皮膚感染症に対してCDTRは有効か:PK/PD理論からの考察

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経口第三世代セファロスポリンのセフジトレン(CDTR)は、添付文書上、表在性皮膚感染症の適応がありますが、JAID/JSC感染症治療ガイドの皮膚軟部組織感染症の章には毛包炎・せつ・よう・伝染性膿痂疹の推奨薬物としてCEX、CCLと言った第一世代セファロスポリン、MINO、AMPCやCVA/AMPCが挙げられ、CDTRの記載はありません1)。

ここではPK/PDの観点から、皮膚感染症に対するCDTRの有効性を検討してみたいと思います。

インタビューフォーム2)より、以下のデータを得ました。

蛋白結合率91.5%
皮膚移行率0.12
Cmax
100mg投与時1.66μg/mL
200mg投与時3.44μg/mL
MIC
S.aureus  MIC80 0.78μg/mL(MIC range0.39-1.56)
S.pyogenes MIC80 0.013μg/mL

CDTRはβラクタムで時間依存の抗生物質の為、感染部位での%TAM>40%が効果発現の要件です。表在性皮膚感染症の場合、200mgの投与でも標的臓器でのCDTR最高濃度は黄色ブドウ球菌のMIC80に到達せず、CDTRによる黄色ブドウ球菌への抗菌効果は、PK/PD理論から期待出来ないと考えます。

米国の承認用量は、皮膚感染症の場合、1回200mgを1日2回です。PAEはMICの2倍では0.4時間とされますが、そもそも感染部位での最高血中濃度すら黄色ブドウ球菌のMIC80に到達しないので、この用法用量でも黄色ブドウ球菌感染症に効果は期待出来ないと考えます。

化膿連鎖球菌であれば、効果は期待出来るかも知れませんが、その場合はペニシリンで治療可能ですので、第三世代セファロスポリンを選択する意味は疑問です。

参考文献

1)JAID/JSC感染症治療ガイド2014
2)メイアクト インタビューフォーム