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パロキセチンを飲んでいる人が風邪薬をもらう時に申告しないといけない理由。
はじめに
こんばんは。研修認定薬剤師の奥村です。
風邪のシーズンですが、皆さんは大丈夫でしょうか。私は毎日マスクをして薬局のカウンターに立っています。
さて、風邪薬には大抵、抗ヒスタミンと言う成分が含まれています。鼻水や鼻づまりに効果がありますが、眠たくなる副作用があります。
この抗ヒスタミンは、鬱の薬のパロキセチンを飲んでいると眠気が強く出るものがあります。この理由を説明したいと思います。
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パロキセチン(パキシル®️)はCYP2D6を阻害する
薬の多くは肝臓の酵素で代謝され、薬効がなくなります。ところが、薬の中にはこの酵素の働きを邪魔するものがあります。
パロキセチンはCYP2D6の強い阻害薬であり、1~数週間の服用で表現型が正常代謝型個体(EM)から低・欠損型個体(PM)様に変換するとされます。
分かりやすく言うと、パロキセチンは薬物代謝酵素の「CYP2D6(シップツーディーシックス)」と呼ばれるものを働かなくさせてしまいます。
代謝が正常な人でも、生まれつきこの酵素の働きが弱い人と同じくらいに低下します。1~数週間の服用で、この現象が起こります1)。
Inhibition of cytochrome P4502D6 activity with paroxetine normalizes the ultrarapid metabolizer phenotype as measured by nortriptyline pharmacokinetics and the debrisoquin test.
Clin Pharmacol Ther. 2001 Oct;70(4):327-35.
PMID: 11673748
PL配合顆粒に含まれるプロメタジンや、市販の感冒薬に含まれるジヒェンヒドラミン、クロルフェニラミンと言った抗ヒスタミンはCYP2D6で代謝されます。
CYP2D6中程度代謝型個体(IM)でも過度の眠気が出ると言う報告があります。
言い換えると、代謝能力が中程度の人が抗ヒスタミンを飲んだ場合も、過度の眠気が出るケースがありますので、パロキセチンとの併用でひどい眠気が出る可能性を考えなくては行けません2)。
Impact of CYP2D6*10 on H1-antihistamine-induced hypersomnia.
Eur J Clin Pharmacol. 2006 Dec;62(12):995-1001.
Epub 2006 Nov 7.
PMID: 17089107
まとめ
もしもこのブログを読んでいる方でパロキセチンを服用されていましたら、風邪薬にご用心下さい。飲み合わせに心配がありましたら、私たち薬剤師にご相談下さい。私たちはそのためにいます。
風邪を引いた時の参考になりましたら、幸いです。
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最終更新日:2020年10月29日
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参考文献
1)Inhibition of cytochrome P4502D6 activity with paroxetine normalizes the ultrarapid metabolizer phenotype as measured by nortriptyline pharmacokinetics and the debrisoquin test. Clin Pharmacol Ther. 2001 Oct;70(4):327-35. PMID: 11673748
2)Impact of CYP2D6*10 on H1-antihistamine-induced hypersomnia. Eur J Clin Pharmacol. 2006 Dec;62(12):995-1001. Epub 2006 Nov 7. PMID: 17089107
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