒の眠気が出たかどうかで、薬を飲む前から予想できるのです🙆✨

深い理由でしょう❔✨

もしもあなたがPL配合顆粒を飲んで、ひどく眠くなった事があれば、ぜひ、お薬手帳の副作用欄に「PLでひどい眠気が出た」と書いておいて下さいね✨

薬を安全に、効果的に使用する上で、必ず役に立つ情報だと思います😉👍✨

読んで下さってありがとう😆💕✨

ゆきでした✨

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シンバスタチン服用中にイトラコナゾールのパルス療法を受けて横紋筋融解症を来たした例。

こんにちは☺アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。今日は併用禁忌についての話を書きます。ちょっと真面目な話です😩

わたしが以前、過去の電子薬歴を見ていて見つけた症例です。

Aさん(仮)当時64歳は、内科で高コレステロール血症の治療を受けていましたが、ある時皮膚科から爪白癬の治療を受けることになりました。

これがその際の処方です。

イトラコナゾール400mg/日(爪白鮮のパルス療法。)
シンバスタチン10mg/日

当時担当した薬剤師は、イトラコナゾールとシンバスタチンが併用禁忌に当たる為、疑義照会しました。けれど皮膚科医師からは処方通りとの返答で、調剤したと記録にあります。

読み進めます。

イトラコナゾール服用3日目でAさんは顔面浮腫、体重も3~4kg増えました。血圧も低下していたそうです。Aさんは医師に電話で相談、イトラコナゾールとシンバスタチンを中止するように言われました。

中止したところ、浮腫みは治まったとの事です。

いったい、Aさんに何が起こったのでしょう。

イトラコナゾールはアゾール系の抗真菌薬です。薬物代謝酵素を阻害することが知られています。

機序として、薬物代謝酵素の活性中心であるヘム鉄にイトラコナゾールが配位結合することで、酵素を可逆的に阻害します。

そのため、阻害作用の発現にマクロライドのようなタイムラグがありません。飲んだ日から阻害作用が現れます。

阻害様式からは非特異的に複数のCYP分子種を阻害すると予想されますが、実際にはCYP3A4を強く阻害します1)。

そしてシンバスタチンの代謝はCYP3A4に強く依存します。

そうです。イトラコナゾールにより、シンバスタチンの代謝が阻害され、シンバスタチンの体内濃度が上昇したのです。

その結果、横紋筋融解症を発症したのでしょう。

浮腫は横紋筋融解症による腎不全によるものと考えられます。

横紋筋融解症は、骨格筋細胞の壊死や融解により、筋細胞内成分が血液中に流出した状態を言います。

流出した大量のミオグロビンが尿細管を閉塞し、急性腎不全を併発することが多いとされます。

それだけではなく、循環血液量減少にともなうショックや、高カリウム血症により突然の心停止をきたす危険があります。

早期大量輸液、高カリウム血症対策と尿アルカリ化、強制利尿が急性腎不全の治療およびその予防としておこなわれます。

Aさんには命に関わるような危険があったのです。

Aさんに起こったことは、予見できなかったのでしょうか。

PISCSと言う理論から、今回の併用でシンバスタチンの体内濃度がどの程度上昇したのか予測することが出来ました。

イトラコナゾールのCYP3A4代謝阻害率IR〉0.9

シンバスタチンのCYP3A4代謝寄与率CR=1.0

AUC上昇率=1/(1-IR・CR)・・・①

①式より、併用によってシンバスタチンのAUCは10倍以上になったと予測されます2)。

当時はPISCS理論はまだ発表されていなかったので、後知恵と言われればそうですが、添付文書で併用禁忌であること、症例報告を見れば危険な併用であることは分かったはずです。

Rhabdomyolysis-induced acute renal failure due to itraconazole and simvastatin association.  2011;26(2):79-80.

わたしたちは、どうしたら良かったでしょう?

少し長くなりますが、以下の引用をご一読下さい。

・・・薬剤師に疑義照会義務を負わせている法の趣旨は、「医師等の処方の過誤を正し、医薬品使用の適正を確保し、過誤による生命、健康上の被害の発生を未然に防止する」ためにあります。薬学的に疑義が残り、医薬品の適正使用にならないような場合に、医師が対応しないからといってそのまま調剤してしまったとすれば、この目的が達成されないことは明らかです。

このような趣旨で設けられた義務である以上、形式的に医師に確認をしたとしても、薬剤師の薬学的疑義が解消され、適正に使用されることが確認できなければ、薬剤師は義務を果たしたとはいえないと解釈されます。

今回の質問のような場合、薬剤師には注意義務違反(過失)が認められ、損害賠償責任を負うことになります。また,刑事責任や行政責任に問われる可能性も否定はできません。

・・・医師が疑義照会に応じないことはありえます。「医師と薬剤師の関係から考えると仕方ないのではないか」、「薬剤師が責任を負うのはおかしいのではないか」という意見もあるかと思います。薬剤師が医師を介して患者に責任を負っているのであれば、そのような考え方もできるでしょう。

しかし、薬剤師はあくまで独立の専門職であり、患者に対して直接責任を負っています。薬剤師は医師のために調剤をしているのではなく、患者のために調剤をしているのであり、患者のために最善を尽くさなければ義務を果たしたとはいえません。医師が疑義照会に応じず、医師との関係から疑義照会をしにくいとしても、患者にその不利益を負わせてよいことにはなりません。

「患者に健康被害が起こるかもしれないが、医師が疑義照会に応じないから仕方がない」と考えて調剤することは,患者に対して「健康被害(最悪の場合は死に至る)が起きても仕方がない」と判断しているといわれかねません。このような場合、患者に対して最善を尽くしたとは到底いえませんので、薬剤師は責任を負うことになります。当然のことですが,薬剤師が患者に対する義務を果たしたかどうかの判断のポイントは、あくまで患者のために最善を尽くしたかどうかなのです3)。

重い言葉です。

今回書いたケースも、形式的な疑義照会と言われて仕方ないですし、司法のステージに進んでもおかしくなかった事例です。

司法的判断がすべてとは言いませんが、引用した赤羽根先生は弁護士であるとともに薬剤師でもあります。わたしには、薬剤師と言う職業に期待を込めた言葉と思えました。

あなたならどうしますか?

参考文献

1)Vol.50 No.7 2014 ファルマシア 655 https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/50/7/50_654/_pdf

2)薬物動態の変化を伴う薬物相互作用2015 鈴木洋史,大野能之

3)薬局・薬剤師のためのトラブル相談Q&A47 赤波根秀宣 じほう

https://www.jiho.co.jp/Portals/0/ec/product/ebooks/book/45871/45871.pdf

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カルバマゼピン服用中の甲状腺機能低下について

こんばんは。アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。

薬局で電子薬歴を見ていたら、カルバマゼピン服薬中に甲状腺の数値(具体的には不明)が少し下がっていて、薬剤性の疑いがあると主治医から説明されたと書かれていました。

恥ずかしながら、知らない内容でしたので、カルバマゼピン(CBZ)の服用と甲状腺機能の低下について調べました。

検索していて、2報の論文を見つけましたので、簡単に紹介します。

CBZ服用の29例の前向き研究において、甲状腺機能障害のない群においては、TSH値の上昇は正常範囲、一方、甲状腺機能障害があり、レボチロキシン投与が行われていた群においては、TSH値の上昇があり、治療の変更が必要になったと報告されています1)。

CBZ服用群(n=58)と対照群(n=54)のFT3,FT4,TSHを測定したところ、統計的有意差は示されなかったと言う報告もあります。論文では、CBZは甲状腺ホルモン濃度を低下させるが、甲状腺機能低下症を起こすことは希としています2)。

さらに検索していて、厚労省の重篤副作用疾患別対応マニュアルを見つけました。甲状腺ホルモンの代謝を促進するものとしてカルバマゼピンが挙げられています3)。前述の内容を整理できると考えたので、マニュアルの記述を抜粋しました。

カルバマゼピンは、甲状腺ホルモンであるT4及びT3の代謝を促進します。甲状腺ホルモン産生予備能があまりない場合、またレボチロキシン補充中の患者の場合にカルバマゼピンを投与すると、甲状腺機能低下症を発症してレボチロキシン補充療法の開始が必要になったり、既に発症している患者では補充量の増量が必要となる場合があります。

カルバマゼピンは、肝臓における薬物代謝酵素系を誘導するとともに、結合蛋白であるTBGと甲状腺ホルモンの結合を阻害します。血中総T4 は40%程度減少、総T3 はそれより軽度減少します。遊離ホルモンであるFT4は、多くのキットでは、artifact として低く測定されますが、血中TSH の値は正常域にとどまります。

どうやら、甲状腺の基礎疾患のある場合はチラーヂンが必要性になりそうですが、そうでなければ経過観察となりそうです。

参考文献
1)Carbamazepine and risk of hypothyroidism: a prospective study. Acta Neurol Scand. 2007 Nov;116(5):317-21.  PMID:17850408

2)The effects of carbamazepine on thyroid functions in childhood epilepsy.2013; 40 (4): 533-536 Dicle Medical Journal doi: 10.5798/diclemedj.0921.2013.04.0328

3)重篤副作用疾患別対応マニュアル 甲状腺機能低下症 平成21年5月 厚生労働省



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コレステロールの薬を飲んでいるけれど、名前は正確に覚えていない人が、風邪で病院を受診する時にお薬手帳を持参した方がよい、たったひとつの理由。

こんばんは。アロマ薬剤師のゆきです。娘がおもちゃに指を入れたら抜けなくなり、救急外来のお世話になりました。先生、親の不注意ですみませんでした…。

さて、今日は薬の飲み合わせの話です。薬局で患者さんに、「他に飲んでいる薬はありませんか?」と必ず尋ねるのですが、返ってくる答えで多いのは、「血圧の赤い玉の薬」とか、「コレステロールの白い玉の薬」とかです。薬局あるあるでしょうか😅

赤い玉の薬も、白い玉の薬も、沢山あります…。でも、血圧の薬とか、コレステロールの薬とか分かったら、飲み合わせは分かるんじゃない?って思ってます?😏実際はどうなのでしょう。今日は、そういうお話をします。

風邪でC耳鼻咽喉科を受診したAさんは、「お薬手帳を持って来ていないけれど、コレステロールの薬を飲んでいます」、とカウンターでおっしゃいました。

皆さんはこれで飲み合わせなどのリスク回避が十分出来ると思います?答えはイエスであり、ノーです😰その理由を一緒に見て行きましょう。

Aさんは、数年前、B内科医院からコレステロールの薬、シンバスタチンを飲んでいた事が、薬局の電子薬歴に記録されていました。体重はデータなし、腎機能もデータなし、シンバスタチンの規格(ミリ数)も不明です。シンバスタチンのまま現在も継続しているかも確実には分かりません。

現在の日本で、コレステロールの薬のスタチンは、5種類が発売されています。飲み合わせは薬ごとに特徴があり、注意の必要な度合いも異なります。

同時に飲むと若干吸収率が下がって効き目が落ちる程度の飲み合わせから、時間を空けて飲んでも、重篤な副作用である横紋筋融解症が起きるリスクが高まるケースまで様々です1)。

そのため、最適な処方設計をするためには、薬剤名、規格、飲み方の正確な情報が必要になります。

Aさんの飲んでいたシンバスタチンは、100%肝臓の酵素で代謝されるタイプのスタチンです。薬物代謝酵素「CYP3A4(シップスリーエーフォー)」で代謝されます。

この酵素の働きを邪魔する薬を飲むと、てきめんにシンバスタチンの体内濃度が上昇し、薬を何錠も一度に飲んだのと同じような状況が起こります。その結果、副作用が起こりやすくなるのです2)。

この相互作用は時間をあけて飲んでも避けることが出来ません。CYP3A4の働きを邪魔する薬で有名なのが、日本で風邪の時に頻繁に処方される抗生物質、クラリスロマイシンです。

Aさんが受診したC耳鼻咽喉科の先生は、クラリスロマイシンを処方されませんでした。コレステロールの薬が特定出来ないのであれば、最もリスクが高い場合を想定して、その薬を避けようと考えられたのかも知れません。

リスク回避は出来ましたが、もしAさんが飲んでいる薬がシンバスタチンでないとはっきり分かっていれば、C医師はクラリスロマイシンを処方されたかも知れません。

飲んでいる薬の正確な情報を伝えられなかった為に、Aさんが自ら治療の選択肢の幅を狭めてしまったことは確かでしょう。

風邪薬程度でしたので、今回は深刻な問題にならなかったのが幸いですが、お読みになって、いかがでしたか。これがイエスであり、ノーである、とわたしが最初に書いた理由です。

タイトルでは、コレステロールを飲んでいる人の風邪薬に限定しましたが、基本、複数の薬を飲むのであれば、飲み合わせの問題は常に起こり得ます。

薬を安全に、効果的に使用できるよう、病院や薬局、ドラッグストアに行く際はお薬手帳を持参されることを、薬剤師として、わたしは心からお勧めします。

脚注
1)Statin toxicity from macrolide antibiotic coprescription: a population-based cohort study.PMID: 2377890

472,591人を対象としたカナダのコホート研究です。CYP3A4で代謝されるアトルバスタチン、シンバスタチン服用患者にエリスロマイシン、クラリスロマイシンを投与した場合の安全性の検討をしています。

アジスロマイシンと比較して、30日以内の横紋筋融解症による入院は絶対リスクで0.02%(95%CI;0.01-0.03)上昇しました。

急性腎傷害は絶対リスクで1.26%(95%CI0.58-1.95%)、総死亡は絶対リスクで0.25%(95%CI0.17-0.33%)上昇しました。

2)これからの薬物相互作用マネジメント 臨床を変えるPISCSの理論と実践  大野能之・樋坂章博 編著 じほう

併用によるAUCの上昇率のデータは次のようになります。シンバスタチン   基質の寄与率 CR(CYP3A4):1.00
クラリスロマイシン 阻害率IR(CYP3A4):0.88  PISCS予測値のAUC8.33倍 実測値のAUC11.9倍

エリスロマイシン  阻害率IR(CYP3A4):0.81     PISCS予測値のAUC5.26倍 実測値のAUC6.2倍

AUCが5~10倍、すなわち薬を5~10錠いっぺんに飲んだ時のような状況が起きる事が予想されます。



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PL配合顆粒でひどい眠気が出た人が、受診時にそれを伝えなくてはいけない、たったひとつの理由。

こんにちは。アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。

今日はバレンタインデーですね。娘は幼稚園から帰ったら、チョコレートを溶かしてトッピングした手作りチョコを作りたいと言っていました。女子力が高いです😸

さて。今日は薬を飲んだ時の作用の強さには、個人差がある、と言うお話をします。

やや長い記事ですが、お付き合い下さい。最後にPL配合顆粒の意味が分かると思います。

いつも、わたしの薬局を利用して下さるAさんは、慢性心不全で循環器科に通院しています。慢性心不全は、心臓のポンプ機能が徐々に低下していく病気で、心筋梗塞の後などに起こります。

治療にはACE阻害薬、β遮断薬、ループ利尿薬と呼ばれる薬などを用います。この中で、薬の効き目に個人差が大きい薬があります。

それはβ遮断薬です。心臓のアクセルを緩める薬です。以前は心不全に禁忌とされましたが、現在は大規模臨床研究で、予後を改善することが確立している、慢性心不全の治療薬です。専門医が、少量から慎重に使う薬です。

個人差が大きい理由は、心不全の程度等にも依ると思うのですが、薬剤師の立場から重視したいのは、β遮断薬の代謝に個人差が大きい事です。

β遮断薬の多くは、肝臓の酵素のひとつである、「CYP2D6(シップツーディーシックス)」によって代謝され、活性のないものに変えられます。ところが、「CYP2D6」は、代謝能が遺伝的に決まり、極めて個人差が大きい酵素です。これを遺伝子多型と言います。

わたしたちは、遺伝的に与えられた「CYP2D6」の代謝能に応じて、EM(代謝能は通常)、IM(代謝能は中程度低下)、PM(代謝能は欠損)の3グループに分けられます。

代謝能の小さい人は、より少量の薬でも期待する効果が得られると考えられます。通常の用量では作用が強く現れ、不都合な作用(副作用)が現れるかも知れません。

Aさんは、ある時β遮断薬が開始されました。少量でしたが、添付文書で推奨される開始用量の2倍からのスタートでした。循環器の専門医でしたが、この医師は開始用量はいつも、この用量であることをわたしたちは知っていました。そのため、担当した薬剤師は問い合わせはしないで、Aさんに薬をお渡ししました。

ところが、Aさんはこの薬が開始になってから足にひどい浮腫が出て、薬を続ける事が出来ませんでした。あまりにつらくて、とおっしゃっていました。

Aさんがお帰りになった後、わたしは電子薬歴を詳細に見返していて、あっ、と思いました。過去に風邪薬のPL配合顆粒を飲んで、起き上がれない程の眠気を感じたと書いてあったのです。

PL配合顆粒の眠気を起こすのは、抗ヒスタミンのプロメタジンです。プロメタジンは肝臓の酵素「CYP2D6」で代謝されます。

そうです、問題のβ遮断薬を代謝するのと同じ種類の酵素です。もしもAさんが、この酵素の代謝能が中程度低下、もしくは欠損しているとしたら、ひどい浮腫と、起き上がれない程の眠気の両方が、矛盾なく説明出来ます。確定するには遺伝子診断が必要ですが、その可能性は高いと思います。

今でも、Aさんのβ遮断薬を、もっと低用量から開始していれば、服薬が継続出来たかなと思う、苦い経験です。

PL配合顆粒は、ありふれた風邪薬なので、みなさんも飲む機会があるのではと思います。もし、ひどい眠気が出た方がいらっしゃれば、病院と薬局で教えて頂けないでしょうか。「CYP2D6」で代謝される薬を安全に、有効に使うための、重要な情報になる可能性があります。

そして、飲んでいる薬の事で、なにか疑問があれば、薬剤師にご相談下さい。薬物療法のリスクを最少限に、効果を最大限にするのが、わたしたちの仕事です。



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パキシル(一般名パロキセチン)を飲んでいる人が、眼科を含めて他の病院を受診するときにしなければいけない、たったひとつのこと。

こんばんは。アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です。

立春は過ぎましたが、まだまだ寒い日が続いていますね。今夜はティートリーの香りを選んで芳香浴しました。南国のリゾートホテルに来ているような気分になれます。

さて、今夜は薬の飲み合わせの話です。心療内科に通院しているAさん(仮)は、パキシルと言う薬を飲んでいます。SSRIと呼ばれるカテゴリーの薬で、いわゆる抗うつ剤です。

Aさんがいつものように心療内科の処方箋を持ってわたしの薬局に来られた時、電子薬歴(薬局で書いている薬のカルテです)を見ていたわたしは、数日前に内科医院から風邪薬のPL配合顆粒を処方されていたことに気づきました😲

あらら…と思いながら、わたしは頭の中でカウンターで話す内容を組み立てました。

「Aさん、こんにちは。先日内科から風邪薬が出てましたけど、眠くなりませんでした?」

「そうそう、ひどく眠くなって、飲むのを途中で止めてしまいましたよ。」

ああ、やっぱり…。Aさんの飲んだ風邪薬、PL配合顆粒には、鼻水鼻づまりの成分であるプロメタジンが配合されています。いわゆる抗ヒスタミンで、眠気を引き起こします💤

プロメタジンは、肝臓の酵素であるCYP2D6(シップ・ツー・ディー・シックス)で代謝、すなわち活性のないものに変えられますが、Aさんの飲んでいるパキシルは、このCYP2D6を働かなくさせてしまう性質があります。

そのため、プロメタジンが体から無くなるのに必要な時間が延長され、数回飲むうちに体内濃度が通常より高くなり、強い眠気を感じるようになるのです😵💤⤵

幸いAさんは途中で飲むのを止めて事なきを得ました。もしも飲み続けて自動車事故など起こしたら、大変な所でした🚑

Aさんには、パキシルを飲んでいる時にPL配合顆粒を飲むと眠気が強く出ることを説明し、心療内科以外の病院にかかるときは、必ずパキシルを飲んでいる事を口頭でも伝えて頂くようお願いしました。

PL配合顆粒の他、咳止めのメジコンや、心臓の薬のβ遮断薬の中にもCYP2D6で代謝されるものがあります。ひどい浮腫が出てβ遮断薬が飲めなかったケースを目にしています。珍しい事例では、緑内障の点眼のβ遮断薬が、パキシルと併用する事で徐脈や低血圧を起こしたと言う報告もあります💊

また、乳ガンの薬のタモキシフェンはCYP2D6で活性化される為、パロキセチンを飲んでいると期待する効果が得られない場合があります💊

このブログの読者で、パキシル(一般名はパロキセチン)を飲んでいる方がいらっしゃったら、病院と薬局で必ず申告下さい。ご協力をお願いします🙏

そして、飲んでいる薬の事で、なにか疑問があれば、薬剤師にご相談下さい。薬物療法のリスクを最少限に、効果を最大限にするのが、わたしたちの仕事です😉👍✨

読んで下さってありがとう😆💕✨

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ビタミンD過剰による高カルシウム血症について

血清カルシウム濃度が12mg/dLを超えると食欲低下、嘔気に始まり、口渇・多飲・多尿や便秘を来たします。進行すると精神症状・意識障害を呈する場合があります。これが高カルシウム血症です。

ビタミンD過剰による高カルシウム血症は、外来での高カルシウム血症の原因の0.5%を占めます1)

サプリメントの天然型ビタミンDは非活性型であり、高カルシウム血症の原因になることはまずありません。

サプリメントに含まれるビタミンDは5-25μg程度ですが、1250μg/日までの摂取では明確な有害事象の報告はありません2)。

一方、薬剤の活性型ビタミンD3は非活性型ビタミンDの1000倍の力価があり、高カルシウム血症の原因として重要です。

活性型ビタミンDは半減期が数日程度であり、過量投与の場合、薬剤の中止後数日で改善します。

参考
ジェネラリストのための内科診断リフアレンス 医学書院
1)Lancet.1980 Jun 21;1(8182):1317-20
2)AmJ Clin Nutr.2007 Jan;85(1):6-18

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造影剤腎症とメトホルミン休薬について。

メトホルミン服用者にヨード造影剤を使用する場合、乳酸アシドーシスのリスクを避ける為に造影後48時間の休薬が添付文書に記載されています。実際どの程度のリスクなのでしょうか。

以前ブログで紹介したコホート研究によれば、メトホルミンによる乳酸アシドーシスの粗発症率は、3.3人/10万人年でした。フリーの全文を参照したところ、急性心不全や敗血症、体液量減少、急性腎不全と言ったリスク因子を有し、造影剤使用と明記のケースはありません。

ただし、ヨード造影剤が起因となる造影剤腎症(contrast-induced nephropathy; CIN)は、急性腎不全に含められるかも知れません。

韓国の報告[Korean J Radiol.2014 Jul-Aug;15(4):456-63]で合併率2.2%、欧州のメタ分析[Eur J Radiol.2013 Sep;82(9):e387-99]で5%と言う論文があります。

高齢や血清クレアチニン高値はリスク因子になるようです。eGFR<60なら造影前の脱水補正が予防適応になります[Can Assoc Radiol J.2014 May;65(2):96-105]。

70歳男性で、Cr1mg/dLなら<5%,90歳でCr1mg/dLなら10-15%のCINリスクがあると、ノモグラム[Am J Emerg Med.2011 May;29(4):412-7]より分かります。

検査後48時間が造影剤腎症のピークなので、これを経過し腎不全が無ければメトホルミンを再開と言うのが、添付文書の記載の意味合いと考えられます。

CINは多くの場合可逆的であり、10日以内にクレアチニンは基礎値に戻る事が多いとされます。また、腎機能正常であれば、メトホルミン中止は検査時でよいようです。

参考文献 「ホスピタリストのための内科診療フローチャート」 「月間薬事 腎臓病ガイドライン総まとめ」2017 vol.59 No.10

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妊娠中のアセトアミノフェンとNSAIDsの安全性

アセトアミノフェンは、FDA薬剤胎児危険度分類基準でB:人での危険性の証拠はない、妊娠の全ステージにおいて比較的安全に使用出来る薬剤です。

添付文書に妊娠末期の動脈管収縮リスクが記載されていますが、根拠としている動物実験はラットに常用量の15倍を投与したデータであり、ヒトに常用量を投与した観察研究では結論が出ていません。

胎児性動脈管早期閉鎖は全分娩の0.6%に生じ、その2/3以上は特発性との報告があります。母体にアセトアミノフェンの服用歴があったとしても、因果関係があるとただちに結論する事は困難です。

また妊娠初期にアセトアミノフェンに曝露した9146例において、奇形等の増加は認められませんでした。1)

NSAIDsには流産リスクの報告があります。

米国カリフォルニア州のコホート研究で、妊娠中にイブプロフェン、ナプロキセンを服用した場合、20週までの流産リスクが1.8倍に高まりました。

特に妊娠初期や1週間以上の長期服用では、5.6~8.1倍と大幅にリスクが高まる結果でした。

一方で、アセトアミノフェンでは流産の相対リスクは1.2(95%CI:0.8-1.8)、妊娠1週間以内の服用と1週間以上の服用でも相対リスクはそれぞれ、0.8倍、0.7倍で、すべて有意差はありませんでした。

研究グループは妊娠を望む女性は妊娠初期のアスピリンやNSAIDsの服用は避けるべきと警告しています。2)

1)Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation(Briggs GG)
2)Exposure to non-steroidal anti-inflammatory drugs during pregnancy and risk of miscarriage: population based cohort study BMJ 2003.8.16

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OATP1を介したスタチンの相互作用と横紋筋融解症リスク。

横紋筋融解症の発症リスクはスタチン単独療法で低く、アトルバスタチン、プラバスタチン、およびシンバスタチンで0.44/10,000人年と報告されています。スタチンにフィブラートを併用すると、特に高齢の糖尿病患者でリスクが増加するのが観察されました。発売中止となったセリバスタチンは発症リスクが高く、単独で5.34/10,000人年でした。また、アトルバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチンとフィブラートとの併用療法では5.98/10,000人年とリスクが上昇し、特にフィブラートと組み合わせたセリバスタチンは1,035/10,000人年の発症をもたらしました1)。

基礎研究の知見から、セリバスタチンによる横紋筋融解症は、SLCO1B1遺伝子によってコードされる肝取り込みトランスポーターOATP1B1の遺伝子変異、及びOAT1B1を介した相互作用の関与が想定されています2)。また、大規模なコホート研究で、プラバスタチンを含むCYP3A4で代謝されないスタチン内服患者におけるクラリスロマイシンの安全性の検討がありました。結果、アジスロマイシンに比して急性腎傷害による入院を1.65倍、高カリウム血症による入院を2.17倍、全死亡リスクを1.43倍有意に増加させました。理由として、肝取り込みトランスポーターOATP1B1とOATP1B3がクラリスロマイシンにより阻害される機序が考えられています3)。ただ、クラリスロマイシンの海外用量は1,000mg/dayですので、外的妥当性の解釈には注意が必要です。

スタチンとOATP1を阻害する薬剤の併用は慎重を期した方が良いかも知れません。新規薬剤では、心不全に適応のあるアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤サクビトリルと、アトルバスタチンの併用による横紋筋融解症が報告されています。カナダの添付文書には、併用によりアトルバスタチンのCmax2倍、AUC1.3倍に増大させること、サクビトリルがOATP1B1および1B3を阻害することが記されています4)。

最後に、横紋筋融解症を回避する為のマネジメントについて触れておきます。米国のStatin Muscle Safety Task Forceのアルゴリズムでは、スタチンを休止するCKの判断値を正常上限値(upprr limit of the normal range:ULN)の3倍としています。日本臨床化学会(JSCC)の標準化対応法によるCKの基準値は男性55~204IU/L 女性42~164IU/Lですが、試薬や機器によっては若干異なるため、上限値(ULN)を250とする施設もあります。ULNを200IU/Lとすると600IU/Lが判断値となります。CK≦3xULNであれば継続投与し、CK>3xULNまたは筋症状があれば2~4週間休薬して経過を見ます。休薬によって症状が改善した場合、その薬を中止・他のスタチンを低用量で投与開始し、とくに異常がなければ最大容量または目標とするLDL値が得られるまで増量するとしています。

1)Incidence of hospitalized rhabdomyolysis in patients treated with lipid-lowering drugs. PMID:15572716
2)OATP1B1-related drug–drug and drug–gene interactions as potential risk factors for cerivastatin-induced rhabdomyolysis PMCID: PMC3894639
3)Risk of adverse events among older adults following co-prescription of clarithromycin and statins not metabolized by cytochrome P450 3A4. PMID: 25534598
4)Rhabdomyolysis After Coadministration of Atorvastatin and Sacubitril/Valsartan (Entresto™) in a 63-Year-Old Woman PMCID: PMC5089965

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