急性副鼻腔炎におけるステロイド点鼻の有効性について

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急性副鼻腔炎におけるステロイド点鼻の有効性について

はじめに

耳鼻咽喉科から、急性副鼻腔炎の方に、こんな処方箋が来ました。

アモキシシリン250mg 3cap
ラックビーR 3tab
カルボシステイン500mg 3tab
分3   7日分
ナゾネックス点鼻液
両鼻 1日1回 1回2噴霧

ナゾネックスの開始時期については医師から特に説明はなかったそうです。

ナゾネックスの適応に急性副鼻腔炎はないし、細菌感染を起こしている時にステロイドを使ったら、治癒が遅れないのかな。

誰かタスケテ…。

そこで、ガイドラインを参照して、急性鼻副鼻腔炎におけるステロイド点鼻(噴霧を含む)の有効性について、エビデンスを概観しました。

これを読めば、自信を持って、急性副鼻腔炎の人にステロイド点鼻の効果と使用時期の説明が出来るようになります。

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急性副鼻腔炎は頭痛、熱、咳等の症状を伴う

急性副鼻腔炎では、額や頬にある副鼻腔という空洞に膿が溜まるため、頭痛がします。下を向くと痛みが強くなります。顔に熱感もあります。

また、後鼻漏と言って、鼻水が喉に垂れ込む為、痰が絡む咳が出ます。

軽症であれば、鼻をよくかんでいるだけで自然に治りますが、重症の場合は薬による治療が必要になります。

急性副鼻腔炎は、抗生物質とステロイド点鼻薬が同じようにくらい有効と考えられている

欧米では単独あるいは抗菌薬投与との併用で、症状、症候、QOLなど治療効果に有意差があったことが報告されています。

原因は初発では抗生物質が無効なウィルス感染が多い

急性副鼻腔炎の初発は、ウイルス感染が細菌感染よりも頻度が高いと認識されています。

欧米ではステロイド点鼻(噴霧薬)治療は単独で、あるいは抗菌薬治療との併用で推奨しうる治療法とされています。

本邦ではステロイド鼻噴霧薬は適応疾患として急性鼻副鼻腔炎が含まれていません。

適応疾患はアレルギー性鼻炎、もしくは一部の製剤では血管運動性鼻炎ということに留意する必要があります。

急性副鼻腔炎のステロイド点鼻治療のガイドラインでの位置付け

急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010年版を参照しました。

・急性副鼻腔炎の治療において、抗菌薬治療との併用で、抗菌薬単独と比較し改善率が高いという報告がみられる(Ⅱb、B)

・QOL に関してもステロイド局所使用(スプレー)がAMPC 内服より改善率が高かったという報告がある(Ⅱb、B)

・AMPC内服治療とステロイド局所点鼻との間に経過において差はなかったとの報告もある(Ⅱb、B)

エビデンスの要約

・AMPC/CVA40mg/㎏/日単独投与治療群と、corticosteroid 点鼻の併用群では、併用群の方が咳、鼻漏に有意差がみられた1)。(Ⅱb、B)

・cefaclor10 日間とbudesonide 点鼻薬併用群と、cefaclor10 日間投与単独群とではbudesonide点鼻薬併用群の方が症状症候の改善率が有意に高かった2)(Ⅱb、B)

・AMPC1500mg、mometasone furoate nasal spray(MFNS)、placeboの比較でMFNS 1日2回投与がQOLの評価で有意な差があったとしている3)(Ⅱb、B)。

・AMPCの7日間内服治療と局所ステロイド点鼻10日間と比較し、効果に差はなかったとしている4)。(Ⅱb、B)

引用文献

1) Barlan IB. Erkan E. Bakir M. Berrak S. Basaran MM.
Intranasal budesonide spray
as an adjunct to oral antibiotic therapy for acute sinusitis in children. Annals of Allergy, Asthma, & Immunology. 1997 ;78(6):598-601

2) Yilmaz G. Varan B. Yilmaz T. Gurakan B.
Intranasal budesonide spray as an adjunct to oral antibiotic therapy for acute sinusitis in children. European Archives of
Oto-Rhino-Laryngology. 2000;257(5):256-9

3) Bachert C,Meltzer EO.
Effect of mometasone furoate nasal spray on quality of life of patients with acute rhinosinusitis. Rhinology 2007 Sep;45(3):190-6

4) Williamson IG, Rumsby K, Benge S,et.al.
Antibiotics and topical nasal steroid for treatment of acute maxillary

まとめ

初発の急性副鼻腔炎であれば、ウィルス感染の可能性を考慮して、ステロイド点鼻薬を上乗せする処方はあり得る事が分かりました。

患者さんには、点鼻薬もその日のうちから使用開始するように説明して良さそうです。

このブログ記事を明日の業務から生かして頂けたら嬉しく思います。

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参考文献

感染症999の謎

急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010年版



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