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日本人におけるBMIと循環器・代謝系形質:メンデルランダム化研究
☑️はじめに
心血管疾患(CVD)は、虚血性心疾患と脳卒中を含み、世界の主要な死因の一つです。特に虚血性心疾患は死亡率が高く、2000年から2019年にかけて急増しています。
肥満や高BMIはCVDの主要なリスク因子です。
肥満によるCVDのリスクは世界的に増加しており、特に新型コロナウイルス感染症の影響による生活様式の変化が懸念されています。
遺伝的、行動的、環境的要因が肥満とCVDの関連に影響を与えますが、これらの関係の詳細なメカニズムはまだ完全に解明されていません。
メンデルランダム化(MR)研究は遺伝的変異体を用いて因果関係を推論する手法であり、ヨーロッパ人では肥満とCVDの関連が明らかにされています。
しかし、日本人におけるエビデンスは限られています。
日本人を対象としたMR研究が肥満とCVDの関連性をより理解する上で重要です。
プロローグ
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☑️CVDは世界の主要な死因
心血管疾患(CVD)のなかで、虚血性心疾患と脳卒中はどちらも世界の主要な死因です。虚血性心疾患は2019年の世界の総死亡者数の16%を占め、2000年(200万人以上)から2019年(890万人)にかけて最大の増加を示しています。
また脳卒中は世界の総死亡者数の約11%を占めています[1]。
☑️CVDの危険因子は肥満(1)
観察研究によって、CVDの最も顕著な危険因子は肥満とBMI高値であることが示されています[2]。これらは動脈硬化[3]の進展と関連しています。
動脈硬化は、肥満に伴う脂質異常症[4]や2型糖尿病[4-6]、高血圧[4,7]、および腎機能障害[8]によって、炎症[12,13]を含む様々なメカニズム[9-11]を通して進展します。
肥満者の炎症レベルは非肥満者の炎症レベルよりも高い傾向があります[14-16]。動脈硬化もまた慢性的な全身性炎症の状態です。
☑️CVDの危険因子は肥満(2)
肥満では、脂肪組織が炎症性アディポカイン(例えば、TNF-α、IL-6、MCP-1、レジスチン、レプチン)を産生します[14,15,17]。これらが動脈硬化に直接関与するため、炎症は加速されます[16]。
過去数十年間における世界的な肥満の急増に伴い[18]、肥満に起因する循環器・代謝系疾患は、現在進行中の公衆衛生上の大きな負担となっています。
新型コロナウイルス感染症2019の大流行を背景に、肥満によるCVDは、身体活動の低下とますます座りがちなライフスタイルの採用により、より重大な問題となる可能性があります。
☑️肥満と循環器・代謝系疾患
多くの観察研究により、肥満またはBMI高値と、循環器・代謝系疾患およびその危険因子との有意な関係が証明されています[4-6]。しかしそのメカニズムは複雑であるため、因果関係は完全には解明されていません[19]。
発症に関係しているのは、行動的因子(例えば、食事、睡眠パターン、座りがちなライフスタイル)や生物学的因子(例えば、ホルモン、栄養、代謝因子)だけではありません。
遺伝的因子(例えば、脂肪量や肥満関連遺伝子[FTO])[20]、環境因子(社会経済的地位、文化、身体規範[21,22]、近隣の歩きやすさ[23]、都市性[24]など)、心理学的因子(精神的ストレスなど)も肥満と循環器・代謝系疾患の発症に関係しています。
また、両疾患における無意識バイアス(unconscious bias)、逆因果、個人的要因(遺伝的要因を含む)と環境要因の相互作用を考慮することは困難です。
☑️メンデルランダム化について
メンデルランダム化(MR)は、遺伝的変異体を操作変数(IV)として用いる新しい疫学的アプローチです。MRは、減数分裂の際に遺伝的変異体(genetic variants)がランダムに組み合わされることにより、交絡因子の影響を受けずに観察データにおける因果関係を推論する手法です[25]。
最近の研究では、ヨーロッパ人における肥満と循環器・代謝系疾患との因果関係が、MRによって明らかにされています[26,27]。しかし日本人を含む東アジア人におけるエビデンスは、現在のところ限られています。
日本(3.7%)と米国(38.2%)の遺伝的・環境的背景や肥満(BMI≧30kg/m2と定義)の有病率の違いを考慮すると[18,28]、それぞれの集団におけるBMIと循環器・代謝性疾患との因果関係を明らかにすることは重要です。
☑️エビデンス
これまでに実施された日本人最大のゲノムワイド関連研究(GWAS)では、BMIと虚血性脳卒中、心筋梗塞、2型糖尿病などのいくつかの循環器・代謝系形質との間に有意な遺伝的相関があることが報告されています[29]。このことから、これらの疾患に関するMR研究により、日本人における関連因果関係の方向性が明らかになると考えられました。
そこで、遺伝的に決定されたBMIで定義される肥満が、日本人のCVDおよび関連する循環器・代謝系形質のリスクに影響を及ぼすかどうかを調べるために、日本人を対象としたMR研究を実施しました。
邦題は、「日本人におけるBMIと循環器・代謝系形質: メンデルランダム化研究」です。
【背景】
多くの観察研究において、肥満と循環器・代謝系形質との間に有意な関係があることが示されている。しかし、東アジア人におけるこれらの関係の因果関係は未だ解明されていない。
【研究方法】
日本多施設共同コホート研究(Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort Study)参加者14,083人を対象とした。個人レベルのメンデルランダム化(MR)解析と、日本人173,430人のゲノムワイド関連研究データに基づく要約統計量を用いた2標本MR解析を行った。
83の体格指数(BMI)関連遺伝子座を用いて、BMIの遺伝的リスクスコア(GRS)を算出し、2段階最小二乗推定量法を用いた個人レベルのMR解析において、BMIが循環器・代謝系形質に及ぼす影響を検討した。
2標本MR解析では、各一塩基多型と全アウトカムとのアレルごとの関連についてのβ係数と標準誤差、または95%信頼区間を伴うオッズ比を算出した。
【結果】
個人レベルのMR解析では、BMIのGRSはいかなる循環器・代謝系形質とも有意な関連を示さなかった。2標本MR解析では、BMIが高いほど血圧、中性脂肪、尿酸の上昇リスクが高く、HDLコレステロール、eGFRの低下と関連していた。
2標本MR解析におけるBMIと2型糖尿病との関連は、さまざまな解析方法を用いたところ、方向性を含めて一貫していなかった。
【結論】
本研究の結果は、肥満レベルの低い東アジアの集団である日本人においても、BMIの高さがさまざまな循環器・代謝系形質の発症と因果関係を有する可能性を示唆している。これらの関連における因果関係については、今後より大規模な集団を対象とした研究、特にBMIと2型糖尿病との関連についての研究で明らかにされるべきである。
【キーワード】
肥満度、糖尿病、循環器・代謝系リスク因子、メンデルランダム化分析、東アジア人
BMI and Cardiometabolic Traits in Japanese: A Mendelian Randomization Study
Mako Nagayoshi et al.
J Epidemiol. 2024; 34(2): 51–62.
☑️結果の概観(1)
本研究では、日本人14,083人を対象とした個人レベルのMR解析を行いました。その結果、BMIの遺伝的リスクスコア(GRS)はいかなる循環器・代謝系形質とも有意な関連を示しませんでした。
一方で、日本人173,430人を対象とした逆変数重み付け(IVW)法を用いた2標本MR解析では、BMIが高いほど、さまざまな循環器・代謝系形質(cardiometabolic traits)のリスクが高い(sBP・dBP・TG・尿酸値が高く、HDLコレステロール・eGFRが低い)ことが示されました。
☑️結果の概観(2)
この集団において、BMIと2型糖尿病の関連性は、方向性を含め、MR解析の方法間で一致していませんでした。BMIは、個人レベルのMR解析と、IVW法およびEgger法による2標本MR解析では、2型糖尿病と有意な関連を示しませんでした。
加重中央値法とMR-PRESSO法による2標本MR解析では、BMIは2型糖尿病と正の関連を示しましたが、IVW法とEgger法による2標本MR解析では、負の関連を示しました。
☑️考察(1)
著者らの知る限り、本研究は、日本人の大規模サンプルを用いて、MR解析を用いてBMIと循環器・代謝系形質(訳注:循環器疾患など)との関連を調査した最初の研究です。本研究の結果は、肥満の程度が低いアジア人集団である日本人においても、BMIの高値が様々な既知のCVD危険因子の発現と因果関係を有する可能性を示唆する証拠を追加するものであり、ヨーロッパの研究結果と一致しています[40]
肥満またはBMI高値と、血圧・TG高値との間に正の相関が、またHDLコレステロール・eGFRとの間に逆の相関が観察されたことは、生物学的に妥当です。
肥満またはBMI高値に関連する炎症、内臓脂肪蓄積、酸化ストレス[9]、飽和脂肪酸の循環、インスリン抵抗性[10]、内皮機能障害[11]が病態に寄与しています。
☑️考察(2)
この関連は以前から報告されていたものですが、観察研究における逆/双方向の因果関係、および/または未調整の交絡因子の影響を受けている可能性がありました。しかしながら、今回の2標本MR解析の結果は、因果関係にあるという可能性を支持するものです。
個人レベルのMR解析で関連が認められなかった理由は、J-MICC研究のサンプルサイズが比較的小さかったためかもしれません。
個人レベルのMR解析と2標本MR解析の間で、ほとんどの関連性の方向性が類似していましたので、よりサンプルサイズの大きな研究を進めれば、関連性のあることが明白になるかもしれません。
☑️考察(3)
一方BMIと2型糖尿病との関連は、MR解析の方法によって一貫しておらず、日本人の集団ではBMIとHbA1cの間に関連は認められませんでした。ヨーロッパの大規模なデータセットを用いたこれまでのMR解析では、2型糖尿病の発症と血糖形質(空腹時血糖値、空腹時インスリン、HbA1c)の両方に、全体的な肥満と腹部肥満が強い因果関係を持つことが明らかにされています[40,41]。
肥満がHbA1cに及ぼす影響は、ある研究では比較的小さいものでしたが[41]、いずれの結果も、肥満は血糖コントロールの悪化とインスリン抵抗性を介してヨーロッパ人の2型糖尿病を引き起こすという主張を支持するものでした。
日本人では、疫学研究において、肥満またはBMI高値と2型糖尿病の発症との間に一貫した関係が認められましたが[4-6]、その関係は複雑である可能性があります[29]。
☑️考察(4)
最近の大規模な日本のゲノムワイド関連研究(GWAS)において、AkiyamaらはBMIに関連するバリアントの2型糖尿病感受性に対する効果量を比較しました[29]。193のバリアントのうち、2型糖尿病との関連についてゲノムワイドで有意なレベル(P<5.0×10-8)の20のバリアントを検出しました。
そのうち正の関連を示したのは5つだけであったのに対し、15のバリアントは負の関連を示しました[29]。
2型糖尿病と負の関連を示したバリアントは、主にヨーロッパ諸国で募集された非糖尿病参加者において、空腹時血糖値に検出可能な変化を与えることなく、インスリンのプロセッシングと分泌に影響を与えることが報告されました[42]。
例えば、CDKAL1とHHEXは、インスリン分泌促進指数(insulinogenic index)に大きな負の影響を及ぼす一方で、空腹時血糖値には非常に緩やかな影響しか及ぼしませんでした[42]。
☑️考察(5)
Akiyamaらの研究では、二変量LD(連鎖不平衡)スコア回帰を用いて、BBJ GWASとアジア人の他の33のGWASのデータから、BMIと2型糖尿病、虚血性心血管疾患との間に強い遺伝的相関があることを発見しました[43]。しかし日本人におけるBMI高値と2型糖尿病感受性の相関は再現できませんでした。
アジア人のGWASでBMIや他の心代謝形質と相関を示したSNPs(全85SNPs中12SNPs)、MR-PRESSOで検出された比較的多くの外れ値(全85SNPs中37SNPs)は、この相関を理解する上で重要な役割を担っている可能性があります。
☑️考察(6)
一方、共通する12SNPsは2つの形質(例えばFTO)の間に共通する遺伝因子と考えられ、それらの除外はバイアスにつながる可能性があります。これらのSNPsを除外した結果、BMIと2型糖尿病およびHbA1cとの有意な逆相関が示されました。
しかし、いずれの関連においても、操作変数の水平多面発現(horizontal pleiotropy)が観察されました。
(訳注:MR解析で因果関係を推定るすための仮定②「遺伝子多型が曝露を介さずにアウトカムに影響を与えない」を逸脱する。)
従って、これらの因果関係は信頼できないかもしれません。
☑️考察(7)
今回の研究の結果は、東アジアのこの民族における糖尿病の特徴がヨーロッパ人とは異なることでも説明できます。個人レベルのMR解析と、逆変数重み付け(IVW)法およびEgger法による2標本のMR解析において、日本人におけるBMIと2型糖尿病との間に有意な関係を見出すことができなかったという事実を説明できます。
日本人をはじめとする東アジア人の2型糖尿病の発症は、ヨーロッパ人に比べて肥満が少なく、β細胞の機能障害が早いことが主な特徴です。
東アジア人はβ細胞の容量が限られているため、わずかな体重増加でもインスリン感受性が低下しやすい特徴があります。
一方、ヨーロッパ人の2型糖尿病は主にインスリン感受性の低下が原因であり、これは肥満とより密接な関係があります。
☑️考察(8)
それに加えて、日本人の糖尿病患者では高齢者(65歳以上)の割合が高いことも、BMIの高さとの関連性が欧州人と異なる理由である可能性があります。国際糖尿病連合は、2019年に日本は65歳以上の糖尿病患者数が世界で6番目に多かったと報告しています[44]。
さらに、Noordamらによる最近のMR解析では、BMIと2型糖尿病との関連は、2型糖尿病の診断を受ける年齢が高くなるにつれて減弱することが報告されています[45]。
糖尿病と診断された年齢を直接比較することは困難ですが、今回のBBJの研究参加者のベースライン時の平均年齢は、UK Biobankのそれよりも高い(63歳[29]対57歳[46])ものでした。
Wangらは、漢民族の2型糖尿病発症メカニズムに関して、全身肥満と腹部肥満の違いの可能性を指摘しており[47]、脂肪率の分布が結果に影響を与えた可能性があります。
☑️考察(9)
日本人とヨーロッパ人のBMIと糖尿病の関連性の違いには、最初に選択する糖尿病治療薬の違いも影響している可能性があります。例えば、英国で糖尿病の第一選択薬であるスルホニル尿素[48]は体重増加と関連しますが、日本で広く使用されているDPP-4阻害薬[49]は体重増加と関連しません。
本研究の2標本MR解析において、IVW法の結果はEgger法の結果よりも顕著な関連を示しました。
これまでの報告では、サンプルサイズが大きい場合、IVW法は2標本MR解析に推奨されています[50]。
本研究のサンプルサイズは十分に大きかったため、IVW法の結果は、BMIと疾患転帰との因果関係の推定値として信頼できる可能性があると考えられます。
☑️考察(10)
Egger法による推定値の精度は、操作変数とリスク因子との遺伝的関連性のばらつきに依存すると考えられています[51]。そのため、Egger法における関連性の弱さは、この日本人サンプルにおけるばらつきの大きさを示唆しています。
一方、MR-Egger回帰は操作変数の水平多面性を評価する新しい方法です。
本研究では、回帰切片(α)が有意にゼロと異なっていなかったことから(有意水準:P<0.05/12=0.00417)、結果には実質的な水平多面性はないと考えられました。
BMIの重み付けGRSと潜在的交絡因子(喫煙、飲酒、日常的な身体活動)との間に関連がないことから、操作変数の交絡因子との関連による、メンデルランダム化解析の仮定を逸脱する可能性は低いと考えられます。
☑️考察(11)
しかしながら多変数MR(Multivariable Mendelian randomization:MVMR)解析は、BMIに関連するSNPが他の循環器・代謝経路を介して虚血性心疾患に関連する可能性を示唆しています。加重中央値法およびMR-PRESSO法による感度解析の結果は、逆変数重み付け(IVW)法で有意な関連が認められた循環器・代謝形質のほとんどが、BMIと因果関係を有する可能性を支持するものでした。
しかし、BMIと2型糖尿病との関連にバイアスがかかっている可能性が示唆されたことから、BMIに関連するSNPの循環器・代謝形質への直接的な影響については、今後の調査で詳細に明らかにされるべきです。
今回の2標本MR解析では、SNP-曝露およびSNP-結果間の関連がかなりクラスター状に分布していることを考慮すると、近い将来、これらの関連についてさらに調査を行うことが妥当でしょう。
☑️研究の限界(1)
本研究の結果は慎重に解釈されるべきです。第一に、J-MICC StudyとBBJにおけるBMI測定の状況の違いが結果に影響を与えた可能性があります。
J-MICC研究の参加者のほとんどは地域社会で募集されたのに対し、BBJの参加者は臨床の場で測定されたため、後者ではBMI値が対象疾患および/または医療処置の影響を受けた可能性があります。
しかし、個人レベルのMR解析と2標本MR解析の結果は方向性が類似しており、日本人ではBMIの高さが糖尿病やHbA1c以外の循環器・代謝形質と因果関係がある可能性が示唆されました。
個人レベルのMRで関連が認められなかったのは、サンプルサイズが比較的小さかったことが関係している可能性があるため、サンプルサイズを大きくしたさらなる研究で関連が明らかになるかもしれません。
☑️研究の限界(2)
第二に、J-MICC研究では心血管疾患(CVD)は自己申告による病歴のみに基づいて検出されました。本研究の個人MR解析でBMIとCVDの関連が認められなかったのは、CVDの測定方法の違いによる影響かもしれなません。
多変量解析の結果、別の危険因子が虚血性心疾患(CHD)と関連していることが示されたので、因果関係を確認するためにさらに研究を行う必要があります。
第三に、肥満傾向の検出にBMIのみを用いましたが、脂肪率の分布の違いが結果に影響を与えた可能性があります。
☑️研究の限界(3)
第四に、著者らは「勝者の呪い」[52](訳注:関連性の最初の (つまり発見) 結果がヌルから誇張される傾向があり、再現研究はより控えめになる傾向があるという現象を指す。 )に注意しなければなりません。なぜなら、主にBBJ研究からなるGWASメタアナリシスから発見された一塩基多型(SNPs)を操作変数として用いたからです。
この現象に伴う誤った発見の結果として、バイアスの大きさと方向がヌル(null)から離れることが観察されるはずです。
第五に、本研究では、個人レベルのMR解析と2標本MR解析について、解析を行ったサンプルの間にかなり大きな重複があるため、交絡が存在すると、遺伝子-曝露と遺伝子-結果の関連性の独立性の仮定が破られる可能性があります。
しかし、英国バイオバンクの典型的な研究データを模倣してMR解析の性能を評価したMinelliら[50]のシミュレーションによると、2標本MR法は大規模バイオバンクのこのような重複データに安全に使用できます。
☑️研究の限界(4)
そうは言っても、MR-Egger解析の結果は交絡の方向と大きさを反映してバイアスがかかっているため、その解釈には注意が必要です[50]。別の側面では、データが重複している場合、探索(discovery) GWASからの上方に偏ったβ(「勝者の呪い 」)を考慮すると、MR推定値は必ずしもヌル(null)側に偏るとは限りません[53]。
このような限界はあるものの、J-MICC研究にはBMIと様々な循環器・代謝形質に関連する遺伝子型に関する豊富な情報があります。
このため、個人レベルのMR分析でBMIと循環器・代謝形質との関係を調べることができました。
BBJ、JPHC研究、TMMから多くの情報を得た巨大なサンプルサイズにより、日本人における2標本MR法を用いた因果関係の確認が可能となりました。
☑️まとめ
要約すると、本研究は、日本人におけるBMIと循環器・代謝系転帰との関連を包括的に検討した初めての研究であり、日本人の疾病予防に有用な情報を提供する可能性があります。現在、より大規模な、あるいは独立した集団を対象としたさらなる調査が必要です。
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最終更新日2024年6月8日
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